固有スキル『ヘッドスライディング』   作:流石兄者

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ネタ帳に残していた小ネタ集です。

ネタによっては本編から時間が経ってたり経ってなかったりします。

良かったら見ていってください。


時には日常の話を①

 

【ソードマスターマネちゃん】

 

 学校。

 それは元社会人の男だったマネちゃんを時々ノスタルジックな気分にさせる。

 

 トレセン学園は女子高であり、なおかつアスリート養成学校という特殊なものであるから懐かしさなんて感じないんじゃ?なんて思うかもしれないが。

 

 それでも『学校』に『学生』がいる限り、懐かしい光景を見ることができるのだ。

 

 

「受けてみろ!光速直線突き!」

「甘い、見切ったぞ!」

「クッ、やるな……!」

「お前たちまたやってるのか!危ないからやめろ!」

 

(懐かしい、子供の時よくやったなー。そんでよく怒られてたっけ……)

 

 掃除の時間によく見ることができるカルストンライトオとデュランダルの箒チャンバラや、

 それを叱りに来るエアグルーヴ。彼女らが織りなす光景は。

 

「マネーガール!お前ものんびり見てないで注意しろ!」

「えっあっすいません……」

「……お前、泣いてるのか?す、すまん。私そんなに怖かったか?」

 

 思わず涙が一筋流れてしまうほどの、郷愁にかられるものだった。

 

 

 

 

 

 戦わずしてエアグルーヴ(の心)に傷をつけた達人の名はマネーガール。

 ホームシック発症中のTS転生ウマ娘である。ホームないから早く作らないとね。

 

 彼女の前世には微塵も興味が無いので調べてなかったが、どうやら箒や傘、いい感じの木の棒までありとあらゆる棒状のものを振り回す子供時代を送ったらしい。

 

 そんな彼女には、エアグルーヴに怒られしょんぼりしている2人の気持ちが痛いほどわかったようで。

 だからこそ、うっかりこんなこと言ってしまった。

 

「やあ、楽しそうでしたね。私も昔、よくやったものです」

「貴方は……」

 

 その言葉に顔をあげる悪ガキ2名。

 その目に映ったのは、白い髪に白い肌。高等部一年にして未亡人 大人の雰囲気を醸し出しながら、やわらかな笑みを浮かべているマネーガールだった。

 その佇まいと先ほどの言葉から、2人の脳に出力されたもの。それは……。

 

「歴戦の古強者とお見受けしました」

「え?」

「手合わせお願いします!」

「えぇ!?」

「あ、次私とも手合わせを!」

「えええ!?」

 

 精神男子小学生に強そうなことを言いながら近づくと勝負を挑まれるよ。

 皆も気をつけようね。

 

 

「いざ、尋常に!」

 

 そう言いながら突っ込んでくるのはカルストンライトオ。

 せっかちという言葉が服を着て走っているような彼女は、マネちゃんが『いいよ』という前に攻撃を開始した。

 

「え、ちょ、まっ」

「光速直線突き!」

 

「話せばわかる」という言葉を言う暇すら与えずにくり出されるは、カルストンライトオの得意技。

 だが幸いにも相手が「私は今から素早く真っ直ぐな突きをしますよ」と盛大にバラしながら突っ込んできたため、マネちゃんは何とか迎撃の構えをとることができた。

 マネちゃんは襲い掛かる突きの軌道をずらすように、自身の箒をぶつけ──

 

 

 キュピーン

 

『アベレージヒッター』

 

 

箒同士がかち合ったその瞬間。

 

カルストンライトオの箒だけが不自然に吹き飛んだ。

 

「アッ」

「なっ!?」

「あれは……パリィ!?か、かっこいい!」

 

 このスキルは、桐生院と行われた『戦術』の研究、

 そこで使われた『ラッキーガール』の効果により一時的に解禁されていたスキルだった。

 

棒状のもので勢いよく叩いた物体を問答無用でヒットにするそのスキルは、カルストンライトオの箒をはるか遠くまで吹き飛ばし、デュランダルの目を輝かせた。

 

「あー。えーと……私の、勝ち?」

 

 無手となり茫然としているカルストンライトオに箒が突き付けられ、この試合、マネーガールの勝利となっ──

 

 

 

