ガンダムSEED 架空国家の憂鬱   作:zero3 ガイル

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第八話 北アフリカ2

 

CE71年5月1日。南アフリカ統一機構、極東連邦、ユーラシア連邦を中核とした地球連合軍は北アフリカ攻略作戦が実行されビクトリア基地から多数の陸上戦艦と宇宙艦が北アフリカを勢力圏に収めているザフト地上軍と、そのザフトに協力しているアフリカ共同体を打破する為に進軍を開始した。

 

ビクトリア基地の最も近くに存在しているザフトの前線基地より偵察として出撃していたディンに搭乗していたザフト兵は直ぐに地球連合の大部隊を発見して基地に緊急連絡を入れた。偵察に出撃していたザフト兵の報告を聞いてザフトの基地司令である白服のグレイクは地球連合の大規模攻勢に備えて忙しく指示を出していた。

 

「司令よろしいですか?」

 

「なんだ?」

 

部隊の編成状況を含めて指示を出すのに忙しい為にグレイクは手短に話せと言わんばかりの表情であった。

 

「今更ですけど、人手が足りないからといってアフリカ共同体の奴らにMSを提供してよかったのですか」

 

副官の言葉にグレイクは顔を歪める。これまでアフリカ共同体に対してザフトは戦力として期待しておらず、鉱物資源の提供と基地の提供と治安維持といった後方支援以外の役割しか求めていなかった為にMSをアフリカ共同体に提供しなかったが、第二次ビクトリア攻防戦の敗戦により多くのザフト兵が戦死してしまった為に北アフリカのザフト地上軍の戦力は大幅に低下してしまった。

 

グレイクは何度もプラント上層部に地球連合のビクトリア基地は日に日に戦力を増強させており、四月後半から五月あたりに大規模侵攻してくる可能性が高いから増援をよこしてくれと何度も進言していたのだが、今は戦力の再編が優先されてこれ以上の人員やMSを其方に送る事は出来ないと言われ、貴殿の現場努力に期待すると一方的に通達されてグレイクの頼みを一方的に破棄して巫山戯るなと周りを気にしないで怒鳴った事は記憶に新しかった。

 

上層部が現場努力と現場を蔑ろにするならもう知らんと言わんばかりに本来ならアフリカ共同体に提供を禁じられていたMSの提供をグレイクは解禁した。しかし、そのままMSを与えてもザフトが使用しているOSではマトモに動かせないのは理解しており、グレイクは部下にアフリカ共同体に提供するMSにはナチュラル用OSもセットにする様に厳命した。

 

当然の様に周りからナチュラルにMSだけでなくナチュラルが操縦できるOSを提供する事に反対意見が多数だったが、上層部が北アフリカにこれ以上の人員を送れないと言われて現場努力に期待すると言われたので自分は命令に従っているだけだと部下達に告げて、更にビクトリア基地に集結している大規模部隊を迎え撃つのに他に案があるかねと言われて部下達は何も言えなかった為にグレイクの案に納得はいかないが従った。

 

「構わん。連中に提供したのはナチュラル用に改修したジンオーカーやジャンク屋から購入しレストアしたジンの二戦級のMSだ。何の問題もない」

 

「しかし」

 

「命令違反だろうと上からこれ以上の人員は送れない、現場努力に期待すると言われたのだ。ならば我々は最善を尽くすしかないだろう」

 

アフリカ共同体の連中にMSというものを理解させるには時間が足りなかった事もあって最低限の戦闘機動しか教える事が出来なかった為に現地改修機のジンオーカーIIやジンレストアは弾除けにしかならず、戦力強化は微々たるものだと思いながらもグレイクは心の中で溜め息を吐くのであった。

 

地球連合を追撃する為に基地から最初は地上や上空の機動性が高いディンとバクゥが出撃し、それに続くようにアフリカ共同体もジンオーカーIIやジンレストアが出撃して地球連合の前衛部隊と交戦して戦いが始まった。ザフトのバクゥを中心とする部隊が極東連邦とユーラシア連邦のMS部隊と南アフリカ統一機構の大規模な戦車部隊を確認した。

 

そんな連合の大部隊の一角にザフトのバクゥ隊は極東連邦のゲシュペンスト隊と交戦を開始した。

 

バクゥを操るこのザフト兵はある事を思い出す。極東連邦のゲシュペンストと初めて交戦した出来事を真剣に語った今は戦死していなくなった先輩兵士達の言葉であり、連合のゲシュペンストは油断して挑めば地上戦でもバクゥでもあっという間に撃墜されるから油断するな、出来れば複数機で囲んで連携して挑めと何度も言われた。

 

「へ!」

 

そんな忠告を思い出したが、馬鹿にした様に呟き戦死した先輩のザフト兵の忠告を無視して彼はスロットルを深く踏み込んでゲシュペンストに突っ込んだ。下等なナチュラルのMSに何を恐る必要がある。自分達選ばれし者であるコーディネイターの猿真似しか出来ない連中相手に恐れを抱く事などコーディネイターにあってはならない、自分は出来損ないのコーディネイターであるあんな奴らとは違うと強く思いながら極東連邦のゲシュペンストに戦いを挑む。

