【悲報】俺達の転生先、ゼムリア    作:石黒 雲水

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エディンとライカの冒険(上編)

ノーザンブリア大公国

 

 

 

9月となり夏の暑さが残暑となったノーザンブリア、歴史研究所ではエディンとライカが借りた千刃扱きで新蕎麦の脱穀を行っていた

 

「むー?こうかな?」

(もうちょっと角度を浅くするんじゃない?)

「あ、出来た!」

 

一度成功してコツを掴んだのか少しずつペースが上がっていき1時間立たずに両手に4杯ほどの蕎麦が脱穀された

 

「コレを粉にすれば蕎麦粉なんだよね?」

(9月の蕎麦って黒じゃなくて黄緑色なんだね)

「うーん、いつもより匂いも違うような」

(確かにいつもよりも匂いが強いね)

 

そしてその蕎麦を前にしてどうするか考えていると

 

「おや、蕎麦の脱穀ご苦労様です。ところで何処で頂いたのですか?後でお返しをしとかないといけないので」

「昨日、日曜学校で貰ったの」

「そういえば少しだけですが作ってましたね。この千刃扱きは納屋に閉まっていた奴ですか、よく見つけましたね」

 

仕事の合間だろうか、通りがかったキツネが蕎麦の実に触れて今年の豊作を確信してニコニコと笑顔をこぼす

 

「それでお二人はこの蕎麦をどのように召し上がるのですか?」

「お蕎麦以外に食べ方あるの?」

(僕はお蕎麦がいい)

「例えばですけどクレープみたいに作るガレット、パンケーキみたいに作るブリニ、実は色々とあるんですよ」

「ほえー」

(いろいろあるんだね)

 

そこでキツネが何かを思いついたのか少しだけ思案した

 

「では、こうしましょうか。実は技術局のアンヘル技師に届けてほしい荷物があります。ソレを届けていただけるなら私がこの蕎麦を使った料理をご馳走しましょう」

「いいの?」

「ええ、こう見えて料理は出来るのです」

「いや、荷物を私達が持って行って大丈夫なの?」

「大丈夫です、特に機密という物では無いので。毎年贈っている秋の風物詩、サ・ンマです」

 

そうして研究所の食堂から何やら刻印付きの木箱を持って来たキツネ、木箱は子供でも背負える大きさで中に氷でも入っているのか少しだけ冷たく感じる

 

「ではコレを技術局のアンヘル技師かネヴィル局長に届けて下さいね」

「はーい、行って来まーす」

 

 

 

 

意気揚々と出てきたものの技術局まではそこまで遠くなく間にライゼ区とテンダ区の2つの商業区を挟むだけだ

 

ライゼ区では市場や個人店が並び季節の食材や日常雑貨、装飾品など様々な賑わいを見せている

そんな美味しそうな匂い漂う町を歩いていると見知った人と遭遇した、銀髪で背中に剣を背負い両手にイカ焼きを持つ男、リカード・リーヴェルトだ

 

「おや、エディンさん?それともライカ君かな?君達も食べ歩きかい?」

「エディンだよ、キツネさんから技術局にお届け物をしてるの」

「そうなのか、秋に入って食べ物も増えたのか野良犬をよく見かける様になったから少し注意をして行くといいよ。あ、コレはお駄賃ね」

「ありがとう」

 

そう言ってまだ食べてないイカ焼きをエディンに渡してリカードは次は炉端焼きが食べたいなどと呟きながら去っていった

 

「うーん、美味しい」

(イカ、柔らかいね)

 

貰い物のイカ焼きから香ばしい匂いを漂わせながら次のテンダ区に移っていく、地区が変わるだけで先程とは打って変わって明るい大通りと細い裏通りが広がり大通りでは高級店が並び裏通りには小さな個人店がひっそりと連なっている

そんなテンダ区だが今日は何時もと様子が違っていた

 

「なんか今日カラスが多いね」

(うーん、リカードさんは野良犬が多いって言ってたけど…確かに裏通りから気配がする)

 

建物の上にはカラスが飛び回り、裏通りには野良犬寝そべっている。道を通る人々も異常を感じているのだろう店の中に入りあまり外に出ない様にしていた

そんなテンダ区の大通りを歩いているとエディンの周りに裏通りから出て来たのだろう野良犬の群れが集まって来た

 

「お?お、おおぅ」

(エディン、カラスも来たよ!)

 

空ではカラスがエディンの頭上を飛び回り明らかにエディンをターゲットとして狙っているその動きから狙いは

 

「ダメ!これは技術局に持って行く荷物なの!」

 

背中に背負った荷物であった。

 

『マモラナイト……ボクガタタカワナイト』

「ダメだよライカ!ワサビ食べるよ!」

 

更に襲われた事でライカが暴走を始めてその対応に追われるエディン、そして遂に

 

ブチッ!

 

荷物についていた肩紐が千切れ落ちソレを見逃さず野良犬が裏路地へと引っ張っていってしまったのであった

 

「あ…」

 

既に裏路地の陰に引きずり込まれてしまった荷物をワサビをかじりながら呆然と見送る事しか出来ず

 

「どうしよう…」

 

取り合えず野良犬が消えていった裏路地にトボトボと歩いていくのであった

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