キヴォトス召喚〜捻れて歪んだ先の分岐点〜   作:熱核戦争先生

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厳戒態勢の大動脈

キヴォトス海峡大橋

 

片側3車線の海峡道路は年間1200万台の車両が大陸諸島間を行き来している。

生徒や一般人が運転する乗用車や巡航戦車、不良生徒が運転するカイザーPMC払い下げの軍用5トントラック、カイザートランスポートなどの物流企業が所有する大型トラックなど多種多様で、キヴォトスの経済を支える大動脈として機能している。

 

盛況な海峡大橋は現在、連邦生徒会の権限により封鎖されていた。

代わりに、防衛室傘下の学園と周辺学園自地区から派遣された治安維持部隊が共同で展開。

 

ヴァルキューレ警察学校のシラトリ支所や近隣支所、キヴォトス三大校の一校“トリニティ総合学園”、ハイランダー鉄道学園、トリティから分派したマルキオン分校や福音サムエル学園高等部、歴代連邦生徒会長を輩出する伝統校のへーべ総合学園、ラーズグリーズ航戦高等学校、キヴォトス唯一の学園間軍事機構“西部学園同盟”に所属する学園など30校以上に達している。

 

ヴァルキューレの公安局や警備局、トリニティの正義実現委員会や空軍委員会、ハイランダーのトリニティ路線やキヴォトス中央路線、マルキオンの風紀騎士団、福音サムエルのE.S.S.A(福音サムエル救世軍)、へーべの監察委員会、西部学園同盟のWSRAC(西部学園即応航空委員会)、ラーズグリーズの第114戦術航空部など各校の治安維持部隊が一堂に会していた。

 

海峡道路にはトリニティの正式戦車“クルセイダー”や183mmF4砲を搭載した対戦車駆逐車“アルティメット・ティー”、ヴァルキューレのRWSを搭載した装甲警備車や“第72号ヴァルキューレ制式火力警備車”などの戦車や装輪戦闘車両の砲塔が海に向いていた。

 

上空には空軍委員会の戦闘攻撃機“トーネード”12機、第114戦術航空部の制空戦闘機12機と戦闘爆撃機“フルバック”6機、“西部学園同盟”所属学園の制空戦闘機12機と対艦攻撃機18機などが空中展開。

 

海峡大橋下層階の鉄道路線にはトリニティ路線やキヴォトス中央路線の武装装甲列車4両が等間隔に配置。

武装装甲列車には戦車砲、機関砲、ロケット砲などの武装が載せられており、それらも海に向けられていた。

 

これだけの戦力が集結しているのは、外界からの使者“日本帝国海軍”と名乗る軍事組織に対する警戒しているため。

同時に混乱に乗じて騒ぎを起こし海峡大橋破壊を企む勢力から経済の大動脈を守るため。

 

そのため、海峡大橋双方の出入口にも防護柵が設置され、公安局と正義実現委員会の生徒や戦車に加え、攻撃ヘリコプター“アパッチ”やミニガンや対戦車ミサイルで武装した汎用ヘリコプター“ブラックホーク”が別働隊で展開していた。

 

海峡道路側部隊

 

正義実現委員会のカラーリングが施されたクルセイダーのキューポラから団子ヘアの生徒が双眼鏡で海を見ていた。

 

目で追っているうちに、見慣れた海警局警備艦を見つけ少し安堵する。

そこから更に目で追うと、見慣れない灰色の戦闘艦が目に入る。

 

「あれが、日本帝国の戦闘艦?案外私達と変わらないかも...?」

 

彼女は日本帝国海軍のミサイル巡洋艦“金剛”を見て、トリニティの水際取締委員会が保有するフリゲート艦を思い出す。

どちらも、現代的な単装速射砲にVLSを装備している。

 

形は違えど自分達と少し似通っているところもあるので、また一つ安堵感もあった。

 

暫く監視していると、金剛を一回り小さくした駆逐艦も見つけていく。

 

だが、上記の金剛や駆逐艦、海警局の警備艦、トリニティのフリゲート艦とは一線を画す艦が見えてきた。

 

前方に巨大な3連装砲が空に天高く突き出し、ハリネズミの如く配置された多数の速射砲や機関砲、10階建てビルの如く高い艦橋構造物を要し、周囲の船が小舟みたいに見えるほどの、超大型艦が目に入る。

 

彼女は、疲れているのだろうか、と目を擦って何度も確認するが、見間違いではないと分かった。

 

「は?は?はあぁぁぁぁ!?あ、貴女達、ちょっと出てきて!」

 

彼女は車内でお茶会をしてるメンバーに外に出るように促す。

 

「な、なんですか、先輩?」

 

普段は大人しい彼女の慌てように、少し怯えながら1,2年の後輩達が恐る恐る出てきた。

 

「双眼鏡見て!」

 

そう言われ、後輩達は紅茶を飲みながら彼女が刺した方向に双眼鏡を向ける。

 

後輩たちも見つけたのか、紅茶を盛大に吹き出していた。

 

「な、なななな、なんですか、あれ!?えっ、戦艦ですか?」

 

「トリニティの記念艦より大きいですよ、あれ!」

 

超大型艦こと日本帝国海軍の原子力戦艦“信濃”を見て、各々感想を述べていた。

 

彼女だけでなく、同じく監視していたヴァルキューレの生徒は慌てた様子で無線でどこかとやり取りをしており、騒ぎを聞きつけた各校の生徒が何事かと野次馬を作り、双眼鏡やスマホのズーム機能で信濃を見ていた。

 

「な、なんて大きさなの。化け物なの?」

 

「ンアーッ!船が大きすぎます!」

 

「エイギルの戦艦じゃん!なんでこんな所にいるの!?」

 

自分達の任務を忘れるほど信濃の規格外な大きさに驚愕していた。

 

モーセ海峡大橋空域

 

時を同じくしてモーセ海峡大橋の空域を飛行していた、空軍委員会、第114戦術航空部、WSRACの生徒達も信濃の存在を確認していた。

 

《嘘でしょ、何よあれ》

 

《まさしく海の要塞...》

 

《青空川のヴァンガードですら、一昔前の重巡洋艦に見えてしまう大きさですね》

 

空軍委員会のトーネードを操縦する生徒達は比較的冷静に捉えている。

 

《あんなデカブツと戦って、沈めれるのか?》

 

《エイギルの戦艦でも対艦ミサイルが効くかどうかなのに...》

 

第114戦術航空部のフルバックを操縦する生徒はウェポンステーションに搭載してる空対艦ミサイルを全力発射して信濃を撃破できるか頭を悩ましていた。

 

《あの空母に駐機してる戦闘機。アンタ達(シリコンリバティ)のスーパーホーネットに似てないか?》

 

《あっ、本当だ。ウチのスーパーホーネットにそっくりだよ》

 

WSRACのファイティングファルコンを操縦する生徒が、空母“冲鷹”の飛行甲板に駐機しているF−2C/D戦闘攻撃機を見て、対艦攻撃機“スーパーホーネット”と似ていることに気づく。

 

《とんでもない奴らが向こう(外界)にいるんだな》

 

《ミメシスやアリウスみたいな連中がいたらどうしよう...》

 

《平和的に済むと良いんだけどね》

 

各々は期待と不安を抱きながら、白い航跡を引きながらモーセ海峡大橋を通過しようとする艦隊を見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《先生。貴方が取る“選択”は一体なに?》

 

 

 

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