リベール王国 グランセル城
「鶏肉の!ちょっといいとこ見てみたい!それ、揉んで揉んで揉んで、揚げて揚げて」
「っく、職務中だから酒が飲めない!」
「たるんどるぞ貴様等!!そっちの客人はともかく!」
グランセル城の食堂、食堂の隅にある木箱と油の匂いが立ち込める厨房に多くの兵士が集まっていた
木箱の中には城に紛れ込んだ子供が1人、その子供をどうにか引き出す為に木箱の前には多くの料理が並べられていた
「兄者、箱の中のガキはどんなもんですかい」
「出てこないな。から揚げもダメ、エビフライもダメ、コロッケもダメ、フリットもドーナツもダメ。手詰まりだ」
「別の味付けのから揚げも今揚がるんでもうちょっと待ってくだせえ」
箱の中の子供は出てこない、初めは兵士たちの強面博覧会がおびえさせているのかと思い兵士を厨房に全員移したが全く効果は無く、ならばと子供が好きそうな料理を献上する運びとなった
扱いが教室に入り込んだ猫である
「揚げ物じゃダメなんじゃないか?」
「「バカな!」」
「俺達があのガキぐらいの歳は飯に揚げ物が出たら戦争だったぞ」
「そうだそうだ、兄者なんて腹壊してでも食ってたんだぞ」
「でも箱の中の子って女の子だろう?なら単純に甘い物とかの方がいいんじゃないかな?」
カシウス曰く、女の子には大量の揚げ物よりは見た目の美しい菓子の方が受けがいいらしい。そこに既婚者であるモルガン将軍の賛成もあり木箱の前からドーナツを残して全ての料理が取り除かれ、料理は兵士達の胃の中に収納された
「菓子か、俺は砂糖メレンゲぐらいしか作れないな。将軍はどうです?」
「ふむ、儂も菓子は作れん。かといって城の料理人は会議の参加者の料理を作っておる。彼らに頼むわけにもいかん」
「ドーナツなら作れるが、ドーナツばかり作ってもな……弟よ、そっちは何か無いか?」
「くくく、兄者にも隠していたが。俺は東方の秘菓子、三不粘が作れる」
「「「何でそんな物を作れるんだ?」」」
「作れたら女にモテるかもしれねえからな、俺のお玉が火を噴くぜ」
そう言って厨房に向かっていくギルムッド弟の姿は背筋がピンと伸び自信に満ち溢れていた
「あの黄色いゲル作れても女にはモテないと思うんだが、気のせいかな?」
「うーむ、妻と一度食べてみたが変わった菓子ではあったが一度食べれば二度目は無い類の物であったな」
「何で普通にクッキーとかじゃないんだろうな…」
厨房からは黄身と鍋を叩く音が響いており甘い匂いも少し漂って来た、そして仄かに香るバニラの香り
「この香り。彼、バニラビーンズも使ってません?」
「使っているだろうな、来賓のデザートにも使うだろうし止めるべきかどうするか」
「あのバカ、よそ様の食材使い過ぎだ。高級食材だぞ」
更に時間が経ち、鍋を叩く硬い音がペチペチと柔らかい音に変わっていき
「出来たぞ、俺特製バニラ三不粘だ。バニラカスタード風味の卵モチ、おあがりよ」
「確かにこれは三不粘、皿に付かない箸に付かない歯に付かないと称される秘菓子」
「見た目が完全に怪しい何かなんだよな」
皿の上に乗る黄色いモチモチとした三不粘、手間と材料費がかかる割りにそこまで美味しい物じゃないとして有名な菓子である
ソレを木箱の前に献上、そして全員が離れた場所から子供の様子を観察する
「出て来た、嘘だろ」
「まさかアレが正解だと言うのか」
「流石は俺の三不粘、分かる奴には分かるんだよ」
初めは恐る恐るスプーンでペチペチと叩いてみたり伸ばしてみたり警戒していたがバニラの香りに促されたのか遂に一口だけだが食べて見せた
「食べた、どうだ」
「おい、何か震えてるぞ」
「あれ、皿ごと木箱の中に戻った」
木箱からは恐らくスプーンが皿に当たっているのであろうカチッカチという音と嗚咽の様なくぐもった声も響いており三不粘が泣くほど口に合ったのだと思わせた
