【悲報】俺達の転生先、ゼムリア    作:石黒 雲水

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トリスタ、若き剣士の青春(中編)

エレボニア帝国 トリスタ 

 

 

 

「まったく、何てものを持ち込むのだ貴様という奴は」

 

トリスタの宿屋キルシェ、リカードが滞在する部屋でヴィクターとリカードは早めの夕飯を頂いていた。メニューはピザとサラダそれにコーヒーだ

リカードはチーズを口から延ばし口元には油とトマトソースが付いているがヴィクターは手にすら油が付かない優雅な物だ、もっともリカードが持ち込んだ黒の史書の写しに怒りを覚えているのだろう肩に力が入ってしまっている

 

「そう言うなよ親友、ここに書いてるなら30年後にゼムリア大陸を揺るがしかねない大戦争が起こるらしいよ」

「だから内容を話すな馬鹿者が!あとそういった古文書に触れる前に手を洗わんか!」

 

手元にある黒の史書には帝都の始まりから30年先の未来の戦争が書かれているが肝心の部分である塩の杭の記述が抜けている、彼の仕事はノーザンブリアの未来を確認することだ、その為にトリスタまで赴いたのだ

 

「30年後と言えばまだ僕等は現役だ、次の世代の為に少しは出来る事しようぜ。例えばトールズ士官学院の校舎にある写しを手に入れるとかさ」

「貴様がトールズを訪れて来た意味がわかった、関係無い私に片棒を担がせるつもりか」

「関係ないとか酷い事言うなよ相棒じゃないか」

「同門であるが相棒では無いわ、たわけ!」

 

キレるヴィクターと笑いながら受け流すリカード、それはレグラムの道場で何度も繰り広げられていた日常風景だが今は片方はエレボニア帝国片方はノーザンブリア大公国に属する戦士が故に互いに納得する妥協点を探らなければならない

 

「報酬はちゃんとあるよ。そこにある金属塊、それで如何だい?」

「何か持って来たと思っていたが。何だこの金属は」

 

部屋の隅に立てかけてある巨大な金属塊、白く金属光沢を光らせる巨大なソレは冷たくどこか温かい水晶のような不思議な物質。アルゼイド流次期当主として数多の武具を見てきたヴィクターも初めて見る金属であった

 

「ゼムリアストーンって言う物でね凄まじい硬さと粘りを誇るゼムリア大陸で最も頑丈な金属さ。何でもリアンヌ・サンドロット様の武器もコレで作られていたらしいよ」

 

帝国各地に存在する暗黒時代に作られた遺跡。遺跡の中には現在では生成できない金属が残されている事がある、リカードが持ってきたゼムリアストーンもその1つだ。アルゼイド流の原点である偉人の獲物を作り上げた素材に思わずヴィクターも肩の力を抜いてまじまじと観察してしまう

 

「槍の聖女の得物の材質などアルゼイド家にも伝わっていないが何処にその様な伝承が残っていた?」

 

ゼムリアストーンに触れてその感触を確かめながらもヴィクターは疑問を覚える、アルゼイド家には必ずSのミドルネームが入る、Sの意味はサンドロット。アルゼイド家にはそれ程までに重要な人物なのだ

 

「ノーザンブリアの守護狐様は獅子戦役にも従軍してたそうでね、彼女も槍の聖女から剣術を教わっているんだ。もっとも250年経っても理に至ってはいないけど」

 

ノーザンブリアで時々剣の鍛錬を共に行っているが今のところリカードの圧勝である、理を発揮できる実剣ではなく木剣での打ち合いでこれなのだから実剣でならば一振りで斬り落とせるのは余裕だろう。

キツネは10年程度鍛えただけで理に至った方が可笑しいというが人を凌駕するスペックに振り回されていてコントロール出来ていない方が問題ではないかとリカードは思っている

 

「確かに妖狐と共に獅子戦役を戦った記録はある。成程、存命であったか」

「元気だよ、270を超えてるとは思えないぐらいに」

 

今頃共和国で好き勝手にやっているであろう上司の姿を想像して思わず笑ってしまう程には元気だ

 

「270か、それほどの長き時を生きた視点には何が映っているのか気になる物だ」

「ま、達人とは別方向で化け物ではあるよ。僕がポーカーで勝てた事が無いくらいにはね」

「カジノを破産させた貴様に負けなしとはまさしく化け物だな」

「生まれて初めて賭け金が無くなって服を脱ぐ羽目になったよ」

 

