近所のクールお姉さんポジの英雄が俺の前だけ甘えてくるんだが? 作:だけたけ
ってな訳で早速!どぞ!(こんだけ長くて早速とは?)
体調がおかしい。体がだるくて多分熱もあるだろう。今までこんなこと無かったのに悪いことが重なりまくる。彼が居なくなって、ファデュイに目をつけられて。挙句の果てには体調を壊して塵歌壺の中で寝込んでいる。
「こんなことしてる場合じゃ.......」
「なっ?!た、旅人!寝てろって!」
焦ったようにこちらに文字通り飛んでくるパイモン。その姿を視界の端に捉えていたがその言葉を無視して脚を地面に突き立てて無理やり立とうとする。
途端、足の力が抜ける。パイモンが駆け寄って支えようとしてくれるがその小さい体では無理だったようで私は胴体から床に突っ伏することになった。
「はぁ....はぁ....」
吐く息が異様に熱い。体が熱いはずなのに凍えているように震えが止まらない。それを再確認して自覚した。
ああ、これは重症だ。
「待ってろッ!今バーバラ呼んでくる!」
「まっ.......ぁ...ゴホッ........」
喉が痛い、声も出なくなった。休暇でよかったかもしれないな。こんな状態で出歩くことなんてできないだろうから。
「な、ぎ.....」
目から床にかけて熱いものが流れる感覚。それすらも今の感情を代弁するには足らない。
弱い。弱くなった?いや、元から弱かった?あの時何ができた?判断を間違えた?彼は勝てなかった?負けた?私は何をするべき?気づかなければよかった?好きだって自覚しなければ?罪悪感を抱く資格は?あの時英雄に戻れていたか?彼の方が余程正義の味方では無かったか?
悪い思考がぐるぐると頭を回る。もうなんなんだと言いたくなるほどにごちゃごちゃと混乱していた。その結果、もう何度目か分からないくらい繰り返している暗い思考回路に陥りそうになる。
ああ....成程、甘えてたのか....
彼の存在に、彼の隣の居心地の良さに甘えていた。英雄の仮面をとっていいのだと言われてからずっと。だからこんなことになったのだ。
「なる、ほど......ははっ....」
ならば大丈夫。なんでもプラス思考だ。彼は英雄だった私を溶かした。ドロドロに溶かして中身を見てくれる居心地の良さで甘えさせた。それほどの男だ。私以上に人を救える男だ。なら大丈夫。
もう一度、こんな彼がいないとダメだった私を.......
もう1回、
救ってくれるはずだ。
「それまでに.....彼にふさわしくならなきゃ、だね.......」
立ち直るほどでは無いが少し心が軽くなった。正直なところ彼が無事だとは思えないけれども目標を変えればなんぼかはマシだ。そう、彼を助けるから彼の想いに答えるためと思えば、マシに.......
「好き.....かぁ....再会したらまた言ってくれるかな.......」
「えっと...元気そうだけど.......」
「あれ?!た、確かにさっきまで辛そうに.......」
もちろん今も辛い。だけど心は少し軽くなった。大丈夫。まだ戦える。
「バーバラ、ありがとう.......」
「うん。原因は多分ストレスだね。」
「通りで頭痛がすると思ったよ」
こくんと少しうなづいて彼女は私に注いでいた元素を止める。体を包んでいた心地のいい感覚が消えてまた寒気が襲ってくる。だがさっきよりはなんぼかマシだ。
「よし。大丈夫そう。ありがとう。」
内心はまだ泣き出しそうだが....彼が言った。英雄に戻れと。なら私は戻ろう。
英雄に。
「無理しないで。」
「ッ.......え?」
「.......今、ジンが私に向ける笑顔と同じような感じがしたから.......」
こちらを責める気は毛頭ないのだろう。だって目の前の目はこちらを案ずる様な色しか見えないから。でも今の私にはそれですらマイナスを煽る刺激でしかない。
「ごめん、なさい....」
「な、なんでバーバラが謝るの?」
「私が助けを求めたからこんなことに.......ジンがあんなことするなんて」
「あれはジンじゃないよ。多分だけど.......」
あんなに似てて完璧だったとしても声を発しない。ただの紛い物だという線が濃厚だ。だいたい襲われてて困惑して当然。戦えるバーバラだが姉に攻撃できるほど覚悟が決まっていなかったし、決める必要も無い。本来戦闘する役割の人ではない。何故かあの時は偽物という思考は速攻排除していたが冷静になるとおかしい事ばかりだ。
「.......ナギさん、帰ってくるかな....」
「耳引っ張ってでも連れ戻し「だから無理しないで?」ッ.......」
「旅人....オイラ、もしかして邪魔か?」
「そんなことない。行くよ。」
そんなバーバラを置いて、居心地の悪いここをまだ回復しきっていない体で家を出た。
「壺から.......」
出なきゃと言おうとした瞬間、一瞬体が浮く感覚がしたあと見慣れた主水の景色が広がる。
「なん.....ああ....」
念じると出れるんだったか。ああ、だいぶ私はやられてるな。乾いた笑いが込み上げてきそうだ。こんなことも咄嗟に頭から思い出せなくなってる。他のことを考えてしまっている証拠なのだろう。
「なん.......?!」
「へ?」
いきなりの声に間抜けな返事をしてしまった。目線を向けてみるとそこにはもう見慣れた千花がいたのだ。あまりににもいつもより砕けた反応に面を喰らいながらも問いただそうとして.......
