とんでも異能で真剣恋放浪   作:色々残念

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とりあえず1話に統合して再投稿


放浪少年

僅か5歳で大人びた子どもと言われる俺には、前世の記憶がある。

 

成人男性まで生きたことまでは覚えているが、それ以降は全く記憶がない。

 

まあ、多分何かしらの出来事で死んだのだろう。

 

今生も日本に生まれたが前世と違うことは結構あって、神奈川県の川崎が川神になっていたり、一部の武術家がドラゴンボールみたいに気弾を放てるようになっていたりもしていた。

 

今生の俺は武術家という訳ではないが、とある理由から気を使うことが可能となっている。

 

ちなみに川神には川神水という酒みたいに酔えるが、アルコールは含まれていない謎の飲み物も存在しているらしい。

 

そんな川神に引っ越してから3週間が経過した頃、今生の父が「向田家は今日で解散します」と言い出す。

 

いや解散って何だよ、とか思っていると「これからは各自で生きてください。それでは解散!」と言うと家を出ていった父。

 

「強く生きるのよ、瀬流彦」

 

俺にそれだけ言って、母も家を出ていく。

 

普通に両親に置いてかれたが、怒りを抱くことはなかった。

 

こういうこともあるか、と落ち着いて受け止めることができたのは前世の記憶が俺にあったからだろう。

 

両親が逃げるように家を出ていった理由までは知らないが、俺も家を出た方が良いかもしれない。

 

そう感じたので素早く家を出て、向かう先は川神にある河川敷。

 

今生の俺には異能とも言える能力が2つあり、1つは生まれた時から頭の中に浮かぶネットスーパーのようなカタログにある品々を、気を対価に作り出す「ネットスーパー」で、もう1つは様々なものを気に変換して吸収する「吸収」というものである。

 

この2つの異能を上手く使えば、1人で生きていくことも不可能ではない。

 

川の水に手で触れて「吸収」を行うと、変換されて気として吸収されていった川の水。

 

金銭として換算するなら50万くらいの気を吸収できたところで、今度は「ネットスーパー」の出番だ。

 

まずは頭の中に浮かぶカタログで簡単に組み立てられるテントを探し、それを気を対価に作り出すと、段ボールに入った状態で現れたテント。

 

河川敷でテントを組み立てたら、次は作り出した石鹸とペットボトルに入った飲料水を使って手を洗い、ブロックタイプの栄養食品を作って食べておき、新鮮なバナナも作り出して食べておく。

 

手の込んだ料理とかを作るのは、もう少し成長して手が大きくなってからの方が良さそうだ。

 

大きさの違う段ボールの数々に、栄養食品の空き箱やバナナの皮などのゴミを気に変換して吸収し、テントの中に子ども用の布団を敷いて横になる。

 

さて、生きていくことだけなら余裕でどうにかなりそうだが、それだけではつまらない。

 

せっかく気が使えるのだから、前世の漫画やゲームの技が使えるか試してみるのも面白そうだな。

 

そう考えた俺は様々な漫画やゲームの技を、潤沢な気を用いて再現できるか確かめながら旅をする日々を過ごしていったが、7年も経過すれば技もある程度形になってきた。

 

そんなある日、戻ってきた川神の河川敷で過ごしていると此方に近づいてきた少女。

 

「マシュマロ食べる?」と言いながらマシュマロを差し出してくる少女は、明らかに痩せ細っており、服と身体も薄汚れていて、まともな生活ができている状態ではないみたいだ。

 

この子は、きっと友達が欲しいんだろうな、と考えた俺は、少女を拒絶することなくマシュマロを受け取っておく。

 

「おう、ありがとな」

 

感謝してから受け取ったマシュマロを食べた俺は、少女にお礼として渡すお菓子を「ネットスーパー」を用いて作り出してみた。

 

突如として現れた段ボール箱と、中に入っていたお菓子の詰め合わせに驚いていた少女。

 

「マシュマロをくれたから、お礼だ」

 

お菓子の詰め合わせを少女に渡すと「お兄さんは魔法使い?」と少女は目を輝かせながら聞いてくる。

 

確かに魔法みたいに思えても仕方がない能力ではあるし、少女の夢を壊すのも悪いかと思えたので、否定はしない。

 

