ガンダムSEED 架空国家の憂鬱   作:zero3 ガイル

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第六話 原作開始

 

CE71年1月25日。地球連合とプラントとの戦争は十一月が過ぎようとしていた。

 

お互いに妥協点を見出せずにいたが、Nジャマーの影響で原子力が扱えなくなってインフラに壊滅的なダメージを受けた地球連合であったが、原子力から核融合炉に転換していた極東連邦の被害は軽微であった事もあり、エネルギー・食料支援を続けていた。

 

そのお陰かインフラ設備もだいぶ回復し、地球全土で起きたエネルギー・食料不足問題の解決の兆しが見え始めていた。更に原子力を無力化し、地球各国のエネルギー問題の根幹であるNジャマーを無力化する事が可能なNジャマーキャンセラーの完成が近づいている事であった。

 

NJCが実用化されれば原子力が復活して地球のエネルギー問題は解決し、地球のインフラレベルは戦前の状態に復活を早める事が可能となる。

 

ただ、大和会の中でNJCの扱いは慎重になっていた。

 

本来ならNJCが完成したら直ぐにでも使用してNジャマーの影響を取り除いて原子力を復活させて地球全土のエネルギー不足を解消させた方が良いのだが、原子力が復活するという事は核ミサイルの復活も意味しており、無闇にNJCを使用し、NJCの技術がブルーコスモスに漏洩してしまえばブルーコスモスの影響力が強い大西洋連邦が血のバレンタインを再現する恐れがある。

 

特に核ミサイルを躊躇なく使用を許可しそうなのは大和会では二人ほどリストアップしており、共にブルーコスモスの過激派で反コーディネイター思想が強いムルタ・アズラエルとロード・ジブリールの二人であった。

 

過激派でも商人としての側面が強いムルタ・アズラエルはまだ話が通じる部分があるため脅威度はある程度は下がるが、大和会が一番問題視しているのは狂信的な宗教家としての側面が強いロード・ジブリールであり、ジブリールなら躊躇なく血のバレンタインを再現してしまう可能性が高い為にNJCの使用に関しては対応を誤ればお互いが滅びるまでやめない終末戦争になりかねないからだ。

 

「なに、オーブのヘリオポリスにザフトが襲撃!?」

 

NJCに対する扱いを議論していた時に大和会に中立国オーブが保有している工業コロニーがザフトに襲撃されたという情報が大和会の会員で、極東連邦宇宙軍大将である坂本が大和会最高議長であり、極東連邦首相である赤星に伝える。

 

「はい、オーブ側の主張になりますが、ザフトは突然とヘリオポリスを二回ほど襲撃したとの事です。その時の攻撃でコロニーを支えるシャフトも破壊された為にコロニーも崩壊したとの事です」

 

「ヘリオポリスに派遣した工作員や技術者達からの情報によればザフトの目的はG計画で試作した五機のMSが目的だった様です」

 

「何の警告もなしにヘリオポリスを襲撃した事にオーブはプラントに抗議していますが、プラントはノーコメントを貫いています」

 

「ヘリオポリスと言えば、確か大西洋連邦穏健派に所属するハルバートン准将の依頼でMS開発計画にウチから技術者チームを派遣したと記録していますが……」

 

「そこは問題ありません。突然の襲撃で完全とは言えませんが、MS開発計画に重要なデータは消去してヘリオポリスの避難シェルターに避難したそうです」

 

「そうか、大西洋連邦と共同して制作したナチュラル用のOSはそこまで重要度が高い代物でもないが下手に敵の手に渡ると何があるか分からないからな」

 

「とりあえず避難シェルターに問題なければオーブ宇宙軍が早くとも数日以内にヘリオポリスに出向いて保護するでしょうし、我々もG計画に関わったとはいえ、G計画は本来なら大西洋連邦の管轄ですからこれ以上深く我々が関わる必要はないのでは?」

 

「いやそれが、大西洋連邦というより、ハルバートン准将個人からの依頼でヘリオポリスから強奪を免れたG計画のMSのうちの一機であるストライクと、新造艦であるアークエンジェルが無事にヘリオポリスから脱出したとの事で保護して欲しいとの依頼がありまして」

 

「そうなると、パトロール艦隊を派遣してヘリオポリスから地球まで護衛するって事ですか」

 

「その案でいきましょう。Gの試作機の実力は未知数ですが、ジンやシグー程度ならゲシュペンストやガーリオンで問題なく対処は可能ですから」

 

「では出来るだけ近くに展開しているパトロール艦隊にアークエンジェルを保護して貰う様にしてもらいます」

 

