キヴォトス召喚〜捻れて歪んだ先の分岐点〜   作:熱核戦争先生

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良い題名が思いつかないから旧題+(仮)


帝国海軍、欧州へ

小笠原諸島から600km

 

第2艦隊所属からなる欧州大陸派遣艦隊の10隻が白い航跡を引きながら転移してきた欧州大陸を目指していた。

戦艦“信濃”を旗艦に軽空母“冲鷹”、ミサイル巡洋艦2隻、駆逐艦6隻で編成。

 

旗艦たる原子力戦艦信濃は大和級原子力戦艦の3番艦で排水量220000トン、全長350m、アマテラスニウムを核燃料としたBB4Y加速型原子炉を2基、主砲に44口径51cm3連装砲4基12門をはじめ、副兵装の55口径20.3cm連装砲2基、20.3cm対弾道弾電磁投射砲4基、62口径12.7cm連装速射砲8基、40mm4連装遠隔操作機関砲塔16基、20式近接防御火器システム12基、対空・対艦・対潜ミサイルを装填したVLS400セル、舷側魚雷発射管20門を搭載。

戦艦の要である装甲は最大装甲厚800mmの N C M(ニッケルクロムモリブデン)鋼と N C H(ニッケルクロムヒヒイロカネ)鋼の2種を採用し、超音速対艦ミサイルが直撃しても耐えれる堅牢性を有する帝国海軍最大最強の戦艦である。

 

軽空母冲鷹は鳳翔級軽空母の12番艦で排水量52000トン、全長270m、F−2C/D戦闘攻撃機12機、F−3B戦闘機12機、E−2早期警戒機2機、SH−60L哨戒ヘリコプター8機、MQ−70汎用無人機12機を搭載したCATOBAR式空母。

超大型空母の翔鶴級より一回り小さいが低・高強度戦争、領海防衛、海上治安維持活動、災害派遣などあらゆる任務に対応可能な汎用性を有し使い勝手に良さから大東洋経済共栄圏勢力下の国家やムーに10隻以上が輸出されているベストセラー艦でもある。

 

護衛のミサイル巡洋艦と汎用駆逐艦はそれぞれ62口径12.7cm単装速射砲1〜2基にVLS96〜144セル、30mm単装遠隔操作旗艦砲塔4〜6基、20式近接防御火器システム2〜4基、4連装短魚雷発射艦2基を搭載した標準的な帝国海軍の戦闘艦艇である。

 


戦艦信濃 第2艦橋

 

キーロフ級ミサイル巡洋艦の艦橋を思わせるような信濃の第2艦橋は航海、操艦を担う航海艦橋で厚さ600mmのNCH鋼の装甲に囲まれている。

艦橋内に居る帝国海軍軍人は一目で海軍だと分かる洋上デジタル迷彩が施されたの艦上戦闘服の上にダボっとした灰色の救命胴衣を装着していた。

 

「欧州か…一体何年ぶりだろうか」

 

戦艦信濃艦長兼欧州大陸派遣艦隊司令官の蕪木紀夫海軍少将は二度と会えることもないと諦めていた故郷の一部である欧州に心を躍らせていた。

 

「蕪木艦長、気分良いですね」

 

笑顔を浮かべている蕪木に信濃副艦長の加藤修二海軍大佐か話しかける。

 

「まあな。かつての故郷の一部が新世界に転移してきたんだ」

 

「確か、転移前に何回か欧州に訪れていたのでしたっけ?」

 

「そうだな。最後に訪れたのは2005年のトラファルガー海戦200周年記念で開催された国際観艦式だったかな。あの時の俺は中佐で長門の砲雷長。長門と陸奥の親善艦隊8隻で参加したんだよ」

 

長門と陸奥は大和級の前級にあたる長門級戦艦の1番艦と2番艦だ。

48cm3連装砲3基を搭載した超大型戦艦で1990年に就役した老齢艦だが対魔帝戦を見据えた大改装によりグレードアップ。

少なくともあと10年は現役を退かないと言われている。

閑話休題。

 

