【急募】このガンプラチームのまとめ方   作:猫好きの餅

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これぞまさしく、愛ッ!!【挿絵あり】

 

 

 

 

 ーーー迫り来る弾丸を、盾を逸らして弾く。

 

「抱き締めたいなガンダム!私の抱擁を受け止めろっ!」

「うわぁこっち来んなぁ!」

 

 ステージは軌道エレベーター上空。上空から四肢を広げて迫り来るオーバーフラッグに嫌な汗をかいたミツキは必死にAGE-1を下がらせた。

 

「そこっ!」

「甘い!」

 

 通り過ぎたフラッグにドッズライフルを撃ち込むが、フラッグはきりもみ回転をしながら避けてこちらに突っ込んでくる。それをジャンプで避けたAGE-1はもう一度ライフルを向けるがまたフラッグがそこに突っ込んでくる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「…くっそ、直線の速度ならユウトのウィンダムよりも速いっ!……そ、それならっ」

 

 空の自分に突っ込んでくるフラッグが見えたその時、ミツキの脳裏に昨日のユウトの動きが浮かび上がってきた。

 

 次の瞬間、コウスケの画面からAGE-1が消える。

 

「むっ?っ、下かッ!」

「ちぃっ!」

 

 ぶっけ本番だったので急降下後の射撃を外してしまったが、予想外の射線からの射撃にフラッグの動きが止まった。

 

 実際にこの動きをやってみてユウトのヤバさがひとつ理解出来たミツキはスラスターをフルスロットル。盾を前に構えながらフラッグに真下から突進する。

 

「うおおおおっ!」

「やるなガンダム!」

 

 フラッグは下から迫るAGE-1に腕のプラズマソードを抜刀して構えると、直後2機のガンプラがぶつかり合った。

 

「なにっ、剣を抜いていないだと!?」

「その声が聞きたかったんだ!」

 

 AGE-1は盾で受け止めたプラズマブレードをはね上げる。その流れのまま腕を折り曲げてドッズライフルを接射するが、身を捻ったフラッグの脇を掠める。フラッグはAGE-1の盾を蹴り飛ばして距離をとると空中変形した。

 

「これぞ人呼んで、グラハム・スペシャル!」

「逆だよッ!!」

 

 ミツキが叫んだように、劇中だと巡航形態からMS形態に変形するのがコウスケが言ったそれなのだが、変形自体を「グラハム・スペシャル」と言うのであながち間違いでは無い。

 

 一気に加速したフラッグが急旋回をして機種を兼ねているリニアライフルを撃ってくるのを盾で受け止めるがリニアライフルはビームではなく実弾。空中で衝撃を殺しきれずに吹き飛ぶ。そこに肉薄したフラッグは再変形をしてプラズマソードを振りかぶった。

 

「終わりだガンダム!」

「ただで斬られるかっ!」

 

 セリフの直後に振り下ろされたプラズマソードを、AGE-1はなんと盾ではなくドッズライフルのバレルで受けた。当然ライフルは斬られて爆散するのだが、爆煙に隠れるように後ろに下がったAGE-1が向けているのは少し短くなったドッズライスルだ。

 

「なにっ!」

「っ、食らえっ!!」

 

 AGE-1は先程受け止めた瞬間にライフルのバレルをパージしたドッズライフル・速射モードをフラッグに向けて連射する。

 

 劇中では敵のMSに攻撃が届かずに使用しなかった武装だが、ガンダムAGEが好きで設定を読み込んでいたミツキは前々から速射モードの使用法を考えていたのだった。

 

 ライフルを破壊したと思っていたフラッグにとって、突然の射撃に驚愕した。直ぐにディフェンスロッドで防御をするが腕と足に数発被弾し、リニアライフルを破壊されてしまう。ミツキはこれを勝機と確信し、ライフルを左手に持ちかえるとビームサーベルを抜きながら着地。落ちてくるフラッグに斬りかかった。

 

 

 

 

「うん、昨日よりもよく動けてるなアイツ」

「そうだね。それにさっきユウト君の戦法を真似したし、いい影響を受けてるんじゃないかな」

 

 2人のバトルを外野から見ていたユウトとモリタは笑みを浮かべる。

 

 前々からミツキの成長力には驚かされて来た。咄嗟とは言え昨日のユウトの動きを真似し、教えた「無駄のない行動」が少しずつできるようになってきたミツキにユウトは純粋に賞賛する。

 

「フラッグの方も動き良いですね」

「だろう?変形のしどころが実に良いよね」

 

