パナマ基地に設置されてるマスドライバーを破壊する為にパナマ基地にザフト艦隊のMSが侵攻を開始して激戦が繰り広げられていた。
パナマ基地は大西洋連邦の管轄であるため部隊MS部隊も大西洋連邦で開発されたストライクダガーとエース部隊に105ダガーが目立つが、それでもユーラシア連邦と東アジア共和国も確認されてる為にユーラシア連邦は極東連邦からライセンス生産したアクシオ、リオンII、ガンタンクと国産MS一号機であるガンキャノンの姿も確認でき、東アジア共和国も国産MSに開発が成功したとして、パナマ基地に東アジア共和国にMSが配備されていた。
MSの名は71式MS ロン。中国語で龍を意味しており、東アジアのMSの印象は頭部の形状がザフトのジンで採用しているモノアイとも極東・大西洋で採用してるバイザー型とも違い、センサー類やカメラといったMSを支えるに必要な機能が集中している頭部を守る為に頭部を装甲化しラウンドモニターを採用してる事が特徴である。
しかし胴体を含めた機体形状がザフトのジンをベースにしている事が分かる見た目をしてる為に、他国のMSパイロットからはジンの派生機かコピー機という印象が強い為に、ザフトからも「ジンの粗悪品」と印象を受けているが、東アジア共和国はロンをコピー機ではなく我が国のオリジナル国産MSだと頑なに主張している。
と、色々と説明したが、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国を代表するMSがザフトのMS部隊と激しく交戦している。MSのパイロットとしての力量はやはりザフトの方が上であり、一対一の戦いになると連合のMSは撃破されてしまう事が多いが、連合も一対一という状況を作らない様に集団の射撃戦を中心として弾幕を展開してザフトのMS部隊の接近を許さない様に展開していた。
射撃戦になるとビーム兵器を装備しているダガーとガンキャノンの部隊が多い事もあってMSによる射撃戦では地球連合のMS部隊が優勢を保っていた。
「止まって撃つことしか脳がないナチュラルが!」
「俺達を舐めるな!」
「おい、持ち場を勝手に離れるな!」
勝手に持ち場を離れて単独行動に走るザフトの新米パイロットに、ベテランパイロットが静止する様に声をかけるが、新米パイロットは無視してビームと実弾の雨が降り注ぐ戦域にジンを突撃させてしまった。
地球連合の連携によるMSの運用が思った以上に効果的で、何よりCE71年に入ると地球連合でもMSを本格的に運用を開始して、ザフトの高い優位性を維持していたMSという兵器が既に自分達だけのものではなくなり、自分達と同じ土俵で戦う事になった為に戦場の優位性はなくなった事をベテランのザフト兵達は理解している為にナチュラルという人種を軽視しようとも、ナチュラルが駆使する戦術が有効と分ればナチュラルの戦術だからといって蔑ろにする事はなく、何度も実戦を経験したザフトのベテランパイロット達の多くは、部下や自分達が少しでも長く生き残る為に地球連合のMS部隊と同じ様に連携を重要視して戦う事を今回パナマ攻略戦に派遣されたザフトのMS部隊のベテラン達は決めていた。
しかし、徴兵制度で入隊したザフト兵パイロット達は練度不足、初の実戦による恐怖と高揚感、何よりナチュラル軽視とプラントのコーディネイターの典型的なプライドの高さもあってベテランパイロットの命令を無視して勝手に突撃して、勝手に孤立して地球連合のMS部隊によって包囲され、ビームに大きい風穴を開けられ、銃弾の雨によって蜂の巣にされて新米ザフト兵が搭乗しているジンは爆散した。
(くそ、やっぱり勝手に行動しやがったな!)