「本土は勿論ですが“アーク”の方は欧州転移に大騒ぎですよ」

 

「あぁ。確か“合衆国”にも転移に巻き込まれた欧州諸国の“国民”が居たな」

 

アーク

グラメウス大陸の開拓地に所在する連合国家の事を指しアーク合衆国と呼ばれている。

この国は国土転移現象で巻き込まれた在日・訪日外国人によって建国された国である。

異世界転移は日本帝国と日本人だけではなく永住・観光・留学などで日本に滞在していた外国人をはじめ、日本帝国軍との大規模合同軍事演習に参加していた各国軍部隊、帝国の領空・領海を侵犯していた仮想敵国軍の艦艇や航空機など目的は違えど多くの人間を巻き込んだ。

帰るべき祖国を無くした彼らは日本に帰化し日本人として生きていく者も居ればそれを拒否する者もいた。

そこでアメリカ合衆国・旧大東亜経済共栄圏加盟国・欧州諸国を中心に F U N E(旧地球諸国民連合国家建設)を推進。

日本帝国は大東洋経済共栄圏への加盟などを条件にグラメウス大陸の一部開拓地への入植を承認し連合国家“アーク”が誕生した。

閑話休題。

 

アークでも“アークタイムズ”や“ABS”などのマスメディアによって「欧州大陸転移!」と言うニュースが国内に知れ渡り、特に欧州諸国出身の国民は再び祖国の地へ足を踏めると歓喜していた。

 

「...しかし、転移してきた欧州は果たして我々が知る欧州なのでしょうか?」

 

加藤は事前に渡された欧州の情報を思い出す。

砂漠化したポーランド、京都と化したイタリア、過剰なまでに発展したベルギーのフランドル地方、あるはずもない日本式住宅etc...

加藤はそれを聞いた時、「在外駐留軍が欧州を征服したのか?」と言う突拍子もない事を考えていた。

 

「仮に彼らが我々のいた世界から転移してきた欧州だとして、日本が転移した後の世界の歴史が知れるな」

 

蕪木は日本が転移した後の世界がどのような道を歩んで行ったのかが気になっていた。

 

「艦長は日本が転移した後の世界はどうなってるとお考えですか?」

 

加藤の質問に蕪木はしばらく考えた後に話し始める。

 

「...転移前の日本は世界第2位の経済大国で、科学技術先進国の一国でもあった。アメリカが世界の警察をしていたように日本もアジアの警察としてアジア各地に帝国軍を展開していた。朝鮮民国、台湾連邦、ベトナム共和国などのアジア諸国が加盟していた大東亜経済共栄圏の盟主でもあった。無視できないほどの影響力を与えていた大国が一夜で消滅したから情勢は劇的に変化しているはずだ」

 

日本が新世界に転移する前の世界では世界各地に影響力を与えていた。

アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国でGDP算出で2000兆円の規模を有し世界経済の1/4を占めていた。

科学技術先進国でもあり壊れにくく低燃費な日本車をはじめ高性能・多機能な日本製家電などが世界を圧巻し、南部宇宙工業が世界初の商業用単段式宇宙輸送機“NA21コスモドリーム”の開発、世界初の超高層農業ビル施設“ウケモチ農業プラントビル”の建設、信濃含む帝国海軍の原子力推進艦の燃料であるアマテラスニウムを発見しアマテラスニウムの膨大なエネルギーを効率よく変換する第4世代原子炉を実用化させている。

アジア諸国が加盟し経済共同体であり軍事同盟の側面もあった大東亜経済共栄圏の盟主であり共栄圏加盟国に経済・科学技術・軍事などを提供し加盟国の国家的・経済的発展を促してきた。

 

