ノーザンブリア大公国 公都ハリアスク
「それでは課題は事前に伝えた通り戦術導力器です。制限時間は12時間、部品の持ち込みはあり、足りない部品は会場内に用意した各種工作機械を用いて作成するように。それでは始めてください」
本来屋内スポーツを行う広い屋内にノーザンブリア中の職人街から集まった技術者、全て職人となってから3年以内の未熟な若手だ。
街毎のチームを組んで専用の工作台の前でそれぞれの設計図を広げて細かな部品を組み上げていく、ある者は組み立てを行い、ある者はチームの指示を出しある者は持ち込んだ部品に足りない物や傷や欠けで使えない部品を加工機械で作っていく。
皆必死に真剣に手を動かして課題にされた最新精密機械の完成を目指して部品をフレームの中に収める
その様子を周囲から貴族たちが眺める、皆自分の領地を発展させる人材を見つけようと必死だ
「先週いきなり上層部から課題が替えられたときはどうなるかと思ったがどうにかなってるようだな。アンヘル特務技師」
「そうですね、戦術導力器の設計図を各職人街に送るのは苦労しました、部品の加工を間に合わせるとは流石はノーザンブリアを支えてきた職人です」
「しかし上も思い切った物だな、他国に優位を取ることが出来る技術を独占するのではなくこうも簡単に広めようとするとは。アンヘル君もそう思わないかね?」
会場の見物席にはノーザンブリアの貴族だけではなくレミフェリア公国の幹部やエレボニア帝国のラインフォルト社や共和国のヴェルヌ社から数多の人種の幹部、アルテリア法国及び七曜教会、エプスタイン財団と様々な国や勢力が技術を手に入れようと手元の紙にペンを走らせていた
尚、ノーザンブリア側はソレを取り締まる気は一切ない
「ノーザンブリアの戦術導力器はキツネ様がDG教団から鹵獲した代物です、恐らくはエプスタイン財団が研究していた物が流出したのでしょう。それならば独占に意味が無いとの事です」
「成程、どうせその内に世界中に広まるなら技術力の誇示に使おうという事か」
「まあアレの解析再構成を行なったのはノーザンブリアではなくクロスベルのとある技術者な訳ですが」
直接会った事のないクロスベルの少女を隠すために技術の原点をあやふやにする、その目的もこのコンクールには存在する。思えば彼女もクロスベルの火種その物だ
「それにしてもこうしてみると実力差というのがハッキリと判るな、配った設計図通りに組み上げる者、中身を設計図通りにして外装に独自性を持たせる者、設計図を読み取り更に再構成を行う者、コンクール入賞の判断基準は求めるスペックで起動する事が前提と考えると独創的すぎるのも問題だが設計が出来るのは高評価だ」
「いや、設計図を理解したうえで再設計してるのフェリシティさんじゃないですか、自分の娘だからって甘く評価しないでください、アレだと魔道の適性が高い人にしか使えない代物が出来ますよ」
他のチームと違って1人で工作台に向かって他と比べて2周り大きい戦術導力器を組み上げているフェリシティは他のチームからしても異様に映る。彼女を知っている者からしたら【またやったのか】と言いたくなる
「うむ……私の娘ながら独学で理論を理解して再設計するとは、まさに天才の才能だ。少々設計思想が前面に出すぎるのも愛嬌という物だろう。少なくとも才能は否定できまい」
「ああ、本当にこの親バカは……」
「では、私は軍との共同プロジェクトに向かうのでな後は頼む」
「了解しました」
確かに才能は認めるしかないと思っている。特定の個人の実力を引き出す為のワンオフも悪いとは言わない。
だが、今必要なのは誰もが使える量産品だ
「やはり一度クロスベルに修行に出すべきですかね」
「よう、何を悩んでんだ?」
「俺達兄弟で良ければ力になるぜ」
やって来たのはガラの悪い2人組の男。最近は別の陣営で仕事をしているギルムッド兄弟だ
「くくく、まさかこんな形で量産させるとはな」
