リベール王国 グランセル城 カルバード共和国控室
「急に呼び出してしまい申し訳ありませんね」
「全くです。女性の準備には時間がかかります、礼儀という物を革命と共に失ったと見えます、何故、会談をこんな急に早めたのか是非とも聞きたいですねぇ」
共和国との会談に呼び出され不機嫌を隠さないキツネと白々しく既にテーブルに着いている共和国一同。ノーザンブリア側が1人に対して共和国側は大統領を中心に5人、国同士の交渉とは思えない人数差で始まった
「さて、事前にそちらに送った資料は読んでもらえてます?此処で読んでないと言われたならばコレから帝国に経済同盟の提案に向かう所存ですが」
「勿論読んでますとも。我等の首都イーディスを起点に北ゼムリアと北西地域を結ぶ大規模交通路の作成。素晴らしい提案です」
「ならば賛成と考えてよろしいですね?」
「ええ、勿論です。そうですね、我々としても貴国とは友好を深めていきたいとは思ってはおります」
交渉事に置いて「思ってはおります」という言葉は即ち「お前の案に不満があるから此方の案もねじ込ませろ」の意味と同義である
キツネは近くの役人に紅茶を頼んだ後
「共和国側は何を持って友好を深めようというのでしょう?ノーザンブリアは共和国内に導力車の工場を建設する事で示しますが其方は一体どのようにするので?」
「旧貴族の女性に貴国の国主であるバルムント大公に嫁いでいただこうかと。未だ跡継ぎがいないバルムント大公にはちょうど良いでしょう?勿論、貴族らしい血縁主義に則って名門とされる子女を嫁がせていただきます」
要するに共和国に邪魔なアニスを妃から蹴り落として共和国の息のかかった人間を公妃に据え置こうという企みである
その企みに対してキツネは
「ソレは素晴らしいですね、実はノーザンブリア側としてもいい加減跡継ぎをどうにかしてほしかったので願ったりかなったりです」
肯定の意を持って即答して見せた
「え?」
「おや?何故、不思議そうな顔をしているのでしょう?其方の要望が通るのです、笑う所でしょ。こんな風に」
唖然とする共和国側に対していたずらを成功させた子供の様に無垢に笑うキツネ、ノーザンブリアの弱点をよく知るキツネにはこの展開は予想出来ていた
「ホント、コレが無駄にならなくてよかった。さてと、ソレでは私はコレから帝国と経済同盟を結びに行くので失礼します」
わざとらしく懐から封書を取り出して席を立つキツネを慌てて扉を塞ぐ事で引き留める共和国役人の姿は余りにも滑稽であった
「おや?どうしましたか?ああ、この封書が気になりますか?仕方ないですね特別ですよ」
そう言って封書の封を切って中身を共和国側に渡して見せた
その封書に書かれていた物は
『現大公妃アニス・A・バルムントを大公家の養女としてハイデル・ログナー伯爵と婚姻を結びラインフォルト社及びルーレ市を二国による経済特区とする』
共和国からしたら受けれられない物であった
「コレは一体、いや本当にコレはバルムント大公と帝国が承知しているのか」
「その印は大公にしか押す事が許されない物ですよ。承知しているに決まっているでしょう。北国の小国と見くびりましたね今のノーザンブリアには帝国と対等に交渉できる技術があるのですよ」
実際は、バルムント大公も帝国もこの書状に一切関与しておらずキツネがリベール王国内ででっち上げた偽の書状であり一切の効力を持つ物では無いが共和国側にはソレを確かめる術はなかった
「いきなり養女にした挙句、帝国に嫁がせるとは流石は貴族。他者の人権を剥奪した野蛮な振る舞いですな」
「アハハハハ!大公とアニス様を離縁させて共和国から女性を嫁がせようとしたのは其方も同じでしょう?むしろ居場所が無くなったアニス様の居場所を作っている此方の方が幾分か文化的では?」
やろうとした事は共和国と同じだと返されると共和国側は思わず口が止まる。しかし、共和国側にはまだ切り札が残っていた
「しかし、その交渉も成功せねば意味が無いでしょう?婚約の約束を取り付けた後にアニス妃に何かがあるかもしれない」
「ああ、銀の事です?共和国でコレから商売をするのです、黒月とは約束を取り付けていますよ。今頃私の副官が銀に対して黒月との契約書を渡している事でしょう」
無論、嘘である。ノーザンブリアは黒月との交渉を行っていたという事実は無い
それに対して反応したのは大統領ではなく控えていた役人の1人であった
「あの裏切り者が!だから東方人など信用出来んのだ!」
「おやおや、馬鹿が見つかったようですねぇ。裏切り、即ち銀にアニス様の暗殺依頼を行ったのは其方という事でしょう。ああ、黒月に約束を取り付けたのは嘘です、最も私の副官は優秀ですし銀に対して命乞いを兼ねて何か契約書を書いているかもしれませんが」
