ノーザンブリア大公国 とある町工場
「お願いします!雑用でも何でもするので働かせてください!」
「悪いな坊主、手が足りすぎてんだ。つーか、この職人町の工房みんな手が足りすぎてて雇う余裕が無い。田舎に帰るか海側で仕事探しな」
「そんな、此処まで来たのに…」
門前払いをくらい肩を落として帰る少年に胸を痛めながらも今の職人町にそんな余裕が無いと心を鬼にする
「また来たのか」
「ここんとこ、毎日何人か来てますよ親方。ったく、追い返す側にもなれって話ですよ」
「どこもかしこも人が足りすぎる何てなあ。少し前まで若いもんが来ねえって頭悩ませてたのが嘘みてえだ」
「おまけに大量の仕事も舞い込んで、景気が良すぎるのも考え物って事ですな」
アンヘルが何かを開発する度にノーザンブリア全体の工房に大量の仕事が舞いこむ。それまで職人町の皆で仕事を分け合わなければ存続できなかったのが今では全ての工房が職人を欲しているほどだ
「今日の会合でも仕事量何とかして欲しいって言われたよ。ったく、アンヘルの阿呆が出世しすぎたせいだ」
「アンヘルの奴を技術局に推薦したの親方でしょう?しゃあなしって所でしょ」
「それで苦労してんのは俺だよ。最近じゃ、あの野郎国家機密に関わってるせいで碌に手紙も届きゃしねえ。おまけにあいつ今はリベールに出張中だ」
「どうすんすかそれ」
「アンヘルのお袋さんに頼んで嫁さんの実家に送ってもらう。確か技術局局長の娘って話だ、可能性はあるだろう」
「あー、そりゃいいっすね。それじゃあ、俺もそろそろ行かねえと。作らにゃいけねえ部品が山ほどあるんで」
発注書を片手に機械に向かう倅の姿に頼もしさを覚えながらもこのままではいけないと気合を入れなおし
「ったく、出世するにも程があるんだよバカ弟子が」
貴族にまで成り上がった弟子の実家に手紙を書き始める親方であった
1:北国の技術者
悲報、ノーザンブリアの職人がパンクしました
2:名無しのゼムリア民
えぇ……
3:ギルムッド兄弟の兄
嘘だろ。おい
4:北国の技術者
おかげで重機の量産に取り掛かれません
5:名無しのゼムリア民
いや、どうすんねんこれ
6:北国の技術者
正直、甘く見てました。どうしようもないです
7:崑崙脱走者
いや、予想出来た事だろ。何で対策してないんだ
8:名無しのゼムリア民
脱走者、お前予想してたのか!?
9:名無しのゼムリア民
嘘だろ?この脳筋が?
10:崑崙脱走者
あのな、ノーザンブリアが海運で成長した国って聞いた時点でこうなるって予想出来たろ。職人が少ないんだよこの国は
11:名無しのゼムリア民
まあ、うん。そうね
12:名無しのゼムリア民
否定できねえ
13:崑崙脱走者
天才技術者生まれて沢山の物を開発しても量産するのは職人だ、工業大国ってのは職人大国なんだよ
14:北国の技術者
失念してました
15:北国の女狐
安心してくださいな。私がとっくの昔に対策の一手を講じております。
16:名無しのゼムリア民
流石はキツネさん。因みに何やったんです?
17:北国の女狐
技術者さんを貴族に婿入りさせました
18:名無しのゼムリア民
うん?
19:名無しのゼムリア民
それって、万が一にも他国に取られないようにする為じゃ
20:ギルムッド兄弟の兄
2匹目のドジョウか
21:北国の女狐
そういう事です
22:名無しのゼムリア民
ナルホドナー
23:北国の技術者
どういう事ですか?
24:名無しのゼムリア民
なんで張本人が分かって無いんだよ……
25:名無しのゼムリア民
この人、自分の価値が分かってないから…
26:名無しのゼムリア民
今まで農家の次男、三男は継げる物が無いから軍人や商人、水夫に就職してたが、実家農家で貴族まで出世した奴が出てきたせいで技術者志望の奴が爆増するという事
27:北国の女狐
そろそろ職人希望者が飽和してる頃合いでしょう。後は新人が育てば職人不足は解決です
28:崑崙脱走者
成程、完璧な作戦っスねー。職人が育つのに時間がかかるという事に眼をつぶればよー
29:ギルムッド兄弟の兄
職人、そんな簡単に育たねえんだ
30:北国の技術者
早くても2年ぐらいかかりますかね
31:北国の女狐
…………塩の杭に間に合わないじゃないですか?!
32:名無しのゼムリア民
キツネさんのポンは珍しいな
33:名無しのゼムリア民
技術者育てた事ないならしゃーない
34:崑崙脱走者
というか、工作機械は足りてんのか?人が増えても道具が無きゃ意味ないだろ
35:ギルムッド兄弟の兄
工作機械は足りてる。むしろ余りまくってる
36:名無しのゼムリア民
何故に?
37:北国の女狐
海運国なので商人が多いんです。工業ブームが来ればそれを作る為の工作機械の輸入量が増えるという事です
帝国製、共和国製、レマン製、リベール製。何でもござれですよ
38:名無しのゼムリア民
そこでノーザンブリア製が無いのが工業国じゃない所以
39:北国の技術者
作ろうと思えば作れますが、買った方が安いし早いですので
40:名無しのゼムリア民
どこぞの農業アイドルを見習うべきでは?
41:名無しのゼムリア民
バイクからスポーツ用品まで作ってる楽器会社ってすげぇんだな
42:名無しのゼムリア民
目指すは地産地消よ
43:名無しのゼムリア民
新人には頑張ってもらいたいものだ
44:名無しのゼムリア民
その為には塩の杭までに即成栽培でもいいから育てないと
45:名無しのゼムリア民
よっしゃ、作戦考えようぜー
「で?何だこれは?若手限定技術コンテスト?」
「技術局の連中が持って来たんすよ、それもノーザンブリアにある全ての職人町に。何でも来年の4月に10代の連中を集めてやるらしくて」
「会場でホバークラフトの組み立て、一部部品は会場で作成して貰います。ってそう来たか」
「コンテストは貴族様も見にくるらしいんで今年来た若い連中張り切ってやがる。現金な物ですよ」
「コンテストまで半年もねえ。即成栽培だが少しは見せれるように鍛えてやらねえとな」