ストブラの第四真祖の能力を持って呪術廻戦の世界に転生した話 作:蒼凪 渚
反転術式のアウトプットができるようになり、当面の目的は達成したが、あとは何をするべきか。それは領域展開を習得することである、と俺は思う。ぶっちゃけ原作でも領域展開かっこいいと思ってたから是非とも覚えておきたい能力だ。
だけどこれも俺の原作知識では京都校で習得している人はいない。つまり自力で術式を理解して領域に落とし込む必要がある。
ぶっちゃけ自分の術式の理解なら既にできていると思っている。なんせ転生の特典で自ら頼んで貰った能力だ、眷獣操術に関してなら誰よりも詳しいはず。
さて、領域展開について考えるのも良いけど今日も午前の実技で東堂先輩にしごいてもらいますかね。
俺はそんなことを考えながら運動場へ向かう。
「よし、暁。今日も体術を鍛えるぞ。お前のような女の趣味をしている奴は軟弱だ、体術は磨いておくべきだ」
「女性の趣味に関してはどうこう言われる筋合いはありませんが、今日もよろしくお願いします」
こうして今日も体術の訓練が始まった。ところで交流会が近いのに何故東堂先輩は俺と体術の訓練をしているのか。それは俺が体術で1番東堂先輩に近い実力を持っていたからだ。
加茂先輩もある程度体術はできるらしいが、東堂先輩と比べると相手にならないらしい。それで1年の俺が東堂先輩と体術の訓練をしている。ぶっちゃけ俺も術式なしなら相手になっている気はしないんだけど、術式ありなら俺が東堂先輩を押せる。だから東堂先輩的にはちょうど良いらしいのだ。
打撃が重く、掴み技は効かない。攻撃しても反転術式ですぐに回復する。東堂先輩にとっては理想の相手だろう。まあ、交流会に出ると虎杖と出会うからその辺りでまた変わるんだろうけれど。
東堂先輩の拳の連打を霧化しないで両手を使って凌ぐ。そして反撃に移り両手両足を使って東堂先輩目掛けて攻撃していく。が、それらは全て躱されるかいなされる。やっぱり術式無しだと打撃が軽いな……。だけど術式に頼ってばかりだともし術式が使えなくなった時に困るから今のうちに苦労しておかないと。そう思って術式無しで訓練している。
そして午前の訓練が終わった。術式無しで体術の訓練をしたから全身汗まみれだ。
「暁、お前の体術も少しはマシになったな」
「ありがとう、ございます……」
汗だくで息も絶え絶えで返事をする気力もあまり残っていない。反転術式で体の打撲とかを治癒しながら訓練したのにこんなにボロボロになるなんてやっぱり東堂先輩はイカれてるんじゃ……?
そして昼休み、寮で京都校のみんなで昼ご飯を食べてから別行動となり、俺は座学の授業を受ける。
今日は領域展開について質問してみた。しかしいつものように担当の教師が領域展開できないから概要を聞くだけで扱うためのアドバイスなどは貰えなかった。
そして放課後に自分の領域をどうするかを考えているが、未だに良い案は出てこない。ぶっちゃけ最初は12体の眷獣を召喚して相手にぶつける領域にしようかと思ったが、それは別に領域展開しなくてもできるから却下。ならどうする? 眷獣の能力に焦点を当ててみるか? それならアル・メイサ・メルクーリの次元喰いを領域にして、領域展開した中では任意で別次元に飛ばすとかそういう能力にするか?
