駆け足な1話で完結させた話になります
移動式の屋台を引いて歩いていると、突如として現れた大きな鏡のようなものに当たったかと思えば、屋台と一緒に全く別の場所に移動してしまった。
ここには杖を持ってマントを着用した子ども達と、教師らしき男性が1名居るが、もしかしたら魔法使いの学校のような場所に来てしまったのかもしれない。
ちらほら聞こえる使い魔召喚の儀式という言葉が正しければ、俺ともう1人の少年は魔法使いの使い魔として召喚された可能性が高そうだな。
平賀才人と名乗ったパーカーを着た少年は電気街に居たらしいが、彼も電気街に現れた鏡のようなものに触れたら吸い込まれて、この場所に移動していたようである。
俺と平賀少年を召喚したのがピンク色の髪をした少女であるみたいで、召喚のやり直しを教師に求めているようだった。
ピンク髪少女と教師が話している間に、平賀少年に俺達が別の世界に呼び出された可能性が高いことを伝えておくと「マジですか」と半信半疑な平賀少年は、まだ撮影か何かじゃないかと疑っているみたいだ。
その後、教師に平賀少年と俺を使い魔にするように言われたピンク髪少女が「あんたら感謝しなさいよね」と言いながら平賀少年にキスをする。
ピンク髪少女にキスをされた平賀少年が苦しみ出して、平賀少年の額と両手に刻まれていくルーン文字。
どうやら召喚した後に呪文を唱えてキスをすることで、使い魔契約とやらが完了するらしい。
「次はあんたね」
そう言って此方にもキスをしようとしてきたピンク髪少女のキスを、俺は素早く避けておく。
「何で避けんのよ!」
怒りはじめたピンク髪少女に「俺は使い魔になる契約とやらを了承したつもりはないんでな」と答えておくと更に怒り出した。
ピンク髪少女の使い魔契約の為に必要なキスを避け続けていると「ああ、もうあんたは後回し」と言って俺を諦めたピンク髪少女。
ピンク髪少女の使い魔契約が一段落し、彼女以外の魔法使いが空を飛ぶ姿を見た平賀少年は「マジで別の世界なのか」と驚きを隠せていなかったな。
とりあえず此方も気で作り出した巨大な気の絨毯に屋台や平賀少年にピンク髪少女を乗せて空を飛んでみたが「あんたもファンタジーの住人なのかよ!」と驚きながらもツッコミを入れてきた平賀少年。
「これはマジックアイテム?それにしては何か違うような気がするわね」
空を飛んでいる気の絨毯に興味津々なピンク髪少女は、気の絨毯に触れて感触を確かめている。
「この絨毯は、気という力を使って作ったものになるな。マジックアイテムではなく技術によるものだ」
「技術ね。確かに先住魔法ともまた違うみたいだけど、技術なら私も身に付けられるのかしら」
「全く使えない人も珍しくない技術ではあるんで、人によるとしか言えないな」
ピンク髪少女と俺がそんな会話をして、ついでに互いに自己紹介もしておくと到着した魔法学院。
とりあえずピンク髪少女改め、ルイズと使い魔契約をしている平賀少年だけはルイズと同じ部屋で過ごすことになる。
恐らく寝床が無い平賀少年には「ネットスーパー」で作り出した寝袋を渡しておき、俺は俺で魔法学院の敷地内にテントを建てて、そこで過ごしておいた。
しばらく魔法学院の敷地内で過ごしていると広場で決闘騒ぎがあり、平賀少年と魔法使いの少年が決闘を行っているようだ。
護身用に渡しておいたサバイバルナイフを平賀少年が握った瞬間、平賀少年の動きが変わり、青銅の人形を容易く切り裂いたサバイバルナイフ。
明らかに動きが変わった理由には、武器を握った瞬間に平賀少年の左手で光り輝いたルーンが関係していそうな気がするな。
決闘は平賀少年の勝利で終わったが、そんな平賀少年が気に入らなかったのか他の魔法使いの少年が杖を平賀少年に向けて、風属性の魔法を放つ。
決闘でも何でもないなら割り込んでも問題ないと判断し、平賀少年目掛けて放たれた風の刃を手刀で両断して打ち消す。
「馬鹿な、何をしたっ!」
驚く風魔法少年に「ちょいと手刀で打ち消しただけさ」と言った俺は「喧嘩なら俺が買ってやるから、さっさとかかってきな」と続けて言い放って手招きした。
「後悔するなよ!」
そう言って再び風の魔法を放ってきた風魔法少年は、風の魔法で鈍器のような風を此方に飛ばす。
正拳突きで風を粉砕し、次に此方が放つのは、氷炎将軍の技。
「メ」
気を炎に変換し指先に火を灯していく。
「ラ」
人指し指から順番に、言葉に合わせて火を灯していくことを止めない。
「ゾー」
一気に2本の指先に火を灯し、残る指は1本。
「マ」
最後の指に火が灯った瞬間に、火が灯る指で拳を握り込んだ。
「フィンガーフレアボムズ!」
勢いよく握った手を開き、5指から5つの爆炎を一気に放つ。
爆炎に包まれた風魔法少年が絶叫を上げて倒れたところで、炎を消しておき、気で火傷の治療も行っておいた。
