それは単なる思い付きであった、天使の羽って何処から出てるのかと
そして崑崙流気功術を用いて調べた所、周囲の霊脈や七曜脈を足から吸収したエネルギーがエディンの体を通して光の翼として放出している事が分かった
その動線上に別の人間が挟まった場合どうなるか
リベール王国 ボース市 アンセル新道
「「合体!」」
合体と言ってもシンジが天使化したライカをおんぶ紐で括りつけて背負うだけである
霊脈が活性化し大地から光が舞い上がり周囲には上位属性が働き始める。天使の力を加減せずに行使した結果辺り一面を霊場へと変化させた
「何が起きてるのですか?いきなり空気が変わったような」
「霊脈の活性化です。農家時代に見た事がありますが規模が比べ物になりません」
「七曜脈までも活性化しておる、いやはやこれ程とはの」
「D∴G教団、子供に分不相応な力を身に付けさせるとは。やはり奴らを国に入れる訳にはいかんな」
荒れ狂う大地から吸収したエネルギーその全てをシンジへと流れ込む、全身の細胞が活性化しそれまでの傷が高速で治癒し体温が限界まで上昇する。
シンジの身体能力は人間の限界を超えて跳ね上がった
「それ程の霊力を操って見せるとは見事な気功ですが。それでは私には届かない、学ばなかったのですね」
「学んだに決まってんだろ」
「っ!」
リアンヌの観の目を凌駕するジャブ、強化された肉体から放たれる攻撃は手技でも人体を破壊するには十分すぎる。
今までの素の能力から強化される事により当てやすい手技が有効打として機能し始めたのである
「ぐっ」
その代償は大きく、僅か一撃で打ち込みに使用した拳が砕け腕の肌が裂けて全身の骨が折れる。強化された治癒力で直ぐに治るがそれでも痛みはある。
そして見せた隙を見逃すほどリアンヌ・サンドロットは優しくない
その一撃を止めた者がいた
「一度止めようか、ワシの目的を果たす前に気絶されては敵わんし」
「邪魔をしますか、ユン・カーファイ」
「直ぐに済むわい」
リアンヌの一撃を止めた刀を鞘に納めシンジと向かいあうユン・カーファイ。全てを見通すその目はシンジを捉えて何かを見定めている
「さて、大地から力を流し込むとは無茶するのう、呼吸するだけでも骨が折れるありさまじゃろうて。そこまでして何故己の身1つで戦う」
「意地」
「お主馬鹿じゃろ」
呆れた言葉とは裏腹にその姿は何処か悲しげであった
「八葉を生み出したはいいが黒神に染まり切った儂では体に合わん、どうじゃ?儂の生み出した剣術継いでみんか?」
「悪いが刃物は体に合わなくてな、さっきも刃物で出血した」
「この戦いに助太刀すると言ってもか?」
「意地つってんだろ」
「そうか残念じゃのう」
心の底から残念そうに決闘の空間から見物側へと身を引き戦いの場ではシンジとリアンヌの2人が向かい合った状態へと戻った
折れた骨は動ける程度に治り砕けた拳も握れるまで回復したが痛みはまだ取れてないうえに出血で失った血で頭痛も収まらない
シンジは勝負を次の一撃にかける事にした
「ライカ、ありったけ注いでくれ。次の一撃で決める」
「無理だよ。エディンが全力で止めてるしこれ以上は本当に死ぬって」
「しゃーない、なら久々に打ち込むか崑崙流の技って奴を」
腰を落として拳を緩く力を抜く、呼吸を整えて体内の気やら霊力やらを練り上げて体に行き渡らせる
「良いでしょう。貴方の意地に敬意を持ってその一撃打ち砕いて見せます」
対するリアンヌ・サンドロットもその一撃を真正面から打ち砕く為に此処に来て漸く自然体を解いて構えを取った
「崑崙流シンジ・グロウルとエディン、ライカ…参る」
踏み込んだ足から放たれた震脚により地面は隆起しリアンヌごと天に打ちあがる。そして打ちあがったならば重力により落下し
「名付けて破天崩拳ってな」
打ち込まれる崑崙流の一撃、技は未熟だが人を超えた膂力から放たれたそれは見事にリアンヌ・サンドロットを捉えた
(素直に打ち込んでくるとは思ってはいませんでしたが、まさか打ち上げてくるとは。とはいえ素直に受けるのも癪ですね)
自然落下に身を任せながら思案する。下に落ちた瞬間に彼の拳が撃ち抜かれるだろう、どんな強力な技でも分かっているならどうとでもなる
(人外染みた膂力による肉弾戦、ノーザンブリアのキツネを思い出します。ならば)
思い出すのはまだ可愛らしかった戦友の姿、彼女が昔行っていたスタイルに今のシンジの戦い方は酷似していた故にどのように対処すれば熟知していた
「いざ、勝負」
落下地点に打ち込まれる拳、その瞬間を狙って拳に剣を打ち据えた
「これで決着ですね」
決着が付き最終的に立っていたのはリアンヌ・サンドロット、しかしその代償は大きく自慢の甲冑は大きく削れて持っていた剣は柄を残してへし折れていた
一方、シンジは最後の一撃を打ち込んだ反動で倒れ気を失っていた
「得物を折られた時点で武人としては私の負けですが。っ!」
決着がついたと油断していた。そもそもこれは1対1ではなく2対1であった
「シンジが教えてくれた技だよ」
「私に一撃を入れましたか、見事です。エディンさんあなた達の勝ちですよ」
背後からの崩拳、おんぶ紐が千切れて自由になったエディンが打ち込んだ一撃を持って今度こそ決着がついた
勝ったのはシンジとライカそしてエディンであった
1:エディン
勝ったよ
2:名無しのゼムリア民
お疲れ、エディンちゃん。脱走者はどしたん?
3:名無しのゼムリア民
今日はライカ君の番じゃなかったっけ?
4:エディン
シンジは寝てる。ライカは無理やり体を貰った
5:ライカ
いきなりでびっくりしたよ
6:名無しのゼムリア民
そっかー、でも無事でよかったよかった
7:北国の技術者
無事とは言えませんがね、バレスタイン大佐曰く脱走者さんは全身余す所なく骨にヒビが入ってるそうです
8:名無しのゼムリア民
お、おう。それはまた
9:名無しのゼムリア民
むしろヒビで済んだのか
10:北国の技術者
まあ、呼吸だけで骨折するようなふざけた強化を行って生き残ってるのもおかしいんですがね。折れた傍から治すなんて力技過ぎる所業ですよ
11:名無しのゼムリア民
折れた傍から治して無理やり戦っていたんか
12:名無しのゼムリア民
成程、すぐ治るなら自傷は気にならんな。とはならんのよ、アホか奴は
13:名無しのゼムリア民
プルスウルトラやってる訳じゃねぇんだぞ
14:名無しのゼムリア民
取り合えずそっち方面はそれで終わりか?
15:北国の技術者
終わりですね、残りの仕事はお願いします。私達は今晩はボースに行きますので
16:ギルムッド兄弟の兄
了解、城の方は何とかする