なまじ眷獣操術が優秀なだけに領域展開の効果を考えるのに苦戦するな……。
それか領域展開をいっそ12種類作るか? いや、それは使い道に悩むだろうから駄目だ。
そうして領域展開について考えていると、夕食の時間になったので夕食を食べてそのまま寝た。
翌日。
朝から任務を割り当てられた。今日は京都内での任務らしい。内容は1級呪霊2体の討伐。まあ、どうにかなるだろ。
そう思って窓に車を運転してもらって移動する。そして目的地に到着して、早速帳を降ろしてもらって呪霊の捜索に入る。
今回の呪霊も人型なんだろうか。というか1級あたりから人型が多いよな。そんなことを考えながら捜索をしていると、2級呪霊がを発見した。早速呪力を纏った拳で祓う。本命の1級はどこだ? それから敷地内の建物とかも探してみたが、雑魚呪霊はいても本命の1級呪霊が見つからない。よほど隠れるのが巧いのか、それともそもそも1級呪霊がいないのか……。
どちらでもいいがこれで任務失敗になるのは嫌だからもう少し探すことにした。
そして探すこと30分。ようやく見つけた。敷地内の建物の天井に張り付いてた。これは見逃してしまうわけだ。そして建物内の天井だからここではレグルス・アウルムは使えない。ので、
「疾くあれ、サダルメリク・アルバス」
ウンディーネを召喚して、建物を壊すことなく1級呪霊を無に帰した。これで討伐完了。
そしてもう1体はどこかと探し回ると、建物の裏庭にいた。こちらも隠れているタイプだったが、幸い外だったのでアルナスル・ミニウムに振動波で粉砕してもらった。
その後はさっさと帳を出て討伐完了したことを伝え、車で京都校に帰った。
京都校に帰る頃には昼休みになっていた。呪霊の捜索に時間を掛け過ぎたのが原因だろう。なのでささっと昼食を済ませて午後の座学の用意をするため教室に行くと、黒板にでかでかと『午後も実技のため運動場集合』と書かれていた。交流会が近いから実技に力を入れているのだろうな。
そんなことを考えながらジャージに着替えて運動場へ向かった。
運動場へ行くと、ほとんどの面子は集まっていた。唯一東堂先輩だけがいない。
「歌姫先生、東堂先輩はどこですか?」
「……あの馬鹿、高田ちゃんとかいうアイドルのライブに行ったわ」
「あの自由さは見習った方がいいのだろうか……」
「お願いだから見習わないで、暁君はそのまま優等生でいて」
歌姫先生の心からの声を聞いた気がする。東堂先輩、本当になにやってんですか……。なんて思っていると、
「暁君、今日は私と剣術の訓練をしませんか? その、たまには相手が欲しくて……」
三輪先輩に声を掛けられた。しかも訓練のお誘い。これは断るわけにはいかないだろう、なあ?
「もちろん構いませんよ、本物の剣を使いますか? それとも木刀を使いますか?」
「暁君さえよければ本物の剣でお願いしたいです。その方が危機感があって気合いがはいるので」
「分かりました。じゃあ一度部屋に戻って刀を取ってきます」
そう言って一度部屋に戻り、刀を持って三輪先輩のもとに戻ってきた。
俺は剣を手に持って構える。そして三輪先輩も剣を構え、俺は初めて東堂先輩以外の先輩と訓練をすることになったのだった。ちなみに術式は使わない。三輪先輩が術式を持っていないのも理由だけど、俺がミネラウバ・イーリスの能力を纏ったら訓練にならないだろうから。
途中までは良い感じの訓練になっていた。お互いが剣戟で攻め、守り、時には躱して攻撃に転じる。上段から斬り落とせばそれを受け流され、返す刃で斬りかかるもこれも逸らされる。そんな充実した剣と剣のぶつかり合いをしていたのだが、何度目かの鍔迫り合いになる瞬間、
──バキンッ
刃の折れる音がした。
まさか自分の刀が折れたのかと思って見てみたが、俺の刀は折れていなかった。そうなると必然的に折れたのは三輪先輩の刀だ。
「あぁぁあああああぁあ! 私の刀! 折れちゃいました!!!」
「その、すいません……まさか鍔迫り合いで折れるとは思わなくて力を入れ過ぎました……」
どうしよう、交流会直前に三輪先輩の刀折っちゃったんだけど? これ、交流会までに新しい刀を調達できるのか? そもそも三輪先輩の家って貧乏って言ってたけど刀買う金あるのかな……。
「いえ、暁君は何も悪くありませんよ。これは刀の扱いが悪かった私の責任ですから」
そう言って慰めてくれるが、三輪先輩の顔は沈んだままだ。流石に交流会が始まる前に「役立たず三輪です」、なんて言わせたくない。どうしよう……。
「その、三輪先輩。新しい刀のお金、半分出しますよ。僕が折ったようなものですし」
「いやいや、後輩にそんなことさせるわけにはいきません。それにお金のことは気にしなくて大丈夫ですよ。……多分」
……非常に不安の残る実技の時間だった。