「誰だ箒を投げ飛ばした奴は!?危ないだろうが!」

「ピィ!」

「ん?おいマネーガール、なぜ逃げる?……ま、まさかお前か!?待て!」

「あの妙技を習得できれば、よりかっこいい騎士に……

 ソードマスター殿!ぜひ私に今の技を伝授してください!」

「お前抜け駆けか!?ずるいぞ!」

 

 その後マネーガールは、ソードマスターと呼んでくる2名とたわけと呼んでくる1名に追い掛け回されることになった。

 

 

 

 

【TS転生ウマ娘にウマッターは難しい】

 

 

「そんなに難しく考えなくていいんですよ。気楽にやっていきましょう!」

「うーん、そうは言われても……」

 

 桐生院と共に自身のスマホを見つめながら、うんうん唸る彼女はマネーガール。

 ウマ娘の中で初めて、レース中にヘッドスライディングをしたウマ娘である。

 

『なぜ今まで誰もしなかったのか』を冷静に考えてみたら別に偉大でも何でもないのだが、何事も「誰よりも先に実行した」ことは記念すべきだろう。

 

 

 そんな彼女は今、ファンの為にウマッターを始めなくてはならないようだ。

 

 彼女の脳内で『別に世界に発信したい情報なんてないし……』という愚痴が生まれたが、

 真剣にウマッターのことを教えてくれる桐生院さんの横顔を見て、頬を赤らめながらもそっと愚痴を心の中にしまった。

 

 

「なんて呟けばいいのでしょうか?」

「そうですね、一般的には美味しかったランチの写真だとか、今日あった嬉しかった出来事。

 あとはファンに伝えたい情報とかですかね。『〇〇のレースに出ます!』みたいに!」

「なるほど~。ファンに伝えたいこと……」

 

 そういうと、マネちゃんは何かを閃いたようで素早くスマホに文章を打ち込んでいく。

 そんなマネちゃんをニコニコと見守る桐生院さん。

 

 しばし流れる穏やかな時間。

 そして打ち込み終わったらしいマネちゃんが顔を上げると、笑顔で桐生院さんに話しかけた。

 

「よしっ、投稿できましたよ!」

「いいですね、見せて頂いても?」

「もちろんです!どうぞ」

 

 そう言いながら差し出されたスマホを桐生院さんが覗き込むと、そこにはマネちゃんのウマートとそれに対する返信があった。速いね。

 

 

 マネーガール@Money Girl

 

【ファンの皆様へ】

 

 レース中に打ち上がったり回転したり芝食べたりヘッドスライディングする行為は大変危険です。

 良い子も悪い子も真似しないようにしてください。

 

 

 シンボリルドルフ@Symboli Rudolf

 

 皆、マネーガール君がこういっているのだ。

 マネーしてはいけないぞ。

 

 

 マネーガール@Money Girl

 

 巻き込み事故にも気をつけましょう。

 

 

 エアシャカール@Air Shakur

 

 一番最初のウマートが注意喚起とはな。

 てか危ねェならやるなよ。

 

 

 アグネスデジタル@Agnes Digital

 

 ひょわあああああああ!マネーガールさんもウマッターを!?

 これは追わなければ!

 

 

 

「うーん、これは……」

「……私、何かやっちゃいました?」

「いや、大丈……夫?」

 

 

 

 

【沖野トレーナーがマネーガールの足を触った時に下す評価】

 

 

「うーん、これはまたとんでもない脚だな。やろうと思えば芝もダートもいけるぞ。

 だが、なんだろうな……?筋肉のつき方がほかのウマ娘と違う。

 レースではない、別のスポーツをやるための筋肉、そんな感じがする。

 

 長距離と中距離は難しいだろうな。そもそも一度に長い距離走ることを想定していない足だ。

 走るなら短距離かマイルがいいと思うぞ」

 

 

「あの」

「ん?どうした?」

「初対面の人の足触るのはやめた方が良いかと……。いつかウマ娘に蹴られて死んじゃいますよ?」

「……ああ、悪い。気を付けるよ」

 

 

 

【サポカマネちゃん】

 

 

「あの、マネーガールさん!私と併走して貰えませんか!」

 

「君がマネーガールかい?頼みがあるんだが、うちの担当ウマ娘と併走トレーニングしてくれないか?」

 

「マネーガールさん。他のトレーナーから併走トレーニングのお願いが来てますけどどうしましょうか?予定通りスタミナトレーニングをしたいのでしたら、こちらでお断りしておきますが……」

