ガンダムSEED 架空国家の憂鬱   作:zero3 ガイル

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IF世界の話です


間話4

 

『並行世界にドン引きする』

 

CE73年。連合・プラント大戦が終結して二年が経過して復興が順調に進み、宇宙開発も活発化していた時に宇宙に突然と現れたクロスゲートは、並行世界の地球に繋がっていたことが判明した。

 

しかし、似た様な歴史を持ちながらも差異は存在する。

 

分かりやすい説明すれば片方は『連合からプラントの独立を勝ち取った世界』、もう片方は『連合に敗北して独立に失敗した世界』といった感じだ。

 

その事が原因で『原作側』のプラントの過激派は『こちら側』の世界の地球連合に対して成敗するべきだ!と、声を高く上げて『原作側』のプラント最高議長であるデュランダルでも抑える事が難しく過激派を筆頭とした艦隊を出撃の許可を出したが、このザフト艦隊を『こちら側』の地球連合は一方的に返り討ちにした。

 

『第一次クロスゲート戦役』による一方的な敗北と、後に『こちら側』の大西洋、東アジアの艦隊による『原作側』のプラント侵攻により『原作側』のプラントの戦力は大幅に低下。この事がキッカケで『原作側』の地球連合は好機と判断してプラントに宣戦布告して第二次連合・プラント大戦の幕が切って落とされた。

 

『こちら側』の地球連合は『原作側』の世界に対して様子見をする事を決定して、極東連邦は不干渉を決め込み、ロゴスの影響力が強い大西洋連邦はどのタイミングで『原作側』に介入するか議論を続けていたが『原作側』の世界の情報が次々と入ると地球連合各国の首脳や経済界のトップ達は『原作側』の世界にドン引きする事になった。

 

「ない、これはない……」

 

「意味がわからん」

 

極東連邦の最大の利害調整機関である大和会。それを代表するメンバー達は『原作側』の情報を知る度に「は?」と、誰もが宇宙猫状態となっていた。

 

「まあ、百歩譲ってブルーコスモスがTOPの並行世界の地球連合が民間人を虐殺するのはまだわかる」

 

「連中は我々の世界のブルーコスモスやザフト脱走兵同様に倫理観なんて期待出来ませんからね」

 

それでも『こちら側』でも開発に成功したユーラシア連邦が開発したビグザムの後継機であるデストロイで『原作側』のベルリンの住民をザフト軍と一緒に蹂躙した事は流石にドン引きしたが、それ以上に『こちら側』のユーラシア連邦政府はデストロイで虐殺していく光景に「なんて事してんだ!」と、叫びながら頭を抱えていた。

 

「それでも並行世界の連合とプラントは戦争中でしたよね」

 

「戦争中ですね」

 

「じゃあ何でそんな敵国の人間のTOPの言葉を鵜呑みにして地球連合の民衆が魔女狩り紛いの事をやってるんですか!」

 

若い大和会会員の言葉に誰もが同感だと頷く。

 

戦争中で、しかも敵国であるプラントのTOPであるデュランダルの言葉を鵜呑みにしてロゴス狩りという現代の魔女狩りを実行に移す『原作側』の地球市民達のメンタルに大和会は意味不明と言ったかんじであった。

 

しかし『原作側』の地球連合は色々と市民の反感を買う様な事をしていたからいつかは反乱を引き起こすだけの土台はあったのだが、それでも極東連邦の市民の多くも『原作側』の地球市民の行動に対して「なにやってんの?」と、言った感じでロゴス狩りにかなりドン引きしていた。

 

「あげくの果てにプラントはデスティニープランという訳の分からないプランを世界に発表しますし」

 

「しかも我々の世界にも強く導入する様に求めていますし」

 

「まあ、職場適正システムと見ればデスティニープランも悪くありませんが」

 

「強制力がなければな」

 

「どうしてこんな馬鹿な提案をしたんですか『デュランダルさん』」

 

「いや、私に聞かれても困るのですが……」

 

大和会の会員達の視線はある人物に集中する。

 

彼の名は『こちら側』のギルバート・デュランダル。

 

『こちら側』の彼は若いながら転生者が中心の大和会でありながら転生者でない彼が大和会の会員に選ばれてるだけに彼の優秀さはこの場にいる誰もが認めるている。

 

それでも別の世界の自分とはいえ、まさか自分がプラントに残って最高議長になって『若気』の至りと認識していたプランを本気で実行に移し、更に『こちら側』の世界にまで持ち込もうとしてる事に『こちら側』のデュランダル自身は本気で困惑しているし、何より別世界の自分のやった事を『自分』に意見を求めらても困るというのが彼の本音であった。

