ギガフロート:ブレイカーコンピレーション   作:X2愛好家

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それって半ばストーカーでは?


チェイサー:剣の道を往く不審者

「……何やってんの?」

 

「凄まじい剣豪が居た形跡がある」

 

「質問に答えてほしいんだけど」

 

「まだ暖かい」

 

「バトルシミュレータ動かしてたからでしょ」

 

「近くに居るかもしれない」

 

「人の話を聞かないタイプか」

 

とある空き教室の一つ。

バトルシミュレータとその周辺でカサカサゴソゴソと不審な動きを見せる女子生徒と、不幸にも不審者に遭遇してしまったシバウラ・ミキの姿があった。

 

「そろそろ風紀委員か警備に通報するけど」

「構わないけどあたしの方が強いよ?」

 

携帯端末を手にしたミキに対して自信満々に言い切る不審女子。ちょっとイラッとしたミキが本気で通報するかと構えた瞬間、何かを思い出したかのように不審女子が詰め寄ってきた。

 

「そういえば」

「っ……!」

「お?あんたも体捌き自信アリ?やるね」

 

護身術と言うには若干粗雑だが、素早く手慣れた動きで不審女子をいなすミキ。それに想定外と言わんばかりの驚きと称賛を送り、ミキに興味を持ち始めた不審女子。でも今はメイン目標があると改めてミキに質問を投げ掛ける。

 

「剣の凄い人、知らない?このドミニオンに入ったらしい……みたいな情報を最後に足跡が途絶えててさ、あたしはそいつを探してるんだ」

「剣の凄い人って、随分と大雑把な聞き方するんだね。この学園には両手の指の数じゃ足りないくらい居るけど、どれの事───」

 

と、ここで余計な事を言ってしまったと気付くミキ。目の前の不審女子が目を輝かせ、10人以上も……!と鼻息荒く自分を見詰めていたのだから。つい数秒前まで不審者として通報しようとしていた相手に何をペラペラ喋っているんだ、と自戒しつつ、これ以上関わるとロクな事にならない判断したミキは丸投げを選んだ。

 

「剣道部にでも行ったら……?」

「剣道部!そういうのもあるんだね!」

「そのスマホは飾り?」

 

スマホが入っているらしい鞄にヘッドスライディングの勢いで突っ込み、取り出しながら最近は便利な物が増えたなーと年齢を問いたくなる発言が飛び出す不審女子。本当に現代のデバイスに慣れていないのか、四苦八苦しながら学園のホームページを探すこと数分。ようやく目当ての「ドミニオン学園 剣道部」のページを発見したらしい。

 

「おぉ……!対人剣術部門……!ここなら情報が無いにしても楽しめそう!」

「それは何より。じゃあね」

 

両手でスマホを持って頭上に掲げる不審女子を尻目に教室から出ていくミキ。制服に取り付けられている、というよりかろうじてぶら下がっているリボンタイの色からして一年生。それに、校舎や生徒手帳兼用スマートフォンに不馴れな所を見るに高等部からの編入組。所属生徒会は分からないが、そうそう会う事は無いだろうと考えながら退室していくミキだったが、後にこの考えは甘かったと知る事となる。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「うーん……大きいのは良い事らしいけど、大きすぎるのも考え物じゃない……?」

 

ミキに続いて教室から出た不審女子。ものの数分で道に迷っていた。日本国内でも有数、どころか最大級のマンモス校である私立 聖ドミニオン学園。昨日今日でその全容を把握できる程度の規模はしていないのだ。それに加え、この不審女子が直感任せに道を決める性格なのも手伝って、迷子になるのは火を見るより明らかだったりする。

 

「おかしいなぁ……こっちからそれっぽい匂いがしたんだけどなぁ」

 

この不審者、ミキから言われた事をもう忘れている。そのスマホは飾りなのかと。

 

「誰かに聞く……?」

 

それが良いんじゃないかな。

 

