ストブラの第四真祖の能力を持って呪術廻戦の世界に転生した話 作:蒼凪 渚
俺は今、東京の呪術高専の廊下を歩いている。隣には五条悟がいて、さっきからあれこれと色々話しているが、なんか同じ1年と仲良くなる秘訣とやらを教えてくれた。
そして今からその1年のクラスに入って自己紹介をすることになるらしい。前世知識で伏黒恵と釘崎野薔薇がいるのは知ってる。でも俺の性格的に釘崎は苦手なんだよな……。
まあ今更そんなことを言っても仕方ないので大人しく仲良くなる努力をしよう。そう思って五条先生の紹介で教室に入る。
その瞬間、2人の視線が俺に向き、誰だコイツといった表情を向けてくる。
そして肌がピリつく空気感、座席が3つある教室だ。本当に1年が2人しかいないのかよ。
「新しく呪術師になる暁優弥君でーす! 拍手ー!」
そう五条先生が言ったが五条先生しか拍手してくれなかった。全く歓迎されていないみたいだ。
せっかく外から転校してきたというのにこの扱いは一体なんなのか。それほどまでに歓迎されていないのだろうか。五条先生の話から分かってはいたけど虎杖は死んだ事になってるみたいだし、まだ傷心中なのか?
「ちょっとちょっと恵も野薔薇もテンション上げていこうよ、転校生だよ転校生!」
五条先生が口を開くたびに教室の温度が下がっているような気がする。というか2人の視線が絶対零度のように冷たい。俺全く歓迎されてないじゃん。この空気で自己紹介するとかものすごく辛いんだけど?
それからも五条先生が空気を盛り上げようと頑張っているが、頑張れば頑張るほど教室の温度は冷たくなっていく。そして黒髪のツンツンした髪型の伏黒がついに我慢の限界というように立ち上がった。
「五条先生、俺たち、この後真希さんたちとの訓練があるんで」
そして教室を出て行こうとする。それに続いて釘崎も無言で伏黒に続こうとする。
え? 俺そんなに無視されるの? せっかく仲間が増えるのにこれじゃ同じ学校に通ってるだけのただのクラスメイトと変わらなくないか? というか仲間意識が無いじゃん……。
流石に傷つく……。が、とりあえず自己紹介だけでもしておくか。前世の年齢も合わせると俺の方が年上なんだから大人として優しくいこう。
「あー、初めまして、暁優弥です。一般家庭出身の呪術師になりました。どうぞよろしく」
「……伏黒だ」
「釘崎野薔薇よ」
あ、返事はしてくれた。これは一応挨拶はしてやるという感じだろうか? それともいやいや挨拶したのだろうか。まあそんなことはどうでも良くて、とりあえず仲間意識を高めるために五条先生から授かった仲良くなる秘訣を使うことにした。
「お返事いただきありがとう。両面宿儺が死んだ後に呪術師になるから──」
瞬間、俺の側頭部スレスレを釘と槍が通り抜けた。
え? 俺今攻撃された? なんで?
「考えて口開けよクソが」
「……行くぞ、釘崎」
「こらこら2人とも、事情も知らない転校生に手をあげちゃ駄目でしょー?」
五条先生がフォローしているが、無視して2人は行ってしまった。
……そういえば、虎杖が生きてるってのはあの2人には隠されてるんだっけ? 完全に忘れてた。これは完全にやらかしたな。
けど攻撃まではしなくてもいいだろう。流石にそこは俺も許容できない。ちょっと、というかかなりムカついたし許せそうにないからもう1年と仲良くなるのは無理だな。
「優弥も2人に嫌われちゃったねー」
「五条先生の秘訣が決定打になりましたけどね?」
「メンゴ!」
そんな感じで初対面の印象は最悪。そして完全に置き去りにされてしまった俺はもうどうしようもない途方感を感じていた。
それから今日の訓練の見学でもしてきなよ、と五条先生に言われて訓練の見学をしに運動場にいくことになった。
運動場に行くと、原作知識の通り禪院真希、パンダ、狗巻刺がいた。それに加えてさっきの1年2人。乙骨は海外だっけ?