要人暗殺を共和国が行った証言が出てしまった以上共和国側の要望に正義は無い。状況は一気にノーザンブリアへと傾いた
「交渉相手の所の要人を暗殺しようとした国がまともな交渉をして貰えると思わない事です、あなた方の支持者の事も含めて教会とギルドにばらされたくなければ此方の要望を飲んでもらいますよ。では、北西一路についてはコレで。後は共和国内に導力トラックの工場を建てる計画に関してもよろしくお願いしますね。断ったら分かりますよね」
要するに暗殺をばらすという脅しである。
「ああ、もしかしたら暗殺と追放の危険が無くなれば帝国との交渉も白紙になるかもしれませんよ」
無論嘘である、そもそも帝国と交渉などしていない
「そうですな、確かにアニス嬢を共和国は暗殺しようとしました。共和国からしてみれば邪魔なので。貴方からすれば拙いかもしれませんな」
「民主共和制も大変ですねぇ、支援者に尻尾を振って同時に大統領として国を安定させるどちらもやらねばなりませんし。この暗殺もその一環なのでしょうね」
「ええ、カルバード共和国大統領は大変です。時には他国の要人を拉致してでも国を発展させねばならない。アンヘル技師を拉致させていただきました、彼がいないノーザンブリアにどれ程の価値があるのか。なので北西一路計画は白紙とさせていただきましょうか」
「あー、ソレですか。流石は共和国の諜報、帝国のアンヘル技師を拉致する計画をちゃんと察知していたのでしょう。ですが、言いにくいのですがね帝国側の工作員はミスをしたのですよ」
「ミスですと?」
「アンヘル技師と間違って白衣を着た旅行客を拉致したそうです。赤い星座が雑な仕事と愚痴ってたそうですよ」
共和国が依頼した赤い星座の名前が出てしまった事は共和国側の企みの全てをノーザンブリアが把握している事を指していた
共和国の陣営は皆肩を落とし、対称的にキツネは仕事が終わったと伸びをして
「それでは今度こそ失礼しますね」
そして、共和国の控室を後にした
1:北国の女狐
勝った、リベール会議完!
途中から交渉してるのか詐欺仕掛けてるのか分からなくなってきてましたがオールOKです
2:ギルムッド兄弟の兄
お疲れ様です
3:崑崙脱走者
終わった終わった
4:北国の技術者
終わりましたね
5:名無しのゼムリア民
てんやわんやな一日だった
6:名無しのゼムリア民
ユン・カーファイから始まってノバルティス誘拐に黒の工房に赤い星座とリアンヌ・サンドロットからの銀
もうさ、お腹いっぱいなんよ
7:名無しのゼムリア民
取り合えず犠牲が誰も出なくて済んだのは良かった
8:ギルムッド兄弟の弟
俺、刺されてるんですけど!
9:名無しのゼムリア民
あ、忘れてた
10:ギルムッド兄弟の兄
お前、今何してんだ?
11:ギルムッド兄弟の弟
リャンミンちゃんに三不粘の作り方教えてる
お玉振るうたびに傷が痛むぜ
12:名無しのゼムリア民
安静にしとけバカ
13:名無しのゼムリア民
食中毒の元だから怪我人が厨房に入ってんじゃねえ
14:名無しのゼムリア民
というかリャンミンちゃん迎え来てないんだ
15:名無しのゼムリア民
そういやアルベリヒの事すっかり忘れてたわ
16:名無しのゼムリア民
今からアルベリヒ戦か
17:北国の女狐
それなら私が何とかしますよ。あのゴキブリが関わってると聞いた時から対策用の札は作っております
18:ギルムッド兄弟の弟
あ、じゃあお願いします
19:ギルムッド兄弟の兄
ふう、仕事終わり。飯にすっか
20:崑崙脱走者
全身痛むし寝る
21:エディン
体中が筋肉痛で辛い
22:北国の技術者
さて、持ってきた設計図を書き上げてしまいましょうか
23:北国の女狐
誰も手伝う気無いんですね
24:名無しのゼムリア民
というか満身創痍だったり弾切れだったりで戦えるのがキツネさんしかいない
25:名無しのゼムリア民
まあ、頑張ってください
26:名無しのゼムリア民
ただアルベリヒ割と強いんよな
27:名無しのゼムリア民
戦術殻無しでエマの母親に勝てるレベルだもんな
28:北国の女狐
術で勝てないならフィジカルで勝ちます。獣のフィジカル舐めないでください
29:リーヴェルト家の変人
でもキツネさん200年以上鍛錬重ねても理に至れてないじゃない
30:名無しのゼムリア民
武術の才能が……
31:名無しのゼムリア民
フィジカルと魔術特化なんよな
32:名無しのゼムリア民
まあ、それでも今のグランセルで最強の生物だし
キツネ 「私がその気になれば大統領だってぶん殴ってみせるノーザンブリア舐めんじゃねぇ!今日の私は紳士的だ、運が良かったな」