「あっ、ああ、いや....熱は下がったんだろうな?」
動きが止まった。なんで知ってる?バーバラと私とパイモンしか知らないはずなのに何故?
「....もしかして休暇って.......」
「ああ、顔色が悪いのは例の男が居なくなったからだと思ってたが手に触れた時に熱く.......もしかして気づいてなかったのか?」
「手に?いつ?」
こちらの反応に面を食らったのか動きが止まる。それを見て嘘ではないと確信した途端、思わず自分の体を引いて手を自身の胸あたりに引き寄せた。
「原因を報告してくれた時だ。ほら、報告無しで行こうとしていたのを見かけて声をかけた時、腕を掴んで止めただろう?順調か?と。」
「あの時....パイモン、」
「あ、ああ、確かに止めてたけど....なぁ、もしかしてお前.......」
「.......」
「なぁ、答えろよ!」
そうパイモンが言った瞬間、その場から瞬きをした瞬間、彼の姿がいきなり消えた。きれいさっぱりそこには誰もいなかったかのように
「まtッ.....ああもう!」
「パイモン、何を言いたかったの?」
「あいつはたbッ..........いや、なんでもないぞ」
彼女らしくない。こんな濁し方をするなんて。
「また、後で。蛍殿。」
「ッ、どこ?!」
振り返るがそこには居ない。どこにも居ない。いきなり過ぎる。都合が悪くなったから居なくなった?きっとそうだ。ならば過去に知っているか聞いたことのある人物?誰だ?声は当てにならない。仮面のせいで声が曇っていて元のものとは結びつかないだろう。ならばもうお手上げだ。情報が少なすぎる。
「......」
モヤモヤした感情だけに意識が行き、少し何故か軽くなった心には気づかないままその場を後にしたのだった。
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休暇を言い渡されてから2日目
今まで暇な時は何をしていただろう。戦闘?探索?昔名残の遺跡を調べる?正直言うと何もする気が起きない。
1番驚いたのは昨日あんなことがあって、体調が良くなったから改めて外に出て気分転換していると当然のように奴も着いてきたことだ。
「パイモンはなんとも思わないの?」
「?」
「私がこんなになって、もっと動けとか。」
「.......」
気になる訳では無い。そんな余裕は無いというのが本音ではあるがそれとは裏腹に沈黙の時間もこれまた辛いのだ。だからこの質問。きっと心の中ではダメになったとか色々思っているだろうと思っているのだろう。そんなことパイモンが思うはずないのに悪い想像だけしか頭に浮かばないこの現状、もうまともに頭が動かない。
「はぁ......どこ行ったの....」
「やつれてるな?蛍殿」
「......余裕ないから話もしたくない。」
「.......」
仮面の下で少し動揺するような雰囲気が感じられる。意外だ。
彼はファデュイの中ではまともだとは思うが他人を軽視しているふしがあったからそんなこととは無縁だと思っていた。私を協力させる時だって空気を読まずにあくまで自分都合の様な印象を受けたし....というかなんで当然の様に居るんだ?
「そう、か......」
「うん....まぁ、そうだね。」
適当な返事。まぁこれで十分だろう。利害だけの関係だ。仲良くしようだなんて考えて無い。
「....奢ろう。」
「は?」
いきなりの申し出だった。本当に何を考えているのだろうか。人が変わったかのような印象だ。
「行かない。なんでそんな事しないといけないの?」
「まぁ落ち着け。調査の件も含めて報酬をだす。共に来てくれたら例の彼の情報の一部を話そう。体調が治った祝いだ。」
「ッ?!.....ああッもう!わかった。行く。」
いや、やはり変わっていないかもしれない。こちらのことを考えないのはいつも通りのようだ。調査の報酬ならもう貰う権利はあるというのにそれを渡すなら私と一緒にご飯を食べたいという浅はかでイラつく発言。
「ああ、君はこれで何か食べてきたまえ。」
「お、オイラ....じゅるり.......い、一緒に行くぞ!!」
「....ああ。ただ話してる時に入ってくることは許さん。」
私は彼を睨みつけるがそれをものともせずに体を180度回転。歩き始めた。
「こっち方面....タルタリヤ?」
「......違う。」
「ふーん....」
目の前の執行官1人でさえ勝てるか怪しい。それほどの雰囲気を感じる。タルタリヤだってギリギリ勝ったくらい。2人揃ったらもう抵抗するすべはなかった。
「あいつとは知り合いなのか?」
「いや、別に。ファデュイに好意を持つ人の方が少ないよ。」
「....違いないな。」
無遠慮すぎただろうか?敵意丸出しなのは変わらないがそれでも今は協力している身だ。少しは配慮した方が....