容赦なく服を質屋に売り飛ばしたキツネに顎と鼻が尖った漫画のようなセリフをぶつけたのもノーザンブリアで得たいい思い出だ

 

「それよりも黒の史書の写し探しに協力してくれるかい?かの獅子皇帝が創設した学院だ僕の読みじゃある筈なんだけど」

「……1つ条件がある。ある方に協力をお頼みする事を認める事だ」

「他言無用でお願いしたいけど仕方ないな。外交問題は勘弁してよ、一応僕の雇い主はノーザンブリアなんだから」

「それは貴様次第だな」

 

 

 

 

翌朝

 

「本日はよろしく頼む」

「はははははは、此方こそご迷惑をおかけいたします」

 

(よりにもよって殿下かよ!!)

 

後に第87代皇帝となるユーゲント・ライゼ・アルノールであった

 

 

 

 

 

1:リーヴェルト家の変人

トールズ士官学院内の探索をヴィクターにお願いしたらなんかユーゲント殿下も一緒に来たんだけど

 

 

2:名無しのゼムリア民

何で?ユーゲント殿下ってトールズ生だっけ?

 

 

3:名無しのゼムリア民

年齢的には3月に卒業済みじゃないか?クロウみたいに訳あって年上みたいなパターン?

 

 

4:名無しのゼムリア民

待ってユーゲント殿下ってそんな若いの?確か今年の4月じゃないっけオリビエが生まれたのって

 

 

5:名無しのゼムリア民

学生の内にやらかして実りすぎた初恋の結果だからオリビエは

 

 

6:名無しのゼムリア民

何やってんねん次期皇帝という方が……

 

 

7:リーヴェルト家の変人

そういえば旅の途中でアルスターに寄ったけど宿屋に赤子連れの若い給仕さんが居たっけ、あの子供がオリビエなのか

 

 

8:名無しのゼムリア民

アルスターの人達も驚いただろうな、里の誇りとして送り出した才女が妊娠して帰ってきたんだもん

 

 

9:名無しのゼムリア民

まあ受け入れてくれる穏やかな里で良かったよマジで

 

 

10:名無しのゼムリア民

田舎特有の共同体、外から見る分には嫌いじゃないよ

 

 

11:名無しのゼムリア民

殿下ってまだ息子が生まれた事知らない筈だからバラすなよ

 

 

12:リーヴェルト家の変人

バレたらどうなるの?

 

 

13:名無しのゼムリア民

下手したらオリビエを抹殺する為にアルスターが焼かれる、今の殿下にそれを止める力は無い

 

 

14:名無しのゼムリア民

原作だとオリビエもある程度大きくなったのとミュラーが護衛についてたから生き延びただけで猟兵団相手は普通は死ぬからな

 

 

15:リーヴェルト家の変人

あらかじめ襲いそうな猟兵団を斬っておこうか?

 

 

16:名無しのゼムリア民

大本の貴族の腐敗をどうにかしないとどうにもならんぞ、猟兵団の雇い主は貴族だから

 

 

17:名無しのゼムリア民

ホント帝国貴族は皇族を敬ってんだか雑に扱ってんだかわかんねえんだ

 

 

18:名無しのゼムリア民

雑に扱ってるのは四大名門の公爵家の派閥じゃない?侯爵家の派閥はそれなりに敬ってるはず

 

 

19:名無しのゼムリア民

階級的に上位に位置してる公爵家が腐ってるんじゃダメじゃねえか

 

 

20:名無しのゼムリア民

何でよりにもよって公爵家が腐ってんだ本当に

 

 

21:名無しのゼムリア民

そんなだから間違ってもオリビエの事を外に漏らすなよ

 

 

22:リーヴェルト家の変人

了解了解

 

 

23:名無しのゼムリア民

怖えなぁコイツにこの手の情報教えるの

 

 

24:名無しのゼムリア民

まあコイツが動くと何だかんだいい方に転ぶから

 

いい方に転ぶように俺達が必死に働いているともいうが

 

 

25:リーヴェルト家の変人

ごめーん、オリビエの事殿下に教えちゃった(・ω≦) テヘペロ

 

 

26:名無しのゼムリア民

コイツ信じた俺達がバカだったよ!!!

 

 

 

 

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