【悲報】俺達の転生先、ゼムリア    作:石黒 雲水

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妹が未来に悲観的なカルトっぽい事件に巻き込まれてしまった件

エレボニア帝国 帝都ヘイムダル

 

 

〔お姉ちゃんへ、シオンの未来を守る為にノーザンブリアに行ってきます。いつ戻って来るか分からないけど手紙は定期的に送るので心配しないで下さい〕

 

そんな書き置きを残して妹が姿を消して1年、毎月そこそこのミラと共に手紙が送られて来るが何処にも居場所は書かれてなく今の仕事についても分からない。流石に心配になって娘のシオンを育てる為の育休中にも関わらず職場の帝国時報の力を借りて探したが行方は未だに見つからない

仕方がないので記者の仕事で時々取材をさせてもらう遊撃士に依頼を出す事にした

 

「成程ね、ノーザンブリアに行くと言って姿を消した訳か。またノーザンブリアか」

 

遊撃士協会ヘイムダル支部の来客室、記者の仕事柄取材では時々訪れるが依頼主として訪れる事は初めてだ、妹探しの依頼を受けたB級遊撃士に居なくなった状況を説明するとどうやら他にもノーザンブリアに向かうと言って居なくなった人がいるらしい

 

「またって妹みたいに居なくなった人が他にもいるって事?」

「帝国内だけじゃないリベール王国、レミフェリア公国 カルバード共和国 自由都市圏。ゼムリア大陸中で似たような案件が出ている。何か書き置きとか伝言とか残してないか?例えば、未来を守ってくるみたいな?」

「よく知ってるわね、残してたわよシオンの未来を守りに行くって。もしかして他の居なくなった人達も?」

「ああ、どうやらノーザンブリアに向かった連中は未来に悲観的らしい。そして未来を守る鍵がノーザンブリアにあると確信してるみてえだ」

 

未来を守るという置き手紙まで同じ、ソレがゼムリア大陸中で行われているなんて悪質な宗教の様だ。

 

「意味が分からないわね……もしかして洗脳みたいな事をやってるのかしら?ほら、共和国の方で活動してる何たら教団って奴」

 

エイドスを否定する為に人を攫って人体実験を行なっているカルトが存在している事は国外の事件を担当する記者から聞いている。もしかしたらノーザンブリアはそのカルトの巣窟と化しているのかも知れない。

ソレならば妹が危険だ

 

「DG教団ならありえない、何せゼムリア大陸で最もDG教団に厳しいのがノーザンブリアだ。知ってるか?ノーザンブリア内で発見された教団員の死亡率、6割を超えてるんだ」

「6割って、半数以上が死んでるって事!?ノーザンブリアって信仰の自由が無いの?」

「それが精霊信仰や辺境の因習に近い宗教の資料とかはメチャクチャ豊富でな、遊撃士協会もその辺の資料が欲しい奴はノーザンブリアに行って資料写して帰ってくる訳だ、確か実際に辺境の儀式をやってみた記録とかも有ったな。そんな訳で信仰については大国よりも自由だったりはする」

「むしろ不安になるわね、変な儀式とかやってなければいいけど」

「噂じゃ変な物が呼び出される可能性がある儀式は向こうの遊撃士が立ち会いにつくらしいぜ」

「.……向こうの遊撃士も大変ね」

 

実際に変な物が呼び出された事例とかあるのだろうか?帝国内でも暗黒時代の遺跡では霊や悪魔の様な魔獣が見つかるし倒せない訳では無いらしいがそんな物と相対させられる遊撃士に同情してしまう

 

「そんな立ち会いを頼まれる程度に遊撃士協会もノーザンブリアと仲が悪い訳じゃない、向こうじゃ貴族と軍の犯罪調査が一任されてんだぜ、帝国じゃありえねえよ」

「何それ、じゃあ貴族の連中が女性を攫っても遊撃士が助けてくれるって事?羨ましいわね、帝国でもやって貰えないかしら」

 

記者の仕事をしていたら貴族に気に入られて金と権力で強引に妾にさせられる事件が嫌でも耳に入る、帝国時報でもそういった事件を取材して記事を書くがその度に上から掲載取り消しされまともに記事になった事は殆どない

 

「それが出来りゃ俺は既にAランク遊撃士になってるよ、つーか普通は貴族社会ってのは遊撃士と仲悪いからな。ノーザンブリアがおかしいだけだ」

「分かってるわよ、そんな事」

「ま、何かあったら皇室に証拠付きで苦情でも入れるんだな、流石に皇族なら貴族相手に罰が下せる、被害者への報復までやったら場合によっては家ごと取り潰しだ」

「それで大人しくなるなら事件なんて起きないわよ。貴族の連中、皇族を敬ってるなんて口だけよ」

「そこは同感だ。あ、噂じゃ向こうの貴族の子供と平民の子供が同じ日曜学校で勉強してるらしい。おかげで貴族の家に婿入りとか普通におきてるらしいぜ」

 

「そういや教会の牧師さんが言ってたわね、向こうじゃ日曜学校が月曜から金曜までの週5回行われて忙しすぎるって」

「おまけに教会の数も多いし何なら勝手に立てられた教会も結構あるらしいしそこに牧師の要請が法国にひっきりなしに起きてるってよ。法国も大変だ」

「その分勉強出来るって事でしょ。羨ましいわね」

 

帝国内じゃ週に1回の日曜学校より多くの事を学びたければ高等学校に行かねばならないがその為には個人的に勉強をしなければならない、ソレを教会が受け持って教えてくれるなんて見習いから記者に成り上がった身からするとあまりにも羨ましい

 

「あーあ、聞いてるとノーザンブリアが天国に思えるわ。最近新技術が発明され続けて景気もいいらしいし」

「新技術、そういやソレがあったか」

 

「何かあるの?例えば何処かの技術を盗んだとか」

「いや、確かに討伐したDG教団から鹵獲した技術も随分とあるんだがな、確かノーザンブリアのアンヘル博士が才覚を出し始めたのはノーザンブリアに向かった人が居なくなったのとほぼ同時期だった様な…」

「………確かアンヘル博士が導力ホバークラフトを開発したのは去年の1月よ。確かにあの子もその時期に居なくなってる」

「関連があるかは分からんが気になるな、帝国時報経由で調べられないかね?」

「難しいわね、ノーザンブリアの情報はこの前の戦術導力器の時みたいに向こうから情報を貰ってる状況だもの。流石に機密性の高い事は厳しいと思う」

「そうか、なら俺が行ってみるかね。流石に機密には近づけないが観光がてら調べてみるわ」

「危険じゃない?」

「その辺はわきまえてるよ、どうせ戦術導力器の研修で一回行かにゃならんからなぁ」

「なら良いけど、間違って捕まっても私について喋らないでよ。私はまだシオンを残して死ぬ訳にはいかないの」

 

その後出された紅茶を飲み干してギルドを後にした。彼は数日後にノーザンブリアに旅立っていったが後日戻って来て出された報告は何の成果も得られなかったという物であった

 

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