「おかげで最近バレスタイン大佐が新しいオモチャを手にした子供みたいにはしゃぎまくってるんだよな」
「何というかギルムッド兄弟が揃っているのは久しぶりですね、もしかしなくても私の護衛ですか」
やって来たギルムッド兄弟はこの会場内でも数少ない武器持ち、周囲からしたら誰かの護衛とすぐに分かるだろう
「そんなところだ、弟との仕事は久しぶりだ、気合入れさせてもらうぜ」
「最近俺が軍の特殊部隊の運用試験に出ずっぱりだからな、おかげで俺も戦術導力器を貰えたわけだが」
「そういえば検査でアーツ適性が火属性よりという結果が出たのでしたらしいですね」
「兄者が風属性よりと聞いて流石は兄弟と思ったぜ」
「風は火を煽り強める、俺達兄弟のコンビネーションがさらに強化されちまったなぁ」
「何で複合属性を独自で生み出してるんですかあなた方は?」
「歴史研究所の連中も大体は適性があってアーツに対応しようとしている、動き出したな時代がよ」
「そういやシンジの奴はアーツが上手く発動しないらしいが原因は分かったのか?」
歴史研究所内ではシンジが戦術導力器使用してアーツを発動させた際に他の人と比べて明らかに規模が小さいという問題が起きていた、研究所内で調べても原因が分からないので一度だけアンヘルが呼び出される事があった
「まあ単純に適性がとても弱い、発動しているがとても微弱なだけです。私たちの中では間違いなく最弱の適性です」
「ンな事だろうと思ったぜ」
「最近ホーバークラフトに走って追いつき始めたんだよなアイツ、アレでアーツ適正まであったら反則だ」
「ちなみにエディンさんは最強の適性を持っているので例の合体を行えば弱点無くなりますよ」
「「やっぱり反則じゃねぇか!?」」
その後会場内で様々な勢力と挨拶回りを終わらせてコンクールの審査に移るのであった
3:北国の技術者
取りあえず若手技術者のコンクールは終わりましたが、結果は使い物になる者が8割程度。何とか一芸を身に着けたといったところでしょうか
4:名無しのゼムリア民
8割かぁ……低いとみるか半年ちょいでよくここまでと見るか
5:名無しのゼムリア民
8割の内貴族が抱え込むのがどれくらい?
6:北国の技術者
半数って所でしょうね、まぁ国中何処でも戦術導力器の修理が出来ると考えたら反対できません
7:名無しのゼムリア民
そうか、技術開発局が技術者独占したら壊れた時に技術開発局に送らないと修理できないのか
8:名無しのゼムリア民
修理や点検のインフラ整備は重要だもんな
9:北国の女狐
そのせいで各地の貴族が力を持ちすぎる可能性を考えると調整が大変そうですがね
10:名無しのゼムリア民
あ、キツネさんだ
11:名無しのゼムリア民
実はSTRカンストしてATSが低い術士という事が発覚したキツネさんだ
12:名無しのゼムリア民
クラフトと通常攻撃の威力が大差ない理由ってそういう事だったんですね
13:北国の女狐
明日の訓練はハリアスクからレミフェリアまでのマラソンです
14:名無しのゼムリア民
うわぁぁぁぁぁぁ!!!
15:崑崙脱走者
お前らなぁ、ソレに付き合わされるこっちの身にもなってくれ
16:名無しのゼムリア民
お前はエディンちゃんとライカ君と一緒にアーツの訓練だろうがよ
17:名無しのゼムリア民
何でぶっちぎりのアーツ適正を持っててうまく起動しないかね?
18:北国の技術者
ぶっちぎりだからでしょうね、適性が高すぎて専用で組まないとエラーが起きるのでしょう
ところで今日フェリシティさんがアーツ適正が高くないと起動しない戦術導力器を作成したのですが
19:崑崙脱走者
ソイツを使えばエディンとライカも使えるようになるのか?
20:北国の技術者
間違いなく使えます
21:エディン&ライカ
やったー!!!!
22:名無しのゼムリア民
よかったなぁ、2人とも
23:名無しのゼムリア民
使えなくて結構気にしてたもんな
24:名無しのゼムリア民
コレでみんなアーツが使える!