ノーザンブリア大公国南部 フォモール伯爵領 オサイ
「今回、俺達が此処に来たのは帝国からのちょっとした依頼でなぁ。本当ならのこのこやって来た大公の命まで貰う筈だったんだが、おっかねぇ化け狐がもう来るとは思わなくてな。このまま帰るつもりだったんだが、その予定もアイツがいたせいで狂っちまった訳だ」
「フォモール伯は大公の実の弟です。継承権を持っているならば出張らない訳が無いでしょう?それにしてもクラールさんがいたからプラン変更ですか、そういえば抹殺対象でしたね彼女」
片や葉巻から煙を流しながら、片や汚れた手を有り合わせの布で拭いながらその対談は始まった
「いやぁノルドに逃げた筈のアイツをロストした時は意味が分からなかったぜ。岩の染みになってたアイツ、名前なんだったっけか?アレ、あんたの仕業だろ?」
「そうですねぇ、ちょっと力加減を間違えまして砕けちゃいました。それにしてもノルドではいい拾い物をしました、今更返せと言われても返しませんよ」
宿の前で笑いながら行われる対談は後ろの爆破された宿が無ければ男女の逢引きにもみえるかもしれない
「そりゃあ困るなぁ、アイツは俺としても見てて面白れぇ女なんだが。どうにか返してはくれねぇもんかねぇ。あれのイカレっぷりは国じゃ制御できねぇよ」
「まぁこの前も魔獣を繁殖させてましたしねぇ。それでも、あの類は制御しない方がいい物を作るものですし。私、好きなんですよああいう健気な子」
ケラケラと自然体で笑いあうも拳は開かず余裕は崩さず、火種の一つでもあれば周囲に死をバラまける様に死を焼き尽くせる様にと
「健気ねぇ、確かにそこは同感だなぁ。意外と気が合うじゃねぇか、俺等ダチになるのも悪くねぇんじゃねえか?」
「私タバコ嫌いなのでノーサンキュー!って何ですの?この霊力」
幸運な事にこの場で追加の死がばらまかれる事は無く
「あー、あれを自分に使っちまったかぁ。どうして使ったかは知らねぇが…ま、ご愁傷様って事で」
「何をって!『浄化の朧火』!」
既にばらまかれていた死も浄化された
「おいおい、気付くんじゃねぇよ。あと数分でみんな揃ってあの世行きだっただろうが」
「妖狐の生存本能舐めないでくださいな、毛皮にピリッとしましたよ。それはそれとして次会った時にこの罪清算させますからね」
32:北国の女狐
生存確認!点呼
33:元木馬団
1!アタシは無問題
34:ギルムッド兄弟の弟
2!兄者が両足やられて今背負って逃げ回ってる
35:ギルムッド兄弟の兄
3!正直、打つ手が思いつかないんだがどうすりゃいい?
36:名無しのゼムリア民
まず何があったかを言え
37:ギルムッド兄弟の兄
グネグネしてた暗殺者が変な薬を自分に打ったら魔人に変身した
38:名無しのゼムリア民
おっふ
39:名無しのゼムリア民
その薬ってグノーシスか何か?
40:元木馬団
ごめーん、それって多分アタシが前に作った寄生虫型魔獣
41:名無しのゼムリア民
何作ってんだコイツ
42:名無しのゼムリア民
バイオハザード型暗殺者とか新しいってレベルじゃねぇぞ
43:名無しのゼムリア民
教会にチクったら外法認定されるんじゃねえかなコイツ
44:元木馬団
対処法は火が効くから取り合えず燃料ぶっかけて燃やして
45:名無しのゼムリア民
だそうだ、お前らの持ってるもん晒せ
46:ギルムッド兄弟の兄
ハンドガン大小とそのマガジンが各6個、スタングレネードが2個とスモークグレネードが1個あと駆虫薬
47:ギルムッド兄弟の弟
葉巻とマッチ(湿気)とブランデー、クレイモアは兄者を背負う為に置いてきた。あと駆虫薬
48:名無しのゼムリア民
弟の方さぁ…
49:名無しのゼムリア民
何でやる気ない奴がファインプレーなんだよ…
50:名無しのゼムリア民
とりあえずフランベやな、あと燃えてる所にマガジンとか投げ物とか投げつけて逃げる
51:名無しのゼムリア民
駆虫薬で駆除できないのか?
52:元木馬団
ちゃんと注射すれば出来るよ
53:ギルムッド兄弟の兄
んな事出来るかぁ!
