ガンダムSEED 架空国家の憂鬱   作:zero3 ガイル

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色々とツッコミ要素はありますが、ギャグって事で許して下さい。


間話1

 

 

第一次連合・プラント戦争のMSのエース達は所属問わずに、色々な小説・映画・ドラマの題材となっていた。そんなエース達のリアルの声を聞く為に、私は取材の許可を得る事が出来た。

 

『元地球連合軍アークエンジェル隊所属キラ・ヤマト』

 

地球連合所属のMSパイロットとして有名で、同時期に活躍した大西洋連邦のエースであるムウ・ラ・フラガ、ミア・アズラエルと共に終戦まで多大な戦果を上げたエースパイロット。

 

終戦後に軍を除隊した後はオーブに住んでいた父母と共に極東連邦に移住して、現在は極東連邦の大企業である真央重工のゲーム部門のプログラマーとして活躍している。第一次連合・プラント大戦、または第四次世界大戦と称されたCE初の地球・宇宙規模による大戦争に参加して多大な戦果をあげた事で連合所属のコーディネイターとして現代でも最も有名なMSパイロットの一人として認識されている。

 

有名なエースパイロットの一人なのだが、彼に関する詳しい資料は少ない。当時中立国だったオーブ在住の民間人であった彼が、彼の友人と共に突然と大西洋連邦軍に入隊した事は長い間謎とされていた。しかし彼が入隊したCE71年一月後半期には軍の重要機密に関わる事が多かった為に彼が表舞台で活躍する様になったのはCE71年の五月に参加した北アフリカ攻防戦からであり、それより前の活動は大西洋連邦における重大な軍事機密に属する為にキラ・ヤマトだけでなく、彼と行動を共にしていた同期の人間も、彼が所属していたアークエンジェル隊の隊員達全員に同様の機密事項が適応されていた為にCE71年一月から五月にかけての四ヶ月の活動は長らく不明とされていた。

 

彼が入隊したCE71年一月から五月に関する軍事機密も、CE93年6月12日にようやく大西洋連邦政府から情報開示が許可されてキラ・ヤマトの詳しい資料が公開された。

 

この情報が開示された時に世間は彼に対する扱いに同情し、そして彼にその様な事を強要した当時大西洋連邦所属のマリュー・ラミアス、ナタル・バジルール、ムウ・ラ・フラガを始めとした軍関係者達に非難が殺到した。偶然とはいえオーブの民間人である彼が大西洋連邦の最高軍事機密であるG兵器の一機であるGAT-X105『ストライク』に搭乗してヘリオポリスを強襲して襲っていたザフトのMSであるジンと戦った事に問題はある事は事実であるが、それでも軍と全く関わり合いがない民間人であった人間にMSに搭乗してザフトと戦えという非常識な行動を強制させられて、機密保持の為に彼と、そしてキラ・ヤマトに協力したゼミの友人達を軍に入隊させたのだから非難されるのも無理はないだろう。

 

そのため、当時の政府や軍関係者にとってキラ・ヤマトの扱いに関して凄まじく頭が痛い存在であった事は事実であろう。これに関しては中立国の民間人のコーディネイターが連合の新兵器でザフトと戦うという全ての陣営の地雷を踏み込んで戦っている状況なので無理はなかった。

 

そのため大西洋連邦のG計画の最高責任者であるハルバートン提督に反発していた反ハルバートン派や過激派ブルーコスモスに属する軍人達からすれば、このまま何も出来ずに消えて貰った方が都合がよかったのだが、しかしキラ・ヤマトを筆頭にアークエンジェルは生き残った。

 

これはあり得ない事であり、いくらコーディネイターだからといって何の訓練も受けてない民間人が正式な訓練を受けたザフトのMS部隊相手に問題なく戦える事があり得ない事であり、何より地球降下までアークエンジェルはヘリオポリスの襲撃により大多数の正規の軍人が戦死して人手が足りない状況であった為にキラ・ヤマトと同様に民間人であったキラ・ヤマトの友人達もオペレーターをしていたくらいである。そんな状況でザフトの中でもエリート部隊のクルーゼ隊の追撃を振り切り生き延びるという非常識な事を実現してしまった事もあって、大西洋連邦政府・軍共にもいよいよアークエンジェル隊を無下に出来なくなっていた。

