【急募】このガンプラチームのまとめ方   作:猫好きの餅

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グラハムの河流れ

 

 

 

 

「よしっ、チェック終わりっ!」

 

 ミツキたちにとって2試合目となる準決勝まで、あと10分ほど。

 

 ガンプラのチェックも終わり万全の準備を整えたミツキは隣で自販機で買ったらしい缶コーヒーを飲むユウトを見た。

 

「…ユウト、よくブラックなんて飲めるよね。苦くないの?」

「…うーん、俺も最初は苦かったはずなんだけどな。気づいたら飲めるようになってて、なんか美味いなって」

「…えー、俺はカフェオレが限界かなぁ。コウスケは?」

「僕?…僕も別にブラックは飲めるけど、なんだかんだシロップ入れちゃうね」

「だよねぇ」

「コーヒーっていえば、この前アマツカと砂漠の虎行ったんだろ?…どうだったんだよ?」

 

 ただの世間話のはずが、思わぬ飛び火に狼狽えるミツキ。

 

 ノゾミと2人きりで砂漠の虎で話し込み、その帰りをちょうど部活帰りのクラスメイトに襲撃されたのはついこの前の話だ。あの件から、確かにノゾミと話す機会は増えているように感じる。

 

 ……が、このガンプラバカは気づかない。

 

「…いや、どうも何もただ普通に話してただけだけど…?」

「あのな、……ま、いっか」

「え、なんだよ」

「見てる分としてはそっちのがおもろいしなって事だ。……アマツカには悪いけど」

「だからなんの話だよ?」

 

 頭上に「?」を浮かべながら首を傾げているミツキを他所に、ユウトの視線はコウスケの方へ。

 

「そういやコウスケはそこら辺の話ないのか?」

「え、僕?……うーん、まだ高一の春だし…」

「そう言われちゃそうだけど…」

 

 そう言われると1ヶ月であんなんになってるノゾミとミツキが変というか、運命というか。

 

 ガンプラの大会の最中に恋バナをするという緊張感のない会話をしていると、準決勝が始まった。

 

 モリタが店内に呼びかける。

 

「はいっ、それでは只今から準決勝戦を始めますっ!両チームは前へお願いします!」

「よし、行こう!」

「おう」

「うん」

 

 そして、ついにミツキ達が呼ばれる。ガンプラを握って筐体の前に行くとあの3人組と目が合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カナタ達も、ミツキ達のチームのことは先程から意識していた。1回戦を見るに3人とも強く、連携もしっかりしている。ほとんどの損傷なしでSEED三馬鹿を3分足らずで撃破したのは素直に驚いた。

 

「…なァ、2人とも」

「どうしたの?」

「さっきの試合はおめェら2人で狙撃するだけで決着が着いちまったからなァ。次の相手は手強いぞ」

「…そうみたいだね。…で、アレやるの?」

「やるしかねェな」

「了解っ、カナタにぃ!」

 

 カナタ達3人もある作戦を決行することを決めたようだ。

 

 モリタの声を聞いて、起動した筐体にそれぞれ端末とガンプラを置く。

 

 カナタはジム・クゥエル。もちろんカスタム機で、既存の装備の他に背中に偵察用のレドーム、右肩に小型のビームキャノンを装備している。ミユの機体はビームスナイパーライフルを装備したジムスナイパーllだ。

 

 そして、アキトが置いた機体はガンダム・バルバトス。鉄血のオルフェンズの主人公機で、主に肉弾戦を仕掛ける機体だ。乗っているパイロットの操縦も相まって荒々しい戦い方をするイメージが強く持たれ易く、当然このガンプラの持ち主もそのような戦い方をする。

 

 そのバルバトスも、少しだけカスタマイズしてあった。

 

 特筆すべきは背中にマウントされた大剣。手持ちの武装が狙撃用レールガンなことと実にミスマッチな印象を受ける。

 

「じゃ、行くよ」

「…機体名くらい言えって……。そんじゃ、行くぜェ。…トガ・カナタ、ジム・クゥエル…出るぜェ」

「ヒイラギ・ミユ、ジムスナイパーllっ、行きますっ!」

 

 

 3人の声とともに、カタパルトが押し出されて3機のガンプラが飛び出される。フィールドは河付きの山岳地帯。ところどころ身を隠すには絶好の森林が生い茂っている。

 

 カナタはジム・クゥエルを着地させるとリアスカートに装備されたコンテナを降ろし、不敵な笑みを浮かべるのだった。

 

「そんじゃァ、作戦開始だ」

「うんっ!」

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……最悪だ」

「だね」

「…これじゃ、隠れ放題だ」

 

 ミツキ達3機も出撃たものの、森林と河付きの山岳マップに揃ってへの字口になりながら飛行する。

 

 まさかのスナイパーに理がありすぎる地形。地上に降りれば射線から隠れられるが、空中の機動力が売りのウィンダムとフラッグが半ば機能停止する。

 

