近所のクールお姉さんポジの英雄が俺の前だけ甘えてくるんだが? 作:だけたけ
先に前置きをば....この話に主人公は出てきません。イチャイチャもありません。むしろなんかシリアスです。それを前提にお付き合い頂きますよう、お願い申し上げまするでござる!
んでは!早速、本編どぞ!
12話 天使は苦悩し、望む
呆気なかった。
出会ってから数日。1週間すら経っていない今、彼は目の前から姿を消した。あの光景が頭にこびりついて離れない。
飛び散った血、戦った名残であろう氷の数々。氷元素が残留したあの空気。
「ッ.......」
「旅人....大丈夫か?」
遠慮がちに声をかけるパイモンを見て、やっと自覚した。
ああ、取り繕わなきゃ
「うん.......大丈夫だよ?」
「....」
無理、あるか。でも少しでも取り繕わないとすぐに泣きごとが表に出てきてしまう。
本当の私をナギ以外の前で見せると考えるとどうしようも無く涙腺が緩む。
ナギのことを考えると英雄が剥がれてしまう。ナギがこの悩みから救ってくれたはずなのにナギが居なくなった途端これだ。
「探しに、行かないのか?」
「もうやったよ。ドラスパにだって行ったしモンド中探し回った。」
「そうか.......」
「ナギのことだから生きてるよ。」
だがその返答はなかった。目を向けてみると私ほどではないにせよ、パイモンも少しはダメージがあるようだ。意外といえば意外。でもそれ以上にパイモンのこんな表情は初めて見た。
「.......もう一度動こう。一から調べ直す。」
「お、おう!」
腹ならとっくに括っている。しらみ潰しに当たればきっと出てくるはずだ。なにか情報でもいい。足跡でもなんでも。とにかく、何かがあれば....
「た、旅人.......」
「....なに」
ジンが居た。いつの間にか立っていた。偽物だと言っていたが正直まだ疑っている。当然だ。それ相応の証拠がない。警戒するのも当然。
「その、ファデュイの1人が旅人に話がしたいと言ってる。」
「私に?」
「ああ、旅人を呼べと....」
正直行きたくない。自分のために動きたいのに、やはりこの英雄の仮面は邪魔だ。だいたいファデュイなど相手にしている暇は無いというのに。
英雄だった頃の名残が消えない。体が、周りが英雄という仮面を捨てさせてくれない。
「......わかった。行く。」
ああ、もう、だからなぜ断らない?なんでこんなことに....
「それには及ばない。お初にお目にかかる。英雄こと.......蛍殿?」
いつから居た?優雅に一礼をするその姿は先程まで見えなかったものだ。ジンの背後に佇むその姿はさしずめ、黒いマントと顔を完全に隠す仮面。ファデュイの仮面で間違いなかった。似通ったものを何度も見てきている。
「ッ貴様、待っていろと言っただろう?!」
「お言葉ですが代理団長殿、あそこは少々空気が合わない。」
「ッ....なにが目てk「ジン、黙って」ッ.....ああ、わかった。」
思考がまとまらない。なんだ?こいつは。尋常では無い程の実力者だろう。気配すら感じられなかった。それどころか不思議な程に圧が無い。敵対する意思がない?だとしても私はファデュイの思惑なら何度も阻止してきている。
「それであなたは?」
「.......ああ、すまない。ファデュイ執行官。二つ名は【
名前は言わないか....なにか引っかかるけどまぁいいだろう。どっちみち信用出来ないことには変わりない。
「蛍殿。私に協力しろ。」
「.......理由は?」
「旅人ッ?!」
ジンがこちらをしわくちゃな顔で見てくる。だがもう私は正義を捨てた。目的は元に戻った。兄とナギを探すこと。
「女王陛下はあなたを危険視している。現状がどうであれ、味方に引き入れて損は無い。むしろプラスになるというものだ。」
要求は最も。今まで戦ってきてファデュイには何か私たちが見えていない目標があることはわかっている。それを探るのも悪くないか。いや、でもそこまでする義理はあるのか?だいたい私をそこまで買っているならそんな重要な情報を漏らすとは考えにくい。
「なるほどね....断る。善悪まで捨てたつもりは無いから。」
「はぁ....だよなぁ....」
「え?」