 

実際にザフトの中では大西洋連邦の凄腕部隊として認識される様になり、足付きとして有名になっていた。何より地球降下までクルーゼ隊と戦った実戦データも無視できない事もあってアークエンジェルはコーディネイターに対して寛容である派閥からも擁護する動きが強まった事もあって政府や軍上層部も本格的に無視できない存在となってしまい、更に当時ブルーコスモス盟主であったアズラエルも興味を持つ様になった事もあって地球に降下してからアークエンジェルはエース部隊として運用して、大西洋連邦の広告塔として活躍してもらう事が決定されたのだ。

 

そんな通常のコーディネイター以上に高いポテンシャルを発揮して第一次連合・プラント大戦で活躍したキラ・ヤマトであったが、そんな彼も現在までナチュラルとコーディネイターも同じ人間と発言してる事は有名である。

 

「ナチュラルとコーディネイターとの関係は僕が若い時代と比べたらだいぶ緩やかになってるけど、それでも少なからずお互いに差別しあっている。そんな人達に僕は言い続けますよ、どんなに優れていてもコーディネイターは人の枠を破る事はないって」

 

それは貴方が昔から言っている言葉ですね。その言葉を頑なに繰り返してコーディネイター至上主義者達に言い続けたキッカケとはいったい……。

 

「貴女もご存知だと思いますけど、そんな思いを抱く様になったのはミアさんとの出会いですね」

 

ミアさん……確か大西洋連邦の『金色の戦姫』の異名を誇るミア・アズラエルですよね。

 

「はい、彼女の規格外な強さを体験し、彼女の元で戦う様になったらコーディネイターだのナチュラルと悩んでいた自分が馬鹿らしくなってしまいました」

 

それはいったい?

 

「信じてくれますか、僕がまだビクトリア基地にいた時に彼女の親戚がブルーコスモスの盟主という事もあってビクトリア基地に駐屯していたブルーコスモスのグループが彼女を同志扱いして声をかけたら……ナニガオコッタトオモイマス」

 

あの、ヤマトさん……。

 

「アッパーカットですよアッパーカット。身長が160があるかないかの小柄の女性のアッパーカットで180以上の男性兵士をマンションの三階くらいの高さまで殴り飛ばしたんですよ」

 

えっと……彼女はナチュラルですよね?

 

「本当にナチュラルですよ。そこから大乱闘が起きて、もう何もかもメチャクチャでしたよ」

 

続きは俺が変わりに語ろう。俺はかつて南アフリカ統一機構軍に所属していたロン・ウォーカー二等兵。北アフリカ攻防戦に参加する為にキラ・ヤマトを始めとした後に有名なエース達が集結していたビクトリア基地で、安月給に不満を抱きながら警備兵として働いていた下っ端の二等兵さ。

 

当時はビクトリア基地で警備兵をしていたからその現場に私もいたよ。キラ・ヤマトが語った事は本当さ、あの光景を今でも忘れる事は出来ないよ。

 

ミア・アズラエルが凄まじい形相で、鍛えられた男性兵士達を紙切れの様に何人も吹き飛ばしてるんだもん。

 

「ターレガ同志ダコら!私はてメーラブルコスの同志扱いサレルノが、一番デーキレーなんデスヨ!!」

 

そう言いながら暴風の様に暴れてたよ。同志扱いした大西洋の兵士達?決まってるだろ、一人は顎が砕かれてステーキが食えなくなって、一人は股間を蹴られて子孫を残す男性の役割を果たせなくなったよ。彼女の怒りを買った人間達は五体満足の無事な人間はいなくて俺も含めてボー然と眺めてたよ。

 

え、誰も彼女を止めなかったって?それは最初は止めようとしたよ。これでも安い給料に不満はあっても、最低限は働かないと歩兵として最前線送りだからな。俺を含めた警備兵達は何とか彼女の暴走を止めようとしたけど、瞬時に理解したよ。何を理解したってアンタ、素手や警棒で彼女を取り押さえるのは無理って事だよ。

 

それは決まってるじゃん、人間誰しも素手と棒切れで熊やライオンを取り押さえようとする馬鹿はいないでしょう。

 

