シーマ艦隊への合流途中だったビィとイザベラだったが、前方を行くゼロ・ジ・アールが急に止まった。
「イザベラ、どうしたの。燃料切れかい?」
「……」
ビィはその“色”をみて顔をしかめた。
2回問いかけた後、機体の正面に回り、コックピットの開放レバーにマニピュレーターを合わせた。
「イザベラ、開けるよ」
歪んだコックピットの装甲を見ながら、ビィはレバーを引き、自身もハッチを開けた。
彼女は開いた世界から宇宙をぼんやり眺めていた。
瞬きもせず、星屑を眺めていた。
「イザベラ」
「私は、やり遂げたんだ。そう思ってすごく、なんだろ、体が軽くなった気がする」
ビィは言葉を遮ろうと口を開いたが、ビィを見つめるイザベラの目を見て息がつまる。
「怨恨、ね。奴への怨恨って言うのはこんなに体を重くしていたんだ」
「イザベラ、やめよう。君は今、澄んで沈んだ色をしている。こんな色をしてる時は良くない事ばかり考えるんだ」
ビィの表情を見つめたイザベラは、僅かな笑みを浮かべた。
意志や感情を捉える瞳に、自身がどう見えているのか気になった。
「沢山見て来た先生。私はどうすればいいのかな」
「分からないよ」
イザベラはヘルメットの向こうで涙を流すビィを見た。
両腕を痛いほど掴みながら、懇願するような顔をした。
「色が見えたところで、痛みが分かったところで。何をしたらいいかなんて、分からないよ。」
でも。
そう続けてビィはうつむいた。
「イザベラが居なくなるのは、いやだ」
「イザベラが望むことができれば幸せだって、思ったんだ」
消えそうな声を拾うと、イザベラにはビィが急に幼く感じた。
彼女は、ニュータイプのビィには全てお見通しなのだと思っていた自分を恥じた。
彼は生まれて間もないニュータイプだ。感情を測る物差しは1つしかないのだ。
イザベラはしばらく、ビィの頭を見ていたが、両手で彼の顔を上げる。
「ビィ、私決めた。今決めた。これからはビィのしたいことを一緒にする」
コツリとヘルメットを合わせて伝える。
「ついて行くし、ちゃんと見てる。同じことをしよう。違う二人だから、同じことをしよう」
「二人で山ほど殺しておいて、何いちゃついてんだい」
無線と同時にドキャッという破壊音が響き、高機動型ザクの頭が吹っ飛んだ。
驚いて外を見ると、シーマのガーベラテトラが、ライフルを仕舞いながら立っていた。
傍には<リリー・マルレーン>やジムカスタムが浮かんでいた。
「お前たちはアタシらと同じ、人でなしだよ。今更くよくよするもんじゃないねぇ」
そうだそうだ! とクルーがはやし立てる。
暫くぼぅっとしていると、シーマが怒鳴りつけてきた。
「さっさと乗りな!わざわざ迎えに来てやったんだ、そのオンボロMAも回収するんだよ」
ビィとイザベラは互いに見合わせ、噴き出した。
シーマに蹴り飛ばされそうなので急いで回収し、船に乗った。
もう娯楽室は宴会が始まっていて、自分たちの会話も余興の一つになっていたらしい。
宴は続く。
人でなし、大いに結構!
少なくとも僕らは、今を精一杯、幸せに生きている。
皆様の応援で完結することができました。ありがとうございます。
感想や評価、推薦などいただければ大変うれしいです。
勢いで始めた本作ですが、やはり何かをやり遂げると、沢山の気づきがあります。
ガンダムを調べる時間や、展開を考える時間。無駄ではなかったと思います。
今後は後日談を入れる可能性がありますが、今までのように短い間隔で投降できるかはわかりません。
とりあえずはシーマのその後とか、ビィたちのその後を書いてみようかなと考えています。
今回はお読みいただき、ありがとうございました。