────グラハムとミツキがカナタ、ミユと交戦している中。
ジャミングの中で戦うウィンダムとバルバトスは観客の注目を集めていた。
「……やっぱり強いね、君」
振り下ろされたバルバトスの大剣をウィンダムは下がって避ける。地面に刃が叩きつけられた隙を見逃さず、一歩間合いの中に入ったウィンダムはビームサーベルを振るった。
それをさらにもう一歩踏み込んだバルバトスは、左腕に装備されたプロテクターでサーベルを持つ腕を受け止めた。ウィンダムは受けられたのを確認するや否や機体を半身にさせて腕を折り曲げビームライフルを接射するが、同じくバルバトスも半身になって避ける。お返しに振り抜かれた大剣の薙ぎ払いをジャンプで避けたウィンダムはそのまま回し蹴りをバルバトスの右側に叩き込んだ。
「…マジかコイツ」
「やるね」
ジャミングの中なのでお互いに声は聞こえていないが、不意打ち気味に入った蹴りを左手で掴んで受けられたユウトも、ガンプラでCQCの様な動きをして来たウィンダムを見たアキトも口角を上げる。
バルバトスは、掴んだウィンダムの脚を振り回し、地面に叩きつけようとする。
「ガンプラと戦ってる気がしねぇなっ…!」
まるで喧嘩の様なガンプラらしからぬ戦法に驚きながらも、ウィンダムはスラスターを地面に向けて全開。減速させて叩きつけに抗う。そしてそのままジェットストライカーの主翼に装備された4連装ミサイルを叩き込んだ。まさか振り回されながらそんな反撃をしてくるとは思わなかったアキトは防御がギリギリ間に合わず、全弾食らってしまう。
爆発の衝撃で手が離れたので、ウィンダムはそのまま空中に飛び上がりながらビームライフルを撃ち込む。
普通の機体ならこれで終わりだが、バルバトスはまだ止まらない。大剣の腹でビームライフルを受けながら同じく飛び上がったバルバトスは大剣を斬り上げる。それを下がって避けたウィンダムは返しのビームサーベルを叩き込もうとするが、大剣を振った勢いに任せて飛んできた後ろ回し蹴りが遂にウィンダムの左肩を捉えた。
カウンター気味に入った蹴りの威力は凄まじく、ビームサーベルを持った左腕が肩から吹き飛ぶ。ユウトは咄嗟に飛んだ腕にバルカンを当てて爆発させ、バルバトスと距離を取った。
「くっそ、なんだこの型破りな戦い方は…!?」
普通、空中を飛べる機体に対して飛べない機体が空中戦を仕掛けるのは御法度だ。しかし、このバルバトスはそれでも空中に飛び上がってくる。
振るわれる大剣は大振りなので後ろへ下がれば当たらないが、こちらの射撃は大剣で確実に防がれる。どの道地上だと勝ち目が薄いのでこのままミツキとコウスケが他の2機を倒してくれることを祈り、時間を稼ぐしかない。
そう思った矢先、地面に着地したバルバトスは、おもむろに近くの木の下に手を突っ込んだ。そしてそのままそれをこっちへ投げつけてくる。
「は?」
岩でも投げたのかと飛んできたものを避けてみると、投げられたのは。
「オートマトン!?」
「おりゃっ」
驚愕するユウトを他所に、今度はバルバトスが勢いよく何かを蹴り上げる。また飛んできた大量のオートマトンに向かって、バルバトスは背負っていたレールガンをぶっ放した。
「ぐぅう……!」
飛んで行ったオートマトンが誘爆し、大爆発を起こす。どうにか直撃は避けたウィンダムだが、今の爆発でライフルが壊された。
「…ってか、射撃武装あんなら撃てよっ!!」
「…それ、よくカナタにも言われる」
今しがたぶっ飛ばされたオートマトンが壊れた影響でジャミングに穴が空いたお陰か、お互いの声が聞こえるのようになった。やはりバルバトスのパイロットはあの一つ縛りの男子かと理解したユウトは残った右手でビームサーベルを抜く。
「……ったく、こんなむちゃくちゃな奴は初めて見たぞ。……でも、嫌いじゃないな」
「そっちこそ、よく落ちないね」
「ダメコンは俺がリスペクトしてるパイロットの十八番だからな」
さすがに心読んでくる近接機相手に20分は耐えれる気がしないけどと吐き捨てながら、ウィンダムはビームサーベルを構えて上空から突撃する。
それに向かってレールガンをぶっぱなしたバルバトスは、ライフルをそのままウィンダムに向けて投げつけた。レールガンをバレルロールで躱したウィンダムはそのままビームサーベルで飛んできたライフルを叩き切ると、振りか振られる大剣に背中を向ける。
「…っ」
「これ避けられた負けるなっと…!」
