新訳 ガンダムSeed Destiny オーブの守護神とザフトの燃える瞳   作:faker00

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ユニウスセブン

ユニウスセブン、それは忌まわしきC.E史上最悪の戦い、2年前のヤキン・ドゥーエ戦役の引き金となった「血のバレンタイン」の舞台となった悲劇のコロニー。

かつてそこは一般人もすむ緑豊かな農業コロニーだった。

そのユニウスセブンが何故連合、そして大量の核兵器に狙いをつけられたのかは現在でも定かではない。だが現実としてC.E70年2月14日に核攻撃は実施されユニウスセブンは壊滅。住人データの称号などから公表された犠牲者数は24万3721人、更にその遺体の多くはその後の戦争の悪化による情勢不安等を背景に今でも放置され、人類の悪夢の墓標としその残骸とともにこの2年宇宙を漂っていた。

近づくものはおらず、見捨てられた地。だというのにそれが地球へ向けて移動を始めたという事実は世界に衝撃を与えた。

軍、一般人、ナチュラル、コーディネーター、何もかも分け隔てなくだ。

そして、そうして突如訪れた人類の危機を回避すべく動き出したものも少なからずいた。

 

 

「ユニウスセブンはかつての血のバレンタインによる核攻撃により多少破損しているとは言えその大きさは未だ直径数十kmはあり、これを破壊する作業は非常に困難と思われますが本艦はプラント本土から破砕専用器具メテオブレイカーを搭載したジュール隊と合流しその任務に挑むことになります。主な任務としては……」

 

 

「随分むっちゃくちゃになりそうな任務だなまた。」

 

 

「当たり前だ。コロニー1つを粉々に砕こうというのだからまともなやり方では到底叶わん。」

 

 

シンとレイもその動き出した者の一員だった。天井から吊り下げられたテレビから流れるタリアの声を聞きながらパイロットスーツに着替え固形ゼリーを一口。

呆れたように溜め息をつきながら緊張した様子を隠せないシンと何時もと全く変わらない様子のレイ。

対称的な様子の二人だが醸し出すその集中力はどちらも変わらぬレベルで高まっていた。

 

 

「なんだよレイ、お前こんなときでも少しも緊張しないのか?ほんとにクールというかなんというか……」

 

 

「緊張?なぜそんなものをする必要がある?」

 

 

「なんでってそりゃ……」

 

 

特に理由はないがそもそも緊張に理由なんてないだろ!と思ったが何かしら議論になった場合シンがレイに勝ったことは今までとして1度もない。基本完膚泣きまでに叩き落とされ最悪半泣きにされたことも恥ずかしながら1度や2度ではない。

そういうわけでなにか奥歯にものが挟まったような釈然としない気持ちを抑えながらシンは反論を断念する。

 

 

 

「俺達はただ任務をこなすだけだ。それに今回の任務は議長特命のものと聞いている。彼が言うのなら間違いはない。」

 

 

「ああー……そうだな。」

 

 

まためんどくさいスイッチを押してしまったと、議長という単語を出した瞬間にわかに声に力がこもりはじめたレイにシンは思わず苦虫を噛み潰したような顔になる。

レイ・ザ・バレルという人間は普段どこまでもクールな男である。感情が表に出ることはほとんどなく趣味なども本人曰くない。だというのに何事もやらせてみればなんでも出来てしまうというのがなんとも言えない妙な劣等感をシンやその他多数の人間に抱かせていたのだが……とにかくそんな自分の世界を崩さない男にも例外というものがある。それがプラント代表であるギルバート・デュランダルだ。

デュランダルはその政治家としての有能さから高い支持率を維持し、更にそのルックスからアイドルのおっかけのような集団がつくような言わば時代の寵児と言うべき存在である、がレイの彼に対する感情は単なる尊敬を遥かに越えている、とシンは個人的に感じていた。

他の人の会話に首を突っ込むことはないが話題が議長になると別、議論があれば眉1つを動かさずに論破するが議題がそうなら理論をかなぐり捨て声をあらげて真っ向から対決する。正直なところそれがなにか倫理上問題のある変な感情だとしても驚きはしない。

 

 

 

「それよりもさ!あの人達は来るのか?キラとアスラン!」

 

