バン!バン!
極東連邦の首都で、極東連邦の経済の中心地である東京の廃ビルから拳銃の射撃音が鳴り響く。拳銃で撃たれた男二人は眉間と心臓に撃ち込まれて死亡した。
拳銃を撃った男は死体となった二人の男性の服装に何かないかと確認する。そんな男性に一人の男性が声をかける。
「どうだ?」
「ダメですね酒井先輩、首相暗殺を企てた連中には間違いありませんが、黒幕に繋がる品物は所持してませんよ」
「やはりな」
酒井と呼ばれた男と、そして射殺した死体から証拠を探す村山という男性は極東連邦の公安警察に所属する人間達だ。
今回、極東連邦の首相を暗殺する為に東アジア共和国系のテロ組織が極東連邦に近く潜入すると報告が入り、公安が過去の記録から国際指名手配されてる東アジア共和国系テロ組織の人間二人が東京の何処かに潜伏してる事が判明した。最初は直ぐに逮捕して実行犯二人に事情を聞こうとしたが、拳銃を抜いて抵抗しようとした為に、公安二人は正当防衛と判断して反撃して抵抗したテロリスト二人を射殺した。
「パスポート、人種、武器だけで判断するなら報告通り東アジアのテロリストに間違いはないんでしょうが」
「まあ、疑うとキリがないからな」
「ですよね」
戦時下という事もあってプラントの過激派であるパトリック・ザラによる策略か、それともプラントと戦争状態にも関わらずコーディネイターも受け入れているという方針を裏切り者と捉えてブルーコスモス系という線も考えられる。
「ひょっとしたら『ロゴス』か『一族』という線も考えられるな」
「先輩なに言ってるんですが、それって昔から存在する空想の悪の組織や秘密結社の組織名じゃないですが」
ロゴスと一族という組織は昔から空想の悪の組織、秘密結社として物語に登場する世界中で有名な組織の名前である。
戦争をコントロールしてる悪の組織、西暦時代から続いて各国政府を裏から操る秘密結社など、色々と言われているが、二つの組織の存在理由が一般市民からしたら非現実的であり、B級映画でもまだ捻った設定を作るとして、極東連邦を始めとした地球各国の市民からしたら『ロゴス』も『一族』も最も有名な空想の悪の組織、秘密結社という認識であった。
そんな空想世界で有名な悪の組織と秘密結社を黒幕に自分の先輩が上げた為に村山に呆れた様子で呟くのだが、そんな村山に対して酒井は怒る事なく淡々とした様子で村山に説明する。
「村山、お前は公安に所属したばかりだよな」
「ええ、今年の春に配属されたばかりですよ」
「だったら知らないのも無理はないが村山、『ロゴス』も『一族』も実在する組織だ」
「……冗談ですよね」
「俺がこんなふざけた冗談を言うと思うか?」
酒井の真剣な表情と、公安に所属して間もない新人ではあるが、目を見ればだいたい相手のが真実か嘘をついてるのかだいたい分かるので、酒井が嘘ではなく本当に真実を言っている事を村山は理解した。
「空想と思っていた組織が本当に実在してたんですね」
「まあ、信じられないのは無理もないけどな」
「でもそんな凄い組織が実在するなら何で空想の悪の組織や秘密結社として語り継がれるんですかね。西暦時代以上にCEは情報社会ですから隠蔽はかなり難しいですよ」
「言いたい事は分かるよ、実際に一族やロゴスの存在を暴露しようといつの時代もマスコミ、マフィア、政治家と数えきれないほど存在したからな」
「そうなりますよね」
「だけど現代になっても一族やロゴスは空想の存在としか世間に思われてねえ」
「まさか証拠隠滅に成功してるって事です·······」
「ああ、俺が知ってる限りだと再構築戦争前にメキシコで一番の勢力を誇っていたギャング組織が一族とロゴスの秘密を握って、それを餌に脅迫して一族とロゴスの利益を奪おうとしたら、その組織は頭は勿論、幹部や構成員の殆どが次の日には蜂の巣になって道端に転げ落ちてた、CE25年には大西洋連邦系のマスコミが一族とロゴスの秘密を握って世間に公開しようとしたら原型も分からない程にミンチにされてたよ」
酒井の説明を聞いて村山は一族とロゴスの行った報復行動に身震いする。