こうしてアークエンジェルに対しては保護し、地球まで護衛する事は決定した。そしてしばらく休憩時間を儲けた後に会議の続きを始めた。

 

「そういえば新型の水陸両用MSの開発状況はどうなってるんだ?」

 

「今の所は真央重工のハイゴック、三越工業のズゴックEと共に開発は順調との事ですが、本格的な実戦配備はもうしばらく時間が欲しいとの事です」

 

極東連邦海軍としては水中専用の機体はリオンより派生した水中戦に特化したシーリオンと、少数ではあるが水中戦にも対応したゲシュペンストで対応しようとしたが、シーリオンでは仮想敵であるザフトのグーンとゾノに対して対応が難しいと判断され、本来は地上と宇宙戦を想定して作られた汎用機のゲシュペンストを水中戦仕様に改修するのはコスパが悪いと判断された。

 

この事態に制海権が絶対ではない事が分かると海軍は焦った。今や宇宙にまで勢力圏を伸ばしてるとはいえ、極東連邦の本質は海洋国家であるため制海権を疎かにしては国防が成り立たないからである。

 

そのためザフトで運用している本格的な水陸両用MSであるグーンやゾノと同様の水陸両用MSの開発計画がスタートして、最終的に試作水陸両用MSであったゴックとズゴックを発展させたハイゴックとズゴックEの二機種が選ばれた。

 

「まあ、現在の主戦場は地上が中心で水陸両用機の優先度は低いが我が国は海洋国家だ。制海権を疎かに出来ない。出来るだけ早く完成を頼む」

 

「分かりました」

 

この後も会議は数時間ほど続いて今日の大和会の議題は終了した。

 

大和会の議題が終了した数日後にアークエンジェルはユーラシア連邦宇宙軍管轄の宇宙基地であるアルテミスに避難したが、避難して直ぐにヘリオポリスで強奪したG兵器の試作機の一機であるブリッツのミラージュコロイドを利用したステルス機能を使って基地を強襲してアルテミスは陥落。

 

アークエンジェルは何とか脱出したが、その後は消息不明となってアークエンジェルの保護は失敗に終わった。

 

その後、アークエンジェルは数週間ほど時間をかけてザフトのエリート部隊であるクルーゼ隊の攻撃を退け続けてCE71年2月13日に何とかハルバートン提督が指揮する第八艦隊に合流して地球に向けて降下しようとしたが、本国より増援を受けたクルーゼ隊がアークエンジェルのアラスカ降下を阻止する為に第八艦隊に攻撃を仕掛けて第八艦隊は壊滅した。

 

アークエンジェルも地球に何とか降下に成功したが、クルーゼ隊の攻撃によりアラスカではなく北アフリカのリビアに降下してしまった。

 

ーーー。

 

低軌道会戦と呼ばれる戦いが行われて第八艦隊が壊滅状態に陥り、誤って地上のザフト勢力圏に位置する北アフリカのリビアに降下してしまったアークエンジェルと同時刻CE71年2月13日にアフリカ最大の湖の近くに建設された地球連合のビクトリア基地を攻略する為に動いたザフト地上軍と、ビクトリア基地に駐屯しているユーラシア連邦と極東連邦軍と現地軍である南アフリカ統一機構軍による戦いは最終局面を迎えていた。

 

後に第二次ビクトリア攻防戦と呼ばれる戦いである。

 

第一次ビクトリア攻防戦はNジャマーの影響下でもなかった地上では地球連合の既存兵器の性能をフル活用出来た事もあってザフトのMSが強力であっても地上支援なしでは性能をフル活用出来なかった事もあってザフトの惨敗で終わった。

 

この敗戦が原因でプラント評議会はオペレーション・ウロボロスの作戦実行を決定付けた。

 

そして第二次ビクトリア攻防戦は前回と違って親プラント国家となったアフリカ共同体の地上支援もあって万全を期してビクトリア基地攻略を実行した。

 

ザフトは地上戦艦ピートリー級とレセップス級を主軸として、地上戦でも過酷な砂漠戦に特化した改修をおこなったジンオーカーに、対戦闘機や地上支援を目的した空戦MSのディン、地上支援を目的とした支援MSザウートに加えて、地上戦においてはザフトから地上の王者と称されているバクゥを主力とした大部隊である。

 

最初の頃は凄まじい速度で進軍して地上の大多数を支配下においたが、そこから急速に進行速度が低下していた事にザフト兵達はフラストレーションが溜まっていた。

 

下等なナチュラルなどすぐに倒せる、何で上は慎重になってるんだ、早く俺達を戦場に投入すればナチュラルなど倒して屈服させてやるのにと考える戦場を経験してない若いザフト兵達を中心にその様な考えが蔓延していた事もあって今回の第二次ビクトリア攻防戦に参加している兵士達は歓喜した。

