ノーザンブリア大公国 歴史研究所
「ッハ!」
「まだまだぁ!!」
「毎朝毎朝ようやってんな2人ともよぅ」
歴史研究所の訓練所では毎朝大木を重機で叩くような重い音が鳴り響く、エディンがシンジの腹筋に拳を叩き込む音だ。その音を目覚ましにして他の人たちも寮から起きてアップを始める、徹夜だったギルムッド兄は職場の書斎から早めにやって来たらしい
「ギルムッドお兄さんおはようございます!」
「おはようさん、なんか忙しそうだな。手伝える事あるか?」
「おはよう、軍の方と遊撃士の方から戦術導力器を使った戦術訓練の依頼が来てっから変わりに行ってくんねぇか?」
やって来たギルムッド兄の目の下には黒い隈、最近はノーザンブリアグループス計画が詰めの段階に入っているので時々書類と調整に追われている。そんな今の彼に軍との戦闘訓練は酷だろう
「俺、まともにアーツ使えないんだが」
「ボクもまだ余り使えないかな?」
「お、ライカもおはよう。そこの筋肉は別だがエディンとライカお前さん達用の戦術導力器が届いてるぜ。試しついでに行ってくれや」
「大丈夫?爆発しない?」
「多分、きっと、もしかしたら大丈夫」
「間違いなくダメなやつじゃん」
そうして訓練を早めに切り上げて研究所内で戦術導力器を受け取りを行った2人はエディン&ライカ用戦術導力器の姿に驚いた
「うわぁ、でっかい……」
「なんか俺達の奴よりも5倍近いデカさがねぇか?どうなってる?」
「なんか2人共全属性に強い適性があったらしくてな、4属性全てのクォーツを使う為に4つの戦術導力器をくっつけてエディンちゃん達の天使の力に対策させたらこうなったらしい。デカすぎるんでこのリュックに入れて持ち歩けってよ」
「いや、そのリュックサックどうみてもランドセルじゃん」
そうして取り出された革製のリュックサック、頑丈で使い勝手がよくちょっとした防具にもなる高性能品そしてその見た目は完全に質のいい革で作られた赤いランドセルであった
「昔キツネさんが大公家の娘さんに作った奴を仕立て直したらしい」
「何やってんの?あの人さあ」
どうりでやたらと高性能かつ質がいい訳である、
「かわいい!つけていい?」
「まあ、気に入ってんならいいが」
赤いランドセルを背負ってぴょんぴょんとはしゃぐエディン、内側ではライカもカッコいいと大満足だ
「そんじゃ軍の訓練施設に行ってくれや」
「あいよ」「行ってきまーす」
「オイオイオイオイ!兄者が来るって聞いてたんだが!?」
「お前かよギルムッド弟」
「ギルムッド弟さんお久しぶり!」
ノーザンブリア大公国軍の訓練場、普段は銃の射撃訓練や大砲の砲術訓練が行われる広大な訓練場、そこにシンジとエディンを含めた11人が集まっていた
ギルムッド弟を含む5人の軍人で組まれた軍人チームそして遊撃士3人とシンジとエディンの連合チーム、審判役にバレスタイン大佐が立ち合い今日の訓練は行われる
「そんで?俺達は遊撃士3人と組んでお前ら軍人チームと戦えばいいのか大佐?」
「そういう事だな、そちらのお嬢さんはリベールで戦える事は確認しているがいいのかな?訓練用模擬弾とは言え痣にはなる」
「いいよ!私もライカも強いもん」
「フハハ、その自信、頼もしい事だ。では1時間後にこの場所に集合、それまでは遊撃士達と話し合って訓練に励んでいてくれ」
「了解」
連合チームは各国から集まった遊撃士達が集まった寄せ集めだ、普段は別の地域でそれぞれの仕事を行っている面々、当然連携なんて出来る訳もないので模擬戦まで連携訓練を行う事となった
「そんじゃ自己紹介からやってこうや、俺はシンジ・グロウル、見ての通り殴り合い上等の格闘家だ」
「ボクは、ジーク・セイランドです。レミフェリア公国でB級遊撃士やってます。元軍人なので格闘術には自信があります」
「ウチはユズ・リン、共和国のC級遊撃士で月華流を使うヨ。アーツはまだまだ練習中ネ」
「私はテオ・アルトハイムである、エレボニア帝国の男爵家の一員でB級遊撃士として活動している。士官学院時代に学んだレスリングには自信がある」
「エディンだよ、シンジと同じ崑崙流を使うの。そして、ボクがライカっていうんだ、術が得意なんだ」
会話の途中でいきなり声色や表情しぐさが別人に変わる少女に遊撃士達は驚くがシンジが2人の過去を話すと遊撃士達は彼女の過去に同情の意を表した。特に共和国で活動しているユズ・リンは不甲斐ないと涙まで浮かべている
「助けられなくてごめんヨ」
「ふむ、多重人格のような物か。術を得意とするならば後衛に居てもらおう」
「というか彼女に後衛をしてもらわないと前衛しかいないもんね」
「意義無いヨ、こんな小さな子が前に居たら巻き添えが怖いネ」
「しっかし、相手は銃やら剣やら持ってるのにこっちは皆徒手空拳かよ」
「東西の格闘家が揃い踏みであるからな。だがだからこそそれぞれの立ち回りに予想がつくという物よ」
「取りあえずは突っ込んでぶっ飛ばしてから考える、シンプルでいいね」
「絵面は完全にチンピラアル」