大剣はウィンダムのジェットスストライカーに命中し真っ二つに斬り裂かれる。背中を向けるながらストライカーを切り離したウィンダムはバラバラになって落ちる主翼に着いた「空対地ミサイル ドラッへASM」に回し蹴りを叩き込んだ。
「そら、お返しだ!」
蹴りを喰らい、さっきのオートマトンのごとくすっ飛んでいくミサイルは、丁度大剣を振り切った体勢のバルバトスに直撃、爆発を起こす。ストライカーが無くなり地面に着地したウィンダムは、そのまま爆発地点へ突進した。
「…嘘だろっ?」
だが、まだバルバトスは落ちていなかった。ミサイルをまともに食らった左腕は吹き飛んで無くなっているが、右腕と大剣は健在だ。
驚愕するユウトに対して、バルバトスは大剣をウィンダムにぶん投げる。回転して飛んでくる大剣をサイドステップで避けながら丸腰のバルバトスに肉薄したウィンダムはビームサーベルを振るおうとする。
……が、バルバトスは空いたはずの右手に何かを持っていた。
「…お返しのお返し」
「ぐぅっ!?」
バルバトスは右手に持った───ジェットストライカーのもう片方の主翼、それに着いたミサイルごとウィンダムに叩きつけた。当然付いてたドラッへは爆発し、ウィンダムに大ダメージを与える。
ウィンダムは吹き飛び、地面に転がった。スラスターを使い起き上がりはするが、もう機体はボロボロだ。
「…はは、ガチで強ぇなこりゃ」
本当にガンプラと戦ってる気がしないと汗を垂らすユウト。残っている武装はビームサーベル1本のみ。今のミサイルで左足がやられて立っているのがやっと。次に飛んだら着地の衝撃には耐えられない。
対して、バルバトスの方も大概ボロボロだ。武装も大剣のみで、あと一撃でも直撃を受けたら危ない。
両機の間に緊張が走る。大剣を担ぐバルバトスに対して、ウィンダムもビームサーベルを構え…。
「……戦略的撤退ィ!!」
「なっ!?」
ウィンダムはなけなしのスラスターを吹かして、その場を離脱する。向かうはレーダが使えるようになってわかったミツキ達の所へ。
後ろからバルバトスも追いかけてくるのを確認しながら、ユウトは仲間たちに謝罪半分丸投げ半分の心持ちで彼らの方へ向かった。
時を少し遡ってミツキ達の戦場。
「…やぁ!」
「っ、やっぱ手強い…!」
ジムスナイパーllとジム・クゥエルの位置を割り出したルミナスとフラッグが交戦を始めたものの、なかなか決定打を与えられないでいた。
それもそのはず、ミツキとコウスケに比べてカナタとミユはベテランと言っていい程の歴がある。先程は不意打ちが決まったから被弾を許したものの、正面からの戦いとなっては少し部が悪かった。
ルミナスが空中からドッズライフルをジム・クゥエルに撃ち込むが、的確にステップで躱され返しのジム・ライフルが飛んでくる。
ジム・ライフルは実弾のマシンガンだ。ルミナスが飛ぶ軌道上に撃たれたので回避は困難。シールドで受けるしかない。
そこに、ビームキャノンが飛んできた。シールドに撃ち込まれ、そのまま固められる。
「ぐ、…それならっ!」
ミツキはユウトの教え通りシールドを斜めに傾けて衝撃を横に逸らすようにして前進する。迎撃され難いようにシールド側に回り込みながらビームサーベルに持ち替えて斬りかかる。
その斬撃もシールドに受け止められた。ジム・クゥエルから声が聞こえる。
「…中々いいガンプラだなァ、太陽炉搭載のAGEか」
「ありがとう、とは言っておこうかな。そっちこそ、ビームサーベルを完全に受け止めるなんてどんな完成度のシールドだよ」
ユウトですら長時間盾で受けるのは避けている。それなのに傷1ついていない盾を見て、ビルダーの能力に明確な差を感じた。
そんな2機を他所に、クロスレンジでの戦闘が続いているのはフラッグとジムスナイパーllだ。スナイパーライフルで撃たれないように至近距離を維持し続けているフラッグは、突進の勢いのままプラズマソードを振るうが、しゃがんで躱され返しのビームサーベルが肩に掠る。
「スナイパーが近づかれたら弱いなんて、時代遅れなんですからねっ!」
「ふ、中々手強い。君を私に釘付けにして置かないと味方に及ぶ被害が少々大きいのでね!」
「……なァ、あれは本当になんなんだ?」
「俺達が聞きたいくらいだよ」
ジムスナイパーllと斬り結ぶグラハム・エーカーという意味がわからない絵面にカナタが尋ねるが、こちとらもうアレについて真剣に考えるのは諦めているのだ。