「まぁ、無茶苦茶になってるだろう…世界恐慌以来の世界的な大恐慌、勢力図の変化、米中冷戦の勃発etc…考えただけでも頭が痛い」

 

蕪木は頭を抱えていた。

 

「あぁ、そうだ。転移に巻き込まれなかった400万の同胞が無事なのかも気がかりだ。ついでに俺の同僚や先輩後輩の何人かが在外駐留軍で海外に着任していた」

 

転移に巻き込まれた在日外国人とは反対に海外に滞在していた約400万の日本人や海外に事業展開していた日系企業の関連施設が転移に巻き込まれず地球に取り残された。

在外駐留軍は東アジア、南アジア、東南アジアに展開する統合軍指揮下の部隊で共栄圏加盟国に駐留していた。

その戦力は決して無視できない規模で陸軍は8個師団と13個旅団などの兵力9万を、海軍は1個艦隊の118隻と1個海軍航空総軍などを、空軍は戦闘機や爆撃機などの作戦機1000機や海兵隊、空挺軍、宇宙軍なども含め約25万の帝国軍がアジア各地に展開していたが、これも転移現象に巻き込まれず地球に取り残され転移初期の日本の軍事力が弱体化。

この弱体化が日パ戦争時の旧パーパルディア皇国による竹島占領、隠岐諸島の戦い、新日本海海戦、邦人拉致事件が発生した要因となった。

 

ちなみに在外駐留軍以外にも憲兵庁の第8〜第10憲兵管区の6000人、国防情報庁の駐在武官、他海域を航行していた本土潜水艦隊所属の戦略ミサイル原子力潜水艦2隻と攻撃型原子力潜水艦4隻が転移に巻き込まれず取り残された。

閑話休題。

 

「どこかに臨時政府を樹立してまとめ上げてるとは思うが、転移による混乱や戦争に巻き込まれて無事では済んでないだろうな。駐留軍も臨時政府や各国の思惑に振り回されてるだろうし...よくわからんな」

 

蕪木は再び頭を悩ませた。

 

「良い事もきっとあるはずです。特に科学技術方面。異世界に転移した事により帝国の科学技術は停滞してますし」

 

加藤は暗い話題を変えるべく明るい話題に切り替えようとしていた。

 

「科学技術か…日本が転移してからどれだけの新技術が誕生したのだろうな」

 

日本が転移したことにより日本の科学技術は悪い意味で変化していた。

停滞しているとは言っても素材分野や医療分野など一部の分野では開発速度が上がったり、魔法技術と言う新しい分野が立ち上がり研究・開発が盛んになっているが、それでも多くの科学技術分野では転移前に比べて開発速度が鈍化していた。

優秀な日本人科学者や技術者が海外の学会や共同研究に参加し転移に巻き込まれず地球に取り残された事、転移したことにより海外からの新技術の資料や最新の研究データや理論が入らなくなり研究・開発が儘らなくなったのが要因である。

ただ幸いなのは転移前の海外の政府・企業・大学・研究機関などの研究データや理論などの資料をアーカイブとして複製された物が世界各地に分散配置されたデータセンターの一つが日本国内にあることだろう。

 

「新技術...か。転移してからどんな技術革新が起きたんだろうな。あわよくばそれらを日本の科学技術に取り込んでさらなる発展を期待できるな」

 

蕪木は欧州大陸がもたらす恩恵で日本の発展に期待していた。

 

「蕪木艦長はどんな新技術が誕生したと思います?」

 

「空飛ぶ車とかかな?デロリアンみたいにタイヤが変形して空を飛ぶんだ」

 

「40年前の作品ですか。確かパート2で2015年の未来でしたね」

 

「日本が転移したのもその年だったな。まぁ、デロリアンみたいにSFチックな車ではないとは思うが」

 

その後、艦橋要員も話に加わり人間にそっくりなアンドロイドや航空機搭載電磁投射砲などが出てるのではないかと話題を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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