数合わせの徴兵された訓練不足の新兵であった為に対して期待もしていなかったが、まさか自分達ベテランが恐れていた事態をこんなに早く起こすとは思っていなかった。
「そんなクイントンとロバートが……」
「あんな簡単に」
命令を無視して単独行動に走った自分の同期が、地球連合のMS部隊に大きい風穴や蜂の巣にされて呆気なく戦死してしまった同期達の姿に、先程までベテランのザフト兵の命令に不満がたらたらであった生意気な新兵達は戦場の真実を理解し子鹿の様にプルプルと震えていた。
「これで分かったか新入り。戦場では勝手に行動して、勝手に動いたらナチュラルもコーディネイターも等しく死ぬ。死にたくなかったら連携を崩さない行動を心掛けろ」
「は、はい!」
「分かりました!」
恐怖で震えている新兵達の様子をチャンスと感じて、ザフトのベテランパイロットは新兵達に戦場で勝手に動けば味方と孤立して死ぬ確率が高くなり、連携する事の重要性を新兵達に分からせる為に恐怖で反骨芯が抱きにくい状態を利用をして、自分の命令を聞くように新兵達に言うのであった。
そして東アジアの管轄の戦域では、コチラも連携を無視して単独行動に走るザフトの新兵が目立ち、東アジアの新型MSのロンが装備する重突撃機銃の銃弾の雨によって蜂の巣にされて各個撃破されていた。
「隊長、一部の敵MSの動きが杜撰に感じませんか」
「お前達もそう思うか」
「はい」
勝手に自分達のキルゾーンに突入して撃破されていく一部のザフトMS部隊の意味不明な行動に東アジア共和国軍第四MS中隊のワン大尉を含めた隊員達は首を傾げていた。
(ザフトが兵員不足と噂には聞いていたが、どうやら本当の様だな)
開戦初期の段階から民兵組織故に明確な命令系統が存在しないザフトは、命令を無視して個人プレイに走るパイロットはそれなりにいた。それでも軍事訓練を受けたコーディネイターという事もあって個人プレイに走っても技量は本物であった為に、孤立状態でありながらも撃墜するのが一苦労出会ったことをMSの機種転換訓練を受ける前にMAでジンで何度も戦った事があるワン大尉は、多対一で戦ってもザフトのMSを脅威に感じていた。
しかし、今回対峙する単独行動を実行するザフトのMSの多くにその様な脅威を感じる事はなく、無作為に突っ込んで暴れてるだけで、高い技量を有しているパイロットとは思えない程に杜撰な動きであったからだ。
(まあいい、相手が弱いなら上からの米帝、日帝共にロンの性能を見せつけるという命令を完遂する事は簡単だからな)
ワン大尉はそう思いながら相手の連携が杜撰な事を判断すると、ザフトMS部隊を分断する為に行動を開始する。
パナマ基地の攻防戦は連合・ザフト共に膠着状態が続いていた。連合はMS・航空機・戦車を含めた機体の数の差に加えて武器と機体性能もザフトを上回っており、今回のパナマ基地攻略戦に参加しているザフト兵の大半は実践経験が皆無な新人という事もあって本来なら直ぐにでも決着がついてもおかしくなかったが、その絶望的な戦力差を何とか穴埋めしているのはザフトのベテランパイロットや、クルーゼ隊の様なエリート部隊の奮闘により、何とか戦線が崩壊しない様に頑張っていた。
「ええい鬱陶しい奴らだ!」
「全くだ、キリがないぜ」
「ナチュラルが数任せなのはMSを運用しても変わらん。しかし極東以外でもビーム兵器を標準装備するMSが増えてきたな」
「ああ、俺のバスターやお前のデュエルのPS装甲の強みを活かせなくなったな」
「狼狽えるなディアッカ。最初からPS装甲に頼る戦いは俺達はやっていない。忌々しい足つきとストライクとの宇宙での戦いを忘れたのか!」
「そうだったなイザーク」
鹵獲したG計画の試作MSを扱うデュエルのパイロットであるイザークと、バスターを操るディアッカが率いるMS部隊の奮戦によって拮抗していた戦闘地域を破る事に成功した。
ザフトの新兵器グングニールの投下ポイントの一つを占領する事に成功し、パナマの宙域に展開しているザフト宇宙艦隊に投下ポイントを指示を出す。ザフト宇宙艦隊は地上部隊が指定した投下ポイントに向けてグングニールを投下した。
ザフト宇宙艦隊が投下したグングニールを当然の様にパナマ基地の総司令部も確認していた。
「なんだ、新たなザフトの降下部隊か?」
「いえ、どうやら降下部隊ではないようです」
「降下部隊ではないのか……それでもザフトの降下ポットには変わりない。航空隊部隊に降下ポットを全て叩き落とす様に指示を出せ」
「司令、ザフトの航空部隊が思った以上に粘っているせいで航空部隊を降下ポット追撃に向かわせる事が出来ません」
「なに、ならば仕方ない。対空砲と近くにいるMS部隊で叩き落とす様に指示を出せ。何を投下したのかは不明だが、連中が無駄な事をすると思えん。撃ち漏らした場合も念の為にMS部隊に破壊する様に通達しろ」
「了解しました」
