新訳 ガンダムSeed Destiny オーブの守護神とザフトの燃える瞳   作:faker00

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プロローグ

C.E(コズミックイラ)70年、血のバレンタインを発端に始まった連合とザフトの闘いは圧倒的な物量を誇る連合の勝利による早期終結が予想されていたが技術で上回るザフトはニュートロンジャマーシステムをはじめとする新技術を大量に投入しその戦力差を覆すことに成功する。

 そして戦況は泥沼化、およそ2年に渡り混沌を深め拡大を広げた戦火は留まることを知らず、両陣営共に疲弊を極め市民達は不安の中に絶望を深めていく生活を余儀なくされる。

 

 

「一体どうしてこんなことになってしまったのだろう?」

 

 その問いに答えられる者など誰も居はしなかった。いや、答えられる者はひたすらにその道を突き進んだ、自らの思惑を果たすために偽りの仮面を被り続けて。

 そうして何も知らずにただ流れるままに踊り続ける多数とそれを操る少数によって世界は壊れていった。戦いの始まりが何だったかなど極一部を除いてもうどうでも良かった。ただ穏やかな日常を。

 

 その願いは突然、丸で流れ星への祈りが叶ったのかのように唐突に叶うことになる。

 

 アークエンジェル、キラ・ヤマト、そしてラクス・クライン

 

 始まりは一つのコロニーでの偶然だった。そこから数奇な運命を辿り巡り会って彼等は様々な出来事を体験し、結果として僅か半年足らずのうちに戦争を終わらせる力となった。

 まるでマンガか何かのような……いや、創作物でもこんな設定はふざけていると弾かれてしまう、そんな奇跡。

 かくして終わった戦争の後に世界は徐々に、ゆっくりとだがその姿を取り戻していった。そうして彼等は伝説となった……

 

 

 

 

 

 

 本来ならばここでハッピーエンドだ。

 だが現実はそう甘くいかない。

 C.E73年、終わりを迎えてから僅か2年、たったそれだけの時間で人の悪意は膨らみ、忘れ、またもや道を外そうとしていた。

 そうしてまた無知な群衆は踊るのだろう、その足にいつの間にか止められない靴をはかされていることも知らずに……

 世界は再び危機を迎えていた。

 

 

 

ーーーーー

 

『プラント代表ギルバート・デュランダル氏は最新鋭戦艦ミネルバの入水式を控えたアーモリー・ワンに入り現地には歓迎ムードが巻き起こっています。デュランダル氏はマスコミに対し「ミネルバの完成によりプラントの自衛機能が向上することを歓迎する」とコメントし、今回私達のような国外のメディアを招き入れたのもあくまで世界の安定のためだということをアピールすることが狙いと考えられています。また後ほど中継を繋ぎます。それではスタジオにお返しします。』

 

 

「……」

 

 

 これで本当に世界が安定するのならそれでいい。

 テレビから流れてくるレポーターの声を聞きながら穏やかな表情を浮かべる青年はソファーから立ち上がりコーヒーを淹れる。これはとある知り合いから進められたらお薦めと言われたから飲んでみることにしたのだが……どうやらまだ早すぎたみたいだ。

 

「にがい…」

 

 口内を覆う苦味に思わず顔をしかめる。

 とは言ってもあのコーヒー好きから大量に送られてきた豆は倉庫を覆うほどに余っている。この家の住人は自分以外コーヒーを飲むことすら出来はしない。彼が訪れたときに機嫌を損ねないよう少しでも消費しておく必要がある。

 

「あらあら…やっぱり不安ですの?」

 

「ラクス…」

 

 いつの間にか部屋に入ってきていたのか、耳障りの良い澄んだ声が聞こえてくる。振り返るとそこにいたのは愛しい人。

 

「カガリさん大丈夫でしょうか……最近少し頑張りすぎだとお伝えしてはいるのですが…」

 

「…カガリは何か感じているんだと思う。今の僕達にはそれを見守ることしか出来ないけど。」

 

「…もうあんな事が起こらなければ良いのですが…それにカガリさん自身も」

 

 ピンクの髪にどこか憂いを帯びた表情、しかしその端正な顔立ちは全く曇ることはない。上品さを感じる立ち振る舞いには一般のそれとはかけ離れたものを感じさせる。

 それもまた当然のことなのだろう。彼女こそ前プラント代表シーゲル・クラインの娘にして「プラントの希望」「戦乱の中に舞い降りた歌姫」と呼ばれ絶大な指示を誇り前大戦の終結を告げたラクス・クラインその人なのだから。

 

「…アスランがついているから大丈夫だとは思うけど。世界の行く末までは僕には…」

 

「ごめんなさい。不安にさせてしまいましたね。また何か不安要素が?」

 

「うん…ちょっとね。連合がまた動き出したみたいなんだ。今はまだ小さなことだけど…そろそろ時間だ。…行ってくるね、ラクス。」

 

「行ってらっしゃい、キラ」

 

 机に無造作に並べられた書類を一瞥した後部屋を後にする。

 靴を履き外に出るといつものように自分には不釣り合いだとしか思えない高級車が自分のことを待ち、止まっていた。

 

「おはようございます。キラ准将。」

 

「あんまり堅苦しい挨拶はいいっていつも言ってるじゃないか。もう半年になるよ。」

 

「恐縮です。」

 

 この繰り返しももう何度目になるか分からない。気付けばルーティーンになっているやり取りの後車に乗り込む。運転手を勤める少尉はかつてレーサーの養成学校に入っていた経験がありメカニックにも精通している。

 そのため話が合う部分も多くあるのだがそこは妹であり姉であるカガリに感謝しなければならないだろう。

 

「准将、制服の襟が。」

 

「え。ああ、ありがとう。」

 

 やっぱり堅苦しいのは苦手だ。心の中でぼそっと呟き制服の折れた襟を直し鏡を見る。

 

「(何度見ても軍人らしくは見えないな…)」

 

 親友であるアスランはこういうのが非常にしっくりくるのに自分との差は一体何なのだろうか?

 憂鬱な気持ちになりかけながら窓から外を窺う。オーブは今日も平和だ。この平和を守る為に戦うと決めたのだから少しくらいの我慢はしなければならない。

 

 何だかんだと理由をつけて隠居する手もあった。カガリはもうお前を無理に戦わせたくはないと言った。アスランはこういう荒事は俺の仕事だから任せておいてくれと言った。そしてラクスは…あなたが行く場所、どこでも私は着いていくと言った。

 そうして選んだのが今の道だ。幸い先の大戦で実績は嫌と言うほど作った。今ではこの名前だけでも抑止力になる、と100人の軍事ジャーナリストに聞けば100人同じ答えが返ってくるくらいだ。

 それだけで、オーブ軍に自分がいるということだけで充分なのだ。そして今日もこんな内心を誰に見せるでもなく今日もオーブの守り神としての責務を全うする。

 

 キラ・ヤマト。

 

 前大戦、MSフリーダムと共に伝説となった彼はオーブ軍准将としてこの2年世界の平穏を祈っていた。




どうもです。

いわゆる種厨と呼ばれる部類の作者ですがデスティニーには不満があります。ならば自分で自己完結してやろうじゃないか!ということで始めました!

感想など反響あるとうれしいです!

それではまた!
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