とんでも異能で真剣恋放浪   作:色々残念

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なんか早めに思い付いたので更新します
真剣恋編は今回で終わりなので次回から異世界編になりますが、よろしくお願いします



とんでも異能で真剣恋放浪

週に3回ほど俺の屋台にやってくるマープルは、もしかしたら暇なのかもしれない。

 

そんなことを思いながら今日も屋台で、おでんの仕込みをしていると、現れたのは見覚えのある少女。

 

「魔法使いのお兄さん!やっと会えた!」

 

そう言ってきた白髪の少女は、成長した小雪で間違いなさそうだ。

 

初対面の時とは違って元気そうな小雪は、現在は虐待などされてはいないようで、ちょっと安心した。

 

再会を祝して「ネットスーパー」を用いて用意したマシュマロ系の菓子を渡しておくと喜んでいた小雪。

 

それから小雪とは様々な話をしたが、かつて川神鉄心さんに保護された小雪は、現在は川神小雪という名前になっていて、護身の為に川神院で足技を中心とした武術を学んでいるらしい。

 

小雪は風間ファミリーとは、あまり関わりはないみたいだが、ちゃんと友人も居るようだ。

 

「いきなりユキが駆け出したので、なんとか追ってきてみましたが」

 

「若も俺も置いてくぐらい早く移動したユキが、向かった場所は屋台だったんだな」

 

息を切らしている2人の少年は、小雪を心配して追いかけてきたみたいだった。

 

とりあえず冷たい水でも提供しておくかと考えて「ネットスーパー」を使った俺は、気を対価に作り出されたミネラルウォーターを2人に渡す。

 

「いきなり段ボール箱が現れたかと思えば、中にミネラルウォーターが入っていたんですが、この人がユキが言っていた魔法使いのお兄さんということですね」

 

「そうみたいですよ若、あっこの水、冷たくて美味しい」

 

ミネラルウォーターを飲んで一息ついた様子の少年2人。

 

自己紹介してくれた2人の少年の名は、葵冬馬と井上準というらしい。

 

それから久しぶりに空を飛んでみたいという小雪に加えて、葵少年と井上少年も一緒に空を飛んでみたが、驚きながらも喜んでいた2人の少年。

 

満面の笑みを浮かべて「久しぶりに空を飛べて、僕とっても楽しかったよ!魔法使いのお兄さん!」と言った小雪は大喜びしていたな。

 

「また会いに来るね!」

 

此方に大きく手を振って笑顔な小雪の隣で、葵少年と井上少年は「また来ます」と礼儀正しく一礼してから小雪と一緒に去っていく。

 

その日の夜、屋台を開いていると「やっとるかの?」と言いながら暖簾を潜って顔を出してきた川神鉄心さん。

 

「屋台はやってますんで、どうぞ座ってください」

 

「うむ、そうさせてもらうぞい」

 

お客さんの為に用意してある椅子に静かに座った鉄心さんは「まずは、大根からもらおうかのう」と注文してきた。

 

熱々の大根を割り箸で切って少しずつ食べながら「しっかりと出汁が染みておる大根は美味いわい」と鉄心さんは笑う。

 

「百代が美味いおでんの屋台を見付けたと自慢してきておったからのう、1度行ってみたいと思っておったんじゃよ。次は蒟蒻を頼むとするかの」

 

笑顔のままそんなことを言うと、次の注文をした鉄心さん。

 

「お主は、わしの保護が無くても真っ直ぐ育ったようじゃな。向田瀬流彦くん」

 

子を見守る親のような目で此方を見ていた鉄心さんは、俺が誰なのかも気付いていたらしい。

 

「まあ、異能のおかげで曲がったことをしなくても生きてこられたんで、背筋伸ばして生きてこられましたよ」

 

「うむ、安心したぞい。今日はいい酒が飲めそうじゃな。おすすめの日本酒でももらおうかのう」

 

「それじゃあ、とっておきでも出しときますね」

 

その後、鉄心さんと俺は、1人の客と屋台の店主として、穏やかな一時を過ごす。

 

翌日の朝、軽く身体を動かしていると「向田くん!向田くんじゃないか!」と俺を呼ぶ声がした方を振り向くと、橘天衣さんが立っていた。

 

武者修行の旅をしている橘天衣さんは、武術家が集まる川神院に立ち寄るつもりだったが、恩人とも言える俺を見かけて思わず呼んでしまったみたいだ。

 

俺の「ネットスーパー」の品々で不運体質が改善された天衣さんは、運悪く財布の中身を落とすこともなくなり、順風満帆な生活ができいているようである。

 

互いに近況を話したりした後、天衣さんは「そろそろ川神院に行かないと」と言って慌ただしく去っていった。

 

夜になり、今日も屋台を開いていると久しぶりに現れた銀髪男性。

 