司令部の指示により対空ミサイル、対空砲と総司令部より指示を受けた近くのMS部隊が投下されたグングニールに向かって対空攻撃を浴びせてグングニールの降下ポットを破壊するが、それでも降下ポットの数が多かった為に撃ち漏らしたグングニールもそれなりの数が地上に落ちた。
無事に着地したグングニールをMSのジンが起動調整に入る。銃弾や砲撃が飛び交う戦場でMSで直接調整しないといけないこの試作兵器に対して、現場のザフト兵達は文句を言いたいが、この新兵器がパナマ基地攻略に必要な兵器という事を理解して、最後のパスワードを入力し終えて起動シーケースに入った。
後はナチュラル達にグングニールを破壊されない様に守り抜く為にザフトのジン、ディンアタッカーの部隊が地球連合のMS部隊の進攻を防ぎ切る。そしてグングニール発動の時間が経過した瞬間にグングニールから超強力な電磁パルスが発生、その電磁パルスの破壊力は凄まじく、本来ならEMP対策を施してある総司令部やMS部隊も例外なく機能が停止し、その強力な電磁パルスの影響でパナマ基地に設置してあるマスドライバーにも強力電磁パルスの影響で強力な電流がマスドライバーに流れて、その電流によって施設が誘爆してパナマのマスドライバーは破壊されてしまった。
なお、今回の作戦に参加していたザフトは、MSを含めた艦艇、航空機に対してグングニールの強力な電磁パルスに耐える事が出来る様に特別仕様にカスタムされていた事もあって無事に耐える事に成功した。
「隊長。ディン部隊より報告。グングニールの発動によりパナマのマスドライバーが破壊され、ナチュラルの軍施設及びすべての装備が機能停止しました」
「よし作戦は成功だ。お前ら、長居は無用だ、さっさと艦隊に引き上げるぞ」
ザフトのベテランパイロットであるフランクの命令に新人パイロット達から不満の声が噴出する。
「ナチュラルを倒さないのですか隊長!」
「今なら簡単にナチュラルを倒せますよ隊長!」
「我々に攻撃の許可を下さい!」
「馬鹿野郎お前ら戦争犯罪人になりたいのか!モニターに映っているナチュラル達を見てみろ!」
フランクの言葉に反応して改めてコックピットに映っているモニターを確認する。そこにはグングニールの超強力電磁パルスによって動かなくなったリニアガンタンクから両手をあげて降参のポーズを取る地球連合の兵士達、他にも続々と降参のポーズをとる地球連合の兵士達が現れてきた。
「降参してる人間を問答無用で殺す行為は戦争犯罪で国際問題に発展するんだ。そんな当たり前の常識はアカデミーで習う以前に小学校でも習う事だ。お前ら本国でいったい何を習ってきた!」
「い、いえ」
「すいません」
「それに俺達の任務はパナマ基地の占領ではなく、パナマ基地のマスドライバーの破壊だ。任務はもう完了したんだ、さっさと艦隊に戻るぞ」
国際法というものを知らないで、自分が注意しなければ虐殺行為に簡単に手を染めようとした新兵達にフランクは、これが新人類と言われるコーディネイターなのかと頭が痛くなった。とにかくコイツらには軍人としての常識以前に社会人としての常識というものを徹底的に叩き込む必要があると感じて、カーペンタリアに帰還したら次の任務が始まるまでに徹底的に国際法というものを分からせる為に再教育してやるとフランクは考えていた時に、信じられない内容が無線に響き渡る。
「オラオラ無様に逃げやがれナチュラル!」
「俺達相手に良い気になった罰だ!」
降伏している地球連合の兵士達に向かって一部のザフトMS部隊が虐殺を始めたのだ。当然の様にこの光景を目にしたフランクは虐殺を実行しているMS部隊に向かって怒鳴る。
「お前らいったい何をやってるんだ!」
「何ってナチュラルをぶっ殺してるんですよ」
「そうそう俺達の敵を殺してるだけですよ」
「こ、この……降伏してる敵兵を殺す事は重大な国際法に違反する行為だと知らんのか貴様ら!お前らが実行している行為は国際法に違反している、今すぐやめろ!」
フランクは虐殺を行うザフト兵士に対して凄まじい剣幕で怒鳴り止めるように説得する。しかし、そんなフランクの説得を虐殺を実行しているザフト兵達は「は!」と、呟き鼻で笑う。
「なに甘いこと言ってんですか」
「そうそう、血のバレンタインを実行した連中が俺達と同じ人間なわけないじゃないですか。獣を殺すのに何を焦ってるんですか?」
「それにザラ議長も言ってるじゃないですか」
「国際法は野蛮なナチュラルが作った法律だって、俺達新人類のコーディネイターがナチュラルの法律を守る必要はないって」
「だから俺達がやっている行為はプラント基準で合法だ!」
そう言って彼等は虐殺を再開した。
ザフトから戦う力を全て奪われて降伏するか、逃げる事しか出来ない地球連合の兵士達はなす術もなく殺されていき、そこには地球連合兵士達の悲鳴があちこちに響き渡り、自軍の蛮行を止めたいが、フランクにそれを止める術がなかった。
そしてこの光景をフランク同様に悔しい表情をしながら見ることしか出来ないザフト兵が二人ほどいた。
「なあ、イザーク……」
(こんな行為が正しいのか、本当に正しい選択なのか!)
