リベール王国 ボース市
「だから先ずはコンセプトをしっかりして設計せんか。コンセプトが定まらずに作った物はブレてとんでもない駄作に繋がると師から習わなかったのか」
「ですからコンセプトは最大性能をどのような場面でも発揮する事その物がコンセプトなんです」
「最大性能とは何か?それは機械が本来の性能を発揮する場面に過ぎん、どのような場面でも最大性能を発揮するという事はどのような場面にも対応出来るように複数の機構を詰め込む事になる。遊び心なら分かるがコンセプトにはならん」
「っぎぎぎぎ」
ボースにあるとある小さな喫茶店、フェリシティが父親から出された課題の製図を行っていた所にノバルティスが通りかかった結果フェリシティの課題に付き合わされる事となった
「設計図には設計者の技量と思想が宿る、技術者ならば覚えておきたまえ」
「っはい!ノバルティス博士」
「!今、何と言った!」
「?ノバルティス博士と言いましたが」
「博士、博士と来たか。素晴らしい!未だ不世出の私を博士と呼ぶとは。いいだろう、フェリシティ・ラフリー、貴様に私の教えをくれてやる」
そしてそのまま流れるようにノバルティスの弟子にもなった
「いや、それはそれで困るのですが。というか、フェリシティさんも変な癖を出さなければこの程度の課題は直ぐに終わるでしょうに」
「遠慮するな何なら貴様にも私の知恵を貸してやろう。フェリシティの導力除湿機にも飽きた所だしな。どれ、見せてみろ」
「え、除湿機で超絶スペック出そうとしたんですかフェリシティさん」
もし完成していたならば干物用のトンデモ除湿器が完成していたかもしれない
「それで?貴様は何を知りたい?見せた方が得だと思うがねえ」
「まあ、いいですが」
「アンヘル様の仕事って国からの重要機密なのでは?」
「どうせその内に量産される物なので、それにコレを利用して利益を得ようとしてる感じではないですし」
そう言って鞄の中からファイルに挟まれた設計図を取り出してノバルティスに見せてみる
初めは成程と笑みを浮かべていたが読んでいくにつれて笑みが消えてむしろ青筋が浮かぶようになっていった
「なんだコレは!遊び心が無いではないか!つまらん物を作りおって!」
「練習すれば誰もが使える量産品に遊び心を求められても。というか何処でも作れて誰でも使えて簡単に修理が出来る事が私の思想ですので」
「遊び心を少しはもたんか、コレでは改良する点を探すのが面倒ではないか」
設計図に書かれている物は油圧式ショベルカー、コレから北西一路を制作する為の重機であった
「長く使われた技術はそれだけ信頼性と整備性が高いですからね。ソレを組み合わせて追加で最新技術をアクセントで加えるだけでもそれなりに様になります」
「その追加した最新技術も既に普及した導力ホバークラフトからの流用ではないか。まあいい、儂のやり方とは合わんならそれなりにやりようがあるわ」
「その設計図は予備の物なので存分に書き込んでください」
設計図の余白に数式や材質など細かな改良点を書き込んでいくノバルティスを尻目にアンヘルは昨日の夜に掲示板で言い渡された戦術導力器の設計を頭の中で組み上げていく
内部に導力を貯蔵するバッテリーを内蔵させて駆動する仕組み、其処まで大まかに組み上げて問題に突き当たった
「コレ、クォーツの開発が私の専門だけでは無理ですね」
ハードである戦術導力器までは作れるが機能させる為のソフトであるクォーツに関しては一切の知識を持たなかった
「ん?どうした?私の英知が必要かね?」
「そうですね、博士の技術力と知見は間違いなく頼りになります。失礼ですが連絡先をいただけませんか?何時かあなたの力が必要になるでしょうし」
「クロスベルのローゼンベルク工房を訪ねて来い、大抵私は其処にいる」
「成程、なら貴方に会いに行った時にお弟子さんも紹介してもらえませんか?」
「ふむ、奴にもそろそろスポンサーが必要だからな。場所のセッティングだけはしてやるが其処から先は奴次第だ」
「構いませんよ。お弟子さんが望むならばクロスベルからの移動も行いません」
実際は掲示板で何時でも連絡と相談が出来るがそろそろ分かりやすい人脈的な繋がりを作る必要があると考えてノバルティスに紹介してもらい残っていたコーヒーを飲み干していく
空のカップを置いてミラを取り出す辺りでフェリシティも課題を終わらせたようだ
「あ、博士の分も私が支払いますわ。その代わりなのですがいつかローゼンベルク工房に留学をしてもよろしいでしょうか」
「工房への入門をコーヒー代で建て替えようとするでないわ。工房長である師の許可がいるだろうから確約は出来んぞ」
「そうですよ。というか弟子入りするならそれまでにもっと技術を磨いて下さい、それまでは他国に弟子入りは恥かしくて許可出来ません」
「っぐ!でしたら私が父とアンヘル様を納得させる物を作り上げたならば入門を許可してください」
「構いませんよ、優れた技術者は1人でも多い方がノーザンブリアの為なので」
1:北国の技術者
悲報、今のノーザンブリアでは恐らくクォーツが作れません
2:名無しのゼムリア民
いや、諦めが早いよ。まだ実物すら見てないやん
3:名無しのゼムリア民
まあ技術者ニキはプロなんだし理由を聞こうや
4:北国の技術者
単純な話です、ノーザンブリアはクォーツを作る為に必要な前提技術がありません
5:名無しのゼムリア民
技術ツリーが違うって事?
6:名無しのゼムリア民
クォーツって導力器の系列技術違うん?
7:北国の技術者
ノーザンブリアって導力器をエネルギー源として利用する事は研究しているのですけど魔導現象を起こす方向は一切してないんですよね
8:名無しのゼムリア民
そういや導力飛行艇の開発も技術者ネキの手助けが無かったら完成してないもんな
9:名無しのゼムリア民
そういやそうか
10:クロスベルの技術者
お?アタシの出番か?
11:北国の技術者
取りあえずは実物見て軽く分析してみますがその後は技術者ネキに回しますよ
12:名無しのゼムリア民
そうなるとまた変人ニキに運んでもらわなきゃならんな
13:リーヴェルト家の変人
えー、面倒なんだけど
14:クロスベルの技術者
いや、一回ビームサーベルの調子とか使い心地とか聞きたいから呼び出すつもりではあったぞ
15:リーヴェルト家の変人
あ、確かに剣の長さとか重みとか調整してほしい所はあったかも
16:名無しのゼムリア民
ならちょうどいいやん
17:名無しのゼムリア民
というか俺達の中で安全に帝国内を移動できるの変人ニキかキツネさんしかおらんし行ってもらわな困る
18:名無しのゼムリア民
何で帝国とノーザンブリア国境に猟兵やら賊やらが普通に出没するんすかねぇ、カイエン公仕事してくれ
19:名無しのゼムリア民
おかげで帝国とノーザンブリアの貿易が進まねえんだ
20:リーヴェルト家の変人
仕方ないし行って来るよ。明日日曜なんだよな出来れば平日がいいけど
21:名無しのゼムリア民
何で?
22:リーヴェルト家の変人
休日だと最悪ヴィクターが僕を捕まえに出張って来るからさ
23:名無しのゼムリア民
だからトールズが授業中の隙にさっさとクロスベルまで抜けると
24:名無しのゼムリア民
帰りで出くわす位なら身軽な行きで出会ってさっさと懺悔した方がいいんじゃ
25:名無しのゼムリア民
というかもうレグラムに頭下げに行って来いよ