近所のクールお姉さんポジの英雄が俺の前だけ甘えてくるんだが? 作:だけたけ
というわけで今回は特に書くこともないので早速本編を.......
どぞ
時は少し戻る。
「なぁ、もしかしてお前....」
パイモンに言われた時、正直ドキッとした。バレたのだと。自画自賛では無いがボロは出していないはずだ。そりゃいきなり現れた時は思いっきり素が出たけどそれだけだ。
勘か....参ったな。これで蛍さんを守ることが出来ない。パイモンに告げ口された時点で俺の負けだ。同時に彼女の前も確定。唯一の誤算は彼女の中で俺の存在が想定よりよほど大きかったこと。正直そこら辺の男とほぼ変わらないもんだと思っていた。
そら、告白じみた事も言ったわけだし少しは意識してもらえてると.......思いたいがだがそれどまりだろう。
そう思っていたのに.......
ー蛍殿が探している彼の所在.......ー
そういった時蛍さんの目が変わった。興味無いものから意地でもやらなきゃ行けないというものに。挙句の果てには手伝わなくてもあなたから聞き出すなんていう始末。正直どれだけ飛び上がりたかったか。
だが罪悪感と、彼女を守るため、それは許されなかった。
故に.......
その場から姿を消した。トリックは簡単。細かい氷の粒で体を覆って光を屈折させる。それプラス火元素で陽炎を作れば一瞬で消えたかのような状態を作り出すことが出来る。
ああ、パイモンには釘を刺さないとだな。
「あいつはたb「その予想は正しいよ。ただそれを伝えると俺の蛍さんを守る計画が台無しになる」ッ.......いや、なんでもないぞ....」
パイモンを疑っていた。だがこれでわかった。彼女は敵では無い。どうしようもなく蛍さんの相棒なのだ。
思わず笑みが込み上げてきた。ダメだ。我慢だ。まだ蛍さんを支える存在は彼女の隣に居る。なら大丈夫。俺が守れば.......いや、必ず守る。大丈夫だ。きっと、必ず、
「また、後で。蛍殿。」
そのために、いや、だからこそ。これが終わったらお別れにならないよう、全力を尽くす。
だいぶ走って、結局たどり着いたのはどこかよく分からない周りが草原の場所。気づけば周りは真っ暗で誰もいない。それを確認してホッと息を吐ける....
はずだった。
後ろから声がかかる。それはこの状況の諸悪の根源。
「もの耽りは終わったか?」
「はぁ....今のところてめぇの計画通りだよクソが。何がしてぇんだよ『
「何、悪くない取引だろう?」
「ッ.......悪趣味がすぎるぞ?」
背後の暗闇からでてきた長身の男。それを仮面の下から睨みつけながらそう吐き捨てる。
「ふん...我々が危険視している人物の命を保証する代わりにお前がこちらに戻ってくる。どちらも損はしない。そうだろう?」
「....そこに俺も入れろよこのクソペテン師」
キザったらしく両手を肩の高さまで上げて一言言い放つ。
「俺に話しをしに来た時、もっとやり方があっただろ」
「ああしないと彼女の怒りがお前に向いただろう?裏切られたと。だから自然にお前を退場させてやったのだ。波風立たない行動よりも円満なものなどない。道理だ。」
「二位のお前が俺に何をしろって?」
「....確かに、実力では五分だろう。だが、人には弱くなる時がある」
「は?」
「大事にするものが増えた時だ。」
こいつ、今なんて言った?
一瞬で体が熱くなる。頭が沸騰して今すぐに飛びかかりたい気分だ。
「てめぇ.......蛍さんには何も「ああ、何もしないさ。」ッ.......」
「お前がこちら側に居るのならな?」
人質だ。それも相手は最悪の相手。ほんとに不覚を取った。
「詰みだ。罪人よ。いや....」
1呼吸おいて今までうかべていた笑みがより一層深くなる。
「元
その言葉に奥歯をかみ締める以外無かったこの無力さが呪いのように体にまとわりついた。
__________________________
「ぁ....ぁあ....ぁぁああッ........」
仮面が割れた。顔半分の肌に太陽の光が当たる。胡ねぇには色々言いたいこともあるがとりあえずは.......
ねぇ?!これどうしたらいいの?!自分の前でペタリと腰を抜かしながら涙を流す女の子への対応マニュアルなんて読んだことないんだけど?!?!