カナタは、周りを見るに今自分が相手取っているAGEさえ倒せばそのまま押し切れると判断した。飛んでくるドッズライフルを防ぎながら、アキトの様子はどうかとレドームによるスキャンをかける。
「………なんだァ?…ジャミング率がどんどん下がって…?」
見るとオートマトンの数がどんどんと減っていっている。何かあったのかとアキトに通信を飛ばすと、気の抜けた声が帰ってきた。
「おい、アキト今何してるっ?ウィンダムはどうしたァ?」
「んー、今そっち向かってるとこ」
「……俺の目が正しいならよォ、ウィンダムと一緒にこっちに向かってきてねェか?」
「……」
「おぃィ!?」
「お前の役目は分断と各個撃破だろうがァ!」と叫ぶ前に、スキャンした方向から2機のガンプラが飛んできた。随分損傷しているが、まだ健在のウィンダムの後ろに同じくボロボロのバルバトスが見える。
「ユウトっ!」
同じくウィンダムを確認したミツキがそのやられ様に目を見開いた。
片腕とストライカーを失い、ビームサーベル1本になったウィンダムはそのままジムスナイパーllへ一直線に向かっていく。
「ミユっ!」
「っ!?」
ミユは向かってくるウィンダムに目を見開いたが、すぐにサーベルを合わせようと前進した。フラッグの脇を通るようにして前に出た勢いのまま、横薙ぎにサーベルを振るう。
「…っらぁっ!」
「…えーいっ!」
次の瞬間、ウィンダムとジムスナイパーllのサーベル同士か激突した。ただでさえボロボロの機体に更にダメージが入り、装甲にヒビが入る。
ユウトは構わず叫んだ。
「カバー!!」
「っ、ああっ!」
「承知っ!!」
ユウトの声が聞こえた瞬間、ルミナスもフラッグも最速で動き出す。ルミナスは後ろから迫るバルバトスにトッズライフルを撃ち込み、フラッグは高速変形して低空飛行でジムスナイパーllの後ろを取る。
「っ、させるかァ!」
この場で唯一ケアされていないカナタはビームキャノンでウィンダムを狙う。それを察したミユは鍔迫り合いを辞めてフラッグへ向き直った。振り向くモーションと一緒にサーベルを振り抜く。
「…取った!」
これで、ウィンダムとフラッグを撃破できれば戦況はこちらに傾く。カナタは笑みを深めてビームキャノンの引き金を引いた。
ビームが、ウィンダムに迫る。
ユウトはコウスケ…グラハムに叫びながら被弾の直前に、手にしたサーベルを上空へ放り投げた。
その一瞬後、ウィンダムはビームに貫かれる。
「…っ、ユウトっ!」
爆散するウィンダム。その爆発を背中にジムスナイパーllはフラッグへ向けてサーベルを振り抜いた。
「これでっ、終…えええ!?」
「……スタンドマニューバッ!!」
普通なら直撃コースのビームサーベルが、空を切った。ミユはぽかんと目を見開きながら、ありえない挙動で上空に舞い上がりながらMS形態に変形したフラッグを唖然と眺める。
劇場版の金属生命体にやった様な挙動でバックブーストをキメてウィンダムが投げたビームサーベルをキャッチしたフラッグは、青の刃とピンクの刃をそれぞれの手に持った。そのまま凄まじい勢いで急降下しながら両手の剣を振り下ろす。
ミユは咄嗟に盾を構えるが、2つの刃は完全に防げない。
結果、右のプラズマソードは盾で防いだがサーベルを持った右腕が肩から切断されてしまう。
「GPDはGが掛からないのが実に有難いッ!」
「っ、アキトにいっ!」
「はいよ」
「ぐっ!」
フラッグはトドメをさそうとビームサーベルを振りかぶるが、ルミナスを射撃を躱したバルバトスのタックルをモロに受けた。吹き飛びながらも何とか追撃のカナタが放ったビームキャノンを辛くも避ける。
「…このままッ、押し切るっ!」
このまま戦況が落ち着くとユウトを失った自分達に勝ち目はない。唯一無傷のルミナスは、無我夢中でジム・クゥエルに上から襲いかかった。それに反応したカナタは盾でそれを防ごうとする。
「……っ、させるかァッ!」
「な、なんだとォ!?」
直後、その場にいた全員がルミナスの動きに驚愕することになる。ルミナスは膝にあるスラスターからGN粒子を噴射し、機体の向きを変えて斬撃の角度を繊細に調整した。
斬り掛かった時よりも横に変化したビームサーベルの斬撃が、盾をすり抜けてジム・クゥエルの左肩を切り裂いた。盾が無くなったことに歯噛みしたカナタは後ろに下がりながらジム・ライフルを発射する。
……が、またもやルミナスが動いた。
