いつのまにか童話をモチーフにした死にゲーの主人公になってた   作:通りすがりの馬鹿

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1話

 

目が覚めたら、知らない場所にいた。

 

なんて言うのはかなりベタな台詞だが、俺の語彙力の都合上それ以外に当てはまる言葉が思いつかなかった。

 

辺りを見渡せば永遠に砂漠が広がっていて、上を見上げれば太陽が容赦無く照り付けている。暑いから、これは俺が見てる夢では無い……と思われる。恐らくは。

 

 

 

 

「──!!」

 

『────?』

 

 

 

そう思っていると、あっちの方が騒がしい。気になるから行ってみる事にした。すると、そこには人がいて何かを話していた。まずは少し遠くから様子を見てみる事にする。

 

『"おじさん光の冊子(ライトノベル)について何か知らない?"』

 

「ライト……何だって?」

 

此処が何処だかとか何か情報が分かるかと思ったのだが、ライトノベルって異世界ファンタジーの小説だよな。あの赤い布の子は、小さいなのにオタクなのか?将来有望だな。

 

『ライトノベルだ。これぐらいの大きさで、光るんだよ。持ってたり、持ってるやつ知らねえか?おっさん』

 

そう言って、赤い布きれの子の横にいた美女が質問されていたおじさんに剣の刃を向けた。おいおい。日本で剣はやばいだろと思って飛び出しそうになったが飛び出しても、俺は何にも出来ないから辞めた。精々おじさんと一緒に死ぬだけだ。何か方法は無いかと考えていると。

 

『"本当に知らない?"』

 

「あぁ、知らない。見た事も聞いた事も無い」

 

『……はぁ。悪かったな、村長』

 

赤い子が美女は首を振るとそれを聞いた美女は溜息をついて、剣を下ろした。謝るぐらいなら剣なんか向けるなよと思ってしまった。

 

『どうしよう、猟師さん。時間も無いのに……』

 

『やっぱり、この近くにいるなんてそんな都合の良い事なんて起きる訳ねえか』

 

『でも、闇の冊子(ダークネスノベル)の所持者が現れたって事はそれを止める為に、現れてもおかしく無いと思う。と言うか、じゃないと私達の負け』

 

『前回は腕と目で済んだが、次は死ぬだろうな』

 

物騒な会話をしつつ美女が銃をしまい、腕を抑える。そこにはある筈の左腕が無かった。

 

そこで俺はやっぱり夢なんじゃないかと結論づけた。夢じゃないとおかしい事が多すぎる。何故なら、彼女達を俺は知ってるからだ。知り合い、いや共に戦った戦友と言っても良いだろう。と言っても。

 

画面(ソシャゲ)の中の人物(キャラクター)なのだが。

 

赤い布切れの子は、赤ずきん。そして、横の美女は猟師。

 

スマホの存在するソシャゲの中で最強劣悪と言われる鬼畜死にゲー《オトギバナシ 〜inside story〜》に登場するキャラクターだ。

 

何でそんな彼女らが実在しているのかの答えが、俺の夢と言う事だ。思えば、昨日寝る前に周回しててそのまま寝落ちした様な気がする。それで夢まで出てきたんだろ。そう理解した俺はふと思った。

 

これが俺の夢なら、彼女が探しているライトノベルの持ち主って俺じゃないか?って。

 

だって、夢と言う自由な世界で何でも選べるのならきっと大多数は主人公を選ぶだろう。それは俺も……。

 

いや、いや。いや?待て待て、それは頷けないな。確かに主人公に憧れた事はある。漫画で好きなキャラは大体主人公だ。でも、このゲームの主人公だけは嫌だ。なんせこのゲームは死にゲー。そして対象年齢は十五歳以上だ。そしておまけに人が死にまくる、それは主人公も例外じゃない。

 

そんな主人公なんてタダでもなりたくない。ハーレム主人公になって脳みそ空っぽで可愛い女の子に鼻を伸ばして方が数千倍良い。

 

『おい、そこにいる奴』

 

そんな事を考えていると、再び猟師が剣を……いや、アレは鋏だ。刃が重なり合ってて分かりにくかったけど。ゲームで猟師は鋏がメイン武器だったから間違い無い。

 

『早くこっち来ないとブッ刺すぞ』

 

俺の方に切先を向け、そう言った。夢の中で死ぬ訳ににはいかないのでその通りにした。

 

 

 

 

『質問に答えて。"何でお兄さんはここにいるの?"』

 

その質問を補足する様に猟師は言った。

 

『さっきまであそこには誰も居なかった筈だ。なのに、突然アンタはいた。どういう魔法を使ったんだ?』

 

……夢だから、なんて言えないよな。多少変な事があったって俺はそれで理解出来るけど他の人は違う。変に誤魔化そうとしても、それは不可能なのを良く知っている俺は正直に話した。

 

「分からない」

 

『じゃあ質問を変える。"何でお兄さんは黙って私達を見ていたの?"』

 

『様子を伺ってたみたいだったよな。それじゃあ、まるで何かがあると勘違いされてもおかしくは無い』

 

俺は、何でこんな目に遭ってるんだろ。どうすれば正解なんだ?正直にこれは俺の夢って話すか?いや、頭おかしいと思われて終わりだ。

 

『どんな人だか、分からないので様子を見ていました。武器を持っていたので尚更』

 

『最後。"貴方は光の冊子(ライトノベル)に何か知ってる?"』

 

「……シラナイッス」

 

たとえ、夢だとしても死にたくは無いから何とかやり過ごそうとしたが無理だった。そりゃあそうだよな。

 

『"本当に?"』

 

「くっ……。持ってますよ!ほら!」

 

俺は耐えきれず、ホルダーから本を取り出し差し出した。

 

実は最初から気付いていた。だって、あからさまに俺のズボンにブックホルダーが付けられててそこに本が収まってるんだもん。気づかない方がおかしい。

 

『やっぱりほら、狩人さん。いた』

 

『いたな、凄えな赤』

 

褒められて少しだけ笑みを浮かべた少女を横目に、我ながら屑だなと思いながらそっと逃げ出そうとして狩人にガッシリと捕まえられる。

 

『何処行くんだ?悪いが、トイレは後にしてくれ』

 

そう言う狩人さんに必死に身体を動かして抵抗するが、片腕なのに全く抜け出せなかった。

 

『お兄さん急ごう。あっちでダークネスノベルの所有者が暴れてる』

 

そう言って先に走り出した赤ずきんを見て、夢なら早く覚めてくれと俺は願った。具体的に言えば、チュートリアルの戦闘が始まる前には。

 

何故ならチュートリアルが始まれば俺達は死ぬのだから。

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