話を変えようと思ったらちょうどいいものがシンの頭のなかにポッと思い付いた。

昨日のルナマリアとの一件以来キラとアスランを誰も見ていない。メカニック集団やルナマリアといったゴシップ好きでさえも見ていないということは本当にどこにいるのかわからないということなのだ。

直接的に被害を受けるのは自分たちプラントではなくオーブにいるあんたらだろうに。

 

本人が気付いているかどうかは定かではないがシンの言葉には若干の苛つきがまじっていた。

 

 

「シン、流石に敬語を使え……そうだな。聞いたところによると二人とも参加するらしい。だが先にオーブの代表を大気圏突入まで送り届けてから来るということだ。昨日から姿が見えないのはそういうことだ。」

 

 

「アスハか……文句の1つでも言ってやろうと思ってたのに。」

 

 

「お前と会うことなく帰ってくれたことに本当に感謝しているよ俺は。」

 

 

 

結局レイを抑えるために自分の機嫌が悪くなるという本末転倒。

瞬時にいつもの調子に戻ったレイに宥められながら任務開始までの僅かな時間は過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

「到着時刻はどうなっている?ディアッカ。」

 

 

 

MS部隊が隊列を組み何一つ遮るものがない宙域を進んでいく。

ユニウスセブン破壊工作特務部隊。そのなかでも一際目立つ白にコーディネートされたグフは自らがその将であることをその乗り手の性格同様痛烈なまでに誇示していた。

その乗り手とはイザーク・ジュール少佐。かつてクルーゼ隊の一員としてストライク含む新型機強奪にも参加。その後はデュエルガンダムを駆り戦場を渡り最後の決戦においては連合の虎の子でもあるエクステンデットの乗る機体を2機撃破した功績はプラントの人々の記憶に新しい。

現在は赤服以上の白服に僅か19という年で昇格。絵にかいたようなエリート街道を進む彼は今回の任務においてザフトが送り込んだ渾身の人材と言えた。

 

 

「はいよ。あと2時間ちょいってとこ?ミネルバもその辺りで来るってさ。」

 

 

そんなイザークに無線越しながら全く敬意の欠片もなくのんびりと対応するヘルメット越しにも褐色の肌が目立つ

青年。

彼の名はディアッカ・エルスマンといい2年前は赤服としてイザークやアスランと共に戦ったザフトの軍人であり、特にイザークとの親交は深い。なぜそんな彼が今では赤ではなく一般兵と同じ緑を着ているかというと様々な紆余曲折があったのだが……現場にいることが出来るだけましというのがディアッカ本人の感想でもある。

 

 

 

「んで?どういうことよイザーク。」

 

 

「なにがだ?」

 

 

「今回の件。これ、偶然とは思えないぜ?」

 

 

「知らん、今更俺達にはどうしようもないことだ。」

 

 

「まあそれもそうだけどさ、なんかきな臭いんだよなあ……」

 

 

ディアッカの指摘と全く同感だったイザークは無線を切ると眉を潜める。

どう考えても今回の一件はおかしいのだ。ユニウスセブンがあれだけの質量を持っているのにも関わらず放置され続けた原因は戦争だけではない。専門機関の分析で数百年単位の安定軌道に入ったと言われ人類に危害を与える危険がないと判断されたこともあるのだ。だというのに……

 

 

「2年、たったの2年でこんなことが有り得るのか……?」

 

 

そんなことあるわけがない。

答えは明白だ。専門ではないがこれは常識レベルの知識があれば十分に分かることである。

だが現実としてユニウスセブンは動き出し、今も地球へ向けて動いている。

となるとだ。これが自然現象だと断定することがどこの誰にできるというのだ?

 

 

「……だが」

 

 

その可能性は極限まで低い、絶対にないとイザークは信じたかった。

ユニウスセブンを「人為的」に動かそうとすればそれにかかるエネルギー、コスト、技術は莫大なものとなる。それこそ一介のテロ集団ではどうすることもできないほどに。

もしもそれが出来る人がいると言うなら……

 

 

「連合か……いや、それなら狙いはプラント。自らの本拠である地球に落とすなど有り得ない。ならまさかザフトか?だがそれならば何故議長はこんなにも早く具体的な策とともに俺達を動かした?そもそも彼は融和派のはず……それなら第三勢力のほうがまだ現実味がある……」

 