 

しかし、それが傲慢な思い込みである事を彼は直ぐに知る事になった。

 

「なんでだ、何でバクゥよりナチュラルのMSの方が速く動けるんだよ!」

 

これまでナチュラルが使用していたのは鹵獲したジンとアクシオというMSだった。アクシオの性能はジンを少し上回る性能程度で下等なナチュラルが作ったしてはそれなりに良いMSを作ったと思ったが、それでも地上の王者であるバクゥからすればただのカカシでしかないという認識であった為に油断しなければ怖くないMSだった。やっぱりナチュラルは自分達を超える事が出来ないなと強く認識した。

 

しかし目の前にいるナチュラルのMSはバクゥを相手にスピード負けをしておらず、バクゥのミサイル攻撃を高速のホバー移動で難なくと交わしながら次々と手持ちのマシンガンで攻撃をしてくる。

 

「なんでだ、なんで何だよ!」

 

下等なナチュラルが自分を上回る、そんな事は認められない。認めてしまえば新人類として誕生した自分達の存在意義がなくなってしまうと感じて恐怖心が彼の中を支配した。

 

「認めてたまるか!」

 

自分の存在意義を守る為にという強い思いを抱いた瞬間に突然とゲシュペンストがモニターから消えて混乱するが、その瞬間が彼の最後に見た光景だった。

 

ゲシュペンストはバクゥが突っ込んでくると同時に空を飛んで90ミリマシンガンで蜂の巣にしたからだ。

 

そして場所は変わってユーラシア連邦と南アフリカ統一機構はアフリカ共同体のジンオーカーIIとジンレストア部隊と交戦していた。

 

「くそ、何なんだよこの両肩にキャノンがついているMSは!」

 

「ジンの重突撃機銃の攻撃が全く効いてねえぞ!」

 

ジンオーカーIIとジンレストアに搭乗しているアフリカ共同体のパイロット達は戦車や航空機といった既存の連合製の兵器を簡単に蜂の巣に出来る重突撃機銃の攻撃を微動だにしない敵のMSの驚異的な防御力に驚愕していた。敵MSもただ攻撃を受けてるだけでなく、背中のスラスターを噴かせて一気に間合いをつめてジンレストアの一機目に狙いを定めた。

 

「は、速い!」

 

「おせえよ」

 

その瞬間に敵MSが保持している連合で一般的なMS兵装である90ミリマシンガンでジンレストアは蜂の巣にされて爆散した。

 

「そんな豆鉄砲をいくら撃ってもガンキャノンに通用しねえよ」

 

「倒したかったら最低でも対艦バズーカを持って来るんだな」

 

ガンキャノン。ユーラシア連邦がMSノウハウを得る為に極東連邦と共同開発をしたMSで、極東連邦のMSが色々な状況に柔軟に対応する為に汎用機を目指して開発されたのに対してユーラシア連邦はコーディネイターが搭乗するMS相手に格闘戦を仕掛けても負けがほぼ確定という認識が強い為にMSの運用に関しては一対一ではなく集団戦が前提で、ザフトのMSのテリトリーで戦わない様にする為に射撃戦を重視する様にと要望された。

 

そこで共同開発されたのはモビルタンクのガンタンクの様に肩部にキャノン砲を備えた射撃戦に特化したガンキャノンだが、極東連邦で採用されている汎用MSと比べて小回りは効かないが、それでも機動性はアクシオに匹敵する程に速いために鈍足の亀という事でもない為にユーラシア連邦上層部はガンキャノンの性能に大変満足していた。

 

「キャノンが装備されてるMSに気をつけろ!」

 

「クソッタレ、戦車と連携してるせいでスゲー弾幕だ!」

 

「これ以上は近づけねえよ!」

 

最低限の戦闘機動しか学んでいないアフリカ共同体のパイロット達はユーラシア連邦のガンキャノン部隊と南アフリカ統一機構の戦車大隊の圧倒的な火力を前にマトモに近づく事が出来ずに次々と撃破されていく。ザフト軍は何とか戦線を維持しようと奮闘するが、圧倒的な物量に加えて多少の数の差を巻き返せるほどMSやパイロットに差がない事もあって数時間後に戦線は崩壊してしまった。

 

これ以上は巻き返しは不可能と判断したビクトリア基地攻略の前線基地司令官であるグレイクは撤退を指示し、北アフリカで最もザフトとして強い勢力を保持している砂漠の虎であるアンドリュー・バルトフェルトの部隊に合流する様に動くのであった。

 

 





登場人物紹介

グレイク・サンガ

性別 男性
年齢 38
種族 コーディネイター

プラントでは珍しいコーディネイト至上主義者ではなく、コーディネイターも努力しなければダメ人間になるという考えを持っている為に例え相手がナチュラルでも有能なら使えるなら使うという思考の持ち主であるため戦力が足りないという事を認識すると、プラント評議会で禁止されてるナチュラルにMSを使用させる行為を普通に無視してしている為に本人曰く臨機応変がモットーな人物。そのため真面目な人間や極端なコーディネイター至上主義者からは嫌われている。
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