ノーザンブリア大公国 歴史研究所 離れ地下
「♪~~」
薄暗い室内にガラスを洗う音と鼻歌交じりの声が響く、歴史研究所の離れに作られた隔離生物研究室では1人の少女が試験管を純水で洗浄していた。
「相変わらず薄暗い場所ですね、埃は…掃除はしてあるのは結構ですね」
「あれ?キツネさんじゃん真っ黒の服でどしたん?そういや頼まれた殺菌液と抗生物質出来てるよ」
試験管を乾燥機に突っ込んで密封されたコンテナから錠剤と薄黄色の液体を取り出す
「早いですねぇ、こういう新薬って作るのが大変な印象がありましたが」
「時間がかかるのは菌の発見と人体実験だからね、そういうのは木馬団にいた頃に終わらせておいたから後は成分を作る菌がノーザンブリアでも増えるか試すだけだかんね」
その菌の発見と人体実験の過程で多くの有毒菌が見つかり命が消えているが気にはしない、結局のところ少女の本質は命を弄ぶ存在だからだ
「まぁ、クラールさんが問題を起こさないなら何でもいいですが。ところで、また変な実験体とか作っていませんよね?外に漏れたら不味いウイルスとか。前にカビタドローメが訓練場を逃げ出した事ありましたし」
「ウイルスは自然界じゃ10秒も生存できない奴ぐらいしかないから大丈夫じゃね?あ、今キツネさんが弄ってるフラスコは改造したマラリアが入ってるからあんま弄んない方がいいかも」
「マラリアをノーザンブリアに持ち込んでんじゃねぇです」
哀れなマラリアは鉄をも溶かす炎によってフラスコごとこの世から抹消された
「あー、結構苦労したんだよ赤血球じゃなくて血液中のウイルスとか細菌食べて増殖するように改造するの」
「え、これ無害な代物なんです?」
「いや、無害化は全くしてない。なんなら感染したらほぼ確で死ぬ分むしろ猛毒化してる」
ダメ押しとばかりに炎によって消毒された
「それで?今日はどしたん?なんか作った方がいい?殺菌液なら滅菌蛆を増やさないといけないからちょっと時間かかるよ」
「え?この液体って蛆が原材料なんです?ってそんな事はどうでもいいんです。クラールさんって検死とか出来ます?」
「検死?毒殺病死なら出来るけど」
「なら行きましょうか此方が衣装です」
そしてヴェール付きの黒い衣装を着たクラールとキツネは霊脈で転移を行った
ノーザンブリア大公国南部 フォモール伯爵領 オサイ
「成程ね、外務局のお偉いさんがいきなり死んだんだ。それでこの服何?」
「喪服です、今回の訪問の名分は葬儀という事になってますので。外務局局長フォモール伯爵が先日の会議後自領に帰還してすぐに自宅の玄関で血を吐いて倒れてそのまま亡くなったという話です」
「玄関入って直ぐ倒れたんなら毒殺だと移動中か移動前に盛られたことになるかな。ってなんか町の方から煙上がってない?」
オサイの町では多くの領民が川や井戸から水を汲みあげリレーの要領で燃え盛るフォモール伯爵邸の消火に当たっていた。
しかし、水を撒く以外の事は出来ておらず混乱した状況が見て取れた
「私はノーザンブリア歴史研究所所長キツネ・ノーザンブリアです。フォモール伯の葬儀に参りましたが何事です?」
「それが、奥様がいきなり屋敷に火を放って。救出に向かった執事や侍女の方々までも戻らず。若様が指揮に当たってますが何分経験が少なく」
「それで、この有様ですか」
屋敷は燃え尽き炭となった柱と元調度品と思われる金属塊が散乱する廃墟と化していた、もはや火柱は消えて見えるのは煙だけとなったが未だに火が燻り続けているせいで中には入る事は出来ない
「確かご子息はまだ13歳でしたか、流石に経験不足を責めれませんねぇ。とりあえず後に来る他の方々と後見人の相談をしなければ」
「ねぇ、キツネさん。この後他のお偉いさんも来るとしたらさ、コレちょっと不味いかも」
1:元木馬団
緊急事態。ちょっと死ねる人オサイに集合
2:ギルムッド兄弟の兄
居るかそんな奴
3:ギルムッド兄弟の弟
つーか今俺達しかいねぇよ。
4:元木馬団
そんじゃ仕方ないからよろしく。証拠ないから多分だけど月光木馬団が裏で動いてるっぽい
5:ギルムッド兄弟の兄
は?
6:ギルムッド兄弟の弟
え、何で?
7:元木馬団
いや、何か毒殺疑惑があったフォモール伯爵の家を奥さんが放火して執事と侍女の人達が心中して焼け死んだらしい
8:ギルムッド兄弟の弟
何でそれが木馬団?
9:元木馬団
ヒント、かたつむり カマキリ トキソプラズマ
10:ギルムッド兄弟の弟
なんじゃそら?
11:ギルムッド兄弟の兄
え?そんな事出来るの木馬団
12:元木馬団
アタシも似たような事出来るし出来ちゃうんだよね兄貴なら
寄生虫で人を炎に突っ込ませれば証拠も状況も自殺だから普通は追いようが無いし
13:ギルムッド兄弟の兄
うわぁ……
14:ギルムッド兄弟の弟
何つうかファンタジーなのにバイオハザード始まった?
15:元木馬団
しかも、そのうちノーザンブリアのお偉いさん達が葬儀でやって来るから仕掛けられる前に何とかしないといけないんで
とりあえずアタシの研究室から駆虫薬と材料持ってきて
16:ギルムッド兄弟の兄
あそこ何が出てくるかわからねぇから入りたくねぇんだけど。カビタドローメの時とか狐さんが焼いてくれなかったら訓練場に居た奴ら全滅してたじゃん
17:ギルムッド兄弟の弟
何で魔獣がカビてるんすかね、何でそんな物を作ってるんすかね
18:元木馬団
昔の事は気にしなーい、それじゃあアタシは町にいる感染者を調べるから駆虫薬よろ
あ、迎えは狐さんがやってくれるって
19:ギルムッド兄弟の兄
しゃーないから駆虫薬の材料なら届けるで
20:ギルムッド兄弟の弟
俺達の初戦闘は月光木馬団かぁ