 

それでも『原作側』と同様に優秀な彼は並行世界の自分がどうして、全世界に向けてデスティニープランを実行しようとした事を理解した。

 

(あちらの世界の私は最後までコーディネイターに対する問題を解決出来なかったのだな)

 

『こちら側』のギルバート・デュランダルは当初は『原作側』の世界同様にパトリック・ザラが推し進める「コーディネイターの英知ならばあらゆる問題を解決出来る!」というコーディネイター出生率低下問題に従事していた。

 

だが、極東連邦がこのコーディネイター問題に対する一つの解決策を提示した事により彼はCE59年に、あらゆるツテを使って自分の恋人のタリアと共に極東連邦に移住する事を決意した。

 

極東連邦が開発したコーディネイター出生率問題の解決策の一つは世界中で話題となった。その内容はプラント本国でも話題となり、プラント本国でもこの解決策を取り入れるべきという話題で持ちきりであったがプラント本国の大多数を占めるコーディネイター至上主義者は反発した為に極東連邦の医療は認められなかった。

 

極東連邦の医療界が提示したコーディネイター出生率問題に対するアプローチはわかりやすくいえば……。

 

「規格が違うプラグを使うから問題。なら規格が合う様に変換アダプターを使えば問題ない」

 

分かりやすく言えばコーディネイターの遺伝子は特注なプラグという考えだ。

 

そのためコーディネイター同士だとどうしても互換性が合わないプラグがいくつも存在する為に子供を作る難しいのだ。そこでプラグの互換性が合う様に変換アダプターを使用してコーディネイター同士のプラグが合う様にするのが極東連邦が開発したコーディネイターに出生率問題に対する解答である。

 

そもそもコーディネイター同士での出生率が低い問題はナチュラルで最適化している遺伝子を能力向上、容姿端麗にする為に人工的に調整した為に遺伝子の型が複雑化した事が原因だからだ。そのためより最高なコーディネイターを作りたい為に高度な遺伝子調整をすればする程余計に適合するコーディネイターを見つけるのは難しくなる。

 

そのためより高性能なコーディネイトしたコーディネイターの遺伝子は複雑化し、遺伝子同士が原因で生殖できる相手が限られてしまうためにコーディネイター同士の出生率が低く、これは世代を重ねる毎に余計に遺伝子の複雑化が進む。そのため高度なコーディネイトしたコーディネイターの比率が多いプラントでは社会問題となっていた。

 

この問題に対してコーディネイター同士は遺伝子が適合する人間が少なくて問題になるが、これがナチュラルとならどのコーディネイターも問題なく適合する。

 

しかし、これはプラントではナチュラル回帰といわれ、コーディネイターに高いアイデンティティを持つ事が多いパトリック・ザラを筆頭とした過激派コーディネイターから反対意見が強く、この提案は受け入れられなかった。

 

そこで注目されたのが変換アダプターを使ってコーディネイター同士の遺伝子を適合させるやり方である。これなら遺伝子の規格が合わないコーディネイター同士でも変換アダプターを使って子供を産む事が可能となる。

 

しかし、コレにも欠点は存在する。確かに遺伝子が適合しないコーディネイター同士でも子供を作る事は可能だが、その代わりに親に遺伝子調整された多くの才能を次世代に受け継がれないという問題である。

 

そのため生まれてくる子供は基本的にプラントのコーディネイター基準としては能力が低い子供がたくさん生まれるという事である。

 

シーゲルを筆頭とした穏健派は、プラントのコーディネイターの未来の為にこの技術を積極的に受け入れるべきと判断したが、パトリックを筆頭とした過激派はナチュラル回帰と変わらないとして猛反発した。こうしてお互いに平行線に進み、この医療技術はプラントでは受けいられなかったが、この医療技術に目をつけたデュランダルは極東連邦と接触を図る。

 

このままでは恋人のタリアと自分の遺伝子が適合しない為に子供が産まれない。例え自分達の才能が受け継がれなくてもいい、元気で健康な事以外は自分達の才能など必要がない、そう判断したデュランダルとタリアは自分達から産まれる子供達に対する条件を提示して極東連邦に亡命し、その見返りとしてデュランダルが持つ遺伝子関係のノウハウの全てを極東連邦に提供する事を条件に治療と亡命を受け入れさせた。

 