「.......蛍さん.......」
「な、ぎ.......?」
「う、うん。ナギだけど.......あの、」
「なぎ.......な、ぎ....ナギッ!ナギナギッ.......うぐっ、ぅあ....ぁ.......ぁああ!!」
テレレレンッ!涙を流すから号泣に進化した。
冗談じゃねぇよ?!?!いや、俺のせいだし、なんなら全体的に俺が悪いんだけども?!何も言葉見つかんねぇよ?!誰か助けろよ!これどうすりゃいいの?!考えてみたら冗談じゃねぇとか言える立場じゃねぇじゃんッ!!!アホか!俺!!
「ナギナギナギナギナギナギッッッ.......」
「え、あ、えっと.......はい?」
俺は困惑のあまり両手を広げて....って何やってんだ?!?!ここで俺のしたい行動をするとかアホか?!慰める資格なんてねぇんだよ!!俺が泣かして俺が慰めるってどんなサド野郎だ!!自分を殴りてえ.......でも今殴ったら間違いなく彼女はより一層泣いちまう?!?!詰んでんじゃねぇか!救いは?!メシアは?!ねぇってか、アアソウデスカッ!
「ッ.......ナギッ.......ぁぁ.......居る、ここに、確かに居る...........」
「えっと.....私は蚊帳の外?」
ちょっと黙ってろこの姉野郎ッ!今それどころじゃねぇんだよ.......何がどうなってんの?!俺が手を広げたらそこに蛍さんが抱きついてきて納まったんだけども?!?!
「あっ、がっ....ガガガガ.......」
「ナギナギが壊れた....どうせなら抱きしめてあげればいいのに.......」
しゃらあああっぷッ!!!黙れよ!お前、もうほんとに黙れよッ!!!いいか?!俺はサドにはなりたくないっ.......ちゃんと謝って、それから同意を得て、それかr....
「ぁ.......」
おおい?!?!なんで順序無視して体君が動いちゃってるの?!その蛍さんを包み込む手を今すぐ離しなさいッ!!!!
「蛍さん、ごめん.......」
今じゃねぇよ、てめぇッ!!!!順序的にほんとにドSになっちまったじゃねぇか?!?!まじ、許さねぇからな?!てめえだけは一生恋人できねぇ体にしてやるッ!!!!
「って俺の体じゃねぇかッ!!!」
....ぶっ○す....もう許さねぇ。ああ、お前だよ、口。てめぇもだぞ!両腕ッ!!!!自分の体だからってなにもできないと思うなよ?お前ら、まじで1時間水責めしてやるからな?俺が死ぬけど、知ったことかッ!!!
「ぁあぁ.......本物だ.......ほんも、うっ.......うっ.......」
あ、号泣止まった?お前ら褒めてやる。ナイスだ。手のひらくるくるドリルしてやるよ。今度ケーキ買ってきてやる。え?何?胃袋はいいことしてない?いいんだよ。キリキリ痛むのをじっと耐えてくれてたんだ。ご褒美だ。受け取れ.......
はい。現実逃避終わり。
答え合わせしたいんだけども....なんで号泣させてその後泣いたあと特有のしゃっくりのみになったん?
「ごめん、蛍さん.......」
「うっ........うう.......イヤだ.......」
ですよねー、わかってたけど.......結構謝罪を拒絶されるのは心にくるなぁ.......そうなるとこの抱きしめてる腕も嫌だよなぁ.......キッツぅ....
恐る恐る腕の力をよわめて行くと一瞬ビクッと彼女の体が跳ねて、それからより一層こちらにしがみついてきた。
「ほ、蛍さん?!?!」
「........胡桃、パイモン、2人きりにして.......」
「お、おう.......ナギ、後で話しあるからな?」
「ごゆっくりぃー.......」
パイモンは怒ったぞとでも言うような動作で、胡桃はニヤニヤと後で色々問い詰めてきそうな顔でそれぞれ立ち去っていく。
その後ろ姿を俺は絶望した顔で見ているしか無かった。
人気がない街の外れ。そんなところに置き去りにされては溜まったものでは無い。
だがそう言ってられないのも事実、恐る恐る蛍さんに目線を戻す。
相変わらず顔は上げておらず、蛍さんの涙で濡れたコートに頭を押し付けたままだった。
少し時間が経った後、彼女がおもむろに言い放つ。
「.....抱きしめて....」
「へ?」
き、聞き間違いかな?俺の耳、壊れた?あ、ああ、マイクをちょっと交換しなきゃいけな.......
「抱きしめて欲しい」
「はい?!」
な、何言っちゃってるんですかね?!この娘は!!!嫌だなぁ!そんなケダモノに見える?!俺は紳士なおバカだぞ?!?!
「.......」
「だ、抱きしめてって....ち、ちょっ、強くしないで?!色々なんか感触が危ないから?!?!」
ついでに俺の思考もやばいですッ!!!もう既に頭がオーバーヒート寸前なんだけど?!?!