「あぁなんでもない。こちらの話だ。」
口調が変わった気がした。やけに慎重なものだ。前なら身構えて対応していただらうが、今はそんな気は起きない。おかげでやけに冷静だ。
ジンが心配そうにこちらを見てくる。
わかってる。この気持ちは八つ当たりだ。彼女が本物であの時喋らなかった方が偽物だと言うのも今は理解している。でも納得ができない。
「じゃあ、」
「.......どこに行くんだ?」
「どこだっていいでしょ?」
「....」
私は踵を返してその場を立ち去ろうと足を前に出した。その瞬間、後ろから声がかかる。
「蛍殿が探している彼の所在.......」
「....は?」
「報酬の話だ。我々の手伝いを2つ、こなしてくれたら教えよう。」
「ッ.......」
何言ってるんだ?今まで私が探して見つからなかったのに彼が知っているとは考えられない。ただやっと掴んだ手がかり、ここで失う様なことはあってはならない。
「手伝わなくてもあなたから聞き出せばいい話」
「何も悪事を働けと言っている訳じゃない。頼みたいのは璃月での聞き取り調査、それと....」
目の前の男は言い淀んだ。少し迷うような動作をしたあと口を開く。
「ファデュイ内の監視だ。」
その言葉が頭に入ってきた瞬間、男は仮面の中で笑ったような気がした。
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「なるほどなるほど!それで私のところに来たんだ〜」
「胡桃、なにか最近璃月で異変とかなかった?」
「ん〜、思いつかないなぁごめんね?」
璃月にワープポイントで飛んだ私とパイモンはまず最初に岩王帝君と凝光、そして刻晴。まぁ色々いるが、ともかく主要人物を主に聞き取りを開始した。
あの男を信じられるかと言われれば否だが、まぁ藁にもすがるというやつだ。
なんの情報かというと.......
『敵性生物の異常発生について調べてくれ。』
ということだった。面を食らうと同時に疑念が頭の中に浮かんだものだ。あまりにもまともなことだった。その裏になにか目的があるのではないかという思考はあった。だがその時の私はナギのことしか頭になくて気づけば承諾していた。善悪の判断は確かにできるが体は正直らしい。
敵が大量発生などホントなのか。まずはその情報を確定させる必要がある。程度も調べないとダメだろう。
「それにしてもナギナギがねぇ....」
「しってるの?!」
「1年前位まで私が世話してたからね!」
ない胸を張ってドヤ顔をする胡桃。少しの嫉妬と今の所在は知らないのだという事実。
「きっついなぁ.......」
「ん?なに?」
「いや....なんでも。次は....鍾離先生は?」
「え?いるよ?呼んでくる〜?」
うなづいて返事をする。待ってて〜とお気楽そうに手を振る胡桃を尻目に肩の力を抜いて深いため息をする。
だいたいそんな早く見つかるならこんなに悩んではいない。ああ、やっぱり好きだなぁ....
自身の唇に少し指を添えてそう思考する。
優しい男、耳触りのいい言葉を吐く男ならこの世界に腐るほどいる。顔がいい男となれば特にだ。だけどこの殻を溶かしてくれた男は前にも後にもナギだけだろう。
あの焦った頭で出た答えは一目惚れ。だけどある程度冷静な今はそうではないと理解している。初めて会った時は変な人だと思った。興味を持ったのは確かだがそれは恋愛感情とは違う。だったらいつからだ?
「旅人、俺に何か用か?」
「ッ.....あ、あぁ....えっと、最近、外の敵が多いとか....噂でもいいから何か知らない?」
「ふむ....何かあったのか?」
「噂を聞いたから調べてるだけ」
少し考える動作をしたあと目線を胡桃に向ける鍾離。だがその意図を彼女は理解していないようで子首を傾げながらにやにやしている。それを見兼ねて鍾離が口を開いた。
「胡堂主、席を外して貰えないだろうか?」
「え?なになに?もしかして告白?!キャー!」
「胡桃、お願い。」
「....ちぇっ、まっいいけどね〜。あ、鍾離さん、ファデュイの人が....うんん、後ででいいや!じゃあねー」
手を振りながら出ていく彼女はドアが閉まる直前、少しこちらを見てきたが何なのだろうか?