 

これで下等なナチュラルを心置きなく殺せると、しかしそんな目論見は幻想であると彼等は直ぐに知る事になった。

 

「何でだ、何でディンがナチュラルのMSモドキに空中戦で勝てないんだ!」

 

ビクトリア上空では制空権を握る為にザフトのディンと地球連合の主力は極東連邦より購入したリオンであり、そのリオンを操るユーラシア連邦と南アフリカ統一機構軍の空軍兵士達だ。

 

リオンを操縦するとかつての愛機であったスピアヘッドと比べても何の違和感もなく操縦する事が出来る。そんな新たな相棒で空戦MSのディンを相手にドッグファイトを仕掛ける。

 

これが以前搭乗していたスピアヘッドであったならディンの圧倒的な旋回能力に負け、火力でも戦車顔負けのディンの火力にスピアヘッドはバラバラにされてしまい、開戦初期の間から地球連合空軍の間では「ディン相手に格闘戦はするな」というのが共通認識であり、幸いにもスピアヘッドは最高速度では優っていた為にディンを相手にする場合は一撃離脱戦法がセオリーであり、一撃離脱を徹底すれば生き残れる確率はかなり高くなる為にディン相手に有効な戦術として機能していた。

 

しかしリオンの空中性能ならスピアヘッドでは難しいディンを相手にドッグファイトを仕掛けても負ける事なく対等に渡り合う事が出来る。リオンの一機がディンを引っ掻き回して翻弄した所に、二機のリオンが固定装備であるレールガンでディンに向かって撃ちこみ、リオンのレールガンを食らったディンは爆散した。

 

「やっぱりリオンの空中性能はスゲーな」

 

「ああ、あの忌々しかったディンを簡単に倒せるからな」

 

最近はMSが主力となってMAを始めとした戦闘機や戦車といった既存兵器は旧式化して、上層部の命令で多くの兵士達がMSの機種転換訓練を受ける様になり、リオンで戦う彼らの同期の多くが極東連邦から購入したMSアクシオの機種転換訓練を受けてMS乗りとなっていた。

 

それが時代の移り変わりと分かってはいたが、しかし戦闘機乗りとして何か寂しい思いも感じていた。

 

(リオンに乗り続ければ俺達戦闘機乗りは戦える、戦えるんだ!)

 

戦場の主役はMSに移り変わった事を実感し、それは事実と理解しながらもリオンを操り空を駆け抜けて興奮する事を自覚するとやっぱり俺は生粋の戦闘機乗りだと実感した。

 

リオンはMAではなくMSに分類されるという専門家もいるがそんな事は自分達には関係ない。コイツは紛れもなくMSではなく俺達戦闘機乗りやアーマー乗り達の新たな翼である事には間違いないとユーラシアとアフリカ共同体の空軍パイロットは心の中で呟くのであった。

 

空中ではディンを圧倒して地球連合が制空権を掌握しそうな状況で地上では圧倒的な火力で進軍を困難にしていた。

 

「くそ、何て火力だ!」

 

「爆風で前が見えねよ」

 

「連中はココを更地に変えるつもりか!」

 

この大火力の正体はユーラシア連邦陸軍が誇る極東連邦より購入したガンタンクとヒルドルブによるモビルタンク部隊であった。

 

ユーラシア連邦は極東連邦でも驚くほどにモビルタンクの大部隊を結成していた。

 

ユーラシア連邦でもMSの重要性は理解していた。しかしMSというのはこれまでの戦車や戦闘機とは違った全く異なる新たな兵科であり、その運用に関してはいくら大西洋連邦や極東連邦に続く大国のユーラシア連邦でもすぐにMSを既存の兵科と同様に運用するのは難しく、かつて第一次世界大戦で登場した戦闘機・戦車・潜水艦の様に試行錯誤を繰り返してどうやって有効活用すれば良いか苦労した様に、ユーラシア連邦では貴重なMS部隊を慣熟するまであまり失いたくないというのが本音であった。

 

だが、既存兵器を運用してもザフトのMSに敵わないのは理解してる為に、じゃあどうするべきかと考えていた時に極東連邦で開発された既存兵器の発展系に分類されるリオンとモビルタンクのガンタンクやヒルドルブである。

 

リオンは上記の説明通りであり戦闘機乗りやMA乗りならば問題なく操縦でき、モビルタンクも戦車をより発展させた兵器であるため戦車乗り達も違和感がなく運用が可能となり、即戦力化という点でユーラシア連邦軍の考え方にマッチしていた事もあってリオンを始めとしたモビルタンクのガンタンクとヒルドルブを大量購入し、ライセンス生産を行う為にライセンス料も払った。