「いや、自分の足で知ってこそだよね」

 

お馬鹿。

 

「───ん」

 

腕を組みながら、こっちでもないあっちは違うと唸りながら歩いていた不審女子。突如として何かを捉え、その方向に向けて走り出した。危ないじゃないのと文句を付ける生徒達を風のようにすり抜け、制服の端を掠めさせる事もなく目的に定めた「何か」に向かい足を動かす。そして「それ」を視界に収め、ミキに詰め寄った時と同じく即座に距離を詰めてみせた。

 

「見つけた」

 

「あばっあばばばば……」

 

俗に言うガチ恋距離にまで顔を近付けたのは、緑色のリボンがウサギの耳のようになっているポニーテールの少女。不審者が急にガチ恋距離に飛び込んできた恐怖からか、言葉になっていない悲鳴のような物を発しながら形状崩壊を起こしていた。

 

「うん、間違いない。匂いはあんたからだ」

「すっ、すみませんわざわざ遠くから駆け付ける程の異臭を発してすいません……落としてきますので東京湾だけは勘弁してください……」

「何で東京湾?」

 

「ちょっと、何なのあなた!?」

 

超至近距離のまま微妙に噛み合わない会話を続ける不審女子と形状崩壊女子。そこに割って入ったのは金髪をサイドテールにした女子生徒だった。

 

「いきなり匂いがどうとか!失礼じゃない?」

「あんたからはしないね」

「人の話聞かないタイプだねぇ!?」

「……?あー、もしかして臭い的な話?それなら違うから、うん。あたしがしてるのは───」

 

「血の匂い」

 

スッと周囲の温度が下がったような錯覚。不審女子を即座に危ないやつ判定し、距離を取る通行生徒たち。それを言われた当の本人もまた不審女子から離れようと───

 

「えっ!?ヨツバちゃん怪我してたの!?ごめん全然気が付かなかった!」

「あっあっ、その、どちらかというと胸の奥が痛いです……」

 

していなかった。

ヨツバと呼ばれた形状崩壊女子の手首や頬などに手を当て、匂うほど血が流れているのかと心配している金髪サイドテールの女子はスズシロ・ノアと言う。ちなみにヨツバの方は他の生徒の前で「匂いがどうのこうの」言われた事で精神的な部分を痛めたらしい。

 

「怪我はしてないから大丈夫でしょ。あたしが言いたいのは……なーんかこう、修羅場?潜った?的な話だよ。どれだけ隠してても分かる人には分かるんだよね、そういう強い人特有の匂いみたいなの」

「っ……!」

 

ビクッとヨツバの肩が跳ねる。今度は明確に何らかの恐れを抱いたようだ。

 

「でも……何か違うんだよね。血だけじゃなくて、別の匂いが混じってるというか……うーん、何だろこれ。どっかで感じた事あると思うんだけど……ちょっと失礼」

 

確証が持てないらしい不審女子。おもむろにヨツバの腕を取り、手の甲に舌を這わせたのだ。それはもうペロッと、何の躊躇も遠慮も無しに。

 

「キョエェァァァァァァァァッ!!!?」

「ちょっ!?」

 

不審者の凶行に再び形状崩壊するヨツバ。通報どころか一発現行犯確定の行動に驚愕しつつ、ヨツバを不審者から遠ざけるノア。それを見た不審女子はポカンとしながら疑問符を乱舞させている。

 

「失礼って言ったよ?」

「言えば良いってものじゃないでしょ!?いきなり何してんの!?」

「野菜は叩けば新鮮さが分かるし、魚は口に指突っ込めば新鮮さが分かるし、人間は舐めれば強さが分かるじゃん?」

「じゃん?じゃないよ!分からないからね!?」

「あばばばばばばば…………」

 

不審女子の目に曇りは無い。どうやら本当に舐めれば分かるらしい。行動そのものは褒められたものではないのだが、決して。

 