「それで、さっきの答えなのだが.....」
「うん。」
「ファデュイ絡みか?」
「ッ?!....」
バレた?とにかくマズイ。私が協力していることがバレたら聞けるものも聞けなくなってしまう。鍾離先生は良くも悪くもこの璃月で影響力がありすぎる。誠実で堅実で、信頼も置ける人と考えてる者は少なくないだろう。
「そうか。その企みを阻止するのだな。協力はしよう。」
「.....う、うん。それで何か知ってる?」
どうやら私がファデュイの敵対側だと誤解してくれたようだ。首の皮一枚繋がった。だが信頼を裏切っているようで心が痛いのも事実。
「そうだな...増えたという訳では無いが一部の地域で強くなった気がするというのは聞いたことがある。」
「強くなった?」
「ああ、何処かというのは分からないがトリックフラワーの元素力が強くなっているらしいんだ。」
あの危険植物がか.....攻撃手段が元素主体なのを考えると脅威になり得る。だがなんだ?この胸騒ぎは。勘はまずいと言っている。
「....ありがとう。胡桃にも言っておいて?」
「ああ、もう行くのか?」
「うん。なんか時間もなさそうだから。」
勘には今まで何度も助けられてきた。これは問題が起きる前兆。だけど、私が解決のために動いて何になる?ナギの居場所が分からなくなるだけじゃないか?
そう考えてしまう。
けれど、でも.......
「ある地域....トリックフラワーは群れないから.......」
地域と言っている時点でトリックフラワーが密集している所だろう。選択肢は限られる。最初に頭に浮かんだのは.......
「ドラゴンスパインッ」
まず最初に調べるには悪くない場所だ。
「行かなき「聞き取りは順調だろうか?」千花ッ.......」
「そんなに警戒しないでほしい。」
「....」
「はぁ....なにか情報は?」
「トリックフラワーが強くなったらしいってことだけ。多分ドラゴンスパイン。」
「なるほどな.....感謝する。さすがだ。こんなにも早く情報を掴むとは思ってはいなかった。」
警戒するなと言われても無理なものは無理だ。いきなり接触してきて協力しろと敵対していた相手に言われてすぐ信用するバカは居ない。
「今から調査しに行く。もういい?」
「いや、ダメだ。」
「ッ....なんで?」
ダメだ冷静になれ。ここは街中で先頭になっても最初に手を出すことになるのは私。これだと悪いのは私になってしまう。
「休暇だ。」
「は?」
「働いたら休む。常識じゃないか?」
どうせ心証を良くしようだとかそんなくだらない理由だろう。こんなもの飲む必要性を感じない。
「いらない。行かなくていいなら次の監視をやらせて。」
「ダメだ。」
こればっかりだ。もう引き際だろうか?機嫌取りをするのはごめんだ....というか全くもって不本意の極みだがせざる負えない。
「.....らしくないな。感情的になるなど」
「あなたに私の何がわかるの?」
「.......」
正直自分でも思う。いつでも冷静に判断できてはいた。兄のこと以外。大切が増えたことでその大切のナギのこと
でも感情が振れてしまうだけなのだ。そう、それだけ。
「安心しろ。監視の用意をするために少し時間が必要なだけだ。本来、もう少し聞き込みに時間がかかる予定だったのでな。」
「.....そう。わかった。」
じゃあまた。そう言って目の前から消えた。神出鬼没というか、なんというか。掴みどころも信用も何もかもできない男である。
「....ナギ、なるべく早く行くから.......」
天に呟いたその声は夕暮れの向こう側へ消えていった。
どうでしたでしょうか?いやぁ.......うん。多分過去1面白くない話だと思う。それは俺も思う。だからと言って面白い展開になるまで物語を進めるとなると文字数えっぐいことになるし、仕方ないよね。うん。
まぁこんな苦悩が俺にもありました。蛍さんに苦悩させてる分、俺もぶっちゃけ苦悩してます笑
でも!でもでもでも!あのイベントをやったことのある人ならばだいたいジンの謎はわかったのではないでしょうか?!ということで!ここからまた伏線回収していきます。ヒントは謎ファデュイ執行官に注目!
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32名の方々、お気に入り登録ありがとうございますっ!ぶっちゃけこの伸びもいつかは落ち着いてしまうんだろうなぁとか思ってたのに全然そんなことない笑笑、笑いが止まりませんわ笑笑.......まぁこんなことは置いておいて。ほんとにありがとうございます。新規の方も古参の方もこの作品をどうぞよろしくお願い致します!
ではまた次話で!
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