 

ただ、リオンとモビルタンク大量購入とライセンス生産の弊害でMS部隊が当初の予定よりかなり縮小した。このユーラシア連邦の極端な対応にある大和会の会員は「流石は兵士を畑から収穫できると考えた国家の末裔だな」と、引き気味であったらしい。

 

しかしユーラシア連邦軍でも最初からMS部隊を縮小してまでリオンとモビルタンクを大量に揃える事を反対している勢力があった。それは西暦時代にロシアに対抗する為に産まれたNATOに属する西ヨーロッパ派閥であった。しかし経済関係は旧西ヨーロッパ組の派閥が強いのだが、軍事に関してはCE黎明期からロシア派閥が絶大な力を持っていた為に、西ヨーロッパ派閥の意見は無視されて強行した。

 

モビルタンクは火力だけならMSに遥かに優っているがMSと比べたら汎用性が低い為に運動性と機動性ではかなり劣っている。しかし、低い機動性・運動性を数を揃えてカバーすれば良いというパワープレイでその弱点を克服した。

 

「俺に任せろ、バクゥにかかればこんな弾幕突破してやるぜ!」

 

ザフトのMS部隊が連合のモビルタンク部隊の火力に進めないなか、一部のバクゥの小隊が何とか突破を図ろうと地球連合の陣地に向かってバクゥで突っ込んでいく。

 

バクゥのパイロットは一際目立つMSの出来損ないの様な戦車と巨大な自走砲の部隊を発見して狙いを定める。

 

戦車の出来損ないはバクゥを近づけない様に両腕に固定されてるミサイルランチャーとバルカン砲で弾幕を展開するが、そんな行動をバクゥのパイロットは嘲笑う。

 

「馬鹿め、無能なナチュラルに当てられるか」

 

「連中はろくな近接武器はない。間合いを詰めればコッチのものだ」

 

バクゥの機動力を活かして戦車モドキと巨大な自走砲に接近してビームサーベルで真っ二つにしてやると考えていた時に巨大な自走砲から煙幕が発生してモニター全てが白い煙に包まれて目標を見失った。

 

「くそ、煙幕で何も……な、何!?」

 

煙幕でよく見えないが、それでもモニターからは巨大な自走砲から突然とMSの上半身が現れたのだ。

 

その姿はMSの上半身を戦車にくっつけた様な見た目に変わり、バクゥのパイロットの一人は予想にしない出来事に驚愕した。その一瞬が命取りになり、MSの上半身を持った戦車は右腕に装備している携帯武器をバクゥに向けて射撃を開始して蜂の巣にした。

 

そして次に二機目のバクゥに狙いを定めて頭に装備されている巨大な主砲で狙いを定めてバクゥに放ち、バクゥは原型を留めないで爆散した。

 

「オール、ブラッド!お、おのれ!」

 

これに逆上したバクゥの小隊の残り二機が仇を取ろうと狙いを定めるが、その隙を狙う様に救援に現れた極東連邦のガーリオン部隊に後ろを取られたことに気が付かない様で、バクゥはガーリオンが携行している手持ち式レールガンであるバーストレールガンの一撃を食らい貫かれて爆散する。

 

『援護感謝するぜサムライ』

 

「なに、気にするな。友軍として当たり前の事をしただけさ」

 

『サムライは相変わらず謙虚だな。基地に戻ったら一杯奢らせてくれ、頼もしい相棒を与えてくれた事、何より部隊の恩人にな』

 

その後、ビクトリア基地攻略に進攻したザフト地上軍はこれ以上はイタズラに戦力が消費すると判断してビクトリアから撤退を開始し、第二次ビクトリア攻防戦も地球連合の勝利で終わった。

 

この戦いは極東連邦軍の新型MSのゲシュペンストとガーリオンの活躍が目立ったが、既存兵器の発展型と呼ばれるリオンやモビルタンクであるガンタンクやヒルドルブの活躍も目立ち、戦闘機乗りや戦車兵達は自分達は日陰者じゃないと勇気づけられ、既存兵器も運用次第ではMSにも対抗出来るという戦訓を証明した戦いとして世に知れ渡るのであった。

 

この敗北が原因で北アフリカにおけるザフト地上軍の戦力を大幅に低下させてしまう。

 

更に北アフリカ方面軍の影響力低下は北アフリカの反連合・反ザフトのテロ組織の活動が更に活発化してしまい、砂漠の虎と称されるアンドリュー・バルトフェルトを筆頭とした北アフリカ方面軍のザフト地上軍の指揮官達はその対応に追われるのであった。

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