「やっぱり血の味、強い味だ。ね、やろ?」

「あっ、ひょあっ」

 

疼きが抑えきれなくなったのか、ヨツバの手を取って駆け出す不審女子。その瞳には、よろしくない光が宿っていた。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

「狭くない?」

「何が?」

 

何故か、ミキと遭遇したバトルシミュレータが備え付けられた教室に戻ってきた不審女子。ヨツバを拉致している途中でノアに腕を掴まれ、この教室に押し込まれていたのだ。そしてここでも話が噛み合っていない。

 

「いや、剣振るのに邪魔な物が多いなって。障害物ありの方が良いっていうなら別に良いけどさ」

「……もしかして剣道とか、そういうのを言ってる?」

「うん」

「あー……あたしも勘違いしてたけど、ドミニオンでやり合うってなると大体ガンプラバトルだよ?」

 

きょとん、を通り越して宇宙猫になっている不審女子。むしろ文字通りの真剣勝負ができると本気で思っていたのだろうか。

 

「まーじかー……じゃあ何でこんな所に……?」

「勘違いだったならあたし達は帰るけど」

「申し込んだ勝負を、勘違いでしたーはい止めまーす、で捨てるのはあたしのポリシーに反する。ヨツバとやれるなら、がんぷらでも良い」

「はぁ……だって、ヨツバちゃん」

「あっ、はい……」

 

結局ガンプラバトルとなる両者。不審女子が生徒手帳の操作に疎く、ノアが代わりに申請を通すなど小さなトラブルはあったが、バトル自体は進みそうだ。

 

「せっとがんぷら……?このロボットの事だよね」

 

(モビルスーツをロボット呼び……端末操作も全然だし校舎にも詳しくない……この子、本当に生徒なの?)

 

ドミニオンの生徒としては余りに不自然な点が多い不審女子への警戒度を引き上げるノア。言動も不審者そのものだが、対戦者情報に「シザケガワ・エズ」と明確に表示された辺り生徒ではあるようだ。

 

「じゃあ、行くよ」

 

ガンダムともモビルスーツとも呼ばれなかったエズの機体がカタパルトから打ち出され、夜の草原が選ばれたバトルフィールドに降り立った。

 

『アレはミラージュフレーム……!』

 

「みらぁじゅ、って言うんだねキミは」

 

雲の隙間から僅かに差す月光に照らされたエズの機体。ノアが言ったように「アストレイ ミラージュフレーム」なのだが、やはりと言うべきかエズは初めて自身の機体名を知ったらしい。

 

「勘違いだったけど、あたしの感覚は間違ってなかったね。ちゃんとヨツバも剣士だ……!」

 

一気に狂暴な笑顔となったエズの目には、二振りの刀を携えて戦場に降り立つヨツバの機体───フィアンマフリーダムガンダムが映っていた。今回のバトル形式は互いが対面状態になってからのスタート。エズのミラージュフレームも天羽々斬を抜き放ち構える。バトルフィールドを電子虚構の風が吹き抜けた瞬間、戦の幕が切って落とされた。

 

【Gunpla Battle Started!】

 

「ふっ!」

『っ!』

 

開始の合図とほぼ同時に飛び込む両機、次いで激しく火花を散らす互いの刀。フィアンマフリーダムが左手で握り振るってきた無銘雪走に対して、天羽々斬を食い込ませるように打ち付け止める。ヨツバが一刀しか持たせていないなら拮抗したのだが、フィアンマフリーダムはもう一振の刀を持っている。右手に握らせているフツノミタマだ。

 

『終わりに───』

「なんてさせないよ」

 

半身を引いて袈裟斬りを狙うフィアンマフリーダム。その動きに合わせてミラージュフレームを踏み込ませ、攻撃力を持たない手首に左腕を裏拳の如く叩き付けて無力化。そのままの勢いで左手を押し込み、やや不恰好ながらも左ストレートを見舞ってみせた。

