ガンダムSEED 架空国家の憂鬱   作:zero3 ガイル

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第三話 エイプリル・フール・クライシス

 

CE70年2月18日にプラントのシーゲル・クラインが発令した積極的中立勧告により中立を宣言した国家は優先的に物資を提供する事を宣言し元々理事国しかプラントの恩恵が受け入れられなかった事に不満があり大西洋連邦に対して旧西暦時代より反米思想が強かった南アメリカ合衆国は直ぐに受諾し、大洋州連合もプラントの恩恵を受けられる事を狙ってシーゲル・クラインが発令した積極的中立宣言を受諾した。

 

しかし、その翌日に大西洋連邦は南アメリカ合衆国に侵攻を開始して南アメリカ合衆国全土を占領して地球連合の勢力圏に組み込んだ。

 

何の警告もなしに大西洋連邦が南アメリカ合衆国に侵攻した理由は南アメリカ合衆国が保有しているパナマのマスドライバーをザフトに利用される事を恐れた事、次にブルーコスモス思想が強い大西洋連邦の勢力圏にコーディネイター国家を自負するプラントと友好関係を構築する親プラント国家が誕生する事を嫌った為であった。

 

そもそも一部を除いて反コーディネイター思想が強い組織である地球連合としてはプラントと友好国になる国家は誰であろうと裏切り行為であるため、他国を牽制する意味を込めて南アメリカ合衆国を占領したのだ。

 

だが、この大西洋連邦の一方的な侵攻が逆に太洋州連合の反地球連合感情を強めてしまい、地球連合の南アメリカ合衆国の侵攻を激しく批難して本格的にプラント支援の声明文を世界に発表してプラント側に立つ事を宣言して太洋州連合は親プラント国家となり、これに呼応する様に南アフリカ統一機構と対立関係であったアフリカ共同体も親プラント国家となった。

 

CE70年4月1日はザフトが地球全土に降下させたNジャマーの影響で地球全体が麻痺して混乱した事もあり大西洋連邦は対応が遅れ、同年4月2日にザフトは親プラント国家となった太洋州連合の勢力圏であるカーペンタリアに軌道上から基地施設を分割降下させて48時間という短時間で地球における前線基地建設を許してしまった。

 

この動きに驚いた地球連合は太平洋艦隊をカーペンタリアに派遣したが、盤石な体制を整えたザフト地上軍に返り討ちにあって大敗してしまった。

 

カーペンタリアで地球連合を返り討ちにして直ぐに、太洋州連合はプラントと同盟関係を締結し、地球連合に宣戦布告をして本格的にプラント側に付く条約を締結して、太洋州連合はプラント側の支援を受けて旧式化したプロトジンを含めたプラントの恩恵を受けて急速に経済発展を遂げるが、それでも一部の国民や軍人達は親プラント的な対策をする政府に反発してブルーコスモス勢力と結託してゲリラ活動を展開する。

 

そして宇宙ではCE70年4月17日に地球連合は大西洋連邦と東アジア共和国が率いる二個艦隊がプラント本国を目指して進行を開始。

 

これをプラント本国の本土防衛の宇宙艦隊がプラント管理下の資源衛星であるヤキン・ドゥーエ付近で迎撃して連合とザフトが交戦に入った。後の歴史家はこの戦闘を第一次ヤキン・ドゥーエ攻防戦と記した。

 

数で遥かに劣るザフト艦隊であったがMSと、それを巧みに操るザフト兵の技量の前に数の差を覆して手痛い被害を出しながらも地球連合二個艦隊を撃破し第一次ヤキン・ドゥーエ攻防戦はザフトの勝利に終わったが、少しでも地球連合の艦隊の動きを察するのが遅れたら血のバレンタイン同様にプラントのコロニーが破壊されていた可能性が高かった事もあって勝利を手放しに喜ぶ事は出来なかった。

 

ザフトは第一次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の戦訓を活かして、資源衛星であるヤキン・ドゥーエを防衛要塞にする事を決定した。

 

