Memory of Debris【完結】   作:びこーず

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Memories21:宴の後(完)

シーマ艦隊への合流途中だったビィとイザベラだったが、前方を行くゼロ・ジ・アールが急に止まった。

 

「イザベラ、どうしたの。燃料切れかい?」

 

「……」

 

ビィはその“色”をみて顔をしかめた。

2回問いかけた後、機体の正面に回り、コックピットの開放レバーにマニピュレーターを合わせた。

 

「イザベラ、開けるよ」

 

 

歪んだコックピットの装甲を見ながら、ビィはレバーを引き、自身もハッチを開けた。

 

 

彼女は開いた世界から宇宙をぼんやり眺めていた。

瞬きもせず、星屑を眺めていた。

 

「イザベラ」

 

 

「私は、やり遂げたんだ。そう思ってすごく、なんだろ、体が軽くなった気がする」

 

ビィは言葉を遮ろうと口を開いたが、ビィを見つめるイザベラの目を見て息がつまる。

 

「怨恨、ね。奴への怨恨って言うのはこんなに体を重くしていたんだ」

 

「イザベラ、やめよう。君は今、澄んで沈んだ色をしている。こんな色をしてる時は良くない事ばかり考えるんだ」

 

ビィの表情を見つめたイザベラは、僅かな笑みを浮かべた。

意志や感情を捉える瞳に、自身がどう見えているのか気になった。

 

「沢山見て来た先生。私はどうすればいいのかな」

 

 

 

「分からないよ」

 

 

 

イザベラはヘルメットの向こうで涙を流すビィを見た。

両腕を痛いほど掴みながら、懇願するような顔をした。

 

「色が見えたところで、痛みが分かったところで。何をしたらいいかなんて、分からないよ。」

 

でも。

そう続けてビィはうつむいた。

 

「イザベラが居なくなるのは、いやだ」

 

「イザベラが望むことができれば幸せだって、思ったんだ」

 

消えそうな声を拾うと、イザベラにはビィが急に幼く感じた。

彼女は、ニュータイプのビィには全てお見通しなのだと思っていた自分を恥じた。

彼は生まれて間もないニュータイプだ。感情を測る物差しは1つしかないのだ。

 

イザベラはしばらく、ビィの頭を見ていたが、両手で彼の顔を上げる。

 

「ビィ、私決めた。今決めた。これからはビィのしたいことを一緒にする」

 

コツリとヘルメットを合わせて伝える。

 

「ついて行くし、ちゃんと見てる。同じことをしよう。違う二人だから、同じことをしよう」

 

 

 

 

 

 

「二人で山ほど殺しておいて、何いちゃついてんだい」

 

無線と同時にドキャッという破壊音が響き、高機動型ザクの頭が吹っ飛んだ。

驚いて外を見ると、シーマのガーベラテトラが、ライフルを仕舞いながら立っていた。

傍には<リリー・マルレーン>やジムカスタムが浮かんでいた。

 

「お前たちはアタシらと同じ、人でなしだよ。今更くよくよするもんじゃないねぇ」

 

そうだそうだ! とクルーがはやし立てる。

暫くぼぅっとしていると、シーマが怒鳴りつけてきた。

 

「さっさと乗りな!わざわざ迎えに来てやったんだ、そのオンボロMAも回収するんだよ」

 

 

ビィとイザベラは互いに見合わせ、噴き出した。

シーマに蹴り飛ばされそうなので急いで回収し、船に乗った。

もう娯楽室は宴会が始まっていて、自分たちの会話も余興の一つになっていたらしい。

 

宴は続く。

人でなし、大いに結構!

少なくとも僕らは、今を精一杯、幸せに生きている。




皆様の応援で完結することができました。ありがとうございます。
感想や評価、推薦などいただければ大変うれしいです。

勢いで始めた本作ですが、やはり何かをやり遂げると、沢山の気づきがあります。
ガンダムを調べる時間や、展開を考える時間。無駄ではなかったと思います。

今後は後日談を入れる可能性がありますが、今までのように短い間隔で投降できるかはわかりません。
とりあえずはシーマのその後とか、ビィたちのその後を書いてみようかなと考えています。

今回はお読みいただき、ありがとうございました。
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