 

 

「一体何なんですこの併走ラッシュは……?」

 

 美白を通り越して蒼白となった顔をしながらそう呟く彼女はマネーガール。

 

 この前興味本位でロイヤルビタージュースに手を出した所、あまりの苦さに蹲りながら咳き込んでしまい。

 その様子を見たハルウララに死にかけてると思われ保健室送りにされたウマ娘である。

 

 ちなみにその後、事情を聞いた保健医は静かにウクレレを取り出しダニエル・パ○ターの『Bad Day』を処方してくれた。マネちゃんは泣いた。

 

 

 そんなマネちゃんが併走に次ぐ併走に思わずといった感じで愚痴をこぼすのを見て、上品にクスクスと笑うのはサイレンススズカ。

 今日の併走トレーニング相手である彼女は、この謎の現象についてマネちゃんに説明してくれた。

 

 

「あなたとの併走トレーニング、結構人気なのよ。

 なんでも、一度も動揺せずに走り切れば何事にも動じない『強い心(強心臓)』が手に入るとか」

「私との併走は試練なんですか……?」

「まあ、試練とまでは言わないけれど、アトラクションというか……そうね。

 テーマパークみたいではあるわ。一緒に走ってるとテンション上がるの」

「私の事テーマパークって言いました今?」

 

 衝撃の事実を聞いたスプラッシュマネチャンは、悲しみのあまりゲートに頭を乗せ「ひぃん」と嘶き。

 それを見たサイレンススズカはまたクスクスと笑った。選抜レースで戦ってからなんだかんだ仲のいい2人である。

 

 これはマネちゃんの意識が、個人との勝ち負けではなくレースの賞金にしか向いておらず、特定の人物に対する対抗意識が皆無なのが上手い具合に働いているのかもしれない。

 

 

「ふふ、こうしてここでお喋りするのもいいけれど、そろそろ始めてもいいかしら?」

「はーい……。じゃあマネーランド、開園しまーす」

 

 拗ねに拗ねながらとがらせていた口元を戻し、クソみたいな棒読みで放たれた開園宣言。

 だがそれにも律儀に反応した体が『一掃』と『威圧感』を起動させる。

 その瞬間、マジモードのシンボリルドルフに勝るとも劣らない威圧感が放たれた。

 

 

「……オンオフすごいわね」

 

 

 思わずこぼれたその感想と同時に、ゲートは開かれた。

 

 

 

 

 

 

(彼女の走りはハチャメチャのようだけれども、よく観察すれば一定のパターンがある)

 

 

 先頭を譲らずに並び立つマネーガールを見ながらも、サイレンススズカの脳裏には何度も見返したレースの記録映像が蘇っていた。

 同じ逃げウマ娘であり、マイルで戦うかもしれない相手でもある。

 

 さらに言えば、いきなり対戦相手がコイツにすげ代わる可能性があるのだ。研究して損はない。

 

 

(そのうち急加速を始めるはず。よく見極めなきゃ。ホントかウソか)

 

 

 研究に研究を重ね、たたき出した予測。それは無事に実を結んだようで。

 スズカの予想通りにマネーガールは加速を開始。

 

 それを確認したサイレンススズカは、すぐさま五感を研ぎ澄ませた。

 

 

(気配を感じる……。大丈夫、まだ隣にいる!)

 

 

 スキル『ノビ〇』による効果、『実際の速度よりもかなり速く走っているように見える(・・・)

 その性質に誰よりも早く気が付けたのは、やはりスズカがマネちゃんのことを好敵手と認識してるからだろうか。

 

(レースをひっかきまわし、隙をつく。厄介な相手ね。でも、動揺さえしなければ……)

 

(一番速い私が──勝つ!)

 

 幻覚に惑わされず、自身のペースを保つことに成功したサイレンススズカ。

 これは『デバフをばら撒きめちゃくちゃになったところをぶち抜く』という、いやらしいにもほどがあるスキル構成のマネちゃんにとって非常につらい展開だ。

 

(よし、ここで仕掛けてマネーガールさんを突き放せば……)

 

 純粋なステータスバトルではマネーガールに勝ち目はない。

 これは、勝負あったか──

 

 

 

 

 キュピーン

 

 

 

『牽制〇』

 

 

 

マネーガールを突き放そうと加速を始めたその瞬間。

 

 

どこからともなく飛んできた野球ボールが自身の進行方向にある地面に突き刺さり、芝が爆ぜた。

 

 

 

ズドン!!

