がんばっていきます
俺、ユウは以前にPVPが売りのMMORPGで、トップギルドに居た。無論SAOとは別のオンラインゲームだ。
そこでは8人pt同士の戦いや大人数の戦争が主だったが、そこでは何より面白いのは上手くチームプレイが嵌まって勝利したときだ。戦士、暗殺者、魔法使い、神官の4職でptを組み、それぞれの職でトップクラスに上手い奴らが1つのptに集まれば、人数以上の相手に打ち勝つことが出来た。
負けたときも勿論あった。
悔しいし、そのpv後は音声チャットで怒鳴りあいのような殺伐とした反省会が開かれたもんだ。
「攻撃ターゲットの順番が違う!」
「回復タイミングがおかしい、全ヒールをダブらせるな。」
「弱化呪文を食らったらすぐ治せ!味方強化呪文も掛け直すのも遅いぞ!」
他の人がドン引きしていた雰囲気だっただろう、だが互いに信頼してるからこそ深く踏み込むことができる。
ゲームに本気でぶつかっているからこそ、自分がどこが悪いかを客観的に見て、反省し、なおす事もできるのだ。
そしてPV練習の出来る闘技場で、散々練習したものだった。
それが当時の俺には堪らなく楽しかったし、それは一人用のゲームでは出来ない経験だった。
そのうち同数の1pt戦で常勝集団となった。ここまで来ると「廃人」では無く「廃神」とまで言われていた。
しかし常勝トッププレイヤーは俺を含め、ゲームを極めたような満足感とともにそのゲームにINをしなくなるものだ。『満足をして飽きる』、ゲームにはつきものの定めだ。
今思えば、連絡先でも交換すりゃ良かったと思ってる。良くも悪くもゲーム本位な集まりだった。
だからこそ俺はSAOでもそういう仲間を見つけることは優先度の高い最初の目的でもあった。
スタンドでは無いが「廃人」同士は惹かれあうものだ。
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俺はクラインに3人の仲間と会った。そして人気の無い街の端で軽く挨拶をした。
「ユウだ、宜しく。元βテスターだ。」
「おう 俺はディオガだ よろしくな!」
茶髪で短髪、筋肉質な大男だ。
見たとこ年上、どことなく頼もしい雰囲気でサブリーダーといったとこか。
「アルバートです、宜しくお願いします。パーティにβの知識があるのは助かる、頼りにしてますよ。」
若干長めの黒髪で体は細い。この人は成人したぐらいだ。
おそらく大学生だろう、結構インテリっぽい。
「フィアナだ 宜しくなー」
中学生か高校生ぐらいか。薄い青髪で結構な小柄だ。
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アルバート「では第1回方針会議をはじめます。まずは基本方針ですが…」
フィアナ「そりゃゲームクリアだ! そうしなきゃ出れねーんだろ?」
クライン「そうらしいな。まずは100層攻略が最終目標で良いと思うぞ。」
ディオガ「他にやる事もねーしなぁ… ずっと街にこもっているのも退屈すぎる。」
アルバート「皆さんは相変わらずですねぇ……、ユウさんは?」
ユウ「俺も同じだな… 命を大事にしてずっと引きこもっていても、ゲームだろうが現実だろうが退屈で死んじまうよ。」
アルバート「わかりました。私も異論はありません、大目標は決定ですね。」
あっさり決まった。やっぱみんな筋金入りのゲーマーであることは間違いなさそうだ。
アルバート「では短期目標…というより、これからすぐの指針を決めましょう。まずはユウさん、どのように動くべきと考えてますか?」
ユウ「2案ある。1つはすぐにでも次の町へ行ってクエストを受けること。もう1つはあえてこの町にとどまり、足場を固めることだ。」
クライン「どういうことだ? すぐに次の町へ行く利点のはわかるぜ。クエスト所が込み合って無駄に時間がかかると出遅れることになる。だがこれ以上この町に残るのはどういうわけだ?」
まだ初日だが次の町に行った奴は居るだろう。
ゲーム序盤から先行優位に立とうとしている連中はSAOに慣れてるβテスターを中心に多数居るはずだ。だがネトゲ特有の面倒な人的障害を取り除いておきたい俺はこう考えていた。
ユウ「まぁ正直有力なのは前者だ、だがネトゲのプレイヤーの性だが嫉妬深いんだよ。俺みたいな情報競争で圧倒的優位のβ上がりを敵視するやつは絶対出てくる。そういう連中相手に和解のきっかけを作って置くには、最初に手を打つのが最も効果的なんだ。」
フィオナ「そんな連中は無視すりゃいいじゃん。」
アルバート「いえ 後に遺恨を残しておくとどんな悪影響があるかわかりませんよ。それに後に非戦闘プレイヤーの助力が必要になるときが来るかもしれません。」
クライン「職人系スキルとかあるみたいだな。そういうプレイヤーも後に必要になるかもな。」
ディオガ「つまりはある程度のβ情報を公開すればいいんじゃないのか?」
ユウ「そうだな… それがベターかもしれない。この始まりの街に掲示板があるからそこに書けばいいかも。○chと違って匿名は無理だが……まぁいいか」
クライン「いいなそれ、それじゃ掲示板に書いたら次の町へ行くことでいいか?」
ユウ「明日からだな。今日は全員ソードスキルを使いこなせるか試してみよう」
そんな感じで会議は終わった。
もう夜だが、さっそく青イノシシで全員ソードスキルに慣れるために特訓。結局面白いからと真夜中24時まで狩り続ける事に。おかげで全員レベル2になった。
SAOで長時間行動していると現実と同じく眠気や、精神的な負荷がかかる。よって同じように寝たほうがいいのだ。皆が満足したら、街に戻り同じ宿屋で1泊することにした。
