キヴォトス召喚〜捻れて歪んだ先の分岐点〜   作:熱核戦争先生

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と言うわけでミレニアムサイエンススクール回になりました
あと1話続きます


マイラスのミレニアムスクール探訪

ミレニアムサイエンススクール。

千年難題という、今の技術では解けない七つの難題に立ち向かう研究者達の集まりを発端に、勃興した比較的新しいキヴォトス三大学園の一校。

 

キヴォトスで普及している最新鋭・最先端技術の多くが、この学園で生まれており、生徒達は日々新たなイノベーションを起こすべく研究に励んでいた。

 

ムー国対キヴォトス視察団のマイラスと彼の部下は、ヴァルキューレ生に護衛されながら、ミレニアムサイエンススクールに訪れていた。

他の団員メンバーは、会談の最終調整や他の情報を収集する作業をしているため別行動を取っていた。

「おぉ、すごい、すごい、すごい!」

 

マイラスは、テーマパークに来た子供のように興奮しはしゃいでいた。

 

日本やムーの無機質な鉄筋コンクリート製ビルとは違った先進的なビルや施設が建ち並び、先進的な車や交通システム、白衣を纏った生徒が行き交い、まさか最先端・最新鋭の学園と言っても申し分なかった。

 

「マイラス補佐官、落ち着いてください」

 

マイラスはMikonの文字が入った日本製カメラを手に手当り次第に撮影をしていた。

 

「これを見て落ち着いてられるか!キヴォトス随一の科学技術特区に来れたんだ!ムーどころか日本にもない先端技術を一番乗りで見れるチャンスなんだぞ!」

 

「国交結んで交流が盛んになったらいつでも見れるのに...」

 

部下は呆れつつもマイラスの情報収集という名のカメラ連射に付き合っていた。

 

「ムー視察団の方でしょうか?」

 

マイラス達は自分達を呼ぶ声の主見る。

 

そこには、メイド服とガーディアンを纏った長髪のメイドと、着崩したメイド服とスカジャンを羽織った短髪の小柄なメイド?が立っていた。

 

「失礼、貴女達は?」

 

「申し遅れました。ミレニアムサイエンススクールC&Cの室笠アカネです。そしてコチラが...」

 

「C&C部長の美甘ネルだ。あんたら視察団警護を担当することになってる。よろしくな!」

 

マイラスと部下は、ネルの名前を聞いてあることを思い出す。

 

「美甘ネル...もしかして、君が“約束された勝利の象徴コールサイン00”かい?」

 

「あぁ、アタシがそのコールサイン00だ」

 

ネルは子供のようにニカと笑みを浮かべていた。

 

2人のムー人は、目の前にいる小柄で粗暴な見た目をしている生徒が部活の部長であり、キヴォトス最強格の一人であるとは思いもしてなかったため衝撃が走っていた。

 

「ま、こんな所で立ち話をするのもなんだから、ミレニアムタワーに入ろうか。セミナーのお偉方が待ってるからな」

 

「では、私達について来てください」

 

2人に言われるがまま、マイラスと部下は警護担当のヴァルキューレ生と一旦別れ、ミレニアムタワーへ入っていった。

 


 

セミナーの早瀬ユウカと生塩ノアと顔を合わせたマイラスは、ユウカ案内の元ミレニアムサイエンススクール内を見学していた。

 

ヴァルキューレ生から警護を引き継いだネルとアカネに合流したコールサイン01の一之瀬アスナと3人のC&C一般部員、コールサイン02の角楯カリンら狙撃班は各ビルの屋上に配置し警護をしていた。

 

 

 

◇◆◇

新素材研究部

 

「こちらは新素材研究部です。主に素材に関する研究をしています」

 

「なるほど...」

 

「この、柔らかセメントと言うのは?」

 

柔らかセメントに興味を持ったマイラスに新素材研究部の部員が説明をする。

 

「はい、セメントは石灰粉と砂を混ぜて作られる頑丈な素材で、建築などに広く愛用されてきました。ですが、そんなセメントの短所であります。固まってしまうことです!」

 

「ほぉ...」と関心するマイラス。

 

「建物の中には誰かが住みます。そうしてその誰かが壁などに衝突すると痛い思いをしますよね?」

 

「言われてみれば、そうだな」

 

「それを解決するのが、この柔らかセメント!壁に衝突しようと、転んでも痛くないのです!」

 

「確かに、安全性という面ではこの柔らかセメントは画期的だし、面白い。だがセメントって本来は衝撃に耐えるための建築資材のはずだ。セメント本来の用途とかけ離れてるように見えるがね」

 

「そ、それは...」

 

口篭る部員。

セミナーの予算審議会でもユウカから同様のツッコミを入れられ予算を却下されている。

 

「だが、セメント由来の素材なら耐火性と遮音性もある上に形状を形成しやすい。その点でも見れば柔らかセメントは無駄ではない発明品で用途はある」

 

「是非とも実用化に向け頑張ってくれ」とマイラスからの応援の言葉に部員は発明を肯定してくれたことに涙目になりながら舞い上がっていた。

 

ユウカは嬉しくなりピョンピョンと可愛く飛んでいる後輩達の姿を見て微笑んでいた。

 

 

 

◇◆◇

AI研究部

 

「起爆タイミングを自己判断する爆弾か...」

 

「これは、有用ですね。日本でもAIの開発は進んでいますけど、ここまで高性能では無いですし」

 

日本でも、人間を介さない無人機械はあるが、キヴォトスやミレニアムサイエンススクール程の高性能では無く、遠隔地から人間が無人機械を操縦したり、予めプログラミングされた動作どおりに動く産業ロボットが関の山である。

 

「爆弾だけじゃない。ミサイル、魚雷、地雷でもこれは使える技術だ。おそらく日本も目をつけてるだろう」

 

