えむの姉「ただいま〜」
司「あ、えむのお姉さん。おじゃましてます」
えむのお姉さんが帰ってきた。なんでも今日はある大手企業の御曹司とのお見合いがあったようだ。そしてその付き添いに麗華さんが行っていたようだが…。
司「なんだが嬉しそうですね。きっと向こうの男性と…」
えむの姉「いやそれがね、破談になったの」
は・だ・ん!?つまり婚約破棄ということか、悲しいけど!
司「何があったんですか!?原因はだいたい想像つくけど…」
えむの姉「それがね…」
さてさっきまでの出来事。いまどき珍しい政略結婚というやつなのだろうな。まず会場でお互いにあいさつした。
えむの姉「本日はよろしくお願いします」
御曹司「こちらこそ」
どうも性格は良く、さわやかな好青年といった印象だった。さてなにから話そうとそのとき、相手の男性が麗華さんの存在に気づいた。
御曹司「あのそちらのメイドの方、巡音ルカさんですか?」
麗華「よく似ているって言われるんです。本名は"緋桜 麗華"といいます」
えむの姉「妹が好きなアニメのキャラクターにそっくりだからみんなそう呼んでいるんです」
御曹司「へぇ、僕も学生時代によく聴いてましたよ。gumiちゃんとのデュエット曲や失恋ソングなど」
その後もおふたりの会話は続いた。お互いの家族のことや普段の生活のこと。そしてえむのお姉さんがこんな話題を出した。
えむの姉「あの、趣味をお聞きしてもよろしいでしょうか?私にはこれといった趣味が無くて…」
御曹司「体を動かすことですね、休日はジョギングをしてます」
と、ここまでならうまくいったと言える。だが、この後相手の男性は聞いてはならない相手に趣味のことを聞いてしまった…。
御曹司「麗華さん、それともルカさまと呼んだほうがいいのかな?あなたの趣味は?」
麗華「ゲームです!私は元プロゲーマーだったんですよ!」
麗華さんはハキハキと答えた。そしてこの後熱く語りだすのが想像できる。
麗華「格闘ゲームの大会では優勝したんですよ!最近はアプリゲームにもハマっていまして、"アイドルマスター"というゲームをご存知ですか?」
そしてなんだかんだで盛り上がったという。向こうの男性も学生時代にルカさまの曲を聴いたと言っていたから、おふたりの仲はいい方向に向かっていくだろう。
司「………となればよかったのに、どうして破談になったんですか!?」
えむの姉「ルカちゃんが「一生懸命働きます」と言ったらそうなったの」
だいぶ脚色されてるな、実際はこうだったらしい。
御曹司「おふたりとも明るくてステキな女性ですね。婚約を考えてもいいと思います」
えむの姉「ありがとうございます」
麗華「はい!1日の大半をゲームの特訓、家事は他のメイドに任せきり、鳳家が運営するテーマパークのことなんて知ったこっちゃない。こんな私を養ってくれるというなら…」
御曹司「じゃあ結構です。ずっとお友達でいましょう」
まあそうなるよな。いくら家柄も性格も良いお嬢様だろうと、こんな厄介な使用人を連れてくるなら、そりゃ断る。ただ、「お友達でいましょう」という言葉から嫌われてるというわけではないようだ。………多分。
えむの姉「前、お見合いしてきた男性とゲーム仲間になったの!」
えむの兄(お前、将来的に考えてそれでいいのか……)