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余談だが俺の睡眠は3時間だけだ。それと昼寝を昼食後に15分。
このショートスリーパーなのがネトゲ廃人たる1つの特技である。
1時ごろ寝た皆を4時に起こすのはさすがに気が引ける。そんなわけで1人で狩場に来た。
そしたら少女が1人で狩場にいた。見た目は栗毛色のショートヘアで中学生ぐらいだ。
「ッヤアアア!!!」
お見事。 青イノシシの攻撃をかわした後、威勢の良い声と共に流れるような連続攻撃2発で上手いこと仕留めている。
……? こいつは初期武器でも1発で仕留められる手軽な最弱mobのはずだ。なんか違う。
「ハァァァ!!!」
またも2発、よく見たら剣が光ってない。ソードスキルを使ってないのだ。
「おーい、ちょっとまったー」
「? なんですか?」
「ソードスキルは使わないのか?」
「何ですかそれは?」
(おいおいマジかよ、SAOの1番のウリだってのに)
その少女にソードスキルの簡単な説明と実施練習をした。
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「知らなかった… どうりで倒しにくいと思ってたんですよ。」
「まずはそいつを自由に使いこなすのがこのゲームじゃ常識だぞ。」
「なるほど」
しかしこんな所に女の子が1人、しかも早朝。このゲームには倫理コードがあってセクハラの類は殆ど出来ない。
だがこう言うのもなんだが美少女だ。どんな形であれしつこい付きまといをする有象無象が沸くのは目に見える。
……てか俺自身がそんな1人と見られても全くおかしくない。
それにβの頃にPKプレイヤーキラーをする輩が僅かながら居たこともあり、女子供に限らず1人では心配だ。
最もデスゲーム宣言翌日からPKするほどイってるヤツは居ないと願いたいが……
「こんな早朝からどうしたんだ、PKをするやつが出ないとは限らないんだぞ。」
俺は叱ると少女は肩をすくめた。
「すみません、私も怖かったんですけど…」
ユウ(けど?)
「SAOをせっかく始めたのならば前に進まないとと思ったんです……。
昨日のあの後、広場で泣いたり怖がっている人をたくさん見ました。だけどこれは男女の差も無いゲームで勇気があれば誰でもできるはずです。だから今日からですが、私も前に進む為に始めたんです!」
「なるほどね」
立派な心がけだ。ゲームを楽しみ半分の俺とは違い、他人を救うためにこの子は立ち上がったのだ。
俺はなんとなく大儀として掲げていたものの、実際は楽しみ8割、自分が脱出したいのが1割でゲーム攻略したいと思っていた。
真っ直ぐな義憤を背負う子供に負い目を感ざるを得なかった。
「それと、あのやたらと気合の入った掛け声は何さ?」
「剣道をしているので癖です。まずいですか?」
「そういうことか… 音に反応するモンスターも居るし程々にな。」
思えば見事な剣捌きだったな。スキルとは違い、構える必要が無いからこそ滑らかな攻撃が出来るのか。
ソードスキルの発動前にはシステムに構えを検知させる必要があり、攻撃後も若干ながら硬直時間がある。俊敏値を上げたり、そのスキルのポイントを上げるにつれ短くなっていくが、基本的に0には出来ないらしい。
「ずいぶんと剣道技術が在るみたいだし、スキルを使ってもあまり狩り効率は変らないかもしれないな。」
「確かにスキルを使うと若干動きにくいですね。威力が上がるみたいですが。」
「システムアシストでスピードが上がるからね。」
そういえば名乗ってない
「あー、俺の名前はユウ。君は?」
「えっと、グラディアです。日本人ですけどね。」
そう言いつつも栗毛色の髪と若葉色の目が妙に似合っていた。
「ユウさん色々ありがとうございます 早朝からの練習には慣れてるつもりだったんですが心細かったんです。」
「いやいや、大したことはしてないよ。」
ふと自分の妹を思い出し、姿がダブるように見えた気がした。自分とは年の差はあるがしっかり者で、無理するところがそっくりだ。
それに「街にいる人のため」という真っ直ぐな志が在る子供を守らなくてはいけないと思った。
(やっぱ… このまま置いて行けないな……)
「もし良かったら 一緒に来るか?」
「え?」
何だこのナンパは。
自分で言葉をかけといて焦る。
「あ、いや。ptは6人までだし、君が来ればちょうど6人なんだよ。βの経験上、狩りは同じ効率でも多数でやれば安全なんだ。君も攻略する気みたいだしね。」
「でも、私のような初心者が居て平気でしょうか…。」
「大丈夫、さっきの狩の様子を見れば十分合格点だよ。すぐに俺より上手くなるかもな。それにこっちのツレも良いやつばかりだ。昨日みっちりと狩特訓した感じではね。」
「そうですか… わかりました。
それでは是非よろしくお願いします。」
その後宿屋にて勝手にナンパ紛いのスカウトをした事を寝起きのクライン達に謝りに行ったら、怒るどころかすごい勢いで感謝された。気持ちはわからんでもないが、浮かれすぎだろ……。
こうして、後に「風林火山」という攻略組みのギルドメンバーが終結した。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
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髪ですが原作でも結構いじくれるようです。
この話では、最初の手鏡を渡された時点で、髪の毛の色はアバターのそのまんま、髪型は現実に沿う。
そしてその後長さも色も、弄れるという設定保管です。