マイラスらは、有用であると判断し、技術供与対象のリストにチェックを入れる。

 

 

 

◇◆◇

特異現象操作部

 

「早瀬さん、特異現象捜査部とは?」

 

慣れない苗字呼びにユウカは少し遅れて反応した。

 

「え?あっ、はい!特異現象捜査部は科学的に証明が難しい現象を調査・研究する部活です」

 

「証明が難しい...科学的で論理的なミレニアムサイエンススクールでも、オカルトチックなことも研究するのですね」

 

「ええ、まぁ...」と少し苦笑するユウカ。

少なくとも目の前にいるマイラス達が所属する国家“ムー”も、海底に沈んだ伝説の大陸“ムー”として伝承されている上に、擬似科学部や他のオカルト研究部が取っ付きそうなので「伝承の存在でオカルトチックな貴方達が言わないで」とユウカは思っていた。

 

そこに車椅子に乗った少女が現れ、「あらあら、こんな大所帯で」と彼女達を見渡す。

 

「早瀬さん、そちらの方は?」

 

「えっと、特異現象捜査部の部長で...」

 

ユウカが紹介するのを遮るように「コホン」とか弱い咳払いをする。

 

「はじめまして、ミレニアム最高の学位“全知”の称号をを持つ超天才清楚系色白病弱美少女ハッカーであり、ミレニアムに咲く一輪の高嶺の花である特異現象捜査部部長の明星ヒマリと申します♪」

 

あまりの自信たっぷりで属性盛り込み自称するヒマリにマイラスと部下は呆気にとられていた。

 

「あらあら、私があまりにも可憐で美しく太陽のように眩しすぎて空いた口が塞がらないでいるのですね♪」

 

「ふふーん」とドヤ顔をするヒマリに「面白い女の子だな」とマイラスは思っていた。

 

「あっ、申し遅れました。私はムー国情報通信部首席補佐官のマイラス・ルクレールです。以後お見知りおきを」

 

「あら、噂の新世界の住民方だったのですね。私達、特異現象捜査部は今回のキヴォトス転移現象はもちろんのこと、この世界の主要な文明体系である魔法技術などの現象も研究対象としています。是非、それらに触れて感じて研究・調査したいと思っています」

 

「それはそれは、それら事象に関しては神聖ミリシアル帝国などの第一文明圏が一番の適任です。彼等と良い関係が築ける事を願っています」

 

その後、ヒマリが設計しセミナーが作った、未来予測機関“讖”を見て、「エモールの空間の占いを科学的に数値化したのか!」と驚愕し「科学技術万歳!科学技術最高!」「お赤飯いえーい!」と喜んでいたが、大金と技術を積みこんだ贅沢な星座占いと知って、ジェットコースターのごとく急降下し項垂れていた。

 

 

 

◇◆◇

エンジニア部

 

エンジニア部の部室に移動していた。

そこには、マイスターの称号を持つ部員達が図面を引き、溶接で素材をくっつけ、3Dプリンターで出力し、機械製作に邁進していた。

 

マイラスは部室の壁掛けガンラックにかけられていた拳銃を見る

 

「拳銃?」

 

「ただの拳銃じゃないよ。プラスチック製で多種多様な機能を内蔵しているんだ」

 

自分の作った発明品に興味を持ったマイラスの元に、エンジニア部の猫塚ヒビキが寄り発明品の解説をする。

 

「ほぉ...」

 

「それはBluetooth機能」

 

「うん、なんて?」

 

マイラスの部下は思わず聞き返した。

 

「音楽鑑賞やファイル転送、そしてスモモ機能...あっ、スモモは交通系ICカードね。NFC機能も付いてるからタッチ決済もできるよ」

 

マイラス達は何と反応すれば良いか困っていた。

確かに拳銃一丁にここまで機能を詰め込んでるのはすごいが、「拳銃でやる意味がないのでは?」と思っていた。

 

「こ、個性的だな...あの、長方形の物体は?」

 

「あれは未来直行エクスプレスだよ」

 

「未来直行?」

 

「説明が必要なら私が解説します!エンジニア部のマイスター、コトリです!」

 

解説役として豊見コトリが打って出た。

 

「この未来直行エクスプレスは、冷凍睡眠と呼ばれる技術で人体の身体の温度を低温にし生体機能を低下させ、時間旅行や恒星間航行をするコールドスリープと呼ばれる装置の事です!」

 

「時間旅行!?まさか古の魔法帝国の時空移動魔法をキヴォトスも実現したと!?」

 

コールドスリープはムーでは夢の機械としてし注目しており、日本では実験動物での冷凍睡眠の実験を行い成功している。

 

「ただ、この未来直行エクスプレスは試しに使ったものの、ただ風邪をひくだけに終わってしまい、今は冷蔵庫として使用しています」

 

コトリが「あはは」と苦笑している中、エンジニア部部長の白石ウタハが「いやいや」と前に出てくる。

 

「食材をもっと未来の先へ送れているから成功したと言えるね」

 

ユウカは「誰が上手いことを言えと」と手を顔に当てていた。

 

「貴方達が、最近話題の新世界の住民だね?」

 

「ムー情報通信部首席補佐官のマイラス・ルクレールです。それにしてもエンジニア部の方々の発明は個性的で、部員の方々も職人として技術と誇りを持って作業をしていて素晴らしいです」

 

「ありがとう。皆の励みになるよ。失敗は成功のもと。失敗に恐れては良い物はできない。失敗した数だけ成功への道が切り開ける。私達はそれを胸に失敗に恐れず作り続けているよ」

 

あまりに高尚な考えと未成年らしからぬ姿に、マイラスは自然と尊敬の念を抱いていた。

 

 

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