リベール王国 グランセル城 エントランス
侵入者騒ぎに揺れるグランセル城、警備兵近衛兵総出で捜索中の子供が発見された報告を受けたカシウス・ブライトは発見現場へと急行した
「侵入者、ナイフを持ち暴れています!力が強すぎて取り押さえられません!」
「ノーザンブリアから来た客人が刺されています、医務官を早く」
「わかった、侵入者の子供は俺が対処する。君たちは刺された客人を医務室に連れていけ。そっちの方が早いからな」
大人げないとは思うが腰の剣を抜いて白い子供と相対する。激しく暴れ回ったのだろう、エントランスの敷物が破れて石造りの床が割れて一部窪んでしまっていた
「何が目的で誰の指示かも分からないが今は制圧させてもらう。いたずらしたんだ拳骨ぐらいは覚悟してもらうぞ」
剣を構えて初動を押さえようと子供の様子を観察する。片手のナイフをだらりと力無くぶら下げる姿に違和感を覚える
「ケガをしているのか?」
よく見ると右足に体重を集中させて左足を庇っているようにも見える。一度目に付くと他の異常も目についていく、ナイフを持つ手がぶら下がっているのも鎖骨が折れている事が原因にも見えた
「痛むだろう、投降してもらえれば治療するが君はどうしたい?」
問いかけるもナイフを構える姿は変わらない。どうあっても敵対するつもりらしい
「あ゛ー、いってぇ。うわ、めっちゃ血が出てんじゃねえか」
「え、意識が戻って。ちょ、お客人。医務室に行かないと」
「わりぃ、ちょっと待っててくれ」
後ろでノーザンブリアから来た客人が目を覚ましたようだ、腹から血を流しながらも乗せられたタンカを降りて此方に向かって来る
「カシウスさんだったか?」
「ああ、あの子供について何かあったのか?」
「俺が刺された時なんだが、あのガキが『人を刺して騒ぎを起こす』と繰り返し呟いていた。しかも俺が倒れたら誰もいないのに暴れまわってやがった。そういう事なんじゃね?」
「成程な。助かった感謝する」
どうやらあの子供は人を刺して騒ぎを起こす事が目的らしい。その為に暴れてエントランスで破壊を行ったならばやりようはある
「♪~~~♪~~~~~~」
剣を閉まって大声で歌うのは歌い慣れたリベールの歌、床を踏み鳴らして踊りも踊って見せる。暴れなくても物を壊さなくても騒ぐことは出来るのだ
「どうかな?俺と一緒に歌って踊って騒ごうじゃないか」
「騒ぎになる?」
「なるとも、怪我なんてしなくて見る人が楽しめる騒ぎだ」
「ならやる」
そして持っていたナイフを懐にしまった子供は同じように歌い出す。それは不慣れな小さな歌であったが確かに騒ぎとなっていた
「ガキはソレででいい、わざわざ怪我してまで戦う必要なんて無い。さて俺も仕事をするとするか」
それを物陰から見ていた銀はリャンミンを置いて己の仕事の為に気配を断った
1:ギルムッド兄弟の弟
という訳で俺は戦闘不能、エントランスで歌って踊っての大騒ぎになりましたとさ
2:名無しのゼムリア民
えぇ……
3:名無しのゼムリア民
もう、其処に飯も持って来て宴会しろよホント
4:名無しのゼムリア民
でも歌って踊ってるカシウス・ブライトはちょっと見たいかも
5:名無しのゼムリア民
ドゴォ!!>>4
6:名無しのゼムリア民
なぜ>>4は殴られ続けるのだろう。
彼は、ただカシウス・ブライトの歌と踊りが見てみたい、ただ純粋な思いでそう言っただけである。
しかしその次の瞬間、彼は全力の右ストレートで宙に舞っていた。
それから、時としておまえらは歌って踊るカシウスが見たくないのか? と言う問いかけもあったが、しかしそれに返る答えも鉄拳ばかりで、一人芝居の方が良いという奴もいたが、それ以上の言葉は無かった。
それほどまでに、カシウス・ブライトの歌と踊りとは拒絶されているのだろうか?