この遺伝子治療の優先権を手に入れたデュランダルとタリアはCE61年に無事に念願の子供が産まれた。

 

こうしてプラントを捨てて、極東連邦に亡命して大和会に所属する様になって多忙な毎日だが自分とタリアは極東連邦で幸せな家庭を築けている。今年には三人目も産まれてタリアは喜んではいたが……。

 

「全く並行世界といえ、ここまで常識が違うと頭が痛くなるな」

 

(全くもってその通りだな)

 

あれはタリアと結ばれなかったもう一人の自身の可能性だと思うとデュランダルは背筋が凍る思いになった。その後大和会の方針は事実的に『原作側』の世界を掌握した『原作側』のデュランダル率いるプラント勢力に対して戦う事を前提に方針を固めるのであった。

 

そして『原作側』の非常識な行動にドン引きしているのは何も大和会だけではない。世界経済そのものと言える『ロゴス』も同様に『原作側』の行動にドン引きしていた。

 

『まさか並行世界とはいえ』

 

『我々があの様な結末を迎えるとはな』

 

『原作側』のロゴスが『原作側』のデュランダルに秘密を民衆に暴露して、諸悪の根源扱いと称して地球の市民達に告げただけでロゴスが魔女狩りの様に処刑されていく事実に『こちら側』のロゴスの面々は恐怖を覚えて困惑した。

 

『並行世界のプラントとはいえ、我々の秘密を暴露されるとは』

 

『なんて事をしてくれたのだ並行世界のプラントは』

 

「まあまあ我々には何の影響はありませんよ、心配のしすぎです」

 

『しかしだなアズラエル』

 

「それが証拠に我々の世界ではロゴス狩りなんて馬鹿な真似は起きてませんよ」

 

アズラエルの言う通り『こちら側』では『原作側』の様にロゴス狩りは起きていない。確かに地球市民達は昔から悪の秘密結社の代名詞の一つであるロゴスが実在した事には驚いたが、かといって自分達に何の影響もない為に特に大騒ぎする事でもなかった。

 

 

逆に『原作側』の地球市民達がロゴスの存在をプラントから教えられてロゴス狩りを直ぐに始める行為に極東連邦同様に市民達はドン引きし困惑していた。

 

「では彼方の世界には不干渉という事でよろしいですか」

 

『ああ』

 

『それしかない』

 

『下手に関わったら我々にまで飛び火し、最悪は命まで危ういからな』

 

最初は並行世界である『原作側』の世界に深く介入しようとしたが『原作側』の世界が自分達の想像した以上に倫理観がぶっ飛んどおり『こちら側』の常識が一切通用しない世界と認識した『こちら側』のロゴスは『原作側』の不干渉を決定した。

 

『それはそうとアズラエル』

 

「なんですか?」

 

『その傷はいったい……』

 

ロゴスのメンバー達はズタボロで全身が包帯でぐるぐる巻きにされているアズラエルの恰好に困惑しながら質問した。

 

「あ〜コレは少し前に親戚のトラブルがありまして……」

 

『あ、いやスマン』

 

『我々が悪かった』

 

ロゴスのメンバー達はアズラエル家から産まれたナチュラル詐欺、人類のバグと称されたミアによる惨劇によるものと理解するのであった。

 

その後、ロゴスのメンバー達は極東連邦同様に『原作側』のプラントに対する対策を練るが、しばらくして『原作側』のオーブ軍と歌姫騎士団を中心とした勢力が『原作側』のプラントを打ち破り『原作側』のデュランダルは戦死してプラントはラクス・クラインを中心とした歌姫騎士団が担う事になる事は、現時点で『こちら側』の世界では、レオンを除いて誰も知る由もなかった。





登場人物紹介

ギルバート・デュランダル(こちら側)

性別 男性
年齢 32
種族 コーディネイター

『こちら側』のギルバート・デュランダル。基本的な性格は『原作側』との差異はあまりないが『こちら側』では恋人のタリアと結婚し、子宝にも産まれた事もあって『原作側』と比べて常軌を逸脱した思想家の側面は薄れている。

CE59年に極東連邦のコーディネイター同士の出生率をナチュラルと同等になる医療の優先権を得る為に自身の遺伝子知識のノウハウを見返りに極東連邦に亡命する。その後はその卓越した頭脳と政治力の力もあって若くして大和会に所属する事になる。

『原作側』の世界についてはあまりにも常軌を逸脱し『原作側』の自分がプラントにいた時に描いた若気の至りと認識していたプランを実行しようとして困惑している。


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