「うちのヒュームやマープルが迷惑かけたみたいじゃねぇか」

 

開口一番にそんなことを言ってきた銀髪男性は、どうやらマープルの雇い主だったみたいだ。

 

「マープルは知っていますが、ヒュームは知りませんね」

 

俺がそう答えると「マジかよ、名前も覚えられてねぇのかヒューム」と銀髪男性は大爆笑していた。

 

「それで、ヒュームというのは誰のことですか?」

 

「店主に喧嘩売って、毎回返り討ちにされてる金髪のジジイな執事がヒュームな」

 

「ああ、アレのことですか。というかアレには1度も自己紹介されたことがないんですが」

 

「なるほどそうだったんだな、そりゃヒュームが悪いぜ」

 

俺がヒュームの名前を知らなかった理由を知り、納得した様子で頷いていた銀髪男性。

 

銀髪男性は、しばらく屋台で飲み食いした後に「迷惑料も兼ねて、こんだけ払っとく」と言うと、控えさせていた護衛から受け取ったアタッシュケース2つを此方に差し出す。

 

中身を確認してみると、片方には万札がぎっしりと詰まっていて、もう1つには金の延べ棒が沢山入っていた。

 

「足りねぇならまだあるが?」

 

「いや、もう充分です。これ以上は過剰ですよ」

 

断っておかないと更に渡されるのは間違いないので、素早く断っておき、これ以上の受け取りは拒否。

 

「んじゃ、また来るぜ」と言って護衛と一緒に去っていった銀髪男性。

 

渡されたアタッシュケース2つは、とりあえず屋台と一緒に持ち歩くことにしておこう。

 

葉桜少女が料理勝負を挑んできたり、松永燕が納豆を紹介する手伝いを頼んできたりもした川神での日々も過ぎ去っていき、再び放浪しようと考えた俺は川神を出ることにした。

 

「ネットスーパー」と「吸収」の異能も進化したようで、生きている物以外なら「吸収」した物が「ネットスーパー」のカタログに載るようになったみたいだ。

 

これで様々な物を増やそうと思えば増やせるようになったが、俺にとっては悪いことではない。

 

俺が川神を出ると決めた日に、川神百代から真剣な顔で勝負を挑まれる。

 

「武術家として、手合わせをお願いしたい」

 

そう言ってきた川神百代は、1人の武術家の顔をしていた。

 

俺は武術家という訳ではないが、こうも真剣に頼まれたのなら、断るのも失礼だろう。

 

勝負を引き受けた俺が、周囲に被害が出ないように気で結界を張ると、立ち合い人の鉄心さんのみが見守る戦いが始まりを迎えた。

 

「川神流、無双正拳突き乱れ撃ち!」

 

川神百代の拳の連打から始まる戦い。

 

初めて戦った数年前よりも力強く鋭くなっている川神百代の打撃。

 

川神百代が確かに成長したのは間違いないが、俺も成長していない訳ではない。

 

放たれ続ける川神百代の拳の弾幕を全て容易く受け流す。

 

「これは、かつて私を倒したお前に見せる為に、編み出した一撃だ!」

 

拳を受け流されようと前に出た川神百代が叫ぶように、そう言い放ち繰り出す技。

 

「川神流、昇り龍天!」

 

それは俺がかつて川神百代を倒した昇龍拳を模したかのような、昇る龍の如き一撃。

 

螺旋を描くように回転して上昇しながら放たれた川神百代の拳。

 

それすらも受け流しておくと川神百代だけが上昇していく。

 

攻撃を受け流されることも想定内だったようで、慌てることのない川神百代は次の技を繰り出した。

 

此方の頭上から振り下ろされるのは、丸ノコのように回転しながら放たれた踵落とし。

 

それすらも流れる水の如く受け流した俺は、戦いを終わらせる技を放った。

 

それは、とある忍びの技。

 

荒れ狂う嵐のように乱回転させた気を球体状に圧縮して手から放つ技の名を。

 

「螺旋丸!」

 

川神百代の腹部に直撃した螺旋丸により、決着となった今回の戦い。

 

螺旋丸の凄まじい威力で吹き飛んで気絶していた川神百代に、気で治療を施しておき、鉄心さんに川神百代を預けておく。

 

戦いを終えて川神を出る前に、知り合っていた人々に別れの挨拶をすると「また会えるよね?」と聞いてきた面々。

 

「元気に生きてりゃ、また会えるさ」

 

そう答えて川神を立ち去った俺は再び放浪を始めた。

 

「さて、今度は何処に行こうかね」

 

俺の放浪の旅は、まだ終わらない。




ちなみに異世界編は、ゼロの使い魔や恋姫に、ダンまちなどを考えています
思い付いた順に更新していくのでよろしくお願いします
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