 

『っ……』

「あたしがヨツバを読んでるように、ヨツバもあたしを読んでるんだね。通じあってるこの感覚……嫌いじゃない、よッ!」

 

並みの相手なら顔面に一撃貰って体勢を崩し、立て直しの暇など与えず切り刻んでいたのだが、ヨツバは冷静にエズの受けと返しとその先を読んでいた。頭部を狙った拳撃は首を傾げるように躱し、斬り結んでいた無銘雪走を文字通り斬り上げてミラージュフレームとの距離を開けてみせた。その流れるような一連の行動を見たエズは、奇襲が通用しなかった事の悔しさではなく、むしろよく見切ってくれたという歓喜を露にしていた。

 

『……水天』

「良いねぇそれ!」

『……!』

 

更にミラージュフレームを踏み込ませたエズに対してヨツバが取った行動は飛び道具。ゲームシステムによるエフェクト等ではなく、本人の技量によって成された「飛ぶ斬撃」が放たれたのだ。フェイズシフト程度なら容易く両断し、ビームではないが故にABCマント等でも止められない「技」。エズの水天への返答は、順手のまま柄が上に来るよう構えて突っ切るというものだった。一見してただの自殺行為だが、天羽々斬の切れ味とエズの技量によって「飛ぶ斬撃を真ん中から両断して駆け抜ける」という光景が出来上がっていたのだ。

 

「たしか花天月地って名前だよこれ!」

 

敵の飛び道具に敢えて飛び込み、それを中心から斬り裂いて突破する様が「月光の降り注ぐ大地に花が開く」ように見えた事からそのまま名付けられた花天月地。エズにとって由来はさほど重要ではないらしく、水天を破った勢いでフィアンマフリーダムへと突撃する。

 

『金鐘……!』

「読んで読まれて海月ッ!」

 

突撃姿勢は簡単に解けない。そう読んだヨツバの次の一手は超高速の刺突。対するエズは、花天月地の突進に次の技の予備動作を仕込んでいた。スライディングのように体勢を低くして薙ぎ払い、そこから飛び上がりつつ肩関節を狙った湾曲軌道のアッパースラッシュ。水平線とその上に輝く月を太刀筋で再現した海月だ。

 

『……火車』

「カウンターにカウンター!良い……!良いよ最高だよヨツバァ!あっははははは!!!」

 

どこまで読み合っているのか、まるで動きを予め決めていた舞踏のように互いの攻撃を回避しては返しの一太刀を繰り出し続けるエズとヨツバ。海月の横薙ぎを身を引く事で躱し、立て続けに繰り出された上昇斬りの瞬間にサイドステップ。機体を回転させながら天羽々斬の刃を躱した所で、回避から切り返す技である火車を用いたヨツバ。エズもまた別の剣技を繰り出しそれに応える。

 

「落葉衣だっけ!」

 

火車による返しの斬撃を受け止めたのは天羽々斬の鞘だった。空中でボディを捻り、横から迫る無銘雪走に合わせてみせたのだ。それに平行して突き出された天羽々斬による刺突は、葉の隙間から漏れる月の光が影を落とすように乱雑に敵を貫く落葉衣という技。無理な姿勢も祟って二回しか繰り出せなかった鋭い突きは、フィアンマフリーダムに回避を選択させる事に成功した。

 

(やっぱり……なら次で)

 

形状崩壊していた陰キャちゃんと同一人物とは思えない戦闘中のヨツバ。開始直後からエズの動きを見ていた彼女は、エズとミラージュフレームの動きに違和感を感じていたようだ。それがほぼ正解の答えに変わり、勝負を決める一手に出た。

 

『木戒……!』

 

「空明ッ!」

 

