見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし リベンジ果たして成りあがる 作:腰尾マモル
シンの重大発表とリリスの結婚式宣言で沸き立った祝勝会はその後も盛り上がり続け、日付が変わる少し前にようやくお開きとなった。
普段は大酒飲みのハンターから各国の要人までほぼ全員が酔いつぶれてしまっている姿は中々お目にかかれるものではない。かく言う俺も少し酔っぱらっているから夜風にでも当たりにいこう。俺は入口扉を開けて外へ出ることにした。
酔っぱらった頭に少し冷たい風は気持ちがよく、満天の星空も美しくてとても気分がいい。このまま星空を眺めながら寝るのもいいかもしれないと思っていると、後ろから扉の開く音が聞こえてきた。
そこにはリリス、サーシャ、グラッジが立っており、3人は俺を見つけるとすぐに横へ座り、最初にサーシャが話しかけてきた。
「ガラルド君は酔っぱらい過ぎてない? ギルドの中はお酒の匂いといびきと寝言しかない空間だから抜け出してきちゃったよ。ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」
「ハッハッハ! 確かにそうかもな。サーシャは17歳でグラッジもまだ16歳だから酒は飲めないし戸惑う気持ちも分かるよ。俺はほどよく酔っているから普通に話はできるぞ」
「よかった。それじゃあ、ここからは大事な話をするからしっかり聞いててね。さっきも皆の前で行きたい場所があるって言ったよね。実はサーシャとグラッジ君は大陸北端の幻想の
そこからサーシャはウィッチズガーデンにある幻想の
大陸の内外を冒険したと思われる勇者フォグスンの話は俺の酔いを一発で覚ましてくれた。そして、スキルを消す事ができるという祭壇の話はグラッジの魔獣寄せを消せるかもしれない希望に溢れており、血が湧き上がってくるのを感じた。
死の山での戦争前にサーシャとグラッジが旅行へ出かけたのは、ただのデートだと思っていたが、それだけではなかったようだ。本に書かれていた驚きの内容を次々と口にするサーシャにリリスも口を開けて驚いている。
サーシャが全てを話し終えると今度はグラッジが俺に頭を下げてお願いしてきた。
「以上が僕達の得た情報です。僕がドライアドで『お誘いしたいことがある』と言っていたのは一緒に祭壇を探す旅に行きたいという内容だったんです。僕のメリットが圧倒的に大きいですし、長く厳しい航海になるとは思いますが、きっと今までに負けないぐらいワクワクする冒険になる気がします。そんな冒険をガラルドさん、リリスさんと共に味わいたいんです。一緒に行ってくれませんか?」
グラッジは緊張した面持ちでお願いしているが俺の中ではとっくに答えが決まっている。リリスも同じだったらしく、2人で順番に答えを返す。
「ああ、もちろん一緒に行くぞ。冒険だけじゃなくグラッジの悩みまで解消できるなら一石二鳥じゃないか。こんなに美味しい冒険ならついてくるなと言われてもついていくぜ」
「ええ、私もです。グラッジさんが魔獣寄せのせいで限られた日数しか人里を歩けない悩みをずっと何とかしてあげたいと思っていましたから。それに魔獣寄せを治せばサーシャちゃんがもっとグラッジさんとイチャイチャできますからね。お2人には私とガラルドさんに負けないぐらいの熱々カップルになってほしいですから!」
恋愛話モンスターのリリスが2人を揶揄うとサーシャとグラッジは顔を真っ赤にし、サーシャが反論を始める。
「や、やめてよ! リリスちゃん! サーシャ達はまだそんな関係性……えーと、そのぉ……」
「え~? 本当ですかァ? 戦争前に2人でデートに行っている時点で言い逃れは出来ないと思いますけど~そうですよね? グラッジさん?」
リリスがノリノリで煽ると、グラッジはしばらく考え込んだ後、覚悟を決めた顔で宣言する。
「サーシャさん、もう僕達が恋人同士だってことを隠すのはやめましょう。少なくとも僕達4人は共に旅を続けるパーティーですから、お2人だけでもオープンにした方がいいです。いっそ、僕らも旅立ち前に結婚式を挙げますか?」
「え? え? えええぇぇぇっっ!」
サーシャが今までに聞いたことがない声をあげて驚いている。それにしてもグラッジの潔さは一体どういう事だろうか? 間違って酒を飲んでしまったのか、それともリリスの空気に当てられておかしくなってしまったのだろうか?
一層顔を赤くしてモジモジするサーシャと凛々しい顔をしているグラッジが醸し出す恋愛オーラに胃もたれしそうになっていると、リリスがパンッと1回両手を叩き、今後の事を話し始める。
「グラッジさんもサーシャちゃんも勇気を振り絞って想いを打ち明けてくれましたから私も頑張らないといけませんね。よしっ! 決めました。私は近々サキエル様のところへ行って大事な話をします。ドライアドでガラルドさんには少し言いましたが、私はサキエル様に大事な相談があるのです。大切な仲間である皆さんにも見届けてほしいですから私についてきてくれませんか?」
リリスが吹っ切れた顔で改まってお願いしてきた。確かにドライアドでの決戦前夜にそんな話はしていたが、それほど大事な相談なのだろうか? もちろん断る理由なんて無いから俺もサーシャもグラッジも首を縦に振った。
その後も俺達はギルドの外で思い出話や今後の話で盛り上がり、祝勝会の夜は更けていく。