 ユウトから見て、このグラハ…アイノ・コウスケと言った男子生徒の腕もなかなかのものだ。森田さんから聞くとGPDを初めてひと月程だと言うが、機体をしっかりと動かせている。まだミツキの動きに着いていけていない様にも見えるが、ひと月でこれなら相当上手い。

 

「あ、そろそろ勝負か着きそうだよ」

 

 モリタの声で試合の方を見ると、もう決着が着きそうだった。流石に主兵装を破壊されたのは痛かったか、速射モードのドッズライフルを更に被弾してフラッグの機動力が下がってきている。

 

 そして動けなくなったフラッグのコックピットの位置にサーベルを突き付けたAGE-1が勝利したのだった。

 

「よしっ!考えてた通りに動けたっ!」

「うわー、負けちゃった〜!ソラザキくん強いね」

「あ、戻った」

 

 バトルを終えたミツキとコウスケがガンプラを回収する。しれっとのグラハムから戻って来ていたコウスケにユウトの口から思わず零れる。

 

 それぞれ機体を回収した2人が戻って来た。2人はそれぞれ今のバトルの振り返りをしており、お互いの動きの意図を話し合っていた。

 

「おつかれ。2人とも良かったぞ。特にミツキ、俺の動き真似ただろ」

「うん、ぶっつけ本番だったけど意表をつけて良かったよ」

「なるほど…あれはカミヤくんの動きだったんだ…。いきなり消えたみたいでびっくりした」

「でもその後の対応は理想的だったし、初めて1ヶ月とか信じられないくらい美味いぞ?」

「本当?ありがとう」

 

 ガンプラの修復をしながら今のバトルの反省会を開くが、ぶっちゃけ言うことが無いユウトだった。内心、昨日やった自分の動きを真似したミツキの成長速度に舌を巻く。

 

 ドッズライフルを新しくしたミツキと関節を交換したコウスケに向けて、腕を組んでいるユウトが問いかける。

 

「…で、アイノくんはミツキのチームに入るってことで良いのか?」

「あ、そうだった。…えっと、俺と一緒にチームを組んでくれるってこと?」

「うん、よろしくね」

 

 頷いて手を出したコウスケに握手をして、反対の手でガッツポーズを決めるミツキ。

 

 これで1人、仲間が見つかった。癖は強いが、頼もしい仲間になってくれるだろう。癖は強いけど。

 

 見方を変えるなら生グラハム・エーカーに会えたということになるが、まるで漫画のキャラのように中身が切り替わるので怖いが少し勝ってしまう。ミツキは握手をして微笑むコウスケに頷きを返しつつも腹の中で謎の葛藤が踞いているが、それを無視して握手を続ける。

 

「…しかし、2人ともいい動きだったね。……ユウトくんはどうだい?」

「はい、伸び代も考えるとかなり良いと思いますよ」

 

 モリタとユウトに褒められた2人は純粋に喜ぶ。その中でコウスケは「あ、そういえば」と手を挙げた。

 

「僕、カミヤくんとも戦ってみたいな」

「ん、俺とか?」

「うん。折角だし、ソラザキくんの師匠とも戦ってみたいよ。1戦、どう?」

 

 コウスケは修復が終わったブラックを見せて微笑む。ミツキの方を見ると頷きを返して来たのでユウトはウィンダムを取り出してニヤリと笑った。

 

「よし、やるか」

 

 

 

 

 

 

 

「はいー、ユウトくんの勝ちー」

「ま、負けたぁー」

「あ、戻った」

 

 数分後、決着が着いてスイッチが切り替わったかのように普通の男の子に戻るコウスケを尻目に相変わらず無傷のウィンダムを回収しながらユウトは眺める。

 

「ナイスファイト、アイノくん」

「ありがと。ソラザキくん。話には聞いてたけど、やっぱめちゃくちゃ強いね」

「おいおい、俺には何も無いのかよ?」

 

 ウィンダムの動作をチェックしているユウトに、ミツキはへの字口で言い返す。

 

「MAXスピードで突っ込んでくるフラッグのソードを盾で逸らすユウトにかける言葉は無いよ」

「え、アレ強いんだぞ?不意つけるし、ミサイルまでの流れ綺麗だったろ」

「その前に飛んでるとこに踵落とし食らったのもびっくりしたよ」

 

 こんな言われようの試合の流れは大まかにこんな感じだ。

 

 さっきのミツキ戦のように巡行形態で突っ込んできたフラッグを飛び超えるようにして避けたウィンダムが前方宙返りをしながら踵落としを叩き込んだ。

 吹き飛んだフラッグは変形して制動し、急上昇しながら避けにくい、防ぎにくいとその状況の最適択と行ってもいいプラズマソードによる突き上げをしたのだが、この変態機体制御野郎は突き込まれたプラズマソードの側面を盾で逸らし、通り過ぎたフラッグのスラスターにミサイルを叩き込んだのだ。