その後、ザフトは地球連合の月面基地攻略に向けて侵攻を開始。後にグリマルディ戦役と称される戦いが始まり、ザフトは新型MSジンハイマニューバを投入。連合も大西洋連邦のメビウス・ゼロのエース部隊で徹底抗戦の構えを見せるが大西洋連邦の一個艦隊が壊滅し、この時の地球連合の指揮官が味方諸共ザフトを道連れにしようとして基地施設のサイクロプスを暴発させ、敵味方区別なく撃破されてザフトは敗走、月から撤退し、月面は地球連合の勢力下に入る事になった。

 

しかし、グリマルディ戦役を勝利した地球連合だが勝利の代償に一個艦隊が壊滅した事実に変わりはなく、世界樹攻防戦から始まり多くの宇宙艦隊が壊滅してしまい、地球連合でマトモに稼働している艦隊は極東連邦以外に存在しなくなり、地球連合宇宙艦隊はこの日を境に活動を大幅に縮小した。

 

宇宙では手痛い被害に遭いながらも地球連合の宇宙艦隊を撃破し、地上では前線基地を手に入れたザフトは安心して宇宙から物資を降下補給する事が可能となって侵攻を開始、地球連合も地上のアドバンテージを活かして何とかザフトの侵攻を防ごうと抵抗するが、オペレーション・ウロボロスで大量に散布されたNジャマーの影響で精密誘導兵器やレーダーが全く使い物にならない為に、精密誘導兵器やレーダーを前提とした既存兵器で武装している大西洋連邦・ユーラシア連邦・東アジア共和国の理事国の部隊は敗走を続けた。

 

既存の兵器ではザフトのMSに勝てない事を実感した地球連合に所属する各国はMS開発が急務となる。そんな状況を見越してか極東連邦はアクシオを地球連合各国に発表して各国に対して販売すると発表して、直ぐに輸出出来ると宣言した。

 

この発表を受けて比較的関係が良好なユーラシア連邦と南アフリカ統一機構はMSを欲していた事もあって直ぐに購入し、中立国家でもザフトや地球連合と敵対するつもりはないがそれでもMSの脅威は無視できないので極東連邦のアクシオの購入に踏み切った。

 

極東連邦からMSを購入して機種転換訓練を終えたユーラシアとアフリカの地球連合軍の部隊はザフトと同じ土俵で戦える様になった事もあってそれまで破竹の勢いで侵攻していたザフトの侵攻は停滞、それから長い膠着状態が続く事になった。

 

その頃、極東連邦ではモビルワーカー部門で絶対的なシェアを誇る真央重工にて極東連邦政府より依頼されて製作した新型MSゲシュペンストの性能を確認する為に、真央重工の演習場に極東連邦の高級士官達が見学に来ていた。

 

「これが我が軍の新型MSか」

 

「凄いものだな」

 

演習場で完全なる人型でありながら縦横無尽に空を飛びながらも用意されたターゲットを正確に新型ビームライフルと90ミリマシンガンで撃ち抜いたり、左前腕部に設置されたビームサーベルで鹵獲したジンを一刀両断するゲシュペンストの姿に驚愕していた。

 

「真央重工のゲシュペンストの基本性能が高い事は自負していますが、やはりテスラドライブと核融合炉の恩恵もデカいかと思います」

 

極東連邦の技術士官が高級士官達に説明する。

 

「確かに核融合炉やテスラドライブの恩恵がデカいのは我々も理解している。小型化しても出力と安定性は問題ないのだな」

 

「はい、これまで核融合炉もテスラドライブもMSクラスに搭載できる様なサイズではありませんでしたが、技術革新により安定性を下げず、出力も低下させないでダウンサイズに成功しています」

 

「いやはや、まるで旧暦時代のSFアニメ様な話だな」

 

「私が若い頃はモビルワーカーが稼働して人間が操る様になってから現実がアニメに追いついたと騒がれたものだが」

 

「今ではMSというロボットが戦争の主役になっているからな」

 

「やれやれ、技術革新があると科学技術は一足飛びで進化すると聞くが……」

 

数年で考えられない程に技術が進歩していく様子に、極東連邦の高級士官は感心や呆れた様な感情が入り混じった様に呟く。

 

この後もゲシュペンスト試作機の実験は続いていく。

 

後にゲシュペンストは、極東連邦を代表する傑作MSと評される様になり、多くの系譜が生み出される事になるのであった。

 

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