そんなことを考えながら日陰に行って座って訓練を眺める。おー、伏黒が真希さんにしごかれてる。いい気味だ。でも真希さんから直接武器の扱いを教えてもらえるのは羨ましいな。俺も剣術を教えてもらいたい。3年間剣術は我流でやってきてるからちょっとは基礎らしいことを教えてもらいたいのだ。
そんなことを考えながら訓練の景色を眺めていると、パンダが俺の姿に気付いたらしい。真希たちに声を掛けて俺のことを聞いているみたいだ。けどさっきのことがあったから訓練に参加する気にはなれないしな……。
ついでに言うと今伏黒と釘崎とは顔を合わせたくない。気まずいしもう俺は仲良くなれないとそこで仲良くなれたかもしれない線を断ち切ってるから関わる気も無いし。やっぱり原作の近くにはいても原作と関わるのは無しかなー、なんて思っていると、パンダが俺のところにやってきた。
「なあ、転校生。俺はパンダだ、よろしくな」
「暁 優弥です。よろしく」
「暁は訓練に参加しないのか?」
「訓練に参加っていうより伏黒と釘崎に近づきたくないので」
正直な気持ちを告げた。そしてこの言葉はこの後パンダから他のみんなに伝わるだろう。それで完全に孤立する未来が見えた。正直京都校にしてもらえば良かったと後悔してる。京都校って今年の1年生たしかいなかったはずだから自分1人になれたのに。
「恵と釘崎、嫌いなのか?」
「まあ、正直仲良くなれないなとさっき確信しましたよ」
「今年の1年は色々と問題が多いなぁ。まあ訓練に参加したくなったらいつでも来いよ、歓迎するぞ」
そう言ってパンダはみんなのもとへ戻って行った。
それからしばらくしてまた訓練が再開されたのでその光景を眺めていたのだった。
それから数日。
俺と伏黒、釘崎とは完全に壁が出来上がっていた。クラス内、といっても3人しかいない教室が重苦しい空気になり、言葉のない空間になるだけだが。
そしてその光景を時折2年生が見に来るが、その度にうわぁ、といった感じで帰って行く。その姿だけはちょっと面白い。
実技の授業では、伏黒と釘崎が2人で訓練しているのに対し、俺は1人で剣を振っている。授業ですら完全に仲間割れしているのだった。そして2年生との合同訓練では俺は不参加。最初は見学していたが、途中から別の場所で剣を振るようになった。眺めているよりも動いていた方が身になるからだ。
そして今の1年の教室の空気感は五条先生もなんとかしようとしているらしく、色々とサプライズで仲良くしましょう的なことを言ってくるが、お互い無視で効果なし。完全に学級崩壊である。
これには五条先生も流石に対処に困っているらしい。まさか自分の教えた仲良くなる秘訣でここまで教室の雰囲気が悪くなるとは思ってもいなかったのだろう。完全に五条先生のミスである。
さらにそれを自ら改善しようとしない俺たち。唯一この空気の悪さを解決する手段があるとすれば、それは虎杖を今すぐここに連れてくることだろうが、それは流石にまだ無理だろう。にしても流石に空気が悪すぎてストレスが溜まるな。術式を使うわけにもいかないしどうしたものか……と思ったが、よくよく考えれば自分から他の呪術高専に行きたいって言えばいいじゃないか。京都には西宮桃や三輪霞がいる。釘崎より可愛いし話も通じるだろう。
そうだ、そうしよう。そう決断した日の放課後、俺は五条先生を探したが見つからなかったため、学長である夜蛾さんに相談することにした。
「夜蛾学長」
「……暁か、どうした」
「クラスメイトと仲良くなれる気もしないし仲良くなる気ももうないので他校に転校したいんですけど、呪術高専って他にどこかありませんか?」
と夜蛾学長に相談し、その日を終えるのだった。