リベール王国 グランセル城 ノーザンブリア控室
「時間となったのでお迎えに上がりました」
「ええそうですね。では、行って来るので後は頼みましたよ」
「何とかやってみますんで、姐さんも頑張って下せえ」
グランセル城のエントランスで侵入者騒ぎが歌って踊っての祭りとなった頃、ノーザンブリアとカルバード共和国の協議にキツネが控室から連れ出されていった
部屋の中にはギルムッド兄とアニス妃の2人、ギルムッド兄は部屋のドア傍に銀の襲撃に備えて簡易のバリケードを作っていた
「こうすりゃドアは開かねえ。襲撃されても時間稼げるだろ」
「此処までするんですか?」
室内にあったテーブルや椅子でドアを動かない様に固定して外部からの侵入経路をシャットアウト、そもそも入れない様にすれば襲われないという判断で実行した
「後は姐さんが戻って来るまで何も起きなければ」
「わざわざ逃げ道を塞ぐとは、仕事がしやすくて助かるな」
「え?」
窓側から男性の声、アニスとギルムッド兄が振り向くと黒の全身ローブと仮面に身を包んだ男が何時の間にか部屋に侵入を果たしていた
「アニス様、そいつ暗殺者でさ」
「ええ、その様ですね」
勝てる見込みは無いが少しでも時間を稼ぐ為に前へ出るギルムッド兄、その後ろでは扉に作ったバリケードを壊すアニス。状況は絶望的だった
「貴婦人の前だ、ノックなり名乗るなりして貰えねえかい」
「育ちが悪くてな、東方人とだけ言っておけば大丈夫か?」
スラリと大剣を抜きゆっくりと此方に向かって来る暗殺者を警戒しながらギルムッド兄はどうにか開戦を遅らせようと思案する
「公妃であるアニス様に送り込まれそうな東方人暗殺者、銀で違いないな?」
「ほう、よく知っているな」
取り合えずは情報アドバンテージを持っている事を示そうと知っている銀の情報を全て口に出す。
「カルバードの民主革命の裏で体制派反体制派関係なく数多の有力者を暗殺して東方人の地盤を築いた暗殺者ってぐらいしか知らねえけどな」
「其処まで知ってたら十分だろ、むしろどこで知った」
「歴史研究所の資料にあった」
「とんでもねえな歴史研究所」
ふざけているように見せかけながら時間を稼ぎ手元にある交渉札を探す。戦って勝てないならば戦わなければいい、銀を無害化させる方向で考えていた
「さてと、こっからは真面目な命乞いだ。銀って事は黒月関係者って事、交渉に入ろうか」
「此処までずっとふざけてただと」
そして黒月と切っても切れない仲という銀の弱点を思いついた
「此処にノーザンブリアの極秘計画、北西一路計画の詳細書類がある。ゼムリア北と共和国帝国を繋ぐ交通機関を作る計画だ。噛むことが出来りゃ黒月にも莫大なアガリになる。コイツで納めちゃ貰えねえかい」
「なんだと?」
懐から取り出した資料を銀に差し出す。元々アニスに見せる為に分かりやすくまとめた資料だ、門外漢の銀でも軽く見ておおよそを把握できた
「コレじゃ足りねえだろうし、導力車の生産技術を黒月に提供ってのも約束出来るがどうよ」
「導力車だと?まだ民間で量産はされてない筈だ」
「今キツネさんが共和国に工場を作る交渉してる、上手くいきゃ来年か再来年から共和国内で民間に出回る筈だ。わざわざ其処から技術盗むよりかは楽じゃねえか?流石に俺の立場だとコレ以上は厳しいんで引いてくれねえかね」
更に畳みかけられた導力車の製造技術提供の約束、此処まで大きな案件となると雇われ暗殺者である銀では手に負えない案件に膨れ上がった
「契約書が欲しいってなら今から書く、アニス様の血判押しておけば天の天蓋で確かめれば本物かどうかの確認も取れる。どうだ?」
「わかった、それで手を打つとしよう。契約書をよこせ」
「今から書く。アニス様、すみませんが血判をお願いします」
そうして受け取った契約書をしまい込んだ銀は交渉の最中ずっと思っていた事を口に出す
「ノーザンブリアは東方人と協力するつもりなのか?」
「コレから共和国で商売するんだ黒月とはお友達になりたいのは当然だろ?何なら紹介してくれや」
「その情報言って良かったのか?まあいい、面白い事を聞かせてもらった長老連中も喜ぶだろう」
元々大してやる気も無かった銀は思いもよらなかった手柄を得た事で満足して帰ろうとした時
ブーン、ッカーン!!
「やあ!助けに来たよ!安心して、僕が来た!」
控室の窓を切り捨ててビームサーベルを抜いた馬鹿が現れた
1:ギルムッド兄弟の兄
あの馬鹿何してくれちゃってんの!!
2:名無しのゼムリア民
どうした、というか銀はどうなった?
3:名無しのゼムリア民
というか馬鹿?ギルムッド弟はダウンした筈だが
4:ギルムッド兄弟の兄
ノーザンブリアを飛び出した危険物の事だよ!何か知らんがリベールまでやって来やがった
5:名無しのゼムリア民
ええ(ドン引き)
6:名無しのゼムリア民
おかしい、アイツ半日で帝国縦断してリベールのグランセルまで到達したんか
7:名無しのゼムリア民
それで、奴がどうした
8:ギルムッド兄弟の兄
銀と交渉が成立したと思ったら抜剣しながら乱入しやがった。現在、銀とアニス様をどうやってコレから守るか考え中
9:名無しのゼムリア民
銀とは交渉成立したんか
10:名無しのゼムリア民
何を餌にしたかは終わったら聞かせてくれや
11:ギルムッド兄弟の兄
で、どうすりゃいいと思う?少なくとも剣抜いたアレを止めないといけないんだが
12:名無しのゼムリア民
銀に何とかしてもらうとか
13:名無しのゼムリア民
忘れてはならない、アレは理を制御出来てないだけで理に至った天災だという事を
14:名無しのゼムリア民
剣抜いたあの馬鹿はマジで災害だもんな
15:名無しのゼムリア民
斬った物が枯葉なのか魔獣の区別ついて無いの怖いとしか言いようがないんだ
16:名無しのゼムリア民
マジでいうなら銀には逃げてもらってお前が奴を止めるしかない。銀だけなら逃げれるだろ
17:ギルムッド兄弟の兄
で?その後俺はどうすりゃいいの?
18:名無しのゼムリア民
頑張れ
19:名無しのゼムリア民
周りに動く物が無くなったら止まるから何とか逃げろ
20:名無しのゼムリア民
弱点を強いて言うならアルゼイド流は足を止めてから技を使うから技を使わせ続ければアイツの足を止めれるぞ
21:名無しのゼムリア民
たまに斬撃が飛んで来るけどな
22:ギルムッド兄弟の兄
そもそも技を出されたら俺終わるんですけど
23:名無しのゼムリア民
頑張れ、超頑張れ
24:名無しのゼムリア民
避けれないから達人なんだけど気合で避けて
25:ギルムッド兄弟の兄
クソがよぉ!!