クルーゼ隊の中でもナチュラル軽視が目立つ二人だが、それでも降伏する敵を虐殺するほど二人は残忍ではなかった。
ザフト兵が実行している虐殺行為にイザークとディアッカの二人は本当に自分達がやっている事は正しいことなのか?ザラ議長が率いるプラントに正義があるのか?と、疑問を抱く様になってしまった。
イザークとディアッカの二人は今までは野蛮なナチュラルからプラントを独立させて、コーディネイターの自由を勝ち取る為に戦う自分達の行動は絶対に正しいと信じていたが、その決意が揺らぎそうになる光景を二人は見せつけられてしまった。
ザフト軍はこの後、パナマ基地のマスドライバーが破壊という任務が完了した事によってカーペンタリアに帰還する為にパナマ基地攻略で進軍していたMS部隊に帰還命令を出したが、その命令を聞かないでグングニールにより、戦う術を失って降伏している地球連合兵士を虐殺する行動をやめないザフト兵士がそれなりの数がいた為にザフト艦隊は撤収ができないでいた。
そんな虐殺行為を実行しているザフト兵を既に味方と見ていないフランクを筆頭としたMS部隊の隊長達が、このまま彼等が満足するまで待っていてはパナマ基地から近い地球連合軍の基地より増援部隊が到着して、その増援部隊の攻撃で自分達は全滅してしまう為に連中を置き去りにしても撤収するべきだと進言した。
仲間を見捨てるという行為に艦隊司令官と艦長達はMS部隊の隊長達の進言に難色を示したが、虐殺をまだやめない連中を待っていてはMS部隊の隊長達の進言通りに撤収する前にパナマ基地から近い地球連合の基地から来る増援部隊が到着するのも時間の問題であった為に、MS部隊の隊長達の意見を取り入れて、彼等を収容しないでザフト艦隊はパナマから撤収した。
好き勝手に暴れた事に満足した虐殺を実行したザフトのMS部隊だったが、自分達が帰るのに必要な母艦が既になくなっている事に気がついて呆然とし、自分達はパナマに取り残された事に気がついて「ふざけんじゃねえぞ!」と、怒鳴り散らすが後の祭りで、しばらくしてパナマ基地から近い基地の増援部隊が到着して、取り残されたザフトMS部隊は弾薬とバッテリーのエネルギーが枯渇していた為にマトモに戦う術がなくなっていた為に、増援部隊によって次々と撃破されていき、流石に勝ち目がないと判断して降伏した。
後にパナマ基地の生き残りから捕虜となったザフトMS部隊は降参したにも関わらず地球連合兵士達を虐殺していた事が判明した。このあまりの悲惨な内容は全世界に報道され、世界中に衝撃を与えた。
『後の歴史家は、このパナマ攻防戦による虐殺行為は民兵組織としてのザフトの限界を証明し、地球連合の様に明確な命令系統を持たず、階級という絶対的な上下関係を示すものが存在しなかった事による弊害と称した。
この虐殺行為はパナマ基地の生き残りと、作戦に参加して虐殺行為を止めようとしたザフト兵士の証言によると、国際法はナチュラルのルールで、自分達コーディネイターは規則を守る必要はないと言っていた事が判明しており、このあまりの非常識すぎるザフト兵の行動に地球連合の兵士達は大激怒し、地球に住むコーディネイター達もプラントのコーディネイターと一緒にされる事を嫌って、地球連合に参加する地球出身のコーディネイターが増加した。
これが後の連合・プラント大戦の転換期となり、虐殺行為と国際ルールを守らないザフト兵の蛮行は地球のコーディネイターがプラントのコーディネイターを明確に敵と判断し、地球出身のコーディネイターが所属問わずに地球連合に本格的に参加する事を表明し、皮肉にもこの虐殺行為はナチュラルと地球出身コーディネイターとの蟠りを小さくし、地球連合の結束をより高める結果となり、プラントは同族であるコーディネイターの支持もなくなってしまい、自分の首を締める結果となった。
そして最後に、あの時代の生き証人であったプラント出身コーディネイターで連合・プラント大戦初期から参加していたマック・ストーナーはこう語っていた。CE71年代のコーディネイター達はパトリック・ザラの狂気に飲み込まれていた。自分達が地球の新たな支配者、神として君臨すると誰もが疑っていなかった。徴兵制度でザフトに入隊した兵士達はそれがより顕著に現れたと、徴兵制度で入隊したザフト兵はパトリック・ザラのナチュラルの憎しみを体現した兵士達で、国際法を無視した蛮行をパナマ攻略戦以降も繰り返し、後に徴兵制度で入隊したザフト兵達は両軍から『ザラの私兵』と恐れられる様になった。
CE123年 4月23日。戦史研究科 プライム・トンプソン』