「…ッ、嘘だろォ?」
ルミナスは慣性を無視した挙動で機体を捻り、迫る弾丸自体をまとめて飛び越した。続けて撃たれたビームキャノンもユウトを彷彿とさせるバレルロールで綺麗に避け、ジム・クゥエルに肉薄する。
「……うおおおおお!!」
ジム・クゥエルはライフルを投げ捨てビームサーベルを抜こうとするが、流石に間に合わない。
直後、ジム・クゥエルの胴体が両断された。
「…っ、やるね」
アキトもカナタがやられるのをただ眺めていたわけではない。横から飛び蹴りをかましてきたフラッグを避けて、大剣を振り下ろす。
「アキトにぃ!」
「うん」
「く、…流石に無理が祟ったか…!」
フラッグも大剣を避けようとするが、ここまでの無理が効き関節が悲鳴を上げている。結果避けきれずに、横からビームサーベルで突いてきたジムスナイパーllに貫かれた。しかし、ただではやられんと、爆発する直前にジムスナイパーllの胴体にしがみつく。そして、そのまま2機揃って爆散した。
「……はぁ、はぁ…っ、残ったのは君だけだね」
「……ここまでやられたのは久しぶりだ。……仇は取らせてもらうよ」
ミツキはバルバトスにドッズライフルを構える。中破しているとはいえ、ウィンダムをあそこまでやられるほどだ。油断はできない。
大剣を構えたバルバトスがスラスターを吹かして接近してくる。ルミナスはそこにドッズライフルを撃ち込むが大剣の盾で防がれた。振り下ろされた斬撃を後ろに飛んで避けると、背中のスラスターの側面に装備されたGNビームダガーを投擲して前へ出た。先程ジム・クゥエルを討ち取った時と同じく、GN機特有の挙動でバルバトスの左側面に回り込むように斬りかかる。
バルバトスはビームダガーをステップで避け、迫るルミナスに大剣をぶん投げる。唯一残った武装を捨てるという暴挙に驚愕したミツキは咄嗟ににシールドで大剣を受けた。
だがビームとは違い、質量がある大剣を咄嗟に受け止めたのでルミナスの体勢が崩れる。そこにバルバトスが肉薄した。
ガラ空きの胴体部分にバルバトスの拳が突き刺さる。
「ぐっ!?」
まさかのガンダムファイトに驚きながらも、飛んできたらローキックを下がって避けてドッズライフルを撃つが、さっきとは何かが違う華麗なステップで躱される。
ミツキは集中してバルバトスを見つめながら尋ねた。
「……まさか、そっちが君の…」
「…いくよ」
アキトの声と共に、バルバトスは近づいてくる。ルミナスはドッズライフルのバレルを取り外して速射モードに切り替えるが、バルバトスの方が速い。ライフル自体を掴まれもぎ取られる。
「…それならっ!」
ならばとサイドスカートのビームサーベルを抜き放ち、脚に向かって振り下ろすが、素早いバックステップで避けられ、振り終わった隙に距離を縮められる。
ミツキは咄嗟にGN粒子を使い、スライドするようにバルバトスに後ろに回り込んだ。逆手に間持ち替えたビームサーベルを振り向き様に突き刺そうとする。
流石に虚を突かれた様子。完全には躱せずにバルバトスの頭部が斬り飛ばされた。モニターの正面が使えなくなるはずなのだが、それでも回し蹴りがルミナスにクリーンヒットする。
吹き飛んだルミナスは何とか踏ん張って倒れずに地を滑る。ビームサーベルを構え直し、この打ち合いで決めると息を吐いた。
バルバトスの方ももう限界なのだろう。こちらへ向き直り、拳を構えた。
そして、一歩前え出たその時。
「……限界か」
バルバトスの動きが止まった。ミツキが驚いて見ると関節からギチギチと軋む様な音が鳴っている。
ウィンダムとの交戦で受けた関節へのミサイル攻撃と、度々なる格闘戦の影響が関節に現れたようだ。どうにか耐えていた部分がアキトの操縦に耐えきれず、自壊を引き起こす。
そして。
ミツキが目を見開いている中、バルバトスはその場で崩れ落ちた。
今回のガンプラ制作、挿絵制作は星震さんが作ってくださいました。
戦闘描写、どうですか?
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文を読んで想像しやすい。
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ガンプラの動きや戦法がかっこいい
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ちょっとわかりにくかった……