キヴォトス召喚〜捻れて歪んだ先の分岐点〜 作:熱核戦争先生
モーセ海峡
旧約聖書に登場する民族指導者の名前を冠した海峡は、キヴォトス本土のヒュペルボレア大陸とトリニティ自治区などの学園があるアヴァロン諸島を隔てるキヴォトス海峡東部の最峡部にあたる。
モーセ海峡は海峡幅34kmで大陸・諸島間を最短距離で行き来するルートとして、両島を物理的に繋ぐキヴォトス海門連絡大橋が整備されてる。
キヴォトス海門連絡大橋は総延長51km、橋がかかっている海峡部で35kmある鉄道道路併用橋で、キヴォトス最大のインストラクチャーだ。
キヴォトスの巨大企業“カイザーグループ”傘下の建設会社のカイザーコンストラクションをはじめ、レッドウィンター連邦学園工務部、ミレニアムサイエンススクール新素材開発部、ハイランダー鉄道学園鉄道建設部など数多くの企業や部活が建造に携わり、神歴1988年に全線開通した。
橋梁部構造は上部に片側3車線のモーセ海峡道路、下部に在海峡線、
34kmという長大な距離と中間地点となる島がないため、スパン短縮と基礎強化での重量分散の人工島が2つあり、人工島には海峡道路での休憩所も兼ねたサービスエリアが整備されている。
キヴォトスにおいて史上初の鉄道道路併用橋であったため、企業や学園の枠組みを超えた新たな管理組織として、キヴォトス海峡交通管理公団が設立され、海峡連絡大橋を含む海峡間を行き来する船舶の航路管理も一手に引き受けている。
そんなキヴォトスの巨大建造物に、世界有数の超大国が保有する最大最強の戦艦率いる欧州大陸派遣艦隊と海警局警備部隊が差し掛かっていた。
原子力戦艦“信濃”と軽空母“冲鷹”を中心にミサイル巡洋艦とミサイル駆逐艦が菱形隊形で囲み、派遣艦隊の周りに第203警備分隊を除く各警備分隊が左右それぞれに単縦陣で配置され、先頭を第203警備分隊が航行していた。
交わることの無い異色の連合艦隊は、キヴォトスの首都たる
信濃航海環境
「英仏海峡トンネルの代わりに橋がかかってるとはな」
蕪木は双眼鏡でモーセ海門連絡大橋を見ていた。
モーセ海門連絡大橋がかかってる場所は本来、
「はぇ〜、すっごい大きいなぁ。おっ、あの白い壁はホワイトクリフかな?本やテレビでしか見た事ないけど、この目で本物を見れるとは...蕪木艦長、あそこまで続いてますよ」
加藤も蕪木と一緒に双眼鏡で追っていた。
ホワイトクリフは、ドーバー海峡の名前の由来となる都市があるイギリスのケント州側に聳え立つ“ドーバーの白い崖”の事である。
「並行世界の地球でも白い崖は健在のようだな」
蕪木も双眼鏡でホワイトクリフを追っていた。
「海峡間は最狭部で34km。対して、我が国が誇る瀬戸大橋の総延長は12kmです。目の前の橋も瀬戸大橋と同じタイプのようですし、この世界で最大の鉄道併用橋になりますね」
瀬戸大橋の規模は旧世界や異世界でも健在だ。
この世界でも日本帝国の技術供与により、鉄道道路併用橋が勢力圏内外に続々と建設されている。
また、デュロ国という日本帝国と日系企業によって作られた“実験国家”でも瀬戸大橋を遥かに超える総延長18kmの「デュロ国際空港海上連絡橋」が建設中である。
「1位の座は譲られるな」
「デュロの連絡橋が完成してる頃には世界第2位でしょう」
更なる変化の時代が訪れた。