その後それぞれが立ち回りや動きをすり合わせ軽く連携訓練を行い模擬戦の時間となった
「時間だ、両陣営集合。これより戦術導力器を用いた戦術訓練を行う、双方構えて!始め!!」
合図が鳴ると共にシンジが疾走を始める、その身体能力を生かした後衛への奇襲攻撃だ
「先手必勝!!」
「そう来ると思ってたぜ、脳筋がよぅ!!!」
しかしそれを読んでいたギルムッド弟が間に立ち塞がる、互いに間合いの距離であるならばやる事は1つ
「火砕刃!!」
「うるぅぅぅあ!!」
火を纏った大剣と気を纏った拳がぶつかる、金属音と重い打撃を響かせる力の勝負は互いに弾かれる引き分けの結果となった
双方たたらを踏んで構えに戻る
「技もへったくれもねえ通常攻撃でクラフトと互角かよ、やってっらんねぇぜ」
「気は使ってる、あとコレはチーム戦だ!」
「隙アリヨ、月華流 鉄山靠」
突っ込んで来ていたのはシンジだけでは無かった、その巨体の陰に隠れていたユズ・リンがギルムッド弟に一撃を狙う
「っち、雷神功!」
「コレ避ける!?出来るネ」
「足を止めんな他の奴が狙ってんぞ!」
軍人チームの後衛2人がライフルでシンジとユズを狙うが格闘家故のフットワークが照準を許さない
「ぬぅん、吶喊する!」
「了解、続きます」
「させん」「此処は通さない」
フリーとなっていたジークとテオも突っ込むが剣を持った軍人2名に動きを止められる、戦況は五分そこに戦況を変える呟きが響き渡る
「「戦術導力器起動……」」
「まずい!」「コレがアーツという物か、阻止せよ!」
先ほどまで銃を構えていた軍人2人がその手に戦術導力器を構えて起動を始める、ソレを見た連合チームは阻止しようと動き出すが
「スクラム組んででも後衛守っぞ!」
「「おう!!」」
ギルムッド弟を初めとする前衛がソレを阻む
「進めねぇ、止められねぇ」
「こいつら覚悟出来てるネ」
吹っ飛ばされようがすぐさま立ち上がる前衛、彼らが稼いだ時間は遂に成就した
「「ファイアボルト!」」
「戦術導力器起動、ブルーインパクト!」
発動した2つのアーツ、しかし後出しで打ち消したのは今の今まで様子見に徹していたライカだ。その高いアーツ適正に物を言わせた高位アーツで軍人チームの打ち出した炎の弾を打ち消したのだ
「な、知らないアーツだと!?威力も此方と段違いだ」
「あの子供が使ったのか、起動から発動までも早すぎる放置は不味い」
軍人チームとしては子供故に放置していた相手から打ち出された高位アーツの存在は脅威以外の何物でもなく今後放置する事は出来なくなった
「流石ライカ、術使わせたらキツネさんの次席だわ」
「アーツの使い手としては此方に分がある、彼女を守りながら前進するぞ」
「ボクは男だよ!」
そうして5対5の模擬戦は決着が付くまで続くことなる
1:ギルムッド兄弟の弟
勝ち申した
2:崑崙脱走者
負けた、やっぱ引き撃ちされるときっついわぁ
3:名無しのゼムリア民
それだけでどんな試合内容か分かるわ
4:名無しのゼムリア民
後ろに下がりながら銃やアーツを撃つ軍人チームを追いかける連合チーム、飛び道具の数の差が勝敗を分けたっぽいな
5:崑崙脱走者
というかライカが無法過ぎたせいで相手がアーツじゃなくて銃撃に重きを置きまくったのも原因だな、現状アーツの撃ち合いだと後出しで潰せるんだからそりゃ使わなくなるわ
6:ギルムッド兄弟の弟
バレスタイン大佐も勝ったのはいいが反省点しかないってぼやいてたからなぁ、流石に火属性特化は問題だぜ
7:名無しのゼムリア民
あー、アーツがどれだけ早くても銃よりは遅い弱点突かれたわけか
8:崑崙脱走者
あとは俺達の移動速度の差だな、やっぱりライカと前衛組だとライカの方が体が小さいからな
9:ライカ
早く大きくなりたいよ
10:名無しのゼムリア民
人間誰もが一度通る道だ、毎朝牛乳飲んでよく寝てよく食べて運動するこった
11:名無しのゼムリア民
好き嫌いもよくないゾ
12:名無しのゼムリア民
ぶら下がり健康機
13:名無しのゼムリア民
あれは効果ねえよ
14:ギルムッド兄弟の弟
最終的には脱走者がライカを背負ってたもんなぁ
15:名無しのゼムリア民
お!合体モードか?
16:崑崙脱走者
いや、訓練であれは使わねえよ。使ったら訓練にならんし
17:名無しのゼムリア民
まだ呼吸だけで骨折するんだっけ?
18:名無しのゼムリア民
どんな動作でも骨折するんだからそりゃ訓練にはならんわな
19:崑崙脱走者
ホントは脇に抱えて移動しようかと思ってたんだがランドセルが邪魔で無理だった
20:名無しのゼムリア民
片手使えない分弱体化やん
21:名無しのゼムリア民
いくら全力ダッシュが下手な攻撃よりも強いつったって流石にそりゃねえべ
22:崑崙脱走者
いや、最近ちょっとエディンがデカくなってきてな……
23:名無しのゼムリア民
あー、キツネさんに相談する時期か
24:名無しのゼムリア民
そっかーもう11歳だもんな
25:名無しのゼムリア民
もう1年か……