【悲報】俺達の転生先、ゼムリア    作:石黒 雲水

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クロスベル、ファーストヒーロー誕生

クロスベル自治州 マインツ

 

 

雪が降り積もる帝国を横断しマインツ山道を超えてやって来たのはリカード、その背中には剣の他に丁寧に梱包された荷物が背負われていた

 

「やっと来やがったか、頼んでた奴は?」

「はいはい、こんな物背負ってノーザンブリアから歩かされるこっちの身にもなって欲しいけど」

「お前以外に秘密裏に帝国横断できる奴がいねぇんだから仕方ないだろっと、へえ高純度の七曜石って聞いてたけど本当にデカいなコイツはっと!」

 

受け取った碧く輝く七曜石を直ぐに作業台へ置いて寸法通りに割っていく、どれだけ高価な代物であっても彼女にとっては高品質な素材でしかないのだ

 

「何で君はそんなに躊躇なく割れるのかな?売ればこのマインツにビルが建つぐらいの代物だよ」

「デカすぎたら小型化出来ねぇだろうが。コレで良し、後はあらかじめ組んどいた導力器にコイツをセットするだけでっと」

 

見事に割られた七曜石を導力器の内側にセットして起動する、内側から溢れ出る碧い導力は工房を瞬く間に光り輝かせた

 

「凄いね、そういうのに詳しくない僕でも分かるぐらいの導力が出来てる。何に使うんだい?」

「明日また此処に来てくれりゃ判るって。あ、剣は絶対持って来いよ耐久テストしたいから」

「ふーん、何を作るのか分からないけど面白い?」

「腹から笑わせてやんよ、っつー事でコレからゼムリアストーンを加工しないといけないからじゃあな」

「期待させてくれるじゃん、それじゃあ明日の10時に来るよ。あっマインツって賭けポーカーやってる所ある?」

「飲み屋で仕事終わりのおっさんとでもやってろ」

 

 

 

 

翌日

 

「おはよう……大丈夫かい?」

「徹夜でゼムリアストーン加工してたんだから大丈夫な訳ないだろ」

 

工房から顔を出したエミリアの顔にはクマが浮かび髪や服には金属粉が付いている、昨日から休まずに作業をしていた証だ

 

「それじゃ見せてもらおうかな、君が作った面白い物を」

「ほいよ、こっちだ。入口のロックは忘れんなよ」

「君の技術を見られる訳にはいかないからね」

 

そして雑多な物が置かれた工房の中でも更に最奥、外からの光は入り込まず人工的な光のみで照らされた極秘工房へと案内された

そこには明りに照らされた大柄な青と銀色の金属甲冑がマネキンに着せられて鎮座していた

そしてその甲冑をリカードは前世の記憶で知っていた

 

「騎士甲冑にしては丸っこいね」

「分かってんだろテメー、こいつはスーツ兵器って奴だ。パワー強化に飛行機能に光学迷彩、おまけにゼムリアストーンの硬さ。こいつ一機で下手な猟兵団は壊滅できる」

 

ついでに戦術導力器を内蔵しており水属性のアーツまで使える、完全にオーパーツな代物だ

 

「……君はバカかな?」

「バカになんなきゃこんな物作んねぇよ。おら、耐久試験すっからアタシが離れたら剣抜いて一発ぶった切ってみろ」

「やれやれ、ゼムリアストーン製の装甲を斬るのは初めてだから加減は出来ないよ」

「どうせ加減なんて身に着けてないだろうが」

「たしかに」

 

そして1人になった部屋で剣を抜いたリカードは光剣を構え精神を研ぎ澄まして一振り、要塞の門を切り開く一撃は珍しく相手を間違えずにスーツへと打ち込まれた

 

「………硬いね」

 

剣は当たったがゼムリアストーン製の曲面装甲はその一撃を見事に受け流し表面の僅かな傷だけが斬撃の成果として残された

 

「ふぅ、ぶった切られないかヒヤヒヤした」

「それは君かスーツかどっちだい?」

「どっちもに決まってんだろ。さてと後は実際に着せての試験だな」

「妙に大きいと思ったら君用じゃないのか、誰に着せるつもりだい?」

「ディーター・クロイス」

「それはダメじゃないかな!?」

 

 

 

 

1:リーヴェルト家の変人

ねえ、ディーター・クロイスにアイ◯ンマンスーツってどう思う

 

 

2:名無しのゼムリア民

もうそれだけで何処の誰がやらかしたのか分かっちまうな

 

 

3:名無しのゼムリア民

何やってんねん技術者ネキ

 

 

4:クロスベルの技術者

仕方ねえだろ、クロスベルの治安終わってんだから

 

 

5:名無しのゼムリア民

クロスベルの治安が終わってるのは何時もの事だろうが

 

 

6:クロスベルの技術者

去年起業してから何人のシングルマザー雇ったと思ってんだ、今回ばかりはディーターに力貸すぞアタシは

 

 

7:北国の女狐

まあ、自分が所属する勢力に肩入れするのは構いませんが帝国や共和国に流出はしないでしょうね?

 

 

8:クロスベルの技術者

一応流出防止の自爆機構は付けてるから大丈夫だ

 

 

9:北国の女狐

なら良し

 

 

10:リーヴェルト家の変人

いいんだ……

 

 

11:名無しのゼムリア民

ディーターが戦える様になったらソレはソレで問題じゃない?大統領にならなくなったら碧の軌跡起こんないよ?

 

 

12:名無しのゼムリア民

いや、クロスベル事変はクロスベルへの愛が暴走した結果だから結果は対して変わらないんじゃないか?

 

 

13:名無しのゼムリア民

ソレは確かに…

 

 

14:名無しのゼムリア民

技術の流出防止は出来ててもスーツを見たら自分で研究して作る奴はいるだろ、ノバルティスとか

 

 

15:名無しのゼムリア民

確かにアイツは絶対に作るな

 

 

16:クロスベルの技術者

ローゼンベルク工房にいる内は大丈夫だぞ、爺さんが見張ってくれるだろうし

 

 

17:名無しのゼムリア民

逆に言えば結社入りしたら作るんじゃねえか

 

 

18:北国の女狐

そうですねぇ、そこら辺の対策はどうなってます?

 

 

19:クロスベルの技術者

別に?装甲がゼムリアストーン製で強力な導力器が装着されてるから強力なだけでそうじゃないなら大した性能じゃないからな

 

ぶっちゃけコスパは悪い

 

 

20:名無しのゼムリア民

因みにスーツ一着あたりの値段は?

 

 

21:クロスベルの技術者

材料費が高過ぎてグレートノーザンブリアぐらいするんじゃねえか?特に導力器に使う高純度七曜石が手に入らんし

 

 

22:名無しのゼムリア民

そんな高いのアイ◯ンマンスーツ

 

 

23:名無しのゼムリア民

マジかよ小さな国の年間国家予算かよ

 

 

24:名無しのゼムリア民

そんだけのミラが出せるディーター・クロイスとんでもねえな

 

 

25:クロスベルの技術者

ぶっちゃけ予算無尽蔵なおかげでクッソ楽しかった

 

 

26:名無しのゼムリア民

でしょうね!!

 

 

 

 

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