 

最低でも一国を動かすだけの力の軍事力。それぐらいなければ出来るはずかない。だがそれだけの力のある陣営はどこも決め手に欠ける。

 

 

「なにも起こらないでくれよ……」

 

 

一気に膨らみ始めた不安。単体だけでも危機的だというのにそれよりも遥かに大きな影がチラホラと見え隠れしている。

結局イザークがその後無線を入れることは任務が始まるまで1度もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

「ここからは僕とアスランは一緒に行けないけど……大丈夫?」

 

 

「バカにするな!全く私のことを何だと思っているんだ!?お前は?」

 

 

「……っ!」

 

 

頭にキーンと響く声に思わず閉口する。

キラとしては一応気を使ったつもりだったのだがどうもそれは逆効果だったらしい。

 

「お前ってやつは本当に人の扱いは下手くそというかなんというか……カガリ、俺達が戻るまでプラントは任せたぞ。」

 

 

「ああ!お前達もしっかりな!」

 

 

「なるほど。」

 

 

どうやら自分にはない人の機敏を見抜く才能が親友にはあるらしい。

キラはアスランのカガリに対する手懐け方を見て心底そう思った。

兄妹、もしくは姉弟かどちらかはわからないが同じ日に同じ場所で生まれたにも関わらずいまだに何かするたびに彼女の逆鱗に触れてしまうキラとしてはアスランのこういう器用さはとても羨ましいものであった。

 

 

 

 

 

「ところでだ。ミネルバとの合流時刻は大丈夫なのか?」

 

 

「うん、大丈夫だと思う。……それよりもアスランは大丈夫なの?」

 

 

「……機体の事か。問題はない。流石にジャスティスと比べると酷いもんだが破砕作業の支援くらいなら問題ない。」

 

 

「そう……」

 

 

「俺からしたらお前のほうがよっぽど心配だ。ほんとにいいのか?ユニウスセブンが向かっているのは地球にも伝わってるし監視衛星からバンバン映像も送られてる。俺はこの機体だから問題ないがフリーダムは……」

 

 

不安そうに言う親友の言いたいことはキラにもよく理解できた。

あくまでも自分はオーブの軍人。それも戦争批判、平和の国であるオーブの象徴的存在であるフリーダムに乗っているのだ。

そのフリーダムがザフトと協力している映像が地球に流れればどうなるか……

それは想像に難くない。

 

 

「わかってる……けどそれでもかまわない。もしもこの状態を見逃したらもっと大変なことになるから。」

 

 

たがそれがわかっていてもキラに躊躇はなかった。

確かに政治的側面を考えれば自分もカガリと共に地球に降りるのが無難だ。事実その道もしっかり開かれていたのだから。

アスランに話してはいないが今回の件もデュランダル本人から決断はキラ本人に任せるという風に委ねられていた。その上でも敢えてキラは自分で協力する道を選んだのだ。

 

全てを背負う。その覚悟が向けられる対象は別にプラントだろうと連合だろうと関係はない。そしてその先に起こる人の変化も。

 

 

「そうか。だが無理はするなよ。ここでお前が倒れたらどうにもならん。それに……今回はどうもおかしい。」

 

 

「分かってる。」

 

 

アスランに念押しされキラはこくんと頷く。画面越しのアスランの表情から考えていることは一緒だとキラは分かった。

2人が知るよしもないがイザークが抱いたのと全く同じ違和感をキラとアスランは抱いていた。

 

あまりにも不自然な事象。ことイザークに比べればその方面に対する学のあるキラの疑念はその知識量に比例して大きかった。どう考えてもおかしい。物事に100%なんてことはないのだがそのくくりで今回の事態が許容されるのならなんの前触れもなく明日地球が爆発したとしてもそれが不自然でないというのにも等しい。それだけのものだとキラは判断していた。

 

アスランがどこまで具体的なイメージをもっているのかはわからないけれど少なくとも出来る限り外にも警戒しておかなければならない。

 

出来ることならば使うことのないように祈る2年前に封印された数多くの武装、そのすべてはオールグリーンの表示を示している。

 

 

 

 

 




どうもです!

そろそろ違和感を持つ読者の方も出てきたのではないでしょうか?

ここら辺から物語は違った方向へ……

それではまた!

評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃんお待ちしております!

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