ヨツバは大上段から振り下ろす袈裟斬りの木戒、エズは清らかな水面から月の影が襲い掛かるように斬り上げる空明を選択。右手だけで握っていたフツノミタマは、両手で保持している天羽々斬にカチ上げられフィアンマフリーダムの手から離れてしまう。すかさず連続攻撃を仕掛けようとするエズだが、ここまでヨツバの思惑通りだという事に気付けなかった。

 

そしてそれが勝敗を分けた。

 

『金鐘……!』

 

「それは見───」

 

距離を取ろうとするフィアンマフリーダム、追い詰めようと更に踏み込むミラージュフレーム。優位に見えたのはエズだったが、退くように見せたフィアンマフリーダムが突如として急加速。残していた無銘雪走による刺突を放ったのだ。それにすら反応し、既に見た技だとカウンターを目論むエズ。だが結果は、ミラージュフレームの胸部を無銘雪走が貫くというものだった。

 

「かっ……はっ……!」

 

『月虹』

 

無銘雪走を引き抜くと同時に繰り出される必殺の一撃。胸部を貫かれ、機体コンディションが一気にレッドゾーンへ突入したミラージュフレームにこれを防ぐ手段は残されていなかった。

 

【Battle Ended!】

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「ヨツバちゃん早い、早いよ土下座が」

「とっ、とととと東京湾だけは勘弁していただきたいので……!」

 

バトル終了、自身の勝利が確定した瞬間に元の形状崩壊陰キャに逆戻りしたヨツバ。無駄に整った歪み一つ無い綺麗なJapanese DO☆GE☆ZAを披露していた。これが日本のわびさび。

 

「ヨツバ……」

「いい、いっイキッてすいませんでした……!」

 

「凄く良かった」

 

「ふぇ?」

 

ヨツバの反対側からゆらりと出てきたエズ。地面に頭を擦り付けているヨツバを半ば強引に立たせ、その手を自分の両手で包み込み恍惚とした表情を向けている。よろしくないスイッチが入ったのは明白だ。

 

「ヨツバの剣がみらぁじゅの胸を貫いた時、あたしの心臓も貫かれたみたいな感じがしたの!久しぶりに戦って死ねた!最高だったよヨツバぁ!」

 

「えっ、あっ、あっはい……?」

 

「今まではこんな玩具で戦って何が楽しいのって思ってた!けど、身体が死なないだけでぶつけ合った魂はしっかり殺せるんだね!」

 

バトル開始直前、そして戦闘中に宿った危険な光は敗北してなおエズの瞳で輝いていた。ヒートアップするままにヨツバの手を自分の左胸に添えさせるエズ。端から見た絵面が危うい為、ノアが慌てて止めに入った。

 

「いろいろ!色々と危ないから!」

 

「今度はあたしが殺してあげるね。ヨツバ」

 

妙に艶かしい雰囲気を纏ったまま、上機嫌でバトルシミュレータ室を出ていくエズ。室内には、その背が見えなくなっても警戒は解かないノアと、キャパオーバーで固まり口から魂魄的なサムシングの何かが天へと昇りかけているヨツバだけが残された。

 

「何だったのあの子……でも、強かったな……あたし一人じゃ勝てないかも……ヨツバちゃんも凄かったね!」

「……へぇあっ!?あっはい。あの、人……本当に、ガンプラバトルに慣れてない、リアルな試合とかしか、しない人なんじゃないかな……って」

「どういう事?」

 

ヨツバが突いたエズの弱点。ノアの疑問に応え、戦いの中で自身が感じた事をぽつぽつと語り始めた。

 

「剣士として、本当に凄い人なのはすぐに……でも、機体の特殊機能どころか、スラスター制御もほぼしていませんでした。せいぜいデフォルトのオートアシストくらいしか……」

「えーと、つまりモビルスーツ的な動き、というかゲームが苦手?」

「は、はい多分……あの剣技も本人ができるから、あのアストレイにもやらせていた、って感じだと……人と人の戦いしかしてない……」

「だからフリーダムがスラスターで加速しただけで簡単に引っ掛かった……」

 