「はっ.......何馬鹿なこと考えてるんだろ」
「.....」
彼はもう口を開かなかった。仮面のせいで表情が見えない。何を考えているのか分からない為かどうにも奇妙としか思えなかったりする。しかし何処か他の奴らよりもまともで常識的な印象もあって接する距離に迷ってしまうのだ。だからこそ流されてしまうのが怖い。
「それで?これはどこに向かってるの?」
「ほら目の前。あの建物だ。」
「あれって.......」
驚いた。目の前には最近見たばかりの馴染みがある建物があったからだ。何かの間違いではないかと疑ったが仮面の先には間違いなくあの建物がある。
その建物は....
「あれ?旅人じゃん!やっほー!」
往生堂だった。扉の前で相変わらずなにか騒いでいる彼女がこちらを振り返ってこちらに大声で呼びかけてくる。
「あれ?もしかして....」
「久しぶり、胡ねぇ。」
「.......は?」
困惑だ。彼は胡桃を姉と呼んだ。どういうことだ?血縁?いや、そんな話は今まで一回も聞いた事なんてない。たとえそうだったとしてもファデュイになんて....いや、胡桃を見ているとありそうと思ってしまうが.......
「.......」
「ぇ.......は、いや........」
まともに頭が働かない。情報を整理しようとしても出来ない。
「胡ねぇ、
「なッ.......」
今までの思考が全部吹っ飛んだ。彼と胡桃が繋がっている?どうする。静かな部屋とは多分外に音が漏れない部屋のことだろう。そして彼女は葬儀屋。死体を誰の目にも触れさせず処分させることなど造作もない。導き出される答えは....
「ッ.......」
殺されるッ.......ダメだ。まだ死ねない。せめてこの想いを伝えるまでは。
戦うか?いや、ただでさえ私とほぼ互角の胡桃。そこに奴も入るとなるともう勝てる見込みなど0に等しい。
逃げる。
そんな答えしか持ち合わせてはいなかった。情けなく、振り返らずに。プライドなどそんなものかなぐり捨てて。
ダッという地を蹴る音とともに気づけば身を翻していた。走る形など無茶苦茶。今までにないくらいの恐怖。自信を案じる恐怖ではなくナギに伝えられない恐怖。
「まッ.......クソッ....」
「旅人?!待ってくれよ!!」
追ってくる。全力で走ってこちらに迫ってくる。その彼の隣にはパイモンもいる。
なぜ?なぜいる?
ああ.......そうか....
パキンという音が鳴った気がした。その時、確かに壊れたのだ。かろうじて壊れそうな欠片をまとめてつなぎ止めていた仮面が.......
英雄の仮面が壊れた。
中の破片がガラガラと音を立てて崩れ出る。
もう失いたくない。怖い。相棒まで居なくなるなど.......
耐えられるものか。
「ぁぁぁぁああ"あ"あ"あ"あ"ッ!!!!!」
気づけば勝てる勝てないの思考、損得なしにパイモンを助けようと勝手に体が動いていた。右手には剣を。左手は血が出るほど拳を握りしめて。ただ、一太刀。
飛び上がり渾身の力を込めて彼に斜め上段から体を捻って振り下ろした。
「ッ!!!!なんッ....くッ.......」
「パぃ.......パイモンを.......パイモンを返せッ!!!!」
「ひぃッ.......」
小さくパイモンは悲鳴をあげた。きっと私はありえないほど醜い表情でここに立っているのだろう。自分でもわかるほどだ。もう戻れない。壊れてたんだ、結局、もう戻れないほど粉々に壊れていた。それを無理やりつなぎとめて大丈夫を装って.......
「返せ.......かえせ....かえせかえせカエセカエセカエセッ!!!私の大切を返せッッッ!!!!!」
「ちょっ、待ッ.......ぅぐあッ.......」
袈裟斬り。斜めに走ったひとつの光は敵の胸に吸い込まれる。
「ッ.....」
「はぁ....はぁっ.......」
なにか硬いものに当たった。防具か?いや.......