 

 

「きゃあ!?」

「何事!!!???」

 

 

 突如飛んできた牽制球。いや、やっぱり砲弾かな?ちょっと自信ない。

 その衝撃は、サイレンススズカはもちろん発射させたはずのマネーガールまで驚かせた。

 まあ、正確にはマネちゃんが発射許可だしてるわけじゃないしね。自動発動型スキルの弊害である。

 

 

 驚きのあまり足を止めた2人。

 その視線の先にはいまだに土埃と芝が舞っており、着弾地点がよく見えない。

 

 それを見て、なにが飛んできたかすらわかってないマネちゃんは、恐怖のあまりサイレンススズカの背後に隠れた。

 その尻尾を驚いた猫のようにぶわっと膨らませながら。

 

 

「い、今のは一体……?」

「ッ!?まさか、今のはあなたではなく他の誰かが!?」

「いえ、たぶん私がやりました」

「嘘でしょ……?何をしたかわかってないの?」

「……残念ながら」

 

 

 そんなコントのようなやり取りをしているうちに、遠くからウマ娘かな?と思うようなスピードで桐生院さんが。

 その後ろからだいぶ遅れてスズカのトレーナーがやってきた。

 

「2人とも大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です」

「ぜぇ……はぁ……だ、大丈夫kゲホッ!!」

「……トレーナーさんの方こそ大丈夫ですか?」

 

 担当ウマ娘の無事を確認したトレーナー達。

 そして全員で着弾地点を見に行くと、そこには。

 

 

まるで何事もなかったかのように、青々とした芝が姿を見せた。

 

 

 理解不能な現象。それを目撃したサイレンススズカは思わず天を仰ぎながらため息を吐く。

 

 

「まだ、試練は越えられそうにないわね……」

「やっぱ試練なんだ……」

 

 

 マネーガールの心をチクチク突き刺した後、その言葉は空に溶けた。

 

 

 

 

 説明

 

 

<マネーガール>

 

 葵ステークス出走RTA世界記録保持者。

 なんとタイムを1年も縮めることに成功した。

 

 

架空サポカ

 

【レーザービームタッチ】マネーガール(スピード)

 

 

固有ボーナス【レーザービームタッチ】

 

 スピードトレーニングLV5のショットガンタッチがレーザービームタッチに変化。

 トレーニング効果が強化される。

 

 

入手可能なスキル

 

・レーザービーム

・走塁

・ホーム突入

 

・牽制○

 

 対戦相手の中で一番ステータスが高い相手一人を対象として発動。

 対象はどこからともなく飛んできた牽制球に驚き、速度が下がる。

 スキル終了時もしくはウマ娘に当たりそうになった時、ボールは消滅する。

 そのため誰も傷つくことはなく、証拠隠滅も完璧である。

 

 威嚇射撃とも言う。

 奴を先に行かせるな。構えて、狙って、放て。

 

・大魔神

 

 シュヴァルグランとシュヴァルパパが練習場に現れるようになる。

 一緒にトレーニングをすると、パワ〇ロステータスが上昇する。

 

 仲良くなればフォークのコツとか教えてくれるかもよ?見てこいマネちゃん。

 

・デイゲーム○

 

 日中に行われるレースに出走した時発動。

 ステータスが上昇する。

 

 太陽が出てる間は強くなる。どっかの騎士みたいだね。

 

・強心臓

 

 デバフをくらった時に発動

 そのデバフを無効化する。この効果はレース中1度しか発動できない。

 

 そんな目で(熱い眼差し)見つめるなよ♠︎興奮しちゃうじゃないか……♥︎

 

 進化前『対ピンチA』

 

 

連続イベント

 

『眠れぬ夜の幻覚』

『ゴルシちゃんなんでも相談センター』

『幻覚の 正体みたり でちゅねママ』

 

通常イベント

 

『タキオンのスキル研究』

『光速対雷速』

『大天使ハルウララ』




ちゃんと形にしたら意外と文字数が多く時間もかかりそうなのでいくつかに分けます。
もしよければ、次回の小ネタ集も気長にお待ちいただけると嬉しいです。
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