ミア・アズラエルは見かけはお淑やかな美人、だけど実際は美人の皮を被った比喩表現なしの腹を空かせた猛獣というのが、警備兵として現場に駆けつけた俺達が思った事だね。

 

とりあえず、同期のマークがテーザー銃を彼女に撃ってから周りで彼女を囲んで取り押さえる事を決定したよ。

 

そのテーザー銃が彼女に命中して電流が彼女の身体全体に伝播して、彼女を無力化したと誰もが思ったけど、彼女はピンピンしてるんだよ。

 

「ン〜誰か電気マーサッジしてクレやがりマシタカ?」

 

テーザー銃をマトモに食らって、何事もなかった様に言うんだぜ。

 

テーザー銃って所謂スタンガンを銃にしたようなもので、分かりやすく言えば、電流を人間に流し込んで痺れさせて制圧する道具だよ。軍だと基地の治安を任されてる俺達警備兵や、街の治安を守ってる警察も、犯人を生け捕りにする為に使用する機会も多い非殺傷の武器だよ。

 

電圧はテーザーの種類によって異なるけど、軍用で採用されてるテーザー銃も非殺傷が前提の為に電圧はセーブされてるが、それでも軍の場合は一般人を相手に想定されておらず、使う対象は常に鍛えてる屈強な兵士達を制圧する為に使用する事が多いから警察用と比べて電圧は高く設定されてる。

 

そんな軍用のテーザー銃は、下手をすれば身体に電流が流れたショックで死んでしまう事例だって存在する。

 

実際に軍用のテーザー銃を撃ち込まれて無事なだけでも驚愕するのに、ミア・アズラエルは一瞬でテーザー銃を撃ったマークの間合に移動したんだぜ、テーザー銃の射程は30mくらいだからそこまで離れてる訳ではないけど、それでも瞬きする間も無く30mを一瞬で移動するなんて有り得ねえよ。

 

色々な非常識な現場を目撃して思考が停止して現実逃避したい俺達に彼女はトドメにさぁ……。

 

「チョーとだけ、フリーダムにさせてクレデスヨ。なに、スグに終わって牢屋にハイッテやるデースヨ」

 

そう言ってテーザー銃を一瞬で奪い、グシャグシャという嫌な音をしながらテーザー銃を、紙粘土を練るかの様にして豆粒の様にしちまったんだよ。どんな握力を備えればそんな事を出来るんだよと誰もが思っただろうな。

 

そしてあの現場にいる誰も理解したよ。少なくとも彼女が満足するまで俺達は何もしない事が正しいって。理由は分かるだろ。彼女が大西洋連邦所属だから、ブルーコスモスの盟主の血族だから、そんな理由じゃなくて、至って単純な理由だよ。生身の人間が彼女に勝つのは不可能で、この場で銃火器を使用しても制圧が不可能と判断したからだよ。

 

しばらくしたら彼女はスッキリした様で、ブルコス野郎を死なない程度に重傷を負わせて自首して捕まったけど、彼女は数日後に釈放されてお咎め無しとなったよ。

 

噂では、ブルコスの盟主が裏から手を回してミア・アズラエルの罪を失くす様に圧力をかけたって言う奴がいるけど、俺はそうは思わないね。

 

誰だって簡単に素手で人間を殺せる人間と敵対したくないだろう。マシンガンより強え人間相手に喧嘩なんてしたくないだろう。彼女がお咎めなしになったのは権力なんて見えない力じゃなくて、文字通り腕力で黙らせたんだよ。

 

俺はあの現場を見て確信したよ。キラ・ヤマトが言った様に、ナチュラルとコーディネイターの違いで悩むなんて馬鹿らしい。だってどんなに優れたコーディネイターだろうと人間の枠内で優秀というだけで、本当の化け物には敵わないんだからな。




登場人物紹介

ロン・ウォーカー

性別 男性
年齢 19(当時)
種族 ナチュラル

CE71年代に南アフリカ統一機構軍に所属ていた警備兵。ミア・アズラエルの規格外の暴力を目の当たりし、人間の枠内で争うナチュラルとコーディネイターの差について考える事が馬鹿らしいと判断してナチュラルとコーディネイターとの差について考える事をやめた人間。

後に多くの後輩兵士達にミア・アズラエルの規格外の強さについて語り続けたが、殆どの人間が酒の席のホラ話として扱って信用されなかった。
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