「ッぶねぇ.......ははっ、あの時よりも強すぎねぇか.......?」
口調が変わった。取り繕っていた仮面を彼も外してお互い、今の素で対面する。
「わかったよ.......かかってこいッ....」
「ッ.......あ"あ"ッ」
仕切り直しを経て、敵に対峙する私は何も考えずに切りかかる。
斜め、横。縦。
相手は完全に意識が切り替わったようでもう何もかもを防御される。
「シッ!!」
「うぐっ.......」
戦況が動いたのは18合目から。
姿勢を低くして足元スレスレで剣を横に振った私に対して彼はその場で私の頭に手を置き、宙返り。あっという間に後ろを取られてしまった。
やばいッ!!
そうは思ったが熱された頭は避けることを拒否する。
そのまま身を翻して切りかかろうとする瞬間、声が耳に届いた。
「旅人ッ!元素ッ!!」
その声は胡桃のもの。こちらに駆けつけた彼女は私に助言をした。何故だ?
いや、そんなことは関係ない。怒りのあまり戦いの幅を狭めていたのは確かだ。彼女は笑っていた気がしたがそんなことこの際どうでもいい。彼女は敵ではなかった。なら目の前のこいつを....
「落ちろッ!!!!」
「おっ、やべっ!!!」
初めての明らかな敵の動揺。私が振り返って突っ込むのを見て距離を取ろうとする敵の背後には....
「岩ッ?!」
「取ったッ!!!!!」
元素で設置した岩があった。
「塵になれッ!!!」
「クソッッ」
目の前に信じられない光景が広がった。目の前に.......
「
無数の氷の剣が現れる。
「ぇ....」
「俺に、これを打たせないでくれ。頼む.......」
その数、軽く2000。1人の人間ができる芸当では到底なかった。
「.....」
その前に私は、英雄を捨てた私は.....立ち向かうことなどできるはずはなかった。
「氷.......神....」
「あんなのと一緒にするな。」
氷剣を1本、手にとって眺めながらそういう彼の姿、何かと重なった気がした。
「旅人ッ!!!!おい、こんなにする必要ないだろ?!?!」
「.......そうだな。ごめん。ちょっと俺も焦りすぎてたみたいだ....」
なんで見知っているかのような口調で.......パイモンが怒るところはそこじゃないでしょ?人質に取られてたんだよ?なんで自分の事じゃなくて私なの.......
「.......」
胡桃に嵌められた。そういう事だろう。胡桃は彼が本気になれば今の私が勝てないことを知っていた。だからあとちょっとのところで助言をした。
「はは.......ははは.......これで.......もう終わった、終わったよ.......もう全部.......」
信じられるものなどもう何も無い。信じたくもない。パイモンも怪しく思えてきた時点でもうここで助かったとしてももう終わりだ。
絶望、暗闇。全部が全部一瞬で、この数日で崩れ去った。
「旅人、勝ってないけど
近くに来た胡桃が敵の仮面を指さして言った。目線を向けてみるとその仮面にはヒビが入っており、徐々にその亀裂は大きくなっていく。
縦に一筋
それが完全に割れて地面に落ちて軽い音を立てる。
「ぁ....ぁあ....ぁぁああッ........」
その半分見えた顔は.......
見知った彼の、ナギの顔だった。
どうだったでしょうか楽しめましたでしょうか?いや良かったね蛍さんほんとに良かったねまじで、次の話できっといちゃつきまくるんだろうなほんとに見せてくれよ君たちのイチャつきをッ!!!(早口)
はい笑笑
まだこの章は続くのでちょっとお付き合い下さい笑笑
代わりに次の話は休暇(ナギと再会したあと)をお送りしたいと思います。分かりますね?もうあんまあんまにしたいと思ってます。考えてみてくださいよ。タイトルを見てくださいよ。『俺の前だけ甘えてくる』これ。これです。今まで2人きりの時甘えたましたか?恥ずかしがってたりからかってたりしてただけじゃないですか?つまり、本当のイチャつきは好きを自覚してからだッ!!(クソデカボイス)はい笑笑
猪狩の兄貴さん、感想ありがとうg....猪狩の兄貴さん?!?!え?毎回感想くれるじゃないですか?!え?え?えっと、あっ、うす....あの、兄貴って呼んでいいっすか?.......冗談はおいておいて他の方も感想ちょうだいよ!!俺は欲しがりなんだよ!(無理にとは言ってない)
55名の方々、お気に入り登録ありがとうg.......え?55?こんな拙い文章で55?.......すぅ....ありがとうございまぁぁああああああす!!!!
では笑笑次話で!
アンケート追加しました(2024/11/18 17:08:12)
新たなヒロインは要る?(誰かとは言ってない)
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純愛一択だろ?!蛍愛せよ
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ハーレムは嫌だからあくまで本命蛍で
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ハーレムこそ男のロマンだ!