ノーザンブリア大公国 歴史研究所地下
珍しい導力灯が照らす地下室で1人の女性が書類に向かって作業をしている、元アルベリヒの器、シシー・コランダムだ。作業の内容は黒の工房から強奪した研究資料を分かりやすい解説資料へと翻訳する事である
「古代の錬金術士、魂の創造、ホムンクルスの作り方、コレで今月のノルマは終わりね。ご褒美貰えるかなー」
出されたノルマが終わり思わず喉が鳴って口の中に唾液が溢れる。最後にハチミツを舌に塗って貰えたのは3日も前だ、早くご褒美が貰えないかと期待してご主人様の帰りを待ち続ける
「お、ノルマ終わってるじゃん。ソレじゃご褒美あげないとね、ちょっと待ってて」
「やった!頑張ったかいがあった」
口の中に唾液を溜めながら待ち続けて30分、待望のご主人様がその手にハチミツの瓶を持って帰って来た
指に付けられた特製ハチミツを前に条件反射で口を開けて舌を出す。そこにご主人様の指で直接塗って貰うとそれだけで思考が回らない心地良さが全身を痺れさせる
「ソレじゃ舌出してー、ぬりぬりー」
「アッアッアッ」
「あとはお薬、チクッとしますよー」
「お薬シュキー、きもちーしあわへー」
そこに更に薬が注射されるともうたまらない、その場で座り込んで口を開けながら天を仰ぐ。天井の古いカビが何故か面白い、クタクタの思考こそが幸せだと今なら分かる
「あ、戻ってきた。そんじゃお姉ちゃんの分のお薬よろしく」
「ハイ……お姉ちゃんに薬を注射します…」
戻ってすぐご主人様からお姉ちゃんの分の薬を受け取りボーッとした頭のまま姉に注射を打ち戻ってくる、そろそろ頭も回る様になって来たし少しおねだりしてみようか
「あの、実はお休みを頂きたいのですが」
ノルマが終わった今なら休みも貰える、最近地上では遠くの国からも沢山の品が届く様になったらしい、どうせなら姉と買い物でもしたい物だ
「休み?キツネさんに聞いてみるけど何で?」
「偶には日に当たりたいです」
「あー、もう3週間地下生活だっけ。いいよ、買い物でもいく?」
「ハイ、偶には遊びたいです」
「いいじゃん、最近中東の方から色々入る様になったんだけどさその中にスパイスがあってね、久々に故郷の味が食べたいなって」
「ソレってあなたの都合じゃない。そうじゃなくて私はお姉ちゃんと遊びに行きたいの!!」
思わず叫んでしまった、やってしまった、こうなったらご主人様の機嫌がいい事を祈るしかない
「シシーちゃんダウナー抜けてきた?ちょうどいいしもう一度洗脳しよっか」
注射器を片手にイスを回転させるご主人様、残念ながら今回の私はコレで終わり。次の私は上手くやってくれる事を願っている
「いや、あの、生意気言ってごめんなさい、あの薬見せないで、ごめんなさい洗脳はイヤー!」
抵抗しようにも動かない体にチクリと注射針が突き刺さった
「流石にアルベリヒを表には出せないって、そんじゃ明後日お休み出しといたから一緒に買い物行こっか」
「ハイ、了解しました」
今までのワタクシは何故こんなちゃらちゃらした髪型をしていたのでしょう?明後日までに髪を整えなければ
「やっぱり結構時間が経っちゃってるか、まあフレッシュよりか香りは落ちるけど量使えば何とか」
休日当日、輸入品を扱う市場で2人は買い物をしていた。メインで買っているのはクラールだ
「あの、クラール様」
「気付いてるよ、追けられてるね4人かな?」
「いえ、5人です。1人別格がいます」
「5人?アタシが気付かないような奴ってまさか」
気付かれた事に気付いたのだろう、タバコの匂いを辺りに撒き散らしながら胡散臭い青年が雑踏の中から現れた
「よぉ、クラール。久しぶりじゃねぇか」
「……何でいんの?エルロイの兄貴」
エルロイ・ハーウッドは新しい葉巻きをカットして火を付けて
「ククク、ここじゃ何だうちの店に来いよ」
「そだね、ここじゃ危なすぎるから」
煙を吐きながら自分たちのアジトに来いと2人を脅しつけた
連れて来られたのは裏路地の小綺麗な雑貨店。雰囲気が良く月光木馬団のアジトでなければ常連になりたいぐらいだ
「ふーん、表向きは共和国の輸入雑貨なんだ。あ、このブックカバー可愛い、買おっと」