「どうする?」

「ひとまずある程度散開しよう。ほか狙いの射撃に当たる事故が1番嫌だからな」

「了解」

 

 3機は飛行しながらお互いの機体が見える程度に散開した。高度をあげると狙われやすいので、低空を飛ぶ。

 

 ───それが、仇となった。

 

 

「…っ!?」

 

 急に、レーダーが使い物にならなくなった。画面では捉えていた他2機のガンプラがシグナルロストする。

 

「…っ、ユウト、なんかレーダーが…ザザッ……ザッ…」

「ユウト。多分これ…ザザッ……」

「…っ、2人共っ!」

 

 そして、3人を繋いでいた通信までもが切られてしまう。ユウトは歯噛みをしてルミナスの方に向かおうとしたその時。

 

 バシュ!

 

 そんな音と共に、ユウトの会が白い煙で遮られた。スモークランチャーだ。

 

「…っ!…これはまずいな…!」

 

 ユウトはスモークが炊かれたと悟や否や、スラスターを逆に吹かして煙を払おうとする。…が、すぐに同じ破裂音が至る所で聞こえ、最早払えることが出来ないほどのスモークが炊かれていることを察した。

 

 通信妨害に、スモーク。この後予測されるのは一つだけ。

 

「…っ、一か八か…!」

 

 ユウトの推測だが、おそらくこの後狙撃が来る。通信妨害とスモーク撒きを行える機体だ。からなず何かしらの索敵武装は積んでいるはず。このままだと何も見えないまま一方的に狙撃されてお陀仏だ。

 

 ユウトはウィンダムを上空へかっ飛ばした。

 

 真上に飛んだウィンダムは数秒でスモークを抜ける。1機だけスモークを抜けたウィンダムを狙って撃って来る狙撃を躱して、スナイパーの位置を特定する試みだ。

 

 ユウトはウィンダムをある程度の高度まで上げると、盾を構えてマニュアル照準に切り替えた。一撃は確実に凌いで、そこを正確に撃ち抜くつもりのよう。

 

 だがしかし、狙撃は一向に来ない。

 

「…どういうこと?」

 

 そもそも、狙撃するなら一直線に飛ぶウィンダムがいちばん狙いやすいはず。それを撃たずに何をしているのか。

 

 ユウトがそう考えた直後、彼の背筋が粟立った。

 

「…ちょ、…まず………ミツキっ!!」

 

 彼がそう叫んだのは、下のスモークからルミナスが飛び出てきたからだ。……そして、そのルミナスを狙って、森の一部分からピンク色の閃光が見えた。

 

 スモークを抜けて来るのを読んでいたカナタは、ミユに2機目を撃つように指示していたのだ。

 

「へ?」

 

 そしてミツキはスモークを抜けた瞬間に自分がロックされた事を知らす警告音が鳴り響き、素っ頓狂な声が漏れた。スモークの中であちこち動いてしまったことが災いして敵側に背中を向けるようにして出てきてしまったルミナスに、破滅のビームが一直線に向かって行く。

 

「……っ!」

 

 そのビームがルミナスを貫く直前。何とか間に合ったウィンダムが辛くもシールドを割り込ませていた。衝撃音と爆発音が響き、観戦していた客もどよめく。

 

「ユウトっ、大丈夫ッ?」

「…ミツキは…大丈夫そうだな」

 

 ユウトもミツキも、通信で繋がらない中でお互いの機体を見て一息つく。

 

 スナイパーの弾を受けたウィンダムのシールドは粉々になったが、それ以外では目立った損傷は無さそうだ。一発目を凌いだところで位置がわかったスナイパーのビームをそれぞれ離れながら躱すと、そこにまたスモークが撃ち込まれる。

 

「…っちぃ、またか…!」

 

 再びルミナスが見えなくなったユウトは、盾が無くなったのでスモークを出ても撃ち抜かれると判断したのか、ジェットストライカーの羽を折りたたんで地面に着地、地形を遮蔽物にして凌ごうとする。

 

 しかし。

 

 そのウィンダムへ、1機のガンプラが突っ込んで来た。スモーク越しにそれが見えたので、サイドステップでその突進を躱す。

 

「……見えにくいなこれ」

 

 通信妨害中でユウトには聞こえないが、そのガンプラの操縦者がそう呟くと、スラスターを下に吹かせてスモークを取り払った。ジム・クゥエルの方から「おい!?」と声が上がるが、アキトは目の前のウィンダムと戦いたくて参戦したのだ。自分の役割は分断した敵にタイマンを仕掛け続けることなので、行動は間違ってはいないはずだとアキトは構える。

 

 ユウトもユウトで1番警戒している相手が対面にいる中、怖いのは横っ腹からスナイパーに撃たれること。だが、横を気にしていては目の前のバルバトスにやられる。ユウトは空いた左手でビームサーベルを抜き放つと、前を見据えて呟いた。

 