 

 普通、突っ込んできた相手には横に動いて躱して出来た隙に射撃をするのがベターだけど、フラッグの速度だと撃っても離れてるから当たりにくいし、こうした方が良かったじゃん?とかのたまるユウトに呆れた目を向けたミツキは予備のスラスターをつけているコウスケに同情する。

 

「アイノくんの反撃もめちゃくちゃ良かったのになぁ」

「強いやつは全員、その場その場の最適解を選んで来るぞ。それをされた上でどうするか考えないと」

「それは、そうだけど…」

 

 ド正論な帰ってきて口ごもるミツキ。それを尻目にユウトは筐体の設定を「duel」から「standard」に切り替える。

 

「モリタさん、レギュ設定元に戻しておきますね」

「お、ありがとうね」

「…レギュ?」

 

 初めて聞く言葉なのか、首を傾げるコウスケにミツキが答える。

 

「レギュレーションを"duel(デュエル)"から"standard(スタンダード)"にしたんだよ。ガンプラデュエルの設定みたいなものだね」

「へぇー、そんなものがあったんだね。この2つは何が違うの?」

「うーん、ちょっとややこしいんだけど……、まずGPDはガンプラを使って戦うもので、ガンプラはちゃんと損傷するよね」

「うん、ちゃんと打たれたところに傷が入るね」

 

 コウスケは、交換前のフラッグのスラスターを指さした。先程後ろからウィンダムのミサイルを食らったそれにはヒビが入っている。

 

「そう、そこは全部一緒なんだけど、スタンダードは機体の動力設定が反映されないんだ」

「動力設定?」

 

 ますます頭上に「?」を浮かべるコウスケ。グラハムになれるほどだから00はさすがに知っているだろうから、このレギュレーションで影響が多い筆頭の動力源、GNドライヴを例にあげてみる。

 

「00のGNドライヴってあるでしょ?」

「うん、えっと、あの円錐のヤツでしょ?」

「そう。アレがGPDの中で最強なんだよね」

「わかるー」

 

 ウィンダムを回収して戻ってきて便乗するユウトに、ミツキも頷く。

 

 実際、ガンダム全作品を並べて最強の機体を作れと言われたらまずみんなが考えるのは「GNドライブ積もう」だ。空は飛べるしバリアは貼れるし、TRANS-AM(トランザム)システムとかいう反則モードもある。

 

 ただ、00の機体以外のガンプラにドライヴをポン付けしただけでは全く意味がなく、キチンと全身にコンデンサをつけなきゃいけなかったり、かなり出来が良くないとTRANS-AMしても自壊してしまうなどのデメリットもあるが、それを加味しても多大なメリットがあった。

 

「でも、スタンダードだとそういう絶対が全部オフ。各機体にそれぞれスラスターゲージみたいなのが出来て、それで戦うって感じ。武装の弾数も無限なんだ。次にデュエルモードだけど…」

「こっちが公式大会で使われているものだな」

「えっと、要はスタンダードが設定間のハンデを埋めるものだったから……つまりデュエルはその逆ってこと?」

「その通り」

 

 理解が早いコウスケにユウトは頷いた。

 

「デュエルは逆に、動力源とか諸々の設定は全部ON。推進剤とか武装の残弾とかもしっかり減って、ゼロになったらもちろん使えない」

「なるほど…でもそれだとGNドライヴが最強にならない?」

「実はな…って言いたいんだけど、コウスケの言う通りだよ」

「え、じゃあ敵は全員GNドライヴを使ってるってこと?」

「まぁ、そういうチームもいるな」

 

 ガンダム好きとしてはアレだが、勝利に固執するならそういう編成のチームもいる。

 

「でもまぁ、俺たちはそんなことしたくないんだよ。好きな機体で勝ちたいからね」

「っても、別にGNドライヴ使うことは悪いことじゃないからな?好きならつければいいし、つかフラッグにはどの道付くし。基本チーム戦は互いの期待の弱点を補った方がいいから、全員GNだと弱点も相応にでかくなるぞ」

「なるほど…、えっと…話を戻すけどデュエルモードはつまり、よりリアルなバトルができるってことか」

「そういうこと。決着もレギュによって違くて、デュエルとスタンダードは四肢の破壊か設定したコックピット部位が破壊されると終わり。デュエルの5vs版5のUnlimited(アンリミテッド)だけは完全破壊で決着が着くな。大規模の大会はアンリミテッドが主流なんだ」