「ただ極東連邦は一族とロゴスと深く関わってねえから一族とロゴスの影響下に入ってない。けど、それはロゴスと一族と敵対してる事には変わりねえから公安に所属すれば嫌でも一族やロゴス関連で駆り出される事は多くなるから頭に叩き込んでおけよ」
「は、はい」
「あと間違っても一族やロゴスの詳細な内容を知り合いや家族にバラすなよ。冗談抜きで次の日には俺が説明したギャングやマスコミの末路になってるからな」
それは警察に所属した時から理解している。ヤクザ、半グレと組織の規模と関係なく組織にとって都合が悪い情報を世間に公表しようとすれば、その人間は脅迫、下手をすれば殺される様な案件は嫌でも耳にするため、世界経済に等しい組織のロゴスと、情報操作の頂点に立つ一族が本気になれば自分の様な人間など直ぐに殺されてしまうと理解してる為に、自分の身を守る為にも絶対にこの秘密をバラさないと誓った。
村山本人は、空想の組織が実在するとはこの日まで思った事がなかった為に、西暦時代のある有名人が言った言葉は本当だと理解させられてしまう。まさに真実は小説より奇なりとは本当に実在するのだと。
だが村山はまだ知らないが、その極東連邦も一族やロゴスに負けない極東連邦を代表する政治家・経済人達が在籍している秘密結社である大和会が存在している事に……。
ーーー。
戦時下ではあるものの極東連邦は平和を維持しており、戦前と変わらないとまでは言わないが、それでも平和な日常を市民達は満喫していた。そんな平和な様子に最近までアフリカ大陸にて大規模作戦に参加していた白銀武は何故か『サングラス』をかけながら笑みを浮かべて歩いていた。
武が本土に帰国してる理由は北アフリカ攻防戦が終了してCE71年5月15日にアフリカからザフト地上軍が完全撤退した五日後に極東連邦軍のエース部隊オルトロスに所属していた白銀武は極東連邦の本土である日本大陸の横須賀基地に戻っていたからだ。本土に戻った後も色々と事務仕事が残っていた為にアフリカから本土から戻っても事務仕事が忙しい事に参ってしまうがそれでも何とか仕事を終わらせる事が出来た。北アフリカ攻防戦から最近は忙しすぎて休む暇がないほど働き詰めだった事もあって武達オルトロスは上から特別休暇をもらう事が出来た。
そんな武も久しぶりの休暇を満喫する為に横須賀基地から地元の柊町は近い為に、軍に入隊してからは一度も帰っていない地元に戻る事にした。
久しぶりの休暇を貰って地元に帰る事になった瞬間に武は世界に絶大な影響力を誇る御剣財閥の次期当主である御剣悠陽と、その双子の妹である御剣冥夜の従者長兼教育係である月詠真那に突然と拉致されてしまい、リムジンに放り込まれた。
「ちょ、真那さん!?」
「申し訳ございませんタケル様、失礼します」
『前世』の世界と現在の世界で機動兵器だけではなく、対人戦にも自信があったが世界が違うとはいえ、やはりこの人には敵わないと半分諦めた感じであった。
しばらくしたら巨大な日本の城の様な建物が見えた。巨大な城の周りが更地となっており、そんな更地の場所にポツンと二件ほど一軒家があり、その家は自分の実家と幼馴染の家だ。極東連邦の中でも経済区に属する横浜の地とは思えない光景に武は変わらないなと心の中で思いながら苦笑いするのであった。
「タケルちゃんお帰り!」
「……タケルさんお帰りなさい」
「タケル!」
「武様、よくぞご無事で」
「もう、心配かけて」
「……おかえり」
「タケルさーん!」
「タケル〜!」
「あはは、お帰り」
ぐるぐる巻きになって冥夜と悠陽の実家の中に入ると元白陵柊学園三年B組のメンバー達、そして全員が武の恋人達が一斉に武に抱きついて武を揉みくちゃにした。
「ああ、みんな久しぶりだな」
武は学生時代の様に気安い感じで皆んなに話をかけたら純夏達は……。
「久しぶりじゃないよ!」
「心配したんですよぉ〜!」
「……」コクコク
「そうだぞタケル!」
「貴方が北アフリカの作戦に参加していたなんて聞いてないわよ!」