「……ここはミツキとコウスケに頼るしかないか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミユ、あのバカはどうしてる?」

「アキトにぃなら今ウィンダムと交戦中だよ。援護は…いらないよね?」

「あァ。アイツならむしろ怒りそうだ。俺達は他の2機を相手するぞ」

 

 カナタはミユの質問に返しながらモニターに表示されたジャミング率を確認する。あの時降ろしたコンテナからばら蒔いたのは、1/144サイズの「オートマトン」。ガンダム00に登場する無人の小型ロボットで、劇中だと機体下部のマシンガンで対人掃討用に使われていた。

 

 カナタはそれにジャマーを搭載して森に散開させたのだ。木々が邪魔をして発見されずらく、結果的にステージのミツキ達側のほとんどを通信妨害することに成功している。

 

「カナタにぃ、よく森でオートマトン使ったよね。根っことかでこぼこで転んでないの?」

「みんな小せェバーニアが着いてるからなァ。場所問わず使える優れものだ」

「…そこに、わたし達がスモーク撃ってアキトにぃが突撃して…。わたしが相手だったら戦いなくないなぁ」

「おう。奇遇だな。…俺もだ。で、ウィンダムはアイツに任せるとして、他の2機の位置はっと……っ!?」

 

 ジム・クゥエルが装備しているレドーム。かなりの広範囲をスキャンできる優れものだが、1度使うと40秒ほどのクールタイムがある。1度目は狙撃の時に使ったので、クールタイム終わってからすぐにスキャンをかけたカナタは息を飲んだ。すぐに横のミユへ叫ぶようにして言う。

 

「─────ミユ、後ろだァ!!」

「…えっ、…っ!?」

 

 ミユが後ろを振り向いたのと同時に、弾丸が木々を吹き飛ばしながら飛んできた。

 

 ミユはそれを辛くもシールドで防ぐ。……防いだせいで、続けて飛来した機体へ対処が遅れた。

 

「───戦場では初めましてだな。ガンダムでは無いのが実に残念だが」

 

 余談だが、カナタのミユがいる地点はジャミングの範囲外なので通信が通る。変形からの勢いを乗せた飛び蹴りでジムスナイパーllを吹き飛ばした黒い機体から聞こえる声に、カナタは目を見開いた。

 

「な、なんだァ?…このフラッグからグラハムの声が…」

「その通り。…私はグラハム・エーカーであるッ!」

「嘘だろォ!?」

 

 聞き覚えがありすぎる声と共に、フラッグは腕からプラズマソードを抜いてこちらに突撃してくる。カナタは右肩のビームキャノンを撃つが、ステップで躱され接近を許す。

 

 振り下ろされたプラズマソードをシールドで受け止めながら、カナタは尋ねた。

 

「おめェ、どうやってここまで接近した?」

「ふ、よもや通信妨害、視界不良にに位置のスキャンまでしてくるとは恐れ入った。──だが、さすがに水中までは目が届いてなかったようだな」

「なんだとォ……まさかっ、河ン中をッ!?」

 

 そう。この変態はスモークが辺りを包むや否や、1度目のスキャンの後にステージを縦断する河に巡航形態のまま突入。バーニアを全て切ってそのままカナタ達がいる川下まで流され、後ろを取るように出てきたのだ。

 

「…しかも、こっちに視認されないように森の中を低空飛行してくるたァめちゃくちゃなヤツだなァ…!」

「お陰で、あちこちボロボロだがなっ…!!」

 

 フラッグはジム・クゥエルの盾に蹴りを入れて距離を取ると、真上に向かってリニアライフルを撃った。ドッ、ドッ!とまるで位置を知らせるような行動をとったフラッグを、復帰したミユがスナイパーで狙う。

 

「カナタにぃ!」

「ああ、こりゃあ半分作戦失敗だなァ」

 

 ミユは、レーダーをちらりと見るとスナイパーで狙いをつけるのを辞めてサイドステップを踏む。さっきまで機体があったところに飛んできたドリル状のビームが地面を穿った。

 

「見つけたっ!…ナイスグラハムっ!」

「礼には及ばんさ。こちらも一か八かだった」

 

 リニアライフルの音を聞いて駆け付けたルミナスは、ジムスナイパーllに向かってドッズライフルを撃ち込む。ウィンダムに庇われてから着地して様子を伺っていたところに銃声が轟き、そこへ急行したのだ。

 

 ルミナスはジムスナイパーllへ、フラッグはジム・クゥエルへそれぞれ銃を向け口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「…じゃ、反撃開始だね」

「──さて。君たちを超えて、私はガンダムを探しに行く」

「…こりゃァ、想定してたより血みどろの戦いになりそうだ」

「アキトにぃの所にはいかせないもんっ」

 

 戦いはまだ続く。

 

 

戦闘描写、どうですか?

  • 文を読んで想像しやすい。
  • ガンプラの動きや戦法がかっこいい
  • ちょっとわかりにくかった……
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