「だからソラザキくんはチームメンバーを探してたんだね」

 

 レギュレーションの説明と機体の修復を終えた面々は、なんとなしにモリタ模型店のショーケースに並ぶガンプラ達を眺めた。どれもモリタとここの店員が組んだもので、スミ入れとデカール貼り、部分塗装が施されている。

 

「そういえば、カミヤくんはずっとその機体を使ってるの?」

「ん?…いや、結構まちまちだ。SEED系で統一してるけど色々使ってるよ。まぁ、中でもこういう……高機動パックが着いてるやつが好みなんだよな」

「変態機動するからなぁユウトは」

「なんだよ楽しいだろバレルロール」

「あれやると目が回るんだよ。よくそのまま射撃できるよね」

 

 そんなふうに軽口を叩ていると、ユウトが携帯端末の時計を見て「あ」と声を上げた。

 

「そろそろいい時間だし、帰るか?」

「そうだね。今日はここまでっと。いやぁ、新しいメンバーが入ってくれてほんと良かったよ」

「こちらこそ。これからよろしくね」

 

 3人はモリタに挨拶をすると店を出た。ミツキ、コウスケとは反対方向らしいユウトに手を振って歩き始めると、コウスケはずっと気になっていたことを口にした。

 

「そういえば、カミヤくんはチームに入ってないの?」

「…うん。なんか理由があってチームプレイがダメなんだって。気になるんだけど教えてくれないんだよなぁ」

「過去に何かあったのかもね。でも教えてくれるのはほんとにありがたいや」

 

 そう言って顎に手を当てるコウスケは、自分に向けられる視線に気がついて横を見た。「君がそれを言うのか?」といいだけな目に首を傾げる。

 

「…どうしたの?」

「いや、アイノくん…コウスケはなんでグラハムになれるようになったの?アニメ見てとか?」

「ん、前にちょっとだけグラハムを見たことがあったんだ。その時になんか……ビビっと来てね。あれは…多分運命だったよ…」

「そうなんだ」

 

 なんかまたミツキのわからない領域の話になってきた。謎にうっとりしてるコウスケから視線を外す。

 

「だから、僕ミツキくんのチームに入れて嬉しかった。ガンダムを知らない状態で今こんなにバトルが楽しいのにさ、これでガンダムのことがもっと好きになった状態で戦えたらどんなに楽しいんだろうって。ひょんなことから始めたGPDだけど、今日ミツキくんやカミヤくんと戦ってもっと強くなりたいって思ったよ」

 

 コウスケは取り出したフラッグを眺めてそう言った。事実、コウスケはこれからももっと上手くなるだろう。ミツキはチームメンバーとして追い抜かれないようにしないとなと心の中で呟くと、笑顔を見せた。

 

「そっか。それなら誘って良かったよ。モリタさんに感謝だね」

「うん、今度グラハムが出るっていう00も見てみたいな」

「今度見よう!絶対ハマるから……って、え?」

「ん?どうしたの?」

「……見たことないの?……グラハムを?」

「…そうだけど?」

 

 あっけらかんと言うコウスケに、ミツキは目を見開いた。

 

 そう、彼はグラハムが暴れている00ガンダムを見たことがないのだ。見たことがないのに、劇中の彼のセリフをそのまま完コピしていた。しかもコウスケの声が彼に似ていることもあってカトー先生と同じ雰囲気を感じたミツキは変な汗をかく。

 

「ちなみに、コウスケがバトル中言ってセリフって…?」

「その場の勢いだけど…?あ、グラハムと言ってること違った?それなら恥ずかしいなぁ」

「イヤ、ソンナコトハ」

 

 俺のチームにヤバい人が入ったのでは?という、手遅れなことを考えながら、ミツキは帰り道を歩いた。

 

 

 





 アイノ・コウスケ
このチームのヤベー奴筆頭。普段は常識人だが、バトル中はグラハムが憑依する。ガンプラも可変機だけは何故か使いこなせる。イメージcv中村悠一

 ソラザキ・ミツキ
まさかのグラハム加入に嬉しい気持ちと複雑な気持ちが同居中。1度見たユウトの動きを咄嗟に真似してみたが、もう少し高度が低かったら地面に期待が激突してたので内心ヒヤヒヤしていた。

 カミヤ・ユウト
ウィンダムで変態機動をする変態。成長速度が早いミツキを見て内心嬉しく思っている。

どっち派?

  • 連邦系(バイザー系MS)
  • ジオニスト(モノアイ系)
  • ガンダム系が好きです
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