答えは否だ。
彼らは求めているのだ。
チート親父がテノールを響かせて、その鍛えられた肉体が躍動するその様を。
高揚して朱にそまる頬、額から迸る汗、時として、いつも飄々としている口元から、荒い吐息に混じって、スゥー、と言う息継ぎが漏れてしまう、そんな光景を求めて止まない!
ではなぜ>>4は殴られ続けるのか?
それは、歌って踊るカシウス・ブライトを想像するだに体を駆け巡る、どうしようもないパトスが、その捌け口を求めて彼らの右腕に宿り、全力で迸ってしまうからである。
つまり、>>4は否定されていないのだ。
全力で肯定されているのだ。
その肯定が、人知を超えたものになってしまっているために、もはや鉄拳でしか
彼らは自分の気持ちを語る術が無くなっているのだ。
今日もまた快音と共に>>4が宙を舞う。
歌って踊るカシウス・ブライトと言う度し難い欲望を、その身に一身に受けながら……。
7:名無しのゼムリア民
いや、度し難いのはお前の方だよ
8:名無しのゼムリア民
興味はあるけど其処まででもないかな
9:名無しのゼムリア民
多分宴会で頼めばやるだろあの人
10:名無しのゼムリア民
絶対やる、ついでにその後に頼んだ奴もやらされる
11:名無しのゼムリア民
ノリいいもんなぁ、あの人
12:ギルムッド兄弟の弟
あ、キツネさん。俺とリャンミンの治療代お願いします
13:名無しのゼムリア民
リャンミン?
14:ギルムッド兄弟の弟
人造人間ちゃんの名前らしい、銀が付けたんだって
15:名無しのゼムリア民
おい!どっから銀出て来た!
16:名無しのゼムリア民
まじで此処に来て銀っスか!
17:北国の女狐
治療代とか諸々払いますので銀について聞きだしなさい!今すぐに
18:ギルムッド兄弟の兄
待って、俺下手したら銀を相手にアニス様守らなあかんの?流石に銀の相手は無理よ
19:名無しのゼムリア民
今ってリーシャの親父世代ぐらいか?
20:名無しのゼムリア民
せやな、タイマンでリアンヌ様の兜をカチ割ったチート親父の一角やな
21:ギルムッド兄弟の兄
銀は無理よ。勝てないよ、下手しなくても準S級位は最低でもあるじゃん
22:名無しのゼムリア民
いや、まだ世代交代直後かもしれない。初期リーシャ位だったらA級位な筈
23:名無しのゼムリア民
どっちにしても格上じゃねえか
24:名無しのゼムリア民
A級って達人だからな、普通に人間やめかけてるからな
25:北国の女狐
うわぁ、共和国との協議に向かうの早まったぁぁ
脱走者さん、何とかグランセルに来れません?
26:崑崙脱走者
全身もれなくヒビ入ってるのに無茶させんな
27:名無しのゼムリア民
クソ、純粋な手数でこっち超えてきやがって。これだから大国は
28:ギルムッド兄弟の弟
えー、リャンミンちゃん曰くノーザンブリアのお姫様を狙ってるらしい。そんで話しを聞いたカシウスさんが急いでそっちに向かった
がんばれ兄者
29:名無しのゼムリア民
チート親父が来ればワンチャンあるか?
30:名無しのゼムリア民
いや、まだ覚醒前だから下手したら被害者増えるだけだ。フィリップさん呼べあの人なら大丈夫だ
31:崑崙脱走者
フィリップのおっさん多分女王宮の警備してんだよな。あの人が持ち場離れるか怪しいんだが
32:名無しのゼムリア民
将軍はどうした!
33:ギルムッド兄弟の弟
抜けたカシウスの代わりに歌って踊ってる
34:名無しのゼムリア民
何やってんだよ将軍!
35:ギルムッド兄弟の兄
うわぁぁぁ、ホントに来やがったぁぁぁ!!