【悲報】俺達の転生先、ゼムリア    作:石黒 雲水

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帝国横断珍道中 リベール→クロスベル

エレボニア帝国 トリスタ

 

 

 

「探せ!あの愚か者はまだ遠くには行っていない!必ず何処かに隠れているはずだ!」

「どこに行ったアルゼイド流の恥!」

 

トールズ士官学院のお膝元トリスタ、学生が集まる賑やかでのどかな市街地にエレボニア帝国全土からアルゼイド流の剣士が押し寄せていた

集まった剣士は皆奥伝を受けた実力者であり、それを動員しているアルゼイド流の本気が見て取れた

 

「見つけたら最低でも3人でかかれ、間違っても剣を抜かせるな被害が大きくなる」

「トリスタの皆様、お騒がせしてすみません。アルゼイド流の大捕り物ですのでご安心ください」

 

「いや、流石に君たちが殺気立って巡回してたら安心できないでしょ」

「いたぞ!リカード・リーヴェルトだ!」

「アルゼイド流の名を騙った罪此処で断罪する。覚悟せよ」

 

広場に面した飲食店、キルシェで買ったピザとコーヒーを頂きながら広場で捜索の指揮をとる剣士を挑発する様に姿を現すリカード。

すぐに周囲を剣を持ったアルゼイド流剣士に囲まれる。

 

「ちょっと待ってね、この皿とコーヒーカップをお店に返すから」

「むう、店に迷惑をかけるのは此方も望む所ではないな。待ってやるから早くしろ」

「悪いね、それじゃ。マスター美味しいコーヒーとピザありがとう」

 

そうして今度こそ剣士達に向き合い背中に背負った剣に手を掛ける。そして勢いよく抜いたものは

 

「降参しまーす、いやー奥伝複数とか無理無理」

 

鞘に白布を取り付けた白旗だった

 

 

 

 

トールズ士官学院、その近隣に設置された貴族寮。普段ならば礼儀正しく静かな寮に怒声が響くその中心にいるのは2人の青年だ。知る者ならば貴族と分かる制服を来た剣を背負う男子生徒と縛られ地面に転がされている男の2人がこの騒ぎを引き起こしていた

 

「全く、何をしているのだ貴様は!!」

「そう怒鳴るなよヴィクター、ちょっと急ぎでリベールまで向かっただけじゃないか」

「他人の名前を無断で使い、更に出奔した実家に迷惑をかけてるだろうが!!」

 

剣の師であり実の父から送られて来た手紙には同じ道場で競い合った友が帝国中のアルゼイド門下生に自身の名前で馬を借りてその支払いを出奔した実家に押し付けたという各方面に迷惑しかかけてないという頭を悩ませる出来事であった

そりゃあ元凶にはマジ切れする

 

「レグラムからの手紙で貴様の所業を知らされ帝国中の門下生に散々頭を下げる事になった訳だが、言い残す事はあるか?リカード・リーヴェルト」

「まあまあ、一応悪いとは思ってるんだよ?だからわざわざトリスタによってお土産渡しに来たんじゃないか」

「リベールの土産?そんな物でアルゼイド流の面子が」

「はい、ノーザンブリアが極秘で進めてる北西一路の資料。帝国もまだ掴んでない本物の機密文書の写しだよ」

 

自力で縄を解き懐から取り出したのはノーザンブリアにあるキツネの部屋にしまってあった北西一路の資料の写し。

未だ表に出てない機密文書であった

 

「……重いわ馬鹿者!というか貴様は今ノーザンブリアの剣術師範だろうが、何処から漏れたか直ぐにバレるだろうが!」

「大丈夫大丈夫、どうせ2か月もすれば帝国も察知するだろうし。それまで表に出さなければバレやしないって。それにリーヴェルト家にももう送ってあるし今更だって」

 

トリスタに到着する数時間前、帝国各地に存在するリーヴェルト社の支店の1つから実家であるリーヴェルト本社に謝罪文と称して既に送っている。

 

「お前という男は結局誰の味方なのだ。帝国かノーザンブリアかそれとも例の裏解決業とやらか」

「決まってるじゃないか、僕が仲間になりたい者の仲間だよ」

 

そうしてアルゼイド流への詫びを済ませたリカードは預けた剣を背負いなおしてトリスタを後にした

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、居るんだろう?カンパネルラ。頼みたい仕事でもあるのかな?」

「相変わらず勘が鋭いよね。便利過ぎない?観の目って」

 

東トリスタ街道に出て直ぐ感じた知り合いの気配に虚空に向かって訪ねてみると何もない筈の場所からスーツを来た少年が現れた。結社身喰らう蛇の執行者、カンパネルラである

 

「前にも言ったけど執行者の誘いは断るよ。自由にやれるのはいいけどバレた時が大変だから」

「連れないよねホント。まあいいや、今日は別だから。ノーザンブリアについて盟主様が気になってるみたいだからちょっと教えて欲しいなー」

「それぐらいならいいけど、具体的には?」

「僕達の味方になってくれそう?」

「それは分からないかな?場合によっては味方だし敵になるかもしれない?ただ君達みたいに至宝を相手取る覚悟だけは十二分あるよ」

「へえ?執行者のまとめ役としてはそういう人達に入って欲しいな。マクバーン、実力はあるんだけどやる気が無くてさ」

「苦労してるね中間管理職は、まあ君の信用が0ってのもあるんだけど」

「ナンバーと同じで0なんだよねー何故か」

 

ケラケラと2人して大口を開けて笑いあう。勿論互いに得物に手を掛けたままだ、どちらかが抜けばすぐさま殺し合いが勃発する事になる

 

「さてと、それじゃお仕事頼みたいんだけど。この人を帝国から追放してほしいんだよね」

「うぅぅ…」

 

見れば何時の間にか其処に縛られて口に猿ぐつわを噛まされた男が倒されていた。酷い暴行も受けたのだろう、顔も元の輪郭が分からない程腫れあがっており服も血であちこち汚れていた

 

「いいけど、誰?というか帝国から出るまでに死なない?」

「名前は言えないけど実の兄の奥さんと子供作って追放された人。出来れば死なせないで追放してほしいかな」

「あー、あの家の汚点か。アレが四大名門ってどうかと思うよホント」

 

四大名門を構成する一門、アルバレア家。後にゼムリア全土を振り回す大事件に関わる家である。転生者であるリカードはその流れを知っており直ぐにこの縛られた男が何者かを悟った

 

「まあいいや、手持ちのティアの薬を使うけど薬代経費で落としてくれる?」

「結社もまだミラが少ないから経費は抑えてほしいんだけど。まあ、ティアの薬ならいいかなティアラより上はダメだよ」

「ケチだねー」

 

薬で一時しのぎの治療を施してかろうじで歩けるようにした男を連れて今度こそクロスベルへ向かう。帝国外ならばクロスベルも入るだろう其処で開放すれば仕事は完了だ

 

「ま、あのクズにムカつく気持ちは分かるけどやり方を間違えた君が悪いよ。仮にも貴族ならやりようは幾らでもあっただろうに。君も所詮は同類、一度全てを失ってやり直せばいいよ」

 

腫れが僅かに引いた男から彼の家の紋章をはぎ取った

 




ルーファスの父親って名前分からないんですけど知ってる方いますか?
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