クロスベル自治州 マインツ
「で?このおっさん誰だよ?」
「うーん、実の兄の嫁さんと不倫したうえ子供作って帝国から追放された人」
「カスじゃねえか、で?ソレをマインツに連れてきてどうしろって?」
「行き場が無いから雇ってあげれないかなーなんて」
マインツにあるエミリア工房、ノーザンブリアとの依頼品の受け渡しの場に見慣れない男が一人。当主であるヘルムート・アルバレアを裏切り彼の妻と不義を行い帝国から追放された男である
「ウチの工房じゃ無理だ。色々とあるからな。うーん、そのおっさん税金関係は詳しいか?」
「一応、元貴族なので」
「なら村長に税理士として紹介してやる。つーか、肉体労働の経験ない奴をいきなり坑道に放り込めねえし此処じゃそれぐらいしか仕事ねえぞ」
「ありがたい、もう私には過去に得た知識と経験しかないので」
「ま、平民として頑張ってくれや」
その後、男を村の宿である赤レンガ亭に送り届けて今度こそノーザンブリアからの依頼を果たす
「コイツがクォーツね、見た感じはセピスを固めた物…いや、色々と刻まれてんな。確かに技術者ニキが専門じゃねえってのも分かるが。取り合えず分析するが時間かかりそうだな」
「因みにどれくらい?」
工房にある機材、手持ちの道具、今まで作った物を加味して分析と再構成、サンプル作成にかかる時間を試算する。
今が7月後半、其処から計算して大体3~4か月
「まあ、年は越さねえよ」
「えー、また来るの」
「こんな可愛い天才技術者と会えるんだから少しは喜べ馬鹿野郎」
1:クロスベルの技術者
おい、この馬鹿がルーファスの実父連れて来やがったんだが
2:名無しのゼムリア民
えぇ…
3:名無しのゼムリア民
そういや、今年はルーファスとオリビエの誕生年か
4:名無しのゼムリア民
アイツら同い年なんだよな、そういや
5:名無しのゼムリア民
つまりルーファスの親父が追放された年でもある
6:名無しのゼムリア民
貴族の堕落始まったな
7:名無しのゼムリア民
で?連れて来たルーファスの親父どうしたん?
8:クロスベルの技術者
村の税理士として村長が雇ってくれるってさ
9:名無しのゼムリア民
むしろ今まで居なかったんか税理士
10:名無しのゼムリア民
クロスベル近いし毎年クロスベルに頼んでたんじゃね?
11:リーヴェルト家の変人
いやー、雇ってくれて助かったよ。流石に行き場が無い人をほっぽり出すのは胸が痛いから
12:名無しのゼムリア民
お前は何でルーファスの親父とクロスベルに到着してんだよ
13:名無しのゼムリア民
何があったら追放貴族と旅してんだ
14:リーヴェルト家の変人
途中でカンパネルラに頼まれてさ。勿論、仕事料は貰ったよ
15:名無しのゼムリア民
さて、この馬鹿追放すっか
16:名無しのゼムリア民
流石に結社の身内は雇えねえべ
17:名無しのゼムリア民
あれは!伝説の不採用通知!
18:リーヴェルト家の変人
待って、確かに執行者に誘われたけど受けてないって。ほら、ヴァン・アークライドだって結社から仕事貰ってたでしょ、あんな感じだって
19:名無しのゼムリア民
執行者の誘いは有ったんかい
20:名無しのゼムリア民
まあ、コイツなら妥当っちゃ妥当だが
21:リーヴェルト家の変人
No.2に誘われたけど断ったよ。乗っちゃたらレーヴェがどうなるか分からないし
22:名無しのゼムリア民
その良識はあったんだな
23:リーヴェルト家の変人
いやね?僕の理を何とかしようと結社にお願いしたんだよ、結社じゃ無理って言われた
24:名無しのゼムリア民
お前のアレ結社ですら無理だったんかい
25:リーヴェルト家の変人
ワンチャンあるんじゃないかと思ったんだけどね、真の剣の達人じゃないと無理って言われた
26:名無しのゼムリア民
あ、でも解決の道標べは貰えたんだ
27:名無しのゼムリア民
だから偶に結社の仕事を受けてると
28:名無しのゼムリア民
ナルホドナー
29:リーヴェルト家の変人
まあ、どうせクロスベルにお使いだったし手間は変わらないから
30:名無しのゼムリア民
そういや、クォーツはどうなったん?
31:クロスベルの技術者
アレなぁー、分析再構成サンプル作成まで考えると2、3ヶ月待ってくれ
32:名無しのゼムリア民
そっちでも時間かかる感じ?
33:クロスベルの技術者
どうせノーザンブリアじゃ専用の製作機械もないだろうしその分の設計図まで書かなきゃならんからな
34:北国の技術者
あ、製作機械の設計図は助かります。それとノーザンブリアでも問題発生したので時間はかけて貰って構いませんよ
35:名無しのゼムリア民
ノーザンブリアの問題も解決まで時間かかりそうだしな
36:北国の技術者
その問題が解決するまでは戦術導力器は後回しです
37:名無しのゼムリア民
何…だと…
38:名無しのゼムリア民
そんな、俺達がアーツで無双する計画が
39:名無しのゼムリア民
尚、適性があるか不明
40:名無しのゼムリア民
しゃーない、近代戦術で頑張んべ
41:名無しのゼムリア民
ちなみに、戦術導力器はいつ頃になりそう?
42:北国の技術者
塩の杭よりも後と考えて下さい
43:名無しのゼムリア民
マジで時間かかりそうだった
44:名無しのゼムリア民
そりゃあそうだわ
45:名無しのゼムリア民
残念ですが当然
「えーと、こっちが今年の経費の領収書でこっちが収入関係。頼めるかな?」
「ふむ、ちゃんと束にして纏めてある。クロスベルの税制についても問題ない大丈夫だろう」
「いやー、毎年年末にクロスベルに持っていくの大変だったんだ。助かるよ」
「いや、此方こそ置いて貰ってありがたい。今日中に終わらせるから他に書類があれば持って来て欲しい」
税を扱っていて感謝をされるのは初めてだ、もう私は貴族ではない事が今身に染みて理解した
それまで支えてきた全てを失った。今の私には財も身分も何も無い。それでもそんな私にマインツの人達は暖かかった