「ほいよ、4000ミラだ」
「たっか!うーん、共和国から持って来てるし仕方ないか」
「何で普通に買い物してるのですか、警戒してください」
財布から出した4000ミラを投げて渡して受け取ったブックカバーにキュリアの薬をぶっかけて懐にしまう
「そんでさ何でまたノーザンブリアにいんの?新規出店?仕事の斡旋なら出来ないかも」
「かも、ねえ。なら場合によっちゃ出来るかもって事だろ?ま、まずはお前んとこの化け狐に営業許可貰わねえとなぁ」
「うわ、ノーザンブリアの外務局局長殺してよく言うよね。どの面下げて来たわけ?」
「俺もそう思うんだがね。ノーザンブリアは景気がいいじゃねぇか、こんだけ急成長をしたら当然歪みもデカくなる。汚れ役足りてねえんじゃねえかって上の連中は踏んでんだがどうよ」
「そういうの判断すんのアタシじゃないから知らんし」
「なら仕方ねえな」
吸ってた葉巻きが消えて灰皿の山の一部となった頃いきなりエルロイが笑い出した、何事かとシシーは身構えるがクラールは落ち着いて自然体だ
「にしてもお前も相変わらずで安心したぜぇ、てめぇの身内を躊躇なくカナリアにしちまうとはな」
「え?ッ!?ック!息が…」
口から泡を吐きながら喉を抑えて倒れるシシーの背中を摩りながらクラールは症状や匂いから対応する解毒薬を導いていく
「やっぱり毒撒いてたか、はい薬。そんじゃエルロイの兄貴、アタシ達は帰るけどやりあう?」
「いや?お前とやり合ったらここ一体大惨事だ、俺らは殺し屋であってテロリストじゃねぇよ」
「了解、そんじゃまたね」
「おう、気をつけて帰れよー」
帰ってから全身を除菌と除染を行い無事に帰る事が出来たことにクラールは心から安堵する事となった
1:元木馬団
ホント、よく無事に帰ってこれたよ。アタシ、超がんばった
2:北国の女狐
うちの外務局長殺しておいてよくもまぁ進出してこれましたね。その度胸だけは褒めてあげますよ
3:ギルムッド兄弟の兄
どうしやす姐さん、処します?
4:ギルムッド兄弟の弟
こっちにもBC兵器の専門家がいるんで勝てない事はないですぜ
5:北国の女狐
そうですねぇ、利用価値はありそうですし詫びの品で勘弁してあげましょうか。どうせ塩の杭の後は共和国に帰るでしょうし
6:名無しのゼムリア民
今日の俺らは紳士的だ、運が良かったな
7:名無しのゼムリア民
バイオテロが怖いわけじゃねえから、勘違いすんなよ
8:元木馬団
ちなみに詫びの要求は誰がやんの?
9:北国の女狐
あなた以外に安全にアレと話が出来る人がいますか?
10:元木馬団
いや、アタシもカナリア無しで安全が確保出来るわけじゃないし
11:名無しのゼムリア民
この前はコランダム姉妹の妹の方だったし次はアルベリヒ連れて行けば?
12:名無しのゼムリア民
いや隙見せたら逃げられるだろ、薬で行動不能にしてるから逃げられてないだけで普通は逃げるってあの環境は
13:名無しのゼムリア民
仕方ないまた妹ちゃんにカナリアになってもらうか
14:元木馬団
そだね、また洗脳して連れていくかな
15:名無しのゼムリア民
大丈夫?洗脳しすぎで価値観の矛盾起こしてない?なんかあの子会う度に性格変わってるんだけど
16:名無しのゼムリア民
先月までバリキャリ風の見た目だったのに一ヶ月後に会ったらゴスロリお嬢様になってたのはビビったよ
17:元木馬団
大丈夫じゃない?精神が崩壊したらその上から上書きすればいいだけだし
18:名無しのゼムリア民
精神崩壊前提かよ…
19:名無しのゼムリア民
どうしよう、尋問以外寝たままのアルベリヒの方が幸せそうに思えてくるんだが
20:名無しのゼムリア民
アルベリヒも自分の元器がこんな事になってるとは思わんだろ、メインでアルベリヒに尋問やってるのも元器ちゃんなんだが
21:名無しのゼムリア民
何なら姉の体目当てで喜んでやってるという
22:元木馬団
尋問の時の妹ちゃんむっちゃ輝いてて楽しそうなんだよね、ストレス解消法があるって最高じゃん?
23:名無しのゼムリア民
その嗜好すらお前が植え付けたやつなんだよなぁ