しかしちょっとやり過ぎたようで、魔法使いの子ども達からは怯えた目で見られてしまったな。
その後、平賀少年の怪我も俺が気で治療を行っておくと「あんたは気ってやつで治療しているのよね、何処までなら治療できるの?」と聞いてきたルイズ。
とりあえず真剣な顔をしていたルイズに、俺が気で治療できる範囲を教えておくと「ちょっと一緒に実家の領地まで来て!」と言ってきたルイズは治療してほしい相手が居るらしい。
急ぎがいいと言うルイズの指示に従い、気の絨毯で空を飛んでルイズの実家であるヴァリエール公爵家の領地にまで向かうと、到着した目的地。
ルイズの姉であるカトレアの治療を頼まれた俺は「ネットスーパー」の品々と気による治療を用いながら、カトレアの治療を行っていく。
弱っている臓器に気を流し込んで活性化させて、健康な状態にまで変化させていき、身体に良い食品を「ネットスーパー」で作り出して少しずつ食べてもらって、カトレアの体質を改善。
病弱だというカトレアを、かなり健康な状態にまで持っていくことができたので、治療は成功と言ってもいい筈だ。
涙を流しながら喜んでいたルイズは、本当に姉のカトレアのことが大好きなのだろう。
それから健康になったカトレアが居るフォンティーヌから気の絨毯で移動し、戻ってきたトリステインの魔法学院。
姉が健康になってから機嫌が良いルイズは平賀少年と少しずつ仲良くなっているようで、今日は平賀少年に剣を買いにいくつもりみたいだ。
俺は俺で、タバサと名乗った魔法使いの少女に「治療を頼みたい相手が居る」と頼まれ、治療対象が居る場所にまで空を飛んで移動していた。
到着した場所で、治療対象である女性を紹介されたが、明らかに正気を失っている女性。
とりあえず女性の身体に気を流して確認してみたが、何らかの毒が体内に残っていることが理解できたので、その毒のみを「吸収」で吸収してみると、女性は正気を取り戻す。
身体も弱っていた女性には、ついでに気による治療も施しておき、肉体的にも健康的な状態にしておいた。
正気になった女性にタバサではなくシャルロット、と呼ばれていた少女は「お母様」と言いながら涙を流していたが、どうやらタバサの本名はシャルロットだったようである。
女性とシャルロットは身を隠す必要があるようで、今は友人のことを頼るつもりらしい。
友人の実家があるゲルマニアに逃げるシャルロットには、当面の生活資金が必要かと思った俺は「ネットスーパー」を用いて増やした金の延べ棒を何本か渡しておく。
「何から何までありがとう。私は貴方にお礼に何をすればいい。何でもする」
そう言ってきたシャルロットに「何でもするなら、俺には何もしなくていい。家族と友人を大切にして幸せになっとけばいいさ」と言って背を向けた俺は、トリステインの魔法学院に戻った。
俺が居ない間に魔法学院では、ゴーレムを操る土くれのフーケとやらに魔法学院の宝が奪われる騒動があったみたいだが、それをルイズと平賀少年が解決したそうだ。
その一件でルイズと平賀少年の距離は更に近付いたようで、魔法学院で行われたパーティーでルイズとダンスを踊っていた平賀少年。
まあ、使い魔と主人が仲良くなっているのは悪いことではないのかもしれない。
それからもルイズや平賀少年を中心とした騒動が巻き起こったりもしたが、裏切ったワルドをボコったり、こっそりとウェールズ王子をトリステインに亡命させたりもしたな。
そんなことがあった日々も過ぎて、この世界の2つの月が重なる時が来た。
ルイズと平賀少年には別れを告げて「ネットスーパー」の品々を大量に渡しておき、空を飛んで重なった2つの月を越えて、ようやく戻ってきた故郷の世界。
ちょうど日本の上空に到着したので、とりあえず河川敷に降りておく。
しばらく行方不明になっていた俺が戻ってきたことに、いち早く気付いたマープルに何処に行っていたのか聞かれたので、魔法がある異世界に行っていたと伝えてみた。
「まあ、異能なんてものがあるんだから、魔法もあるのかもしれないね」
魔法の存在を否定しなかったマープルに、土産として「ネットスーパー」のカタログに新たに増えた水の秘薬という治療薬を渡しておくと「こいつは好きにしてもいいのかい?」と聞いてきたマープル。
「解析結果は教えろよ」とだけ答えた俺は、1つしかない月を眺めて、この世界に戻ってきたことを実感していた。
まさか、異世界にまで行くことになるとは思わなかったが、戻ってこれたなら、いい経験になったと考えてもいいかもしれない。
ちなみにこの平賀才人くんは使い魔のルーンが3つありますので、神の頭脳と、神の右手で、神の左手でもありますね
カトレアが健康になり、シャルロットの母親が正気を取り戻し、ウェールズが生存していたりして、原作とは変わっていることもけっこうあります