「あ、ドーナツも木箱の中に」
「三不粘で警戒心が解けたのか、今なら捕獲も出来るかもしれん。総員、網を持って死角に入れ。客人は何か匂いの強い食べ物を木箱から少し離れた場所に」
「よっしゃ、今度こそ俺のから揚げの虜にしてやるぜ」
再び揚げられて置かれるから揚げ、今度は置かれて離れたとたんに
「確保!!」
「ビクッ!!罠だった!」
木箱から飛び出た所に降り注ぐ投げ網、その上からシーツを何重にも重ねて兵士に取り押さえられる。瞬く間に簀巻きにされた銀の短髪の少女はふと見れば男子と見間違えてもおかしくない程の年の子供であった
「ようやく捕まったか、リベール軍人を此処まで手こずらせるとは将来有望だな少女よ。だが、いたずらは今はダメだやるなら来週にしなさい」
「来週でもダメに決まっているだろうカシウス」
「というか簀巻きになってもから揚げ食ってるよ、さっきまでの籠城戦は何だったんだ」
簀巻きにされる直前に放り込んだのだろう、頬を限界まで膨らませて口の隙間からは茶色の衣が若干見えている。
揚げたてで熱々のから揚げをもごもごと咀嚼して
「ゴックン、逃げろ」
隠し持っていたのだろうナイフで簀巻きを切り開き
「ごぼっは!」
ギルムッド兄にシャイニングウィザードを決めてそのまま逃走した
57:ギルムッド兄弟の弟
すまん、人造人間ちゃん逃がした
58:名無しのゼムリア民
何してんねん
59:ギルムッド兄弟の兄
顎がいてえ、初期型シャイニングウィザードはヤバいって
60:ギルムッド兄弟の弟
俺の三不粘で岩戸をこじ開けたまでは良かったんだが、まさかあそこから逃げられるとは
61:名無しのゼムリア民
ギルムッド弟三不粘作れんの?
62:名無しのゼムリア民
というか三不粘で出て来たんか
63:ギルムッド兄弟の兄
から揚げやコロッケとかドーナツじゃダメだったんだけどな
64:名無しのゼムリア民
揚げ物がダメだったんじゃね?
65:ギルムッド兄弟の兄
でも一回出てきたら後は普通に食べたんだぞ
66:ギルムッド兄弟の兄
から揚げなんて揚げたてを口いっぱいに頬張ってたぐらいだぞ
67:名無しのゼムリア民
揚げたてのから揚げを口いっぱいってマジか、口の中火傷で酷い事になってそう
68:名無しのゼムリア民
そこまで食い意地張ってるのに何で三不粘なんかで
69:元木馬団
あ、アタシわかっちゃった。人造人間ちゃんに同情しすぎてちょっと涙出て来た。
木馬団でもマシな物食べてたよ
70:名無しのゼムリア民
外道の目にも涙か
71:名無しのゼムリア民
外道ですら同情するレベルの虐待受けてたやな
72:名無しのゼムリア民
行く前にどういう事か教えてくれや
73:元木馬団
食べなれた見た目の物だと警戒心薄れるじゃん?そういう事だよ
74:名無しのゼムリア民
あぁ、うん…
75:名無しのゼムリア民
三不粘みたいな物が主食って……
76:ギルムッド兄弟の兄
三不粘泣きながら食べてたのってそういう事だったのか
77:ギルムッド兄弟の弟
ディストピア飯しか食べた事無かったて事かよ、クソが
78:名無しのゼムリア民
ギルムッド兄弟、絶対見つけて保護しろよ
79:名無しのゼムリア民
美味い物を腹が裂けるまで食わせたれ
80:名無しのゼムリア民
から揚げ美味しすぎて火傷してでも食べたかったんだな
81:ギルムッド兄弟の兄
任せろよ、次は串揚げを飽きるまで食わせてやるぜ
82:ギルムッド兄弟の弟
くくく、フライドポテトの中毒にしてやる
83:名無しのゼムリア民
だから何で揚げ物なんだよ
84:北国の女狐
あ、盛り上がってる所悪いですけどギルムッド兄はこの後来てください。共和国と交渉の打ち合わせをしないといけないので
85:ギルムッド兄弟の兄
うぃーす