「バレたか、実はそうなんだ」

 

笑みを浮かべた俺は気を火に変えて自在に操り、火で作り出した鳥を空に飛ばしてみせてみた。

 

「わぁぁ」

 

更に目を輝かせている少女の前で、気だけで出来ているホウキを作り出し、ホウキに乗って空を飛ぶ姿もみせてみる。

 

「凄い凄い」

 

大興奮している少女に「一緒に飛んでみるか?」と聞いてみると「うん」と頷いたので、俺の前に乗せた少女と一緒に気のホウキで空を飛んだ。

 

空から見る景色に喜んでいた少女と一緒に、しばらく空を飛んだ後、河川敷に降りて「楽しかったか?」と聞くと「凄く楽しかった」と笑顔をみせた少女。

 

それから互いに自己紹介をして、少女の名前が小雪だと知ることができた。

 

とりあえず栄養が足りていない小雪には、俺が「ネットスーパー」で用意した食事を食べてもらう。

 

お腹一杯になったのか眠そうにしていた小雪をテントの中に寝かせておき、日々積み重ねていた技の鍛練を今日も俺が行っていると、現れたのは好戦的な少女。

 

「あの気の持ち主はお前だなっ!勝負しろっ!」と言いながらいきなり殴りかかってきた少女の身体能力は明らかに気で強化されており、大人だろうが容易くノックアウトすることが可能な威力を持っていた少女の拳。

 

少女の拳を捌き、此方が反撃の拳を叩き込んでいくと嬉しそうな顔になった少女が「川神流無双正拳突き」と技を繰り出してきた。

 

連続で両拳による拳打を繰り出してくる少女の攻撃を全て捌き、間合いを詰めた俺が放つのはストリートファイターの技。

 

「昇」

 

少女の顎をアッパーのように突き上げた拳を止めることなく。

 

「龍」

 

昇る龍の如く、身体ごと回転しながら上昇。

 

「拳!」

 

気によって強化された身体能力を存分に発揮して、威力を高めた拳の力を爆発させた。

 

手加減はしておいたが、昇龍拳の一撃で吹き飛んで気絶していた少女は起き上がることはない。

 

起きるまで待ってた方が良いかと考えていると、好戦的な少女の保護者らしきお爺さんが現れた。

 

「百代が歳の近い相手に負けるとはのう」

 

そう言ってから川神鉄心と名乗ったお爺さんは、好戦的な少女、川神百代の祖父であるらしい。

 

とりあえず鉄心さんのお孫さんには、もう少し落ち着いて行動してもらいたいところだ。

 

親に虐待されている可能性が高い小雪について鉄心さんに相談してみると「うむ、ワシに任せなさい」と言ってくれたので、根なし草の俺よりかはまともな鉄心さんに小雪を任せておくことにした。

 

「お主も保護した方が良さそうな気がするんじゃが」

 

俺にもそんなことを言ってきた鉄心さんには悪いが、自由な生活を続けるつもりな俺は、素早く逃げておく。

 

川神から脱出した先で、河川敷にテントを立ててから料理を作っていると川を流れてくる女性が1名。

 

瞬時に気で作り出した巨大な手で女性を掴み上げて救助しておいたが、女性は気を失っているようだった。

 

溺れていた訳ではない女性の目が覚めるまで待ちながら料理を作っていると、ちょうど料理が完成したところでようやく起きた女性は周囲を見渡して「ここは?」と戸惑っている。

 

「起きましたか」

 

「すまないが、ここは何処なんだろうか」

 

現在地がわかっていない様子の女性に、ここが何処かを説明しておき、お腹が空いていないかを聞いてみると「財布のお金だけ落としたから、しばらく何も食べてないかな」と落ち込む女性。

 

「豚汁で良ければどうぞ」

 

使い捨ての椀によそった豚汁を割り箸と一緒に差し出すと「ありがとう」と受け取って凄い勢いで食べ始めた女性は、かなりお腹が空いていたみたいだ。

 

「沢山作りましたから、おかわりもありますよ」

 

「いただいてもいいかな」

 

「どうぞどうぞ」

 

それから何杯か豚汁を食べて満腹になった女性は「しまった。久しぶりの食事に夢中になって、きみに名前を教えるのを忘れてた。私は橘天衣だ」と名前を言ってきた。

 