柔けぇ柔けぇ柔けぇ柔けぇ抱きしめたい柔けぇ柔けぇ抱きしめて.......
あっぶねぇ?!暗黒面落ちるとこだったんだけど?!
「抱き、締めて.......もう、どこにも行かないで....」
「ッ.......」
一気に頭が冷えた。それと同時に罪悪感が全身を駆け巡る。
離しかけてた腕を元に戻して優しく自身の体に引き寄せる。
「もう、行かない。」
「うん.......う"んっ....」
ああ、小さい。こんなに小さい体に俺は何を背負わせていたんだろう。彼女にとって大切はここまで重いものだったのか。
「強く、して?」
「ああ」
自分の胸の上で何がちょうどいいサイズのものがふたつ押し付けられて潰れる感覚がある。さっきまでの俺ならこれで気絶していただろうがあいにく、今は緊張よりも罪悪感と、自責。そして何よりも愛おしさが勝っていて熱を持つこの小さい少女を感じることで精一杯だ。おかげた。
ああ、俺、やっぱり好きだわ。この娘。
身勝手だ。
勝手に救った気になって勝手に傷つけて。挙句の果てにはやっぱり好きでしたと。何様だと自分でも思う。でもその行動原理は全部彼女を想う心からで。
「蛍さん、」
「.......蛍。」
「え?」
「蛍って呼んで....さんは....要らない。」
願ったり叶ったりだ。嫌われてはいなかった。いや、この行動を要求された時から分かってはいたが、初めて、今回が初めてだ。彼女から俺を求めて要求をしてくれたのは。もちろん断る理由なんてない。答えは.......
「蛍....蛍ッ.......ごめん、ごめんなさい.......ごめんッ.......ごめんッッ」
「.......」
肯定の返事と謝罪。
返事がない。犯した罪が多すぎてもはや何に対して謝っているのかも伝わってはいないのだろうが、それでも、謝って許されることじゃないけれど、それでもこういうしか俺に残された道は残っていない。
「約束、して欲しい」
「ああ.......」
「もう離れないで。」
「わかった。」
これは断れない。仕草、今の状況を見たら誰だってわかる。混じり気のない純粋な気持ち。何も取り繕ってない赤裸々な状態で俺に願っている。1度約束を破った俺に対して。
いつ、彼女の中で俺の存在が大きくなったのだろう。さっきも思ったがこれが一番の疑問だ。俺は他の一般人と同じようなものだと思っていたが.......嬉しいが、彼女にとってはどれだけ残酷だっただろう。目の前から蛍が居なくなったら彼女のように気丈に振る舞えただろうか?
「....」
無理、だろうな.......
そう胸の中を確認しながら思う。
金色の髪が仮面の取れた右半分に触れる度、少しくすぐったくて身動ぎしてしまう。接近したことにより、彼女の安心する匂いが鼻腔に充満して頭から離れない。
「あの、さ.......」
「うん....」
「俺は....蛍のことが好きだ。今回みたいに他の関係をかなぐり捨ててでも自分のこの想いには嘘をつきたくない。」
「.......」
俺の背中に回っていた腕を蛍は解いて俺の胸ぐらを掴む。その力は弱くて震えていて。何かを伝える為にした行動だろうが俺からはどうやっても離れたくないと言わんばかりに体を密着させて。
「だったら.......だったらッ....なんでッ.......」
「.......あのジンの姿をした奴。あれは偽物だったって、分かるか?」
「.......」
こくんと頷く蛍を視界の端で見て話を続けた。彼女にとって、それは知られざる真実。今まで傷ついたぶん、これを聞いたら彼女は行き場のない怒りを感じるだろう。
だけど話す。俺の正体を知ってしまった彼女はもう無関係ではいられない。だから、話すしかない。
「あれ、ファデュイ執行官の博士が改造したトリックフラワーなんだよ。」
「ッ....」
人ですらなかった。その事実に体を震わす蛍を感じながら言葉を紡ぐ。モンドに当然の様に入り込んだ人外。大問題だ。だが今言いたいのはその事では無い。俺にとってもっと大事なこと。
「蛍は....人質なんだよ。博士の。」
本当なら蛍程の実力を抑えられる存在などファデュイには居なかった。だから博士は俺を縛り付けてリスクまで犯して俺をファデュイに戻した。あのトリックフラワーは蛍より弱い。だが数が問題だ。ドラゴンスパインの地下空間、大きい広場を埋め尽くすあの数を見た時、背筋が凍ったのを覚えている。
ああ、これは勝てない。本気を出しても、昔の俺に戻っても。
あれを何とかできるのは魔神の誰かしか居ないのだと。
「なぁ、蛍.......巻き込みたくなかった....たとえその事象の渦中に居るのが君だったとしても兄を探す君の邪魔になるものは俺だけで排除したかった。」