北アフリカ攻防戦でフリーダム、ジャスティスに北アフリカ攻防戦に投入した戦力の三割を葬られた事の失態を何とかしたかった地球連合軍は、ザフトの高性能ワンオフ機に勝利した極東連邦のエース部隊である『オルトロス』を大々的に宣伝して何とか世間の話題をそっちに移そうとした。特に武はユウヤと一緒にフリーダムを倒した事もあって若き英雄として報道されて極東連邦圏内ではちょっとした有名人となっており、そのため上官から外出するなら最低限変装はしろと言われたので武が地元に帰る時にサングラスをしていたのはその為であった。
だがそんな事は純夏達には関係なく、自分達が愛する人が最前線で戦っていた事に驚愕しており、この様に心配しているのだ。
「それだけみんな貴方を心配してたのよ白銀君」
「ふふ、相変わらず愛されてるわね白銀」
「まりもちゃん、夕呼先生」
武の前に現れた二人の恩師。一人は三年B組時代の担任である神宮寺まりも、もう一人はそのまりもの親友で我が道をいく極東連邦、いや世界一の天才物理学者と呼ばれている香月夕呼。武と同様に前世の並行世界の地球の記憶を保持しており、武に大和会に所属する様に薦めた人物だ。
それから武は最初は恋人達から本当に心配したんだよ!どうして軍に入隊したばかりで最前線に配属されたとか色々と質問された武は軍規違反に入らない限りの事を皆んなに話した。それからは学生時代と同じように恩師と恋人達と一緒に盛り上がって話した。
「みんな将来に向けて頑張っていて先生は本当に嬉しいわ。でも一番教え子の進路に驚いたのは白銀君だけど」
「そんなに驚く事を俺がしたか、まりもちゃん?」
「驚くわよ、高校卒業したらいきなり軍隊に入隊するって決めたんだから」
「確かにあれは本当に驚いたよ、軍人になって僕達や国民を守るんだ!て、言うから」
「なんか武君らしくなかったよね」
「そうだよ、いつも皆んなを揶揄って揶揄われてるタケルちゃんがいきなり軍隊に入隊して、しかもMSのパイロットになってるんだもんね」
どうして武がいきなり軍隊に入隊してMSパイロットになっているのか、それを知るのは武の恩師である香月夕呼と、夕呼に引き取られた三姉妹の一人で今も純夏の家で純夏と一緒に暮らしている香月霞だけだ。
この世界にはBETAは存在していないし、純夏達もBETAが存在してない世界の様に将来の夢を見据えて色々と頑張っていた。この世界はBETA世界を知る武から見たら平和だ、暖かい飯がいつでも食べる事ができ、暖かい寝床に寝れて、軍に入隊する事を考えなければ命を落とす心配もないが、それでも外の世界は地球全体を巻き込んだ戦争をしている。
極東連邦は志願制の為に軍に協力する義務は発生してないが、それでも前世の世界で平和を掴む為に死に物狂いで戦い、そして国を、世界を守る為に戦い続けた英雄達の思いと信念を武は知っている。
そんな前世の英雄達の思いを知っていながら現状を無視して自分だけ平和に暮らすなんて選択肢を選べない、自分は軍に入隊して戦うと前世の記憶を保持してる夕呼先生と霞に話したら夕呼先生からは「相変わらずガキ臭いわね」と、呆れられ、霞からは「何でまた戦うんですか」と、悲しい表情をされてしまった。
恋人となった彼女達からは軍隊に入ったらいくつ命があっても足りないからと大反対されたが、それでも武は前世で託された恩師と戦友の思いを無駄にしない為に極東連邦軍の兵士になる事を決めた。
その日は久しぶりに恩師と恋人である皆んなと過ごせて楽しい時間だなと思っていた武であったが、夜の10時くらいになって武に睡魔が襲って一人でベットで寝ようと思ったら純夏達に「まさか今日はゆっくり寝れると思った?」という言葉を最後に武は純夏達に色々な意味で食われてしまい、翌朝に純夏達はスッキリとした表情だったが武はミイラとなっていた。
そんなミイラとなった武の姿に武と同じ様に御剣家に泊まっていた夕呼は大爆笑して「そういえばクリスカとイーニャも昨日はお楽しみだったわね」と呟くと普段から女性や恋愛関係に対して鈍感な自分も戦友であるユウヤの状況を察して「ユウヤ……お前もか」と、呟くのであった。
・マブラヴキャラに前世の記録があるのは武、夕呼、霞の三人。
・クリスカ、イーニャ、霞の三人は夕呼が引き取ってる為に姓は香月になっています。