リベール王国 グランセル城
「っち、何処のどいつだ下手打ちやがった馬鹿は」
グランセル城の食糧庫、その奥に存在するワインセラー。人が入らぬ暗闇の中で銀は1人で毒を吐く
共和国経由の仕事で侵入したはいいが城内で起きた侵入騒ぎによって警備が厳重になり身動きが取れなくなってしまったのだ
「そもそもノーザンブリアの公妃を目標にするのが無理がある。依頼を持ってきたリー家には悪いがどうせ俺はルゥ家の凶客、落ち着いたら脱出するとしよう」
「ふむ、諦めるのか。共和国の暗殺者もしれたものだ」
誰もいない筈の暗闇に別の声が響く、人を値踏みするような粘り絡みつく声に思わず剣を抜き札を構えるが声の主は闇の中で何も見えず集中力だけが削られていく
「警戒する事は無い、この場では敵ではないよ」
「姿を見せず人を観察する奴のどこに仲間とみなす要素がある、敵でないならせめて姿を現す事だな」
「確かにそうだな、では失礼するよ」
そうしてロウソクを灯して現れたのは眼鏡をかけアッシュの髪を編み込んだ黒い衣装に身を包んだ女であった
「コレで信頼してもらえたかな?それとも名前まで知らねば信じられないならば名乗ろうか、アルベリヒだ。ぜひ協力しようじゃないか共和国の暗殺者君、それともここで大声を上げようか?」
差し出された細い指を罠とわかっているが故に渋々掴んだ
「それで?ノーザンブリアのお妃様を狙うんだ見事な計画を立てたんだろう?私の作品が迷惑をかけたお詫びだ協力するよ」
帝国陣営の控室、招かれた銀はアルベリヒの前で剣の手入れを行っていた。部屋の中には銀とアルベリヒ以外に銀髪の子供が1人で部屋の隅で座っている
「あの迷惑な侵入者騒ぎがお前の仕業だと?」
「そうさ、その子はαOz ver69私が作った人造人間なんだが性能試験がまだでね。君が嫌になったあの騒ぎは私が行った性能試験によるものだ。まぁ、結果は散々だったが」
もっといい物を食べさせとくべきだったと笑いながらコーヒーを飲むアルベリヒの姿に思わず銀の剣を握る力が強くなる
その僅かな力みすらアルベリヒからすれば愉悦を覚える観察材料だ、思わず手に持っていたコーヒーを置いて手を叩きながら声を隠さずに笑い続ける
「あははは、随分人間くさい暗殺者もいた物だ、知らない子供程度で動揺するとは」
「黙れ」
「まあいいや、それじゃあαOz ver69 彼のサポートを命ずる。どうせ試作品だ派手に散って貰おうか」
「貴様ァ!!まだ子供だぞ!!」
耐えきれず剣をアルベリヒに向けるも意に介さずコーヒーを飲みながら菓子をつつく事を止めない
だが部屋にいるのは銀とアルベリヒだけではない。それまで部屋の隅で座っていた子供がナイフを握り銀を襲い始めたのだ
「マスター守る」
「このガキ、何でこんな奴を」
執拗に銀にナイフを振り下ろすが速く力が強いだけで素人丸出しのナイフなど銀には通用しない、それでも暴れ回られると脅威でしかなく部屋の中は荒れ備品は壊れて災害の様な惨状になっていた
「αOz ver69、君の命令は彼のサポートだよ。もう一度言う、彼のサポートを命ずる」
「ッ」
「なんだこのガキ、ふざけた膂力しやがって」
「まだ欠陥品でね、筋肉のリミッターが甘いんだ。おかげでほら、さっきの大暴れで何か所か断裂や骨折してる」
ナイフを持つ右手は親指と人差し指以外がだらりと開き左足は引きずっている。ぱっと見ではわからない場所にも故障を抱えているだろう
それでもアルベリヒを守る為に立っていた
「やれやれ、また盛大に壊れた物だ。これでは何もできないな、仕方ないから修理するとしよう」
「外道が」
「そうかい?存在理由なんて人間でも持ちえない物を与えて更に遂行までさせてあげてるんだ、十分優しくしてあげてると思うがね」
「そんな物は世界を知って決める物だろう」
「おいおい、暗殺者として生まれて育てられた君がそんな事を言うのかい?君は民主革命よりも前から続く暗殺者の一族だろう?」
銀の口が思わず止まる、確かに自分は銀として生まれ銀として育てられた。幼き頃から隠密の修練と人を殺す訓練を与えられ父の死と共に当代の銀となった。
他に選ぶ道など無かった
「俺がそのガキと同じだと?」
「君は随分出来がいい作品だ、この試作品とは比べるのもおこがましい。誇りたまえよ、Ozシリーズは今はまだ君の領域には到底及ばない」
銀は何も返す事もせず子供の治療をただ眺めていた
1:名無しのゼムリア民
えー、カルバードの革命に関する資料集め終わりました
民主革命って色々とおかしくない?教会が介入すべき案件じゃないコレ
2:北国の女狐
表向きは財政破綻による反乱ですからねぇ
裏ではD∴G教団が暗躍しまくってるクソ案件ですが
3:名無しのゼムリア民
王族を匿ったのも何処まで信じた物やら、カルバード王家の持ってた遺物を確保する為に拉致ったんじゃねえか?
4:元木馬団
木馬団も手広くやってるけどマッチポンプ革命は流石にね
5:北国の女狐
そもそもカルバードの経済なんて戦争で勝った時以外大体不況ですよ。そんな事で革命やってたら国が成り立ってないです
6:名無しのゼムリア民
選挙の政権交代も革命みたいなもんだし…
7:名無しのゼムリア民
共和国ってもしかして経済音痴?
8:名無しのゼムリア民
もしかしなくても経済音痴
9:名無しのゼムリア民
まぁ、カルバード貴族がクソ過ぎたのも原因だから
10:名無しのゼムリア民
うん、そうだね。上位貴族が軒並みD∴G教団に取り込まれてたもんね
11:名無しのゼムリア民
おまけに革命勢力にもD∴G教団入り込んでたもんね
12:北国の女狐
あの革命どっちが勝っても地獄ですよホントに、おまけにどっちも経済音痴だし
13:名無しのゼムリア民
うん、オーギュストとか死んだ後もD∴G教団の古代遺物に取り込まれてたもんね。
そりゃあアイツD∴G教団関係者だわ
14:名無しのゼムリア民
共和国でD∴G教団が猛威を振るっている理由コレか…
15:名無しのゼムリア民
なんとなく共和国がアニス様を狙う理由分かったわ、天の天蓋って王家筆頭近衛の証じゃねえか。D∴G教団が取り込めなかった数少ない名門って
そりゃ共和国からしたら恐怖でしかねえわ
16:名無しのゼムリア民
共和国も革命の正当性を訴えてるけどD∴G教団の介入が証明されたら終わるもんな
17:北国の女狐
あの国が革命の記録を物語形式でしか残さない理由です。そりゃあ綺麗な場面とドラマチックな場面だけ見せたいでしょうよ
18:名無しのゼムリア民
頼むから他の国に迷惑かけないでくれ共和国
19:名無しのゼムリア民
えー、此方ノバルティス捜索隊。誘拐の実行グループと思われる集団を発見
なんか別の猟兵団と戦闘中の模様。
20:名無しのゼムリア民
まぁ、そっちはそっちで頑張れ