「で、俺はどうしたらいいんだ兄者」
「どうしたもんかね弟よ」
現在、兄弟は藪の中に隠れていた。虫や葉や枝が邪魔だが仕方ない何せ目の前には魔人がいるのだ
「フランベで表面焼いても意味ねぇし、何処を焼くかね。あと弟よ、お前にこれを渡しとこう」
「いや、手首ぶっ壊しハンドガン渡されてもな、使えと?」
巨大ハンドガンとマガジン6個、全弾使う頃には両手首が骨折するだろう
「着火に使え、マッチ湿気って使えねぇだろうが。作戦はブランデーにハンドガンでフルオート、その後逆の手で駆虫薬を突っ込む。以上!」
「兄者、流石に出来やせんぜ」
「俺がハンドガンで囮になる、あのデカブツのケツを燃やしたれ」
言うや否や這いつくばりながら藪を這い出る兄を見て弟も行動を開始する。
藪から藪に匍匐前進、目指すは魔人の背後である
銃声が1発2発3発4発、兄が持っているハンドガンは1マガジンに付き6発の筈。残りは2発か3発、その銃声が聞こえる前に大地が揺れた
「くぐあ、まだ」
「OWARIDA」
藪の外を見ると木に押し付けられた兄と巨大な腕を振り上げる魔人、その背中が見えていた
「そのケツ貰ったぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
臀部に叩きこまれたブランデーの瓶は割れ中のアルコールが舞い散る、そこにハンドガン8発が放たれた
「ATUI!!」
「手首逝ったぁぁぁぁぁ!!」
砕けた左手ではなく瓶を捨てた右手で魔人の臀部に駆虫薬を突っ込む
「座薬喰らえや」
「座薬は……食わせちゃ…ダメだろ…弟よ」
54:ギルムッド兄弟の弟
手首、いった
55:名無しのゼムリア民
帰ってきたか、どうなった
56:名無しのゼムリア民
兄貴の方はどうしたよ
57:ギルムッド兄弟の弟
兄者はちょっとヤバめの怪我してる、魔人は下半身が塵みてえになって上半身だけ倒れてる
58:名無しのゼムリア民
それはどうなんだ?やりきったか?
59:元木馬団
駆虫薬が効いたら全身塵になるはずだけど何で下半身だけ?どうやって投与したん?
60:ギルムッド兄弟の弟
ケツに突っ込んだ
61:名無しのゼムリア民
口じゃなくて出す方に突っ込んだのかよ
62:ギルムッド兄弟の弟
だって兄者がケツに突っ込めって
63:名無しのゼムリア民
いや、注射器なんだから普通にぶっ刺せよ
64:ギルムッド兄弟の兄
血管の場所何処だよ
65:名無しのゼムリア民
血管抜けちゃダメなの?
66:元木馬団
ダメに決まってんじゃん
67:名無しのゼムリア民
あー、じゃあケツになるか
68:名無しのゼムリア民
次から普通に飲み薬にしない?
69:元木馬団
趣味じゃないからヤダ、注射がいいの
70:ギルムッド兄弟の弟
俺達じゃなかったらマジで死人出てたなコレ
71:名無しのゼムリア民
元木馬団は何してんのよ
72:元木馬団
ちょっとサナダムシ君の相手してる
73:名無しのゼムリア民
サナダムシ君?
「随分と無茶しましたねぇ、コレ治しても暫くはリハビリですよ。死んでないだけマシですが」
「逃げれたならとっくにケツまくって逃げてやすぜ姐さん」
「兄者の足を狙われちまった、反省しねぇと」
激戦後、上げた狼煙の煙を目印にやって来たキツネと合流し一先ずの治療を行った。魔人の上半身は未だに藻掻いているが直に塵に変わるだろう
「しっかし、奇策に囮作戦とは頭が回りますねぇ。どうです?怪我が治ってリハビリが済んだら一時的に軍に所属してみてはいかがでしょう?」
「軍ねぇ、堅苦しいのは苦手なんだが」
「俺の方は兄者がいいならって感じだな。流石にちょいと真面目に兵法を知りてぇしよ」
「では、そのうちにバレスタイン大佐辺りにお願いしてみますか。あの方の兵法は間違いなく名将のソレですし。っと帰る前にやっておかないと寄生虫を残してはなりません」
そして魔人はキツネの魔術により血痕一つ残さず焼き尽くされた
「初めから狼煙炊いてキツネさん呼んだ方が良かったな弟よ」
「タングステン溶かす火力あるんだから頼るべきだったな兄者」