「向田瀬流彦と申します」と此方も橘さんに自己紹介をしておく。

 

その後、橘さんと少し話をしてみたが、どうやら橘さんは不運体質というものであるようで、運が凄まじく悪いらしい。

 

7年間旅をして気付いたことだが、俺が「ネットスーパー」で出せる品には特別な力がある。

 

橘さんの不運体質もどうにかできる可能性はありそうだ。

 

という訳で「ネットスーパー」で縁起が良い食べ物を出して、橘さんに食べてもらう。

 

厄を断ち切るという蕎麦、悪いものを取り除ける、こんにゃく、そしてデザートには厄払いのぜんざい。

 

それらを食べた橘さんと、しばらく一緒に行動してみたが、橘さんに不運な出来事は何も起こることはなかった。

 

「ネットスーパー」の食べ物で不運という厄を断ち切り、取り除いて払うことはできたようで、橘さんの不運な体質は無くなったみたいだ。

 

此方に感謝してくれた橘さんとも別れて、更に日本国内を巡って旅を続けていくと経過していく日々。

 

俺より年下だが行動力が半端じゃない風間翔一という少年とも出会い、腹を空かせた風間少年に食事を振る舞ったりしている内に仲良くなって一緒に冒険したりもしたな。

 

そんな日々を過ごしていると月日は過ぎ去っていき、年齢が14歳になった俺は、試しにおでんの屋台を始めてみる。

 

どんな客が来るだろうかと考えておでんを仕込んでいると、最初に現れた客がちょっと普通ではない相手であった。

 

最初に現れた客である銀髪で額に×印のような傷を持つ男性は、護衛らしき相手も複数人引き連れていて、一般人とは程遠い。

 

「まずは大根で頼むわ」と言った銀髪の男性に、此方を害するつもりはないようなので、おでんを提供しておく。

 

出汁の味がしみた大根を出してみると「こういうところで食う50円の大根が1番美味ぇんだよな」と笑いながら大根を食べた銀髪の男性。

 

「おっ、やっぱ美味いな。次はがんもくれよ」

 

銀髪の男性は、それからもおでんの具を注文していき「美味い美味い」と言いながら平らげていった。

 

腹一杯になるまでおでんを食べた銀髪の男性は「なあ、九鬼帝って知ってるか?」と問いかけてきたが「知りませんね、有名な人なんですか」と俺が答えると大笑いしていたな。

 

その日から、俺が屋台ごと他県に移動しても何故か定期的に現れる銀髪の男性は、毎回おでんを食べて酒を飲んでから満足気に帰っていく。

 

ある日、銀髪男性の護衛をしていた執事服を着た外人らしき金髪老人が襲いかかってきた。

 

「貴様を見極めてやろう」

 

上から目線でそんなことを言いながら蹴りを放ってきた金髪老人。

 

硬気功や気の鎧も使えるようになっているので、金髪老人程度の蹴りなら当たっても問題ないが、普通に避けれるから避けておく。

 

「避けるか、ならばこれはどうだ。ジェノサイドチェーンソー!」

 

金髪老人は気を電気に変換したのか、雷を纏う蹴りを繰り出す。

 

これもまあ、避けようと思えば避けれるが、いきなり攻撃してきた相手に容赦をする必要はない。

 

此方も攻撃させてもらうとしよう。

 

これから俺が使うのはハンター×ハンターの登場人物の技。

 

金髪老人の雷を纏う蹴りが高速で迫る中、行うのは両の手を合わせる合掌。

 

「百式観音」

 

合掌した俺の背後に瞬くよりも速く現れしは、気で作り出された黄金の観音。

 

「壱の掌」

 

不可避の速攻とも言える百式観音の手刀が振り下ろされ、それがまともに直撃した金髪老人は蹴りを此方に当てることが出来なかった。

 

その後も攻撃してこようとする金髪老人に百式観音で打撃を叩き込んでボッコボコにした後、気で最低限の治療をして放置しておいたが、それを見た銀髪の男性は、やっぱり大笑いしていたな。

 

いや、笑ってないで金髪老人は叱っておいてほしい。

 

あんたの護衛でしょうが。

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