シザケガワ・エズという人間は、剣道などの「生身で行う人対人しか経験していない」。それ故に「生身の人間が持たない機関を用いた動きは、自前の感覚で初見即応するしかない」。そう見切ったヨツバがガンプラバトルというゲームならではの動きを繰り出し、更にガンプラバトルの為に磨いた技量が高い事も相まっての勝利だという。

 

「本気でガンプラの剣も極めようとしたら……次は簡単に勝たせてくれない、かも……です」

「末恐ろしい実力者なんだね……」

 

さすがにああいう手合いはスカウトするべきじゃないなと身を震わせるノア。そんな先輩をよそに、ヨツバはこう考えていた。

 

(意外に柔らかかったな……)

 

と。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

数日後の放課後。

ドミニオン学園から少し離れた区画に構えられた純喫茶BLACK VANGUARDにて。ドミニオンの生徒にしてこの純喫茶の住み込み従業員でもあるシバウラ・ミキは頬を引き攣らせ、目の前に座っているドミニオン学園高等部所属の女生徒に信じられないという視線を向けていた。

 

「何て言った……?」

「だからぁ、あたしもアリウス所属になったって」

「本気……?」

「アリウスが一番あたしに合ってそうなんだもん。というワケで、ごしどーごべんたつ宜しくお願いします。せぇんぱい?」

 

ミキは天を仰ぎながら盛大に溜め息を吐いた。




不審者、日陰の生徒会へ

【シザケガワ・エズ(紫酒河 得無)】
私立 聖ドミニオン学園高等部一年生。
高等部からの編入組。
黒と紫が混じった髪を一部赤く染め、纏める事なく腰辺りまで流している。ヨツバ曰くその胸部装甲は軟質素材だったとの事。
「剣の凄い奴」を探してドミニオンに入学したらしく、それ以外の事象には欠片も興味を持っていない。例外としてはヨツバのような「血の匂い」がする強者の存在を感じ取った時で、その場で即座に戦いを始めたがる。
野菜をポンポンと叩くと美味しいかどうか分かる、魚の口に指を入れると新鮮さが分かる、人の素肌を舐めると実力が分かる、という変わった特技を持つ。

モビルスーツをロボットと呼び、ガンプラバトルも玩具遊びと考えている、スマホ等の電子機器に疎いなど何故ドミニオンに入れたのか素性や経歴に謎が多い。

所属生徒会は無所属→補生徒会アリウス

愛機……と呼べるのか怪しいが、ホルダーに入れて持ち歩いているガンプラはアストレイ ミラージュフレーム。ミラージュコロイドによるステルスや外見の偽装はおろか、Aソード Bソードすら使わず天羽々斬だけで戦うセルフ縛りのようなバトルスタイルが特徴。
かなり高いクオリティで仕上げられており、フィアンマフリーダムとの打ち合いや、その技を真っ向から迎え撃っても僅かに欠ける事すら無い天羽々斬と防御にも流用できる鞘。エズの剣技を再現可能な人体に近い内部機構など匠の業が見て取れる。当然ながらエズが製作した訳ではないようだが……?


【カミナギ・ヨツバ】(原作:守次 奏 様)
ドミニオン学園高等部一年生。
後に正式な旗揚げが成されるガンプラバトル部のエースファイター。
何か後ろ暗い物を抱えているらしく、普段の情緒不安定な形状崩壊陰キャと冷徹さすら感じさせるバトル中のギャップが激しい。
乗機はライジングフリーダムをベースに近接戦闘特化の改造を施したフィアンマフリーダム。

【スズシロ・ノア】(原作:守次 奏 様)
ドミニオン学園高等部二年生。
ガンプラバトル部の部長。
ヨツバがガンプラバトル部に所属する事になったのもノアとの出会いが切っ掛け。
インパルスとTV版ウイングゼロをミキシングしたエンツィアンGⅡを操るファイターでもある。
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