「そん....っ.......」
「ああ、望んでないとはわかってたんだよ。でも関係ない。」
これは全部俺のひとりよがり。それは分かっている。綺麗事だって切り捨てられるのはわかってる。でもその綺麗事を惚れた女の子に見せたいのは男として間違っているのだろうか?いや、間違っていない。そう俺は思う。
「正体を隠していたのは蛍が知ったら博士がトリックフラワーを君に差し向けるって脅されていたからだ。だから隠すしか無かった。自分を偽って、君を騙して泣かせて.......」
ずっと願っていた。矛盾だって自覚していても気付いて欲しかった。千花は俺だって。
彼女を守りたいと願いながらも同時に危険に晒して、アホみたいだ。何やってんだと自分を罵っても止められないこの歓喜の感情。ここまで俺を求めて動いてくれた彼女にそんな資格はないとわかっていても思わずにはいれない。
「罵ってくれ、酷いやつだって。最低だって言ってくれよ....そう思ってる自分もいるけど、今の、この状況が俺はどうしようもなく嬉しくて.......」
「.......」
頭に柔らかい感触を感じた。それに驚いて視線を下げれば目の前には目頭を赤く腫らして俺を微笑みながら見つめる顔が今までにないくらい近くにあった。
「ありがとう。」
「ッ.......」
その一言で、全部が救われた気がした。全部許してくれるのだと、察することが出来た。ああ、これはダメだ。俺が慰めて謝罪するつもりだったのにこっちがいつの間にかグズグズに溶かされそうになっている。
「もう、言葉は要らない。ナギに騙されてたはずなのに今私の中にあるのは嬉しさだけだから。」
「....」
立場逆転。やっぱり蛍はすごい。勝てるはずが無い。今の彼女は英雄としての言葉なのだろうか?それとも中身の?
いや、そんなことは分かってるはずだ。俺は鈍感系じゃない。
「こんなッ.......ことで泣いてるのに嬉しいのかッ......?」
「他人のために泣くほど悩んで自分の選択が間違ってなかったって思える人って少ないよ。自分のためにそこまで考えてくれる人を嫌う女なんて居ない。」
嗚咽を堪えてそう問うがそれに対して表情を崩さず、俺の頭を優しく撫でながらそう答えてくれた。
なんでこんなに彼女は暖かいのだろう?言葉の一つ一つが心に染みて痛い。罪悪感が薄れていく。彼女の存在で辛かったはずのことが無くなっていくようで、全部ちっぽけだったと思わされて.....
ああ、間違ってなかったんだ。俺の選択は.......
「ねぇ.......ナギ?」
「ッ.......なに?」
俺から身体を離したことで体全体が見えるようになり、ペタンと座り込む彼女の姿は普段のような強い印象はなく、その代わりに膝の間に腕を下ろしたその二の腕が太陽の光を反射しているのがどうしようもなく色っぽく見える。
それを思考した瞬間、目の前が彼女だけになった。それ以外の全てが頭の中から、視界の中から排除された。
目頭のみならず顔全体を薄い桃色に染めた愛しい彼女から放たれた一言、それを俺は一生忘れることはできないだろう。
淡い桜色の唇が開いた。
「好きです。」
これが、俺の人生の転機だ。
__________________________
「.....その選択は間違っているよ、ナバル。人は間違うと言うが、君はそうじゃないと思っていた。残念だ。」
高台から見下ろす仮面の下の目が鋭く光る。向けるのは固く抱きしめあって嬉しそうに笑いあっている英雄と愚者。
それを見ながら彼は深く思考した。2度も裏切った彼をどうするべきか。
「正攻法ではダメだろう。どうしたものか。」
彼はあのトリックフラワーの大群には勝てないと思っているようだった。あれを見せた時のうろたえようといったら、らしくなく笑みが浮かびそうになった程だ。
「敵を増やした、か....そう思っているのは君だけだ。無情を理解できない君は私に勝てない」
クツクツと愉しそうに笑う。
「なぁ、魔神を捨てた愚者よ。」
なんか短いかなぁとか思ってたのに、長いと思っていた前話よりも文字数が多いという予想外。え?7000文字越えを全て蛍とナギの再会シーンに使ったの俺....
そ、それだけ重要でまじで描きたかったシーンということでした笑笑
まだこの章は終わりませんよ?!この事件解決までがこの章です。お付き合い下さい!
ダクマ様、猪狩の兄貴さま!ご感想ありがとうございます!まじで嬉しいですーって俺何回も言ってるな俺。